東海道53次 宿場歌



上り唄
  1. お江戸日本橋七ッ立ち 初上り
    行列揃へてあれわいさのさ コチャ(以下お囃子省略)
    高輪(たかなわ)夜明けの提灯消す コチャエコチャエ(以 下お囃子省略)

  2. 恋の品川女郎衆に袖ひかれ
    のりかけお馬の鈴ヶ森
    大森細工(さいく)の松茸を

  3. 六郷わたりて川崎の万年屋
    鶴と亀との米饅頭(よねまんじゆう)
    神奈川急いで保土ヶ谷へ

  4. 痴話で口説(くぜつ)は信濃坂戸塚まへ
    藤沢寺の門前で
    とどめし車を綱で曳く

  5. 馬入わたりて平塚の女郎衆は
    大機小機の客を引く
    小田原相談熱くなる

  6. 登る箱根のお関所でちょいと捲(まく)
    若衆のものとは受取れぬ
    新造ぢゃないかとちょいと三島

  7. 酒も沼津に原つづみ吉原の
    富士の山川白酒を
    (ねい)さん出しかけ蒲原へ

  8. 愚痴を由井だす薩多坂馬鹿らしや
    (から)んだ口説も興津川
    (だ)まして寝かして恋の坂

  9. 江尻つかれて気は府中はま鞠子
    銅鑼(どら)をうつのがどうらくで
    岡部で笑はば笑はんせ

  10. 藤枝娘のしほらしや投げ島田
    大井川いと抱きしめて
    いやでもおふでも金谷せぬ

  11. 小夜(さよ)の中山夜鳴石(よなきいし)日坂(にっさか)
    名物わらびの餅を焼く
    いそいで通れや掛川へ

  12. 袋井通りて見附けられ浜松の
    木蔭で舞坂まくり上げ
    渡舟(わたし)に乗るのは新居宿

  13. お前と白須賀二川の吉田やの
    二階の隅ではつの御油
    お顔は赤坂藤川へ

  14. 岡崎女郎衆ばちん池鯉鮒よく揃ひ
    鳴海絞りは宮の舟
    焼蛤をちょいと桑名

  15. 四日市から石薬師願をかけ
    庄野悪さをなほさんと
    亀山薬師を伏拝み

  16. 互に手を取り急ぐ旅こころ関
    坂の下から見上ぐれば
    土山つつじで日を暮す

  17. 水口びるに紅をさし玉揃ひ
    どんな石部のお方でも
    色には迷ふてぐにゃぐにゃと

  18. お前と私は草津縁ぼちゃぼちゃと
    夜毎に搗いたる姑ケ餅
    矢橋(やばせ)で大津の都入り

下り唄
  1. 花の都は夜をこめて逢坂の
    夕つげ鳥に送られて コチャ(以下お囃子省略)
    名残おしくも大津まで コチャエコチャエ(以下お囃子省略)

  2. 瀬田の長橋打渡り近江路や
    まのの浦風身にしみて
    草津石部の水口へ

  3. 土山行くのをふりすてて情山
    心細くも坂の下
    人目の関をば忍びつつ

  4. 往来(ゆきき)をまねく尾花咲く野尻より
    亀山庄野石薬師
    追分行くのは四日市

  5. かひを桑名の渡より尾張なる
    熱田の宮を伏しおがみ
    鳴海池鯉鮒の染尽し

  6. 岡崎通りて藤川の流れなる
    赤坂越へて御油までも
    吉田二川白須賀へ

  7. こころ新居の渡船(わたしぶね)帆をあげて
    扇開いて舞坂の
    浜松越へて見附けらる

  8. 袋井掛川打過ぎて日坂の
    小夜の中山夜鳴石
    菊川渡りて袖ぬらす

  9. いはで焦(こが)るる金ケ谷で思はずも
    花の女郎衆は大井川
    二八ばかりの投げ島田

  10. 花のゆかりの藤枝に思ひきや
    かかる岡部の真葛原(まくずはら)
    夢か現(うつつ)か宇津の谷で

  11. 蔦の細道はかゆかず花染の
    衣物(きもの)の裾(すそ)を振りはいて
    鞠子府中の賑ひを

  12. 江尻興津の浜辺よりはるばると
    三保の松原右手(めで)に見て
    浮世の塵を薩多坂

  13. 我もと由井の乱髪はらはらと
    蒲原かけて降る雪は
    富土のすそ野の吉原へ

  14. 原や沼津の三島への朝露に
    かけ行く先は小笹原
    越へ行く先は箱根山

  15. 雲井の花をわけすてて小田原の
    大磯小磯を打過ぎて
    平塚女郎衆のお手枕

  16. 花の藤沢過ぎかねて袖の露
    ちぢに砕いて戸塚より
    保土ケ谷までの物思ひ

  17. 思ふ心の神奈川や川崎を
    通ればやがて六郷川
    大森八幡で鈴ケ森

  18. 酔ひも鮫津(さめつ)に品川の女郎衆に
    心引かれて旅の人
    うさを忘れてお江戸入り




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