裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 伍乃巻
1 :名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 22:58:23 ID:Qix7bBXV0
「仮面ライダー響鬼」から発想を得た小説を発表するスレです。
舞台は古今東西。オリジナル鬼を絡めてもOKです。

【前スレ】
裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 肆乃巻
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1150894135/


【まとめサイト】
http://olap.s54.xrea.com/hero_ss/index.html
http://www.geocities.jp/reef_sabaki/

【用語集】
http://www.iiyama-catv.ne.jp/~walachia/index.html
※用語集へはTOPの「響鬼」でたどり着けます


次スレは、950レスか容量470KBを越えた場合に、有志の方が
スレ立ての意思表明をしてから立ててください。

過去スレ、関連スレは>>2以降。

2 :名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 23:00:27 ID:Qix7bBXV0
【過去スレ】
1. 裁鬼さんが主人公のストーリーを作るスレ
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1131944389/l50(DAT落ち)
2. 裁鬼さんが主人公のストーリーを作るスレ その2
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1138029584/l50(DAT落ち)
3. 裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1139970054/l50(DAT落ち)
4. 裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 弐乃巻
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1142902175/l50(DAT落ち)
5.裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 肆乃巻
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1150894135/


【関連スレ】
--仮面ライダー鋭鬼・支援スレ--
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1124581664/l50(DAT落ち)
弾鬼が主人公のストーリーを作るスレ
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1133844639/l50(DAT落ち)

3 :凱鬼メイン作者:2006/09/21(木) 20:23:07 ID:5T7ysfUL0
スレ立て、乙です。
斉藤真斗芽さんも忙しかったみたいですが、UPされてて安心しました。

4 :DA年中行事:2006/09/21(木) 22:10:47 ID:fkwBR0KZ0
おお、新スレ立ちましたね!>>1さん、乙です。
本編終了して十ヶ月、『達』スレになってから早伍乃巻ですか・・・・感慨深いなぁ。
各SS職人さん方の新作はもちろんですが、寄せられる感想も楽しみにしています。
真斗芽さん、用語集サイトさん、いつも乙です!!

伍乃巻も、よろしくお願いします!


5 :弾鬼SSの筆者:2006/09/21(木) 22:33:27 ID:n/vMHtG10
1さん、スレ立て、乙です〜!

そして・・・御免なさい。
早ければ先週投下するつもりだったのですが、いざ残りを書こうと思っていたら
台風直撃で停電しやがりまして・・・書けてません・・・
今週の土日でクロックアップして仕上げますので、もう少し・・もう少しだけお待ちくださいm(__)m

一応・・・予告置いてゆきます。

番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻『呼び戻る声』(後)

「・・・しかしまぁ・・・暑苦しい二人ですね・・・日も傾いていると言うのに・・」
「全く、厄介な奴らっスよ!あのスーパー童子とスーパー姫は!」
「そ〜なんすよ!俺たちあの人が作った新兵器の実験台になったんすよ!・・・それを使えば・・・もっと強くなれるからって・・・・」
「ショウキさん!それじゃ駄目です!Hit the beat!Keep your beat!が、ひっザビー金曜日!になってます!」


6 :高鬼SS作者:2006/09/21(木) 23:03:30 ID:pOv0xb/p0
>>1さん、乙です。
これからも皆様のSSを楽しみにさせていただきます。
まとめサイト様も久し振りの更新、乙でした。

7 :凱鬼メイン作者:2006/09/21(木) 23:42:37 ID:5T7ysfUL0
じゃあ、僕からも“劇場版”予告を♪
え、早過ぎ?気にしない、気にしない。

8 :劇場版 凱鬼メインストーリー 予告編:2006/09/21(木) 23:44:23 ID:5T7ysfUL0
劇場版 凱鬼メインストーリー God Speed Love.

―――――20XX年。
オロチ現象の八十倍の勢力と言われる“八岐大蛇現象”が最初に東北地方で起こった。
その勢力は日ごとに増し、地域を拡大していった。人々はただ、いつ現れるか分からない陰を恐れていた。

あきらの頬を涙が伝う。
「いつかまた・・・カガヤキ君と一緒に・・・行きたかった・・・。」
「行けるさ・・・。必ず。だからもう・・・・泣かないで?」
「も・・・ダメ・・・。」

「凱鬼さん・・・。戻ってきて・・・必ず・・!あなたがいないと・・・私の世界は無いんだから・・・!」
「・・・・・戻れたら・・・一緒になろう。」

「凱鬼・・・凱鬼!!」

「俺の鬼の顔も忘れたか?」

「・・・。」

「輝鬼・・・!」

「あ・・・あなたは・・・。」

「あきらを・・・頼む!」

9 :劇場版 凱鬼メインストーリー 予告編:2006/09/21(木) 23:45:34 ID:5T7ysfUL0
――――2人の鬼が・・・。
「あきらぁぁあ!!」

――――常闇を砕き・・・。
「音撃打ァ!!」

――――天を導かんとするとき・・・。
「音撃斬!!」

――――光は現る。

「久しいな・・・。凱鬼、一真。」

劇場版 凱鬼メインストーリー God Speed Love. 投下日未定。

主題歌:「Beat of Soul」 唄:あきら
演奏:カチドキ(ドラム) カガヤキ(ギター) 東北支部長(ピアノ) 

10 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 09:58:15 ID:lKrHyeTK0
  伍、

「では予定通りミーティングに入ろう」

 円卓に御所守の面々が居並んでいる。
 ハバキを頂点として時計回りに久美子、ヒラメキ、シブキ、史郎、肇の順に座り、バイ
トと通いの板前に店を任せた初音も今は降りて来ていて、先ほどまで久美子が陣取ってい
たチーフデスクにちょこんと収まり、仕事を引き継ぎもくもくと作業を続けている。
 各人の前には十五インチサイズの液晶モニタが据えられ、地下水路網と抜け穴の見取り
図を組み合わせた地下経路図を映し出していた。経路図上では五十を超える展開ポイント
が色とりどりの輝きを放つ。
 ハバキと肇が朝の巡視──お勤めで行った作業結果である。
 御所守は二週活動し一週休むというスケジュールの下、行動している。その中でハバキ・
肇のチーム、ヒラメキ、シブキ・史郎チームが一週ずつずらしながらシフトを消化してい
るのだ。

「自己紹介は済んでいるみたいなので省く。
 葛嶋君には『金』と『銀』兼任で動いてもらう。暫くは初音とヒラメキのフォローをお
願いすることになると思う。『金』の仕事に関してはもう手をつけているようなので問題
ないようだね。後は……」伊達男の髭面をちらりと見やり、微笑み、「ハバキ、よろしく
やってくれ──」


11 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:00:54 ID:lKrHyeTK0

 何か言いかける久美子を軽くスルー。手元のリーダーにディスクを一枚かませると、程
なくして液晶モニタに粒子の粗いモノクロームの画像が映し出された。三体の鬼が、凄ま
じい勢いで動く何かを、それを上回る凄まじい動きで粉砕してゆく──藤梟のカメラアイ
を通して記録された映像である。まだ荒過ぎるな、とモニタをにらみながらヒラメキが洩
らし、史郎は食い入るようにモニターに視入り始めた。シブキだけが、画像を元の巡回地
図に戻し、額の皺を濃くしていた。

「昨晩の記録だ。視ながら聴いてほしい。
 取り逃がしたショウケラの童子と姫だが、朝のお勤めでは発見できなかった。残りのショ
ウケラも然り。よって展開ポイントを増やし、試作機のテストも兼ねて音式を打ってきた。
消炭鴉、藤梟、瑠璃狼、漆黒馬、黄蘗蟹、桜蛸を各一セットだ。
 ヒラメキ、葛嶋君。音式が戻り次第、私達と一緒に解析を頼む。親方と史郎くんは待機」

史郎と肇が緊張を含んだ声で同時にはいと返事をし、ヒラメキがシューティングポーズ
でハバキの指示に答える。久美子が了解しました、ボスと答え、シブキは頷くことで了解
の意思表示をした。
 御所守は通常シフトにある場合ミーティングをすることはめったにない。担当地区の巡
視が終わった後、申し送りをする程度だ。


12 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:01:30 ID:lKrHyeTK0
 ミーティングが行われるケースは二つある。
 先ず、吉野よりの通達がある場合。これには新装備の支給やメンバーの補充──めった
にあることではない、が含まれる。もう一つはシフトにイレギュラーが生じた場合。イレ
ギュラーの範疇には様々あるが、増殖型の魔化魍殲滅に赴く場合や、魔化魍の殲滅に失敗
し、一旦引き上げ対策を練り直すなどというケースもこれにあたる。
 先の戦闘で打ちもらした童子と姫は手負いであった。ハバキが音撃刃・明王(ミョウオ
ウ)で怪童子の腕を落とし、シブキが音撃棒・汐波(セキハ)で妖姫の顔面を割った。直
後、三十体近いショウケラからの猛攻撃を受け、応戦しているうちに見失ってしまったの
だ。ショウケラは二十五体までを討ち果たしたが後数体はやはり逃してしまっていた。

「ボス、それにしても展開数──種類が多いのは何故ですか」

 ああそうか、とハバキとヒラメキが同時に呟く。
 ショウケラは夏の分裂型魔化魍に分類され、放って置くとあっという間に成長・増殖し
てしまうため、できるだけ速やかに殲滅を完了せねばならない。そのための展開数の増加
であるが、その他にも理由はあった。
 音式神の帰還率を高めるためというのがそれだ。
 特区の魔化魍は他地区より凶暴且つ狡猾であり、特に手負いとなると危険察知能力と自
己防衛能力は跳ね上がる。偵察中の音式神が、逃走中の手負いによって破壊されてしまう
ことも少なくなかった。それを回避するため、数を増やし編隊を組ませているのである。

「藤梟・零式が量産できればだいぶ解消されるんだがな」

 伊達男が腰の銀板を一枚取り外し、音叉で軽く弾いてやると藤色の鳥形が展開した。暗
視装置を組み込まれた、他の鳥型よりも大きなカメラアイをくりくりと動かしながら「ホー」
と一つ鳴いた。


13 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:02:04 ID:lKrHyeTK0
 夜の猛禽の魂を封じたこの音式神は、ヒラメキ設計のものであり他の音式神にはない機
能を付与されていた。より強力な戦闘サポートをするための機能。魔化魍に対して、より
効果的なダメージを与えるための能力(チカラ)。鬼のそれには及ばないものの、音撃を
発生させ発射する能力である。
 局所的且つ短時間の音撃のため、倒すことはかなわないが怯ませることは十分可能であ
る。その間に全速で離脱すれば、理論上、帰還率は飛躍的に向上する。
 また、電池の消耗を考えなければ最大十秒間の連続照射が可能、数体で交互に照射を繰
り返せば魔化魍の動きを封じながら戦うという戦略も立てられるとヒラメキは語った。
 
「ただな、ハイ・パワーな分電池の消耗も激しくて、通常時でも、最大行動時間が二十四
時間というのがネックなんだな。
 もう少しエネルギー伝道効率のいい触媒で代用できるか、軽量化を図ることができれば
解消されるんだが…それとあとひとつ。俺の自立行動OSの組み方が悪いのか夜型の猛禽
の性質なのか、起動者の感情をストレートに反映してしまうあたり、不安定っちゃ不安定
だな。
 甲信越と東北に出している、弐式のモニター報告で調整をかけるつもりではいるんだが
な」

 なぜか得意気に胸を張る髭面。
 弐式とは重量を食う音撃機能をオミットし、連続活動時間と記録時間を向上させたヴァー
ジョンを言う。特殊環境の特区内で得られるデータだけではどうしても偏りが出てしまう
ため、吉野のガサラキを通して他の激戦区にモニタリング要請しているのだ。
 銀の面目躍如といったところか、軽薄そうな見た目に反して技術者然とした台詞を吐く
ヒラメキを、少し驚いた顔で久美子は眺めていた。
 兎に角、不安定でも未完成でも、有効な手段なのであれば、それに頼るしかないのが御
所守の置かれている現実なのであった。


14 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:02:44 ID:lKrHyeTK0

「結界の綻びは?」

 それまでじっと地図の一点、大手門と地下鉄が立体的に交わるをエリアを睨んでいたシ
ブキが唸るように問うた。綻びとは大手門の地下、皇居の結界内に入り込んでいる唯一の
近代建造物、東西線を指す。結界の力が薄いため進入が比較的容易く、戦闘で傷ついた魔
化魍や特区進入時に消耗した魔化魍は回復を図るため、ここを狙い移動するケースが多い。
五年前、史郎が御所守に入るきっかけを作った事件も、手負いの「件(くだん)」を追っ
ている最中の出来事だった。史郎は過去を手繰り寄せた。渋面が証、シブキも同じ記憶を
思い起こしているに違いない。

「寒心(かんしん)無い。灰白隼を十枚、藤梟を十枚、浅葱鷲を二十枚、連絡用に漆黒馬
三枚を打って来た。夕方のお勤めには交換に廻るから梟の電池切れも、無い」

 シブキが渋面のまま小刻みに頷いた。
 この件について他に、とハバキがと全員の顔を見渡し、

「次に史郎君の『鬼の儀』についてだが、吉野のガサラキ老と話はつけておいた。
 今日の試験がうまくいけば──まあ、親方の愛弟子だ。問題ないと思うが、明後日には
吉野で鬼名の申請が受理されているはずだ。試験の対象は本日一番最初に発見される魔化
魍とする。
 ……我々の尻拭いになってしまうかも知れないが──よろしく頼む。そして頑張ってく
れ」

 鬼を代表して激励の句を述べた。鬼の長は端正な顔に慚悔(ざんかい)の表情を浮かべ、
優男の顔から表情が消え、巨漢が渋面を濃くする。


15 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:06:17 ID:lKrHyeTK0
 手負いを試験の課題にするのは危険すぎる。
 原因を作ったのが自分達であるという負い目もあった。
 シブキはやはり今日はやめておこうと言いかけて、やめた。試験を執り行う期日はシブ
キが決めたこと。「師が弟子のひとり立ちを宣言した日から一番最初に出現する魔化魍を、
童子・姫を含め、弟子自らの手で全て撃破する」。
 御所守がその名を戴く以前よりの暗黙の取り決めであった。当然自分の不得手とする魔
化魍にあたったり、場合によっては予想外に強い魔化魍と対峙せねばならないこともある。
日増しに激化する修羅場をくぐり続けるためには、運すらも味方に付け戦い抜かねばなら
ない。
 しきたりの定められた時代とは魔化魍の発生状況や強さが急速に変化してきている。だ
が、これを曲げることはできない。曲げたところで先は変わらない。
 蛍光灯の放つ無機質な光。
 重い空気が室内を満たしていた。
 エアコンが冷風を吐き出す音と柱時計の振り子が時を刻む音が、奇妙なハーモニーを奏
でている。

「大丈夫っス、任せてください。師匠の尻拭いするのも弟子の役目スから。
 それに──親方のへまのおかげで俺はここにいるんス。悪いことばっかじゃ無いスよ」

 史郎が対面のハバキの顔と右隣に座るシブキの顔を順に見やった。空気を読んで史郎な
りの気遣いだった。
 間。
 しまった、裏目に出たかと思った瞬間、肇が吹き出して、あわてて下を向く。
 長が破顔した。優男が気障なしぐさで天を仰いだ。巨漢が一瞬だけあの表情をし、そし
て苦笑した。初音がころころと可愛らしい笑い声を上げ、久美子が目を閉じてゆるりと微
笑む。肇君、ナイスフォロー、と史郎は心の中で謝辞を述べた。


16 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:09:17 ID:lKrHyeTK0
 シブキの目尻の皺がより濃くなり、表情がふっと緩む。

(このやろう。小憎らしい事してくれるぜ…)

 日に焼けた太い腕が音もなく史郎の首筋に巻きつき、引き寄せ、ぎりぎりと締め上げて
行く。

「ほう、言うようになったじゃねえか、おい?」

 こみ上げて来る熱いものをもてあます。息子ほども歳の離れた愛弟子の気遣いが嬉しく
て、皆に前にいるのが気恥ずかしくて……歳をとるとどうも天邪鬼になっていけない。
 史郎の顔色が赤→青→紫と猛烈な勢いで変化し、目玉が眼窩の裏側でものぞこうとする
かのような動きを見せ、それがやむとじわじわとにせり出して来た。
 初音が「あらあら、史郎君死んじゃうわ」と心配しているのか面白がっているのかよく
わからない調子で突っ込みを入れ、史郎は「ギギギ、ギブギブ…っ」と縊り殺される鶏の
断末魔のような声を上げながら、シブキの肩口をタップ。あっけに取られていた皆も漸く、
史郎の置かれている状況が只のスキンシップをの度を超えていることを理解するが、止め
るべきかどうか躊躇する。


17 :皇城の守護鬼:2006/09/23(土) 10:16:48 ID:lKrHyeTK0

「ズンマゼン…イイズギマジダ。ガンベンジデクダザイ」

 へし折れんばかりに締め上げた首を更にぐいと引き寄せ、史郎にしか聞こえないように
耳元で囁いた。

「史郎よぅ。お前ぇはやさしい奴だなぁ。気ぃ使ってくれて…」

 語尾が僅かに潤んでいた。

「有難うよっ」

 史郎の口に吸い付いた。照れ隠しの一撃。焦点すら定まらなくなった目玉が完全に裏返
り──

「………っっ?!!」

たっぷり二秒の間。史郎の代わりにその場にいた全員が悲鳴を上げた。

皇城の守護鬼、伍 sideA end
─────────────────────────────────────

大変ご無沙汰しております。皇城の〜でございます。
執筆用に使用しておりましたPCがクラッシュしまして半年以上…漸くHDDのサルベージが
完了いたしましたので続きをお届けすることができました。
お待ちもいただいていた方もそうでない方も、また暫くお付き合いください。

18 :DA年中行事:2006/09/23(土) 13:03:23 ID:0KEweb3N0
おおおお、皇城さんてばお久し振りでござんした!!
待っておりましたよぅ、御所守の皆さん!
史郎さんマジピンチw

皇城さんの新作が読めるとは、あなうれしやのぅ。待ってた甲斐がありんした。
次回の更新を心待ちにしております!

19 :凱鬼メイン作者:2006/09/23(土) 19:29:28 ID:5UqdkmlT0
まだ一之巻しか載せてませんが、ページでっちあげてみました。
http://www.geocities.jp/maskedrider_syosetu/index.html
設定画集も載せる予定です。

20 :名無しより愛をこめて:2006/09/24(日) 00:18:19 ID:6fSRqh2A0
最近「中四国支部鬼譚」の更新がないですね、楽しみにしてるんですけど

21 :名無しより愛をこめて:2006/09/24(日) 02:28:39 ID:S0ZRsj7T0
転載ですが

安藤は造型監修
剛鬼(製作:中島健一)
 金棒みたいな音撃棒・金剛(製作:五島純)を使う。
蛮鬼(製作:山口泰弘)
 音撃弦・刀弦響はギターとベースを合わせたツインネック。分離して二刀流も可能。

SICの作例だそうです かなりアレンジされてますがw

22 :名無しより愛をこめて:2006/09/24(日) 23:04:59 ID:VRMAAbALO
>21
 今月のホビージャパンの『S.I.C HERO SAGA』の特別番外編の作例の事ですな。
 資料が少ないゆえに大胆なアレンジが加えられているヤツ。でも格好良いよねw
 蛮鬼はかなり芸細。ツインネックはギターの6本とベースの4本で合わせて10弦…“とうげん”だし、本体の装飾も右半身の弦が6本の左半身の弦は4本。SICなりのアレンジがいいんではないかと。
 来月は残る“射”の勝鬼と闘鬼で『関東十一鬼』の揃い踏みになるらしい。楽しみです。
 マジな話、誌上限定通販にならないかな〜。

23 :名無しより愛をこめて:2006/09/24(日) 23:49:07 ID:lvaLf+evO
>>20
どの作品の作者さんにもそれぞれ忙しい日常があるのだろうから、気長に待とう
お気に入りの作品ならことさら楽しみに待てるというもの

こなああああゆきいいいいい

24 :中四国支部鬼譚作者:2006/09/25(月) 22:44:20 ID:iIB08UvH0
遅くなりましたが新スレ乙です。

最近更新が遅くて本当にすみません。
それでも楽しみにして下さってる方がいて本当嬉しいです。

サイトのほう、名も無き絵師さんがコナユキさんの絵を描いて下さったのでTOPにしました。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/
コナユキさんファンの皆さんには朗報?

ところで近々、このサイトに「中四国支部鬼譚」以外の拙作も載せようと思っています。
それに伴い、サイト名を変更する必要がでてくるのですが(今は作品名そのままなので)、
その新しいサイト名について、同好の志であるこのスレの皆さんに公募を出したいと思います。
良い案がありましたら是非是非書き込んで下さい。
ちなみに自分では「雪風日和(ゆきかぜびより)」なんてのを考えてます。

25 :凱鬼メイン作者:2006/09/25(月) 23:08:43 ID:42c4MDad0
おぉっ。
コナユキさんのイラスト・・・。

美 し い ・ ・ ・ 。

作中のイメージにあってますねぇ。
実は私もコナユキファンだったりw

26 :名無しより愛をこめて:2006/09/25(月) 23:17:29 ID:6HXpI6Gz0
>>24
これは……やばい、萌え死ぬwwww

「雪風日和」ですかー、綺麗でいい感じだと思いますよー

27 :皇城の守護鬼:2006/09/25(月) 23:51:56 ID:LYy8lfN10


「冗談じゃないっスよ…女の子とも普段あまりしないのに」

 ミーティングルームの更に階下、板張りのトレーニングルームの洗面台でうがいをしな
がら史郎が喚いた。

「嫌味なやつだなぁ。儂は煙草を吸わんから口臭は…まてまて、お前彼女なんかいたっけ?」
「そういう問題じゃないでしょう?!どこの世界にごつい爺さんにディープキスされて平
気な男がいるんスか!それも…あれじゃ強漢っスよ……」

 抗議の叫びもどこ吹く風、シブキは涼しい顔で茶を啜る。丸盆に載せられた宇治茶と朝
飯代わりの山盛りのおにぎりが、シブキの膝先で仄かに湯気を立てていた。薬缶いっぱい
のお茶と共に、熊野路のバイトの娘が運んできたものだ。

「飯食って組み手でもするべぇ」
「あんなことされた後に、食欲湧くわけないじゃないスか」

 言いながらものしのしと歩み寄りシブキの対面に胡坐をかくと、もしゃもしゃと詰め込
み始める。瞬く間に三つの特大おにぎりが、仏頂面の史郎の胃袋に消えていった。

「史郎。十中八、九、試験課題は昨日のショウケラだ。この五年間でショウケラみたいな
非人型の夏のを相手にしたのは数えるほどしかねえ筈だろ。
 さっき何度も映像をチェックしていたな?お前ぇなりの『しみゅれぇーしょん』ってや
つを立ててたわけだろ。どうだ、どう攻める?」
「攻め方はよく判りませんが、護り方なら。死角を無くしながら素早く動き回ります。
 具体的には回転しながら動く、っスかね」


28 :皇城の守護鬼:2006/09/25(月) 23:53:36 ID:LYy8lfN10

 独楽かお前はと苦笑い。

「だがまあ、正解だ。次は?」
「ベストは親方達の戦法だと思いました。でも、一人ではあれは無理ですから、実際は回
避しながら叩けばいいんじゃないかと」
「それでどうする。お前ぇの腕じゃまだ、太鼓無しにじゃ『乾坤一滴』は打てねえだろ?」

 それは、と史郎は言葉に詰まった。だから攻め方は判らないと答えたのに。しかしそう
いうわけにもいかない。卒業課題の予習のようなものだ。無理だ、で済まされるはずが無
い。史郎は両手に握の飯に交互にかぶりつきながらまた、鹿つめらしい顔でうんうん唸り
始める。片手が開くと新しい握り飯を盆から掴み上げ、齧り付く。答えは出ぬまま、ただ
減ってゆくおにぎりの数が時間の経過を示していた。

「あのな…お前、頭の引き出しが人より少なねぇんだから食うか考えるかどっちかにしろ
よ」

 巨大な手で金髪頭を引っぱたき、弟子の両手からお握りの残骸を奪い取取った。呆れと
苦笑い。「黙って見てたら儂の食い扶持がなくなっちまわぁ」とぼやきながら残骸を口に
放り込むと、

「お前ぇさっき自分で答えを言ってたぞ?俺の質問は引っ掛けだ。ほれ、映像を思い出し
てみろ」
「う〜〜……」



29 :皇城の守護鬼:2006/09/25(月) 23:54:23 ID:LYy8lfN10
 さらに三十秒。史郎は童顔をしかめたまま立ち上がるあがると、ふらふらとなにやら奇
妙な動きで踊りを始めた。シブキは弟子の奇行にしばし怪訝な表情で見入っていたがやが
て、それに気づいた。史郎の踊りが徐々に速度を増し、やがて迅雷の速度に達する。

(ほう、なかなか。)

 感嘆の呻き。
 史郎の動きは先ほどの映像の中のシブキのそれに寸分たがわぬ動きであった。先手(さ
きて)の左が目標を捕らえ、間髪をいれず返し手の右がそれを打ち抜く。目標を粉砕した
次の瞬間には先と返しが入れ替わり、絶え間なく。返しが間に合わぬ場合は先手がさらに
先の標的を捉え三手先のフォローを促す。若さのためか経験不足のためか、やや動きは荒
い感はあるが身体の切れは明らかにシブキを上回っていた。驚異的な記憶力と五年間で培っ
た運動能力のなせる業といえようか。
 ──さらに一分。映像の動きをきっちり六セット消化した時点で焦れが頂点に達したの
は、史郎でなくシブキのほうだった。

(前言撤回。頭がついていってねぇ…)

「だから…その先手だ先手!!それの意味はなんだ?」

 弟子の動きがはたと止まり、動きを正確に巻き戻し、問題の場所まで来るとまた静止し、

「あ、念鼓……」
「そうだ。鬼幻術の修行の時教えたろう。鬼力を掌に集中、念の力で太鼓を擬似的に創り
出す。戦闘中に太鼓壊したり、手元からはじかれた場合の代用にするってな。あれの応用
よ」
「それそれ」

 振り向いてにっこり。


30 :皇城の守護鬼:2006/09/25(月) 23:55:48 ID:LYy8lfN10

「『それそれ』じゃねえよ、お前……記憶力がいいんだか悪いんだか。頼むぜ、シロウ?
俺の面目もあるんだからよ」いろいろな意味での面目が。
「とりあえず戦略が立ったところで飯を片付けちまうとしようや。終わったら軽く組み手
な。その後二人で『空撃の行』を十本行っとくか」

 と、太鼓を叩くしぐさをした。
 ウス、と史郎が頷く。
 『空撃の行』とは太鼓の修行の初歩で、素振りで空気の壁を叩き衝撃音を起こす修行を
言う。最終的には衝撃音を衝撃波まで昇華し、遥か遠くにまで飛ばせるようにならねばな
らない。集中力と撥への力の乗せ方を身体に叩き込むためのトレーニングである。太鼓使
いは皆、一番最初にこれをやらされる、基本中の基本の行であった。
 この師弟の場合、これを二十歩の距離をとって向き合って行う。同じ強さの衝撃波をフェ
イントを交えながら力の限り打ち合い、延々と打ち消し続けるのだ。タイミングと力加減、
そして相手のフェイントを見切る洞察力、どれが欠けてもいけない。弱い衝撃波を撃って
しまったあるいは相手の空撃に遅れた方は相手のそれを全身に浴び、吹き飛ばされる。鬼
石を介してではあるが魔化魍を粉砕するような打撃だ。生身で受けたら相応のダメージを
受けることとなる。
 一本を十分間とし、一本終えるごとに一歩ずつ近づいてゆくのである。十本目を数える
ころには、腕を伸ばせば触れるか触れないか、超至近距離で撃ちあうこととなる。
 初歩の修行とはいいつつも凄まじい精神力と集中力、そして持久力を要する。
 史郎が再び腰を下ろし、ごつい湯飲み茶碗を片手におにぎりにかじりつき始めた。

「まだ食うのか?」
「動いたら腹が空きました」
「動いたらって…お前ぇ、たかだか1分かそこらじゃねえか」
「一分でも空いたもんは空いたんです」
「相変わらず、食い物に関しちゃ師匠に対する遠慮をってものを知らねぇヤロウだな」
「腹いっぱい食いたかったら、ジツリキで奪い取れって教えてくれたのは親方ッスよ」
 
 もぐもぐ。
凄まじい奪い合いが始まった──。

31 :皇城の守護鬼:2006/09/25(月) 23:56:34 ID:LYy8lfN10
伍、sideB end


32 :凱鬼メイン作者:2006/09/25(月) 23:58:23 ID:42c4MDad0
劇場版の序章の方、書き上げたんでこれから投下いたします。

33 :God Speed Love.:2006/09/25(月) 23:59:27 ID:42c4MDad0
3年前―――。

鎧を纏った紅き鬼がオロチを鎮めんと、装甲声刃を構えた。
「鬼神覚声! はあぁぁぁ………!!」
「関東の鬼達! 装甲声刃向けて、清めの音を放つんだ!!」
駆け付けた全国各地の鬼が、響鬼に自らの音撃の力を与えていく。
その傍らで太刀を握り締める鬼。その鬼は光り輝いて傍からみれば気づかないが、まさしく関東の鬼。凱鬼だった。
「響鬼さん・・・。今こそあなたから受けた借りを返すとき・・・。」
そう言って凱鬼は太刀を天に突き出した。
「天導音撃・・・!!・・・・光明!! ハアァァ!!」
凱鬼は太刀を振り、一閃。バケガニが真っ二つに裂け、その先に居たノツゴまでも塵へと還っていく。
太刀を振り上げ、太刀の刃が輝きを増した。凱鬼はそのままウブメやイッタンモメンで埋め尽くされた空へ一閃。みるみる内に爆発四散していく。
「せいやぁっ!!」
装甲響鬼が石版へ音撃封 草薙を振り下ろした。
晴れ渡る太陽の光が、凱鬼にも照らされていた。

34 :God Speed Love.:2006/09/26(火) 00:00:36 ID:42c4MDad0
そして時はながれ―――。

一人の鬼が、音撃鼓を貼り付けた。
「音撃打ァ! 天空旋羅の型ァ!!」

ドドン!!
ドドン!!
ドドドン ドドドン ドドドン ドドドン!!
ドドンド ドドドン!! ドドンド ドドドン!!
ドドドン ドドドン ドドドン ドドドン!!
ドドドドドド! ドドドドドド!
ドドンド ドドンド ドドンド ドドドン!!
ドドンド ドドンド ドドンド ドドドン!!
ドン ドン ドン ドン!!
ドン ドン ドン ドン!!
ドンド ドンド ドンド ドンド ドドドン!!
ドンド ドンド ドンド ドンド ドドドン!!

「よぉ・・!!ハァッ!!」

ド ド ン!!

劇場版 凱鬼メインストーリー
  God Speed Love.


35 :凱鬼メイン作者:2006/09/26(火) 00:09:23 ID:EKlC/BXM0
激しく訂正ッ・・・!!

最初の上から6行目。
「関東の鬼」じゃなくて「東北の鬼」ですっ!!
あぁ・・・なんて間違いやってんだ俺・・・orz
斉藤真斗芽さん、まとめサイトに載せるときは訂正の程、宜しくお願い申し上げます・・・。

ちなみに最近思い出したこと。
東映公式より、あきらプロフィール・・・。
猛士の一員で、イブキの弟子として活躍する少女。

“ 既 に 二 年 に わ た り ”イブキと共に行動し・・・。

二・・・二年・・・・。
拙作では・・・明日夢があきらと会うまでのあきらの修行期間は一年にする予定なのになぁ・・・。
ていうかもう、変更無理ポ・・・orz

36 :名無しより愛をこめて:2006/09/26(火) 00:17:06 ID:kZklo77n0
>24
ヤバイ・・・可愛すぎる・・・

『クレインオルフェノク/長田結花』役の、加藤美佳に演じて貰いたいねぇ〜

37 :名無しより愛をこめて:2006/09/26(火) 17:04:00 ID:PL88mc7m0
>>24
イラスト拝見しました。
綺麗だわあ……これでお紅茶アイスとか言っちゃうのか……ああ、「萌え」って言葉は便利だなあ・・・(笑)

サイト名、響鬼のサブタイトルみたいに「動詞の連体形+名詞」の形にしてみるのはどうですか?
でも雪風日和もいい感じだと思います。

38 :名無しより愛をこめて:2006/09/26(火) 23:02:08 ID:DqQ0WXiB0
>>35
凱鬼メインストーリーとテレビ版響鬼とは似てるけどちがうパラレルワールドと考えれば無問題ですよ…きっと

39 :皇城の…:2006/09/27(水) 06:17:52 ID:3a1nDmkm0
凱鬼さま

設定画集、とても楽しみにしております。
自分は画才がないのでこういうものを画ける方が心底羨ましい。
頭の中にいろいろ設定はあるのですが、図面にすることが困難で参っておりますorz
〉21さんの転載情報はとてもうれしかったです。早速購入せねばHJ

中四国支部鬼譚作者さま

遅ればせながらHP拝見いたしました。
TOPのコナユキ嬢いいですね〜〜「萌え」というやつでしょうか。
彼女はこの板のアイドルになりそうですね^^

皆さん筆が早いしうまい。自分なんか思いもよらないアイディアをぶち上げてくるし。
遅筆が災いして使おうと思っていた鬼名が次々と登場、自作の鬼名リストは×だらけという次第です(^_^;)
なんとかせにゃぁ…

今日はちょっとチラシの裏を語らせていただきたいと思います。
御所守:地脈の力を狙って皇居に侵入を謀る魔化魍を殲滅するのが現在の主な仕事。
国の組織では一応宮内庁管轄だが、内閣府にも太いパイプを持っている。
昔は秘密の特務機関的な部分があったが、時代の流れにより多少オープンになってきた。現在、存在自体は猛士の中でも知られているが、実態を把握しているののは幹部連中のみ。
イブキ当たりは宗家の関係で知っている。勢治郎も職務上、大まかな部分は知らされている。
エリアは狭いながらも東北・甲信越地区と並ぶ激戦区として認識されている。吉野で開発される試作武器は大方ここに回されデータをとる。「特区で通用すりゃどこでもいける」というのが理由。
ただし、ほぼ、「試作型」しかまわされないのがネック。データを取って完成品ができるとほかの支部に回される。なので、一部を除いてヒラメキが修理、改造を施して使いまわしている。装備を壊すとヒラメキにめちゃめちゃ嫌味を言われる。
回されてくる試作品は使い勝手や取り回しを考えない攻撃力重視のものが多いので、かなり苦労する。
活動資金は政治家の個人資産から巻き上げているが、決して潤沢とはいえない。
ごくたまに本部からの依頼で、非番の人間が他支部に出向いて若い鬼に音撃のレクチュアを行うこともある。その時は本部から特別手当が出る。
御所守データベース(GDB)は本部データベースと連結しているが、内容は別物と考えてよい。各支部からは本部ホストを介してでないと閲覧は不可能。




40 :皇城の…:2006/09/27(水) 07:43:22 ID:3a1nDmkm0
続き
御所守に鬼として所属したものは、機密保持のため例外無く、戸籍上では「死亡」として扱われる。なので現行法では絶対に裁けない。
(その分生活には結構な制限がある。たとえば転居の自由は認められていない、など)逆に言うと殺しても罪にはならない…殺せれば、だが。
白木の戸籍は架空の戸籍で本部が管理している。本部はこのあたりを御所守との交渉材料に使っている。服部・ヒラメキの戸籍は系図のみが存在。
ガサラキはテンキ・シュキと同じく呪術使いで、御所守創設からのメンバーだった。空襲で左足を根元から吹き飛ばされたためリタイア。
後は本部に出向して御所守のために便宜を図っている。鬼名は「餓沙羅鬼」。凍気属性の弦使いだった。変身は一応今もできる。
人材不足を解消するため、他の支部の有能な鬼を御所守に引き抜こうと頑張っているが、強固な反対にあっている…当たりまえだが。
関東では響鬼にも目をつけていたが勢地郎に一蹴された。
御所守は全員、サバキ・ソウキのようにすべての音撃を使いこなす。そうでなければ生き残れないから。

実は知人に「おまえんとこのご当地SSを書け」といわれ、その時すでに裁鬼職人さんをはじめとする関東ご当地のSS展開が始まっていたため、やむなくでっち上げた設定です。
できる限り本編に抵触しないような設定を組んで生きたいと考えていますので、よき知恵がございましたら、皆様ぜひぜひお貸しくださいませ。

41 :高鬼SS作者:2006/09/28(木) 02:42:07 ID:uAlzETO30
これより一本投下させていただきます。
今まで名前だけは何度か出てきたニシキ。彼がいよいよ登場します。
劇場版同様、元グレチキの人のイメージでやるという手もあったのですが、
あえて別の人物(放送終了した某オールナイトニッポンのパーソナリティ)をイメージして書いてみました。
ちなみに一緒に出てくるサポーターも、そのラジオで常にゲラゲラ笑っていた構成作家をイメージしています。
また好き勝手やっていますが、どうぞお付き合い下さい。それではどうぞ。

42 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:44:32 ID:uAlzETO30
1975年、睦月。
正月三日は慌ただしく過ぎ、コウキ達も再び戦いの日常に身を投じていた。
この時の話題の種は、やはり秋田からやって来たばかりのアカツキについてであった。東北支部一の問題児が出向してきたという事で、関西支部では不安がる者が多く現れた。
そんな周りの反応も何処吹く風と言わんばかりに、アカツキはシフトに組み込まれるや否や好き勝手にやり始めたようだ。
さて、当のアカツキを連れ帰った二人は、いつもの様に研究室で次の出撃について打ち合わせをしていた。
「テッソですか?」
「そう。ニシキくんの報告を聞いた限りじゃ、テッソの可能性が高いの。場所も伝承地と程近いし」
テッソ。漢字で表記すると鉄鼠。文字通り鉄の様に固い体を持つ魔化魍である。
嘗て、比叡山延暦寺に怨みを抱いて死んだ頼豪という高僧がこのテッソと化して比叡山を襲撃したという伝承が残っている。
勿論、頼豪の死とテッソの出現に因果関係は無く、偶然が重なっただけだろうというのが猛士の見解である。
「また珍しいのが湧きましたね。あれは確か太鼓の鬼が担当する筈では……」
「うん。最初は別の魔化魍だと思われていたからニシキくんが向かったんだけど、いざ蓋を開けてみたらテッソだったというわけ」
だから太鼓の鬼を誰か援護に寄越してくれって彼のサポーターから連絡があったの、とあかねが告げた。
「分かりました。行ってきます」
そう言って立ち上がるコウキに、あかねがニシキ達との合流地点を伝える。
こうしてコウキはニシキの救援に向かったのであった。

43 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:45:13 ID:uAlzETO30
指定された地点に着いたコウキは、腕時計を覗いて時間を確認すると、近くの自動販売機で温かい珈琲を買って飲み始めた。
寒風が吹く中、外で待つのは辛い。もし少しでも集合時間に遅れたら尻を叩いてやろう、そうコウキが思った時、一台のバイクが爆音を上げながらやって来た。
バイクを停めると、ヘルメットを脱ぎながら二人の男が降りてきた。ニシキと彼のサポーターの石川だ。
運転していた長身で色黒、短髪の男がコウキに挨拶をしてくる。
「コウキさん、ちぃ〜っス。いやぁ、今日も寒いっスね」
「こら、何だその挨拶は!しっかりしないか!」
一方、後部座席に座っていた小柄で色白、長髪の男もコウキに向かって挨拶をしてきた。
「お久し振りですコウキさん。よろしくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げる男。
「見たまえ。挨拶とはこういう風にするのだ」
そう言うとコウキは最初に挨拶をした男を睨みつけた。
「わ、分かりましたよ。……じゃあ今から俺達のベースに案内します。ちゃんと付いてきて下さいよ。行こうぜ、ニシキくん」
「コウキさん、石川の運転は実に荒っぽいんですよ。正直こいつのバイクに乗るのは本気で嫌なんです。そこの所も後で注意してやってくれませんかね?」
笑いながら小柄な男=ニシキがコウキに告げる。
「な、何て事を!」
慌てて長身の男=石川がニシキの口を塞いだ。
関西支部の中でも特に賑やかで知られるこの二人に案内されて、コウキは現場へと向かっていった。

滋賀県北部の山林。ここにテッソが出たという。最初に遭遇した際、童子と姫も取り逃がしてしまったとニシキが告げた。
「テッソはお任せします。だけど童子と姫は俺にやらせて下さい」
取り逃がした事が余程悔しかったらしい。真剣な面持ちでそう告げるニシキ。
と、戻ってきた式神の確認を行っていた石川が報告にやって来た。
「当たりが出たぞ!あいつらこの先に居やがる!」
どうやら余程近くに潜んでいたらしい。興奮しながら石川が告げる。
「では行きましょう」
コウキ、ニシキ、石川の三人はテッソが潜む場所へと向かって行った。

44 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:46:40 ID:uAlzETO30
山中という事もあってか、辺りには沢山の雪が積もっている。雪に足を取られながらも三人はひたすらに道無き道を進んでいった。
と、突然背後の雪の中からテッソの童子と姫が飛び出してきた。どうやらわざわざ待ち伏せしていたらしい。
石川を突き飛ばして童子の攻撃から庇うニシキ。コウキは襲い掛かってくる姫を蹴り飛ばした。
「痛たたた……。おい、押すなら押すって言えよ!」
「阿呆か!そんな暇あるか!それより俺の『剣心』を!」
そう言って石川に背負わせていた自身の音撃弦を渡すように指示するニシキ。
ニシキの名は、戦国時代の文献にも既に名が載っている。それだけ由緒正しい鬼の血統だ。彼等は代々音撃三角「烈節」を使用してきた。
だが、この時代のニシキは「自分の趣味に合わん」と簡単に「烈節」を捨てて音撃弦を選んでしまったのである。そのため「烈節」は今、本部の保管庫で埃を被っているという。
「剣心」を渡されたニシキは童子の攻撃を機敏な動作で避けると、ある程度距離を取って変身鬼弦を弾いた。
その途端彼の周囲を暴風が吹き荒れ、彼の髪を、纏っていたコートやマフラーを派手に翻した。
さらに周囲の雪を巻き上げ、ニシキの全身が白い靄に覆われる。
そしてその中から、威勢の良い掛け声と共に虎に似た姿をした鬼が、西鬼がその姿を現した。

45 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:47:33 ID:uAlzETO30
「コウキさん、下がって!はあああああ……」
そう言うや否や腰を落とし気合いを込める西鬼。
「でやあああ!」
雄叫びと共に突き出した右掌から物凄い勢いで衝撃波が放たれた。鬼法術・高気圧だ。
高気圧に巻きこまれ、コウキと戦っていた姫が上空高く打ち上げられる。
そして落下してくる姫の真下に「剣心」を掲げて待ち受ける西鬼。姫の体はいとも簡単にその刃に貫かれ、爆散した。
童子が怪童子へと姿を変え、西鬼に襲い掛かっていく。「剣心」を雪の上に突き刺し、迎え撃つ西鬼。
(雪の積もった大地では西鬼が得意とするスピード戦法も制限される。どうするかがあいつの腕の見せ所だな)
いつでも変身出来るように準備をしながら、西鬼の戦いを見続けるコウキ。
怪童子の攻撃を巧みに躱していく西鬼。と、雪に足を取られて体勢を崩してしまう。
それでも間一髪怪童子の攻撃を避けると、西鬼は跳躍して樹上へと上がった。
「別に地面だけが戦いの場所じゃないからな!行くぞ、おらぁ!」
鬼爪を出した状態で木から飛び下りると、怪童子に爪で斬撃を加える西鬼。一撃を与えると直ぐに地面を蹴って木の上へ。また飛び下りて攻撃すると再び木の上へ。これを何度も繰り返していった。
西鬼が得意とする一撃離脱の戦法だ。
「貰った!」
全身から血を流し、ふらふらになった怪童子の前に立つと鬼爪を深々と突き刺す西鬼。刹那、怪童子の体は爆発し、塵となって舞い散った。

46 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:55:02 ID:uAlzETO30
「よっしゃ!あとは鼠の親玉だけやな!」
そう叫ぶ西鬼を見てコウキは「あんな食生活でよくこんなパワフルな戦いが出来るものだ」と、ただただ感心するだけだった。
と、突然雪の下から巨大な溝鼠が現れた。テッソだ。童子達同様、雪中に潜んでいたらしい。
飛び出すや否や駆け出し、コウキに体当たりを仕掛けるテッソ。その巨体に撥ねられ、コウキの体が宙を舞う。
「コウキさん!」
空中で音叉を自らの腕に当てて鳴らし高鬼へと変身するも、地面に着地した彼はまともに体当たりを受けた影響で少しふらついていた。
「いかんな……」
音撃棒・劫火を構え追撃に備える高鬼。
「高鬼さん、無事ですか!?」
「骨はやられていないようだが、変身前にまともに喰らったのは不味かったな……」
テッソの姿はもう視界の中には居ない。何処かから隙を窺っているのか……。
「西鬼くん!やってやれよ!」
「言われるまでもないわ!」
そう言うと西鬼は音撃震・戯言(レイヴ)を「剣心」に装着した。
何故わざわざ「戯言」を「レイヴ」と呼ぶのか、以前あかねにそう尋ねられた際、ニシキは「その方がカッコイイから」と答えたとか。
「剣心」を掻き鳴らす西鬼。一通り演奏をすると、今度は静かに耳を澄ましはじめた。
「居た!北東の方角!距離は……三百というところか」
そう言うと単身駆け出していく西鬼。
「どういう事だ?」
「あれ、知りませんでした?西鬼くん、音を鳴らしてその反響の具合で空間を把握する事が出来るんスよ。有効範囲は限られますけどね」
早い話がソナーみたいな事が出来るらしい。それだけ説明すると、石川もさっさと西鬼の後を追って行ってしまった。
高鬼もまた、痛む体を引きずりながら二人の後を追って行った。

47 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:55:51 ID:uAlzETO30
石川、そして高鬼の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
西鬼がテッソに咥えられていたのだ。そのままの状態で高鬼達を睨みつけてくるテッソ。
「西鬼くん何やってんの!」
「黙れ石川!すいません高鬼さん、やられちゃいました」
このままでは西鬼は確実に食われてしまうだろう。だからと言って下手に動くとテッソを刺激する事になる。結局。
「自分で何とかしろ!」
「そんな殺生な!」
テッソの鋭い歯が西鬼の体に少しずつ食い込んでいく。
「痛たたたた!あ〜、こうなったら奥の手を使うか」
そう言うと全身に力を込める西鬼。
「鬼法術・夢幻之風!」
途端に彼の体を中心に風が吹き荒れた。熱い風、凍てつく風、湿った風、黒い風、様々な風が吹きすさび、堪らずテッソは西鬼を放してしまう。
「ふぅ、助かった。でもこれ、結構体力を使うんだよな……」
「そんな便利な技があるなら最初から使え!」
そう言いながら「劫火」を手にテッソの背に飛び乗ると、高鬼は音撃鼓・紅蓮を貼り付けた。
「行くぞ!音撃打・炎舞灰塵!」
打ち鳴らされる清めの音。悲鳴を上げ、暴れまわるテッソ。テッソのぶつかった木々が次々とへし折られていく。
「くそっ!こうも動かれては……」
必死でテッソの背中にしがみつく高鬼。
と、目の前に西鬼が立ちはだかった。
「動きを止めます!一旦そいつから離れて!」
言われるままに高鬼がテッソの背から離れると同時に、西鬼が再び高気圧を放った。
先程のものが打ち上げる風なら、今度のものは押し付ける風。風圧で地面に押し付けられてテッソの動きが止まる。
「よし!こ……」
「好機到来っスよ、高鬼さん!」
石川に自分の台詞を取られ、少し調子を狂わせながらも再びテッソに取り付くべく高く跳び上がる高鬼。
「音撃打・刹那破砕!」
急降下してきた高鬼の一撃が、テッソの背中に貼られたままの「紅蓮」の中心に叩き込まれた。
爆発。
舞い散る枯葉と雪煙の中、「劫火」を構えた高鬼のシルエットが浮かび上がった。

48 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:56:56 ID:uAlzETO30
テッソを倒し終えた帰り道、コウキは大変な事に気が付いた。バイクの鍵が無いのだ。
(あの時か!)
テッソの体当たりを喰らった時落としたに違いない。だが、今から探しに戻っても見つかるとは限らない。
逡巡するコウキに、ニシキが何事かと尋ねた。事情を知ったニシキは懐から何かの道具を取り出すと……。
「ちょっと待ってて下さい。あ、作業中はこっちを見ちゃ駄目ですよ」
そう言ってコウキのバイクに向かって何かの作業を始めた。
数分後、けたたましいエンジン音が辺りに響いた。
「さ、これで大丈夫ですよ」
「……お前、何をやった?」
明らかに不信感丸出しの目でコウキが尋ねる。
「ニシキくんは鍵開けの名人なんスよ。昔はこれでよくバイクを盗……」
「馬鹿!黙れ!」
慌てて石川の口を塞ぐニシキ。どうやらさっきの道具は所謂ピッキングツールだったらしい。
怒りに震えながらコウキが告げる。
「そんな物を常に携帯しているという事は、まさか……」
「いや、その……ほら、初代ニシキは大泥棒だったらしいじゃないですか。だから……」
「言い訳にならん!」
激昂したコウキが「劫火」を手に詰め寄ってくる。
「石川っ!てめえ後でぶっ殺すからな!」
「お前は無駄口を叩くな!私がお前の尻を叩くんだ!」
次の瞬間、ニシキの絶叫が滋賀の山々に木霊した。

49 :仮面ライダー高鬼「虎を噛む旧鼠」:2006/09/28(木) 02:58:23 ID:uAlzETO30
話はこれだけでは終わらない。数日後、コウキは関西支部を訪れていた。
関西支部の表の顔である旅館の前では、近所の子ども達に囲まれて一緒に遊んでいるニシキの姿があった。
子どもに好かれる性質らしく、よく一緒に外で遊んだり漫画やテレビの話で盛り上がっている姿を見掛ける事がある。
と、一台のバイクがやって来た。乗っているのは石川だ。だがそのバイクは……。
「おい、それはアカツキの……」
原型を留めないくらい改造が施された、真っ赤な車体のバイク。間違い無い。アカツキと一緒に秋田からやって来た彼の愛車、「陸震」だ。
「ああ、これっスか?一度乗ってみたかったんでニシキくんに交渉してもらったんスよ。俺が頼んでも貸してくれそうにないんで」
誰が頼んだところであのアカツキが他人に愛車を貸すとは思えない。となると……。
「ニシキ。アカツキのバイクについて聞きたいのだが……」
「あ〜、その件に関してはですね……」
ニシキの目が泳いでいる。確定だ。
「君達。悪いがこれからこのお兄ちゃんと少し話をしなければならない。今日のところは帰ってもらえないかな?」
子ども達を体良く追い払うと、コウキはニシキの傍に近付いていった。勿論手には「劫火」が握られている。
ニシキの悲鳴は、旅館の従業員が全員外に飛び出してくる程大きなものだったという。 了

50 :読者:2006/09/28(木) 13:53:51 ID:LRb/8tX7O
うひゃひゃw
珍走団キャラとは楽しいです!
ぜひ石川サポーターには専用機を
吉野に支給していただきたい。
ハンドルを絞り状態にすると
フロントカウルとバックレストが持ち上がるとか
排気音で人工音激奏出来るとか!

51 :中四国支部鬼譚作者:2006/09/29(金) 19:31:26 ID:nCL/ym2R0

あれから、TOP絵のコナユキさん以外にもイラストを頂いたので載せてます。
十七代目蒼鬼こと双柳寺創花ちゃん http://www.geocities.jp/hibikigaiden/souki と、
四代目幸鬼こと小池耕介さん http://www.geocities.jp/hibikigaiden/kouki です。
小説のほうはまだ進んでいなくてすみません。

サイト名の案、続々募集中です。

>>37
>響鬼のサブタイトルみたいに「動詞の連体形+名詞」の形にしてみるのは
それも面白いかもしれませんね。
他の小説も載せるとしても、やはり基本は響鬼サイトですからね。

52 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/01(日) 22:51:38 ID:M3G44eK20
短編を一本書いてみましたので投下します。
物語の流れとはまったく関係のない話です。


短編「振り返るとき」

     *     *     *

「ねえ聞いて聞いて! こずえ先輩がいらっしゃるんだって!」
「木庭(こば)先輩が?」
「練習を見にきてくださるってー」
 クラリネット・パートの女子たちが上機嫌でまくし立てる。まるで何かの天変地異かと言わんばかりに。
 だが、先輩がいらっしゃるとあっては、僕の心も躍らずにはいられなかった。
 こずえ先輩……木庭先輩が卒業していかれて半年以上が経つ。
 一年生の時分だった僕たちを、クラリネット・パートただ一人の先輩として導いて下さった木庭先輩。
 僕が生きてきた十七年の人生で最も尊敬し、密かに師と仰いだ木庭先輩。
 その先輩と久々に会える……!
「いつ? いついらっしゃるの」
「今度の日曜日よ。それで、せっかくだから先輩に何か聴いてもらおうよ」
「いいね、それなら全力で練習しないと」
 僕たちは楽譜のファイルをめくり、あれがいい、これがいいと盛り上がった。

     *     *     *

53 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/01(日) 22:52:15 ID:M3G44eK20
 乗り慣れたハイヤーの座席で俺は目を覚ます。
「……」
「社長、お目覚めですか」
 俺の隣で秘書が言う。
 仕事の疲れからか、ふと眠ってしまっていたらしい。
「……夢を見ていた」
「夢、ですか」
「懐かしい夢だった」
 そう、あれは高2の秋だったか……。
 俺たちの吹奏楽部は小さな部だった。
 一つ上の学年にはクラリネットがおらず、二つ上の木庭先輩が卒業していかれた後、それまで一年坊主だった俺たちは主力として活躍することを強いられた。
「高坊の頃の夢だ。あの頃は毎日が必死だった」
 二年生になって、女子二人と俺、先輩も後輩もいないたった三人のクラリネット・パート。
「だが……」
 俺たちは必死に研鑽を重ねた。木庭先輩の教えてくれた様々なことをしっかり胸に抱いて。
「……輝いていた。素晴らしい日々だった」
 木庭先輩は卒業されてからも何度か部に顔を出してくれた。定演や文化祭を聴きにきては、俺たちを元気づけてくれた。
「……」
 東大に進学し、在学中にIT企業を立ち上げた俺は、時代の波に乗って一躍大企業の若社長となった。
「七年か……」
「は?」
 七年前。俺たちの卒業式の日を最後に、木庭先輩とも、同級生の仲間たちとも会っていない。
 苦楽をともにした仲間たちの顔も、声も、あれほど指に染み付いたはずのクラリネットのキイの感触も、今ではぼんやりとしたイメージでしか思い出せない。
 それほどまでに俺は遠くに来てしまったのか。

54 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/01(日) 22:53:49 ID:M3G44eK20
「社長、到着しました」
「ああ……」
 運転手が扉を開け、俺は車から降りる。
 風が冷たかった。その風の中にちらちらと雪が舞っている。
「……先輩……」
 東京の薄汚れた空を見上げ、俺が呟いたその声は、肩にかかる粉雪のように空に溶けて消えた。

(完)


……ということで、自分でも何が書きたかったのかイマイチよくわからない話でした。

55 :名無しより愛をこめて:2006/10/02(月) 00:25:12 ID:58Jp2whz0
弾鬼さんSSマダー?
いや、ご自分のペースでお書きになってください。楽しみにシテイマス。
鋭鬼さんSSも続きが気になりマス。
とか思いながら、自分でもSSを書いてみました。
おそらく今までになく地味な、鬼以外の猛士をメインにしたSSです。


56 :見習いメインストーリー:2006/10/02(月) 00:26:43 ID:58Jp2whz0
一之巻「見習う少年」

「発表します」
 満面の笑顔で、白衣姿の滝澤みどりは言った。
「適性試験の結果、純友くんは『銀』、大洋くんは『飛車』の候補と出ました」
 猫背気味で、どこもかしこも細い純友(すみとも)と、細く背が高いが引き締まっている大洋
(たいよう)。二人の少年が、学校の理科準備室のような一室の真ん中にぽつんと置かれた机に
ついていた。そこは、柴又の和菓子屋の地下にある秘密の部屋だった。
「君たち二人は、鬼と魔化魍のことを知って、すべてを忘れて普通に暮らすか、
すべてを知って人助けの道を生きるか、で──すべてを知るほうを選んだんだよね」

 高校の「体験学習」と称した高尾山登山で魔化魍に遭遇した時、同級生を庇って逃げ遅れた
純友と、同級生を押しのけたが逃げ切れなかった大洋の二人だけが、魔化魍を倒す「鬼」の
姿を見た。すべてが済んで、病院のベッドの上で二つの道の選択を問われた時、大洋がまず先に
人助けの道を選んだ。それに対抗して純友も人助けの道を──「猛士」として生きる道を選んだ。
 真っ先に逃げ出したような奴が、なぜ人助けの道を選んだのか、純友には理解できなかった。

「きみたちはまだ学生だから、学業を優先してほしいの。今日から毎週日曜ここに研修に
来てもらって、『猛士』のこととか、『鬼』のこととかを勉強していった後、正式に猛士の
一員として活動してもらうから。今の二人はとりあえず『見習いさん』ね」


57 :見習いメインストーリー:2006/10/02(月) 00:27:32 ID:58Jp2whz0
 猛士の各役職についての講義の後、横柄に足を大きく開いて座っていた大洋が言った。
「おれ『飛車』より『角』やりたいんスけど」
 不遜な態度にも笑顔をたやさず、みどりはそれに返した。
「『角』は特殊だから、現場研修とか大変だよ。他の役職と違って研修が日曜以外になることも
多いから、学校も休みがちになっちゃうと思うし」
 内心、純友も「角」をやってみたいと──二人を救ったあの「鬼」のようになりたいと思っていた。

「じゃ、今日はこの後、実技研修やっておしまいね」
 みどりが出してくれた茶菓子をつまみながらの休憩を終えた後、純友たちは、元いた部屋と
ひと続きになっている、一段床の高い部屋につれていかれた。
 そこは、壁一面にCD大の銀の円盤や、二人を救った鬼が手にしていた太鼓の撥を展示した
一室だった。
 みどりはガラスケースの上にあった鬼面つきの音叉を手にして、その先端で壁面に掛かる円盤
を三つ、次々と叩いていった。銀色の円盤が赤と青と緑に色づき、それぞれ鳥や狼、猿を模した
姿に変形して動き出した。
「これが、鬼さんのお供のディスクアニマル。魔化魍を探すのに使ったりするものなの。
──二人もやってみて」
 みどりから、机上に並んだ音叉の中から二つを手渡されると、純友と大洋はそれぞれ壁の
ディスクを叩いた。


58 :見習いメインストーリー:2006/10/02(月) 00:28:08 ID:58Jp2whz0
 大洋の叩いたディスクは赤い鷹に変形して動き出したが、純友にはディスクが起動できず、
それは何度叩いても、別のディスクに対してやってみても同じだった。
「あれ、なんで?」
 人助けの資格など無い大洋にできて、なぜ自分にはできないのか──悔しくて涙目に
なりながら純友は言った。
「なんとなくわかると思うけど、鬼になる人ってみんな身体能力が高いのね。
大洋くん体育会系みたいだし、体を動かすの得意なんじゃないかな。
そういう、鬼に近い人ほどディスクアニマルが起動しやすい傾向にあるの」
 学校での大洋は、部活動こそやってはいないが、スポーツ万能と言っていいことは
体育の授業の様子からわかる。それに引き換え純友は、将棋部で運動は苦手だった。
 大洋はみどりの言葉を聞いて言った。
「ってことは、アンタも『鬼』?」
 みどりはくすくすと笑いながら言った。
「わたしは『銀』なんだけど、まあそれなりに鍛えてますから。
自分が開発したディスクアニマルのテストとかするのに必要でしょ?」
「おい、オメー適正『銀』って何かの間違いじゃねーか?」
 大洋にそう言われても、純友は何も言い返せなかった。


59 :見習いメインストーリー:2006/10/02(月) 00:28:46 ID:58Jp2whz0
 大洋が帰った後、純友は居残ってディスクを片っ端から音叉で叩き続けていた。
「うわぁぁん、一つも反応しないよぉぉ……!」
 またしても涙目になりながら、純友は次々と音叉でディスクに触れていったが、
勢い余って音叉でガラスケースを割って、とうとう泣いてしまった。
「うえぇぇん、ごめんなさい。弁償しますうぅぅ」
 涙声で言う純友に、みどりは優しく言った。
「あ〜、泣かないで純友くん。大丈夫だから」
 みどりに手伝ってもらい、泣きながら後片付けをしつつ、純友は言った。
「なんであいつにできて、ぼくにできないんだ。ぼくのほうが、あいつなんかより
ずっと人助けに向いてるのに」
 大洋は、魔化魍に襲われた時に同級生を突き飛ばして逃げた。
 純友は、魔化魍から同級生を庇って逃げ遅れて怪我をした。
「鍛えてない人でも、ディスクアニマルを起動する方法はあるから、ね。元気出して」
 元々涙腺がゆるいのか、純友は優しい言葉を聞いて更に涙が出た。
「壊れたケースは、『猛士』の経費で直すから。心配しないで」
 再び机についた純友の前に、一枚の紙を差し出してみどりは言った。
「これ書けば経費が降りるから」
 純友が手に取った紙には「始末書」と印刷されていた。
「研修初日なのに……うわあぁぁぁん」
 純友は泣きながら人生初の始末書を書いた。

一之巻「見習う少年」了


60 :名無しより愛をこめて:2006/10/02(月) 07:54:26 ID:tiOAEXa9O
>>52-54
せ、切ない……。
社長さんが再びクラリネットを手にする日は来るのでしょうか……?
響鬼と全然関係ない短編だと思って読んでいたら、最後の一文でやっと気付いたんですが
木庭先輩=コナユキさんなんですね。
鬼の話だけでなく、こういう話も書けてしまう中四国支部さんは凄いと思います。

>>56-59
これは続きが気になる!
いつの日か、二人の少年には友情で結ばれた親友同士になって、
猛士の一員として立派に活躍してほしいですね。


61 :凱鬼メイン作者:2006/10/02(月) 17:54:29 ID:gkQMlebU0
一之巻設定画集UPしました。
http://www.geocities.jp/maskedrider_syosetu/index.html

まとめサイト様、リンクありがとうございます。

62 :弾鬼SSの筆者:2006/10/03(火) 00:23:27 ID:qFKl6d4G0
>>見習いメインストーリー様
ああああああスミマセン!休みの日にクロックアップして書こうとしてるんですが、
上司がハイパークロックアップで時間を巻き戻して、休み自体を無かった事にしやがるので休みが無い状態なんです〜〜
それでも一日に10行ずつでも書いてはいますので、今しばらくお待ちください!どうかひとつ・・どうかm(__)m

そして、猛士の一員の観点からのSS大変面白いです!
続きが気になります〜!
そして始末書・・妙にリアルですねぇw

63 :名無しより愛をこめて:2006/10/03(火) 22:08:44 ID:bsH9GzDY0
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      ',:::l lノー- .._       ,. ‐''"    .l      /l
       ';:l ',   `丶     '´      l    / l

64 :凱鬼メイン作者:2006/10/03(火) 22:09:07 ID:+XJxxcX40
「God Speed Love.」は区切りごとに投下していきますね。

65 :God Speed Love.:2006/10/03(火) 22:10:40 ID:+XJxxcX40
桜の蕾が尖る初春。
カガヤキは魔化魍を清め、ベースに戻った。
テントの中で変身を完全に解き、猛士のロゴが入った白いTシャツとGパンを着た。
唯一つぅ〜 願いがぁ〜 叶うのならぁ♪
携帯電話が着信をしらせた。カガヤキが設定している着うたは、平原綾香がかつて歌ったあるゲームの主題歌、「Reset」である。
一年前、あきらと再会したときに薦められた曲で、和の調べがどことなくカガヤキも気に入って、以来ずっと着信音はこれである。
というよりも、この曲しか携帯に入れていないのだが。
「おっ。兄貴じゃん。」
ディスプレイに表示された文字をみて、カガヤキは電話に出た。
「もしも〜し。」
「カガヤキ・・・今、空いてるか?」
「丁度、いま終わったとこ。」
「そうか。それじゃあ至急、霊山まで来てくれないか。」
「なんだよ、急に?」
「・・・・“奴ら”かもしれない。」
カガヤキは急いでアカツキの遺していった大型バイク、“天駆”を駆った。

66 :God Speed Love.:2006/10/03(火) 22:11:41 ID:+XJxxcX40
「兄貴、どういうことだよ。」
カガヤキが向かった先にはカチドキ、サラキ、吉村美夏の面々が既に到着していた。
「実はな・・・。サラキがここの天狗に襲われたんだよ。」
「天狗に・・・!?」
カガヤキが驚くのも無理はない。
霊山、恐山などの霊峰と呼ばれる山に住む天狗は、大抵が温厚な性格で、身を守る以外で争うことはありえない。
となれば、サラキが天狗を誤って攻撃してしまったかと思われるが、彼女も東北の天狗に関しては当たり前のように熟知している。
さらに言うとサラキが今回、霊山まで出向いたのはオオクビが地元の歩に目撃されたからであって、天狗の前では鬼にさえなっていなかった。
「つまり、天狗はサラキさんが鬼だと知っているわけでも無かった・・・。」
「そういうことになるわね。・・・このままじゃ、一般人にも被害がでるかも知れないわ。」
「どちらにしろ、奴らに染められたのかも知れない。その辺の調査もしておこう。」
一同は霊山へ登っていった。

67 :God Speed Love.:2006/10/03(火) 22:13:55 ID:+XJxxcX40
霊山とはこうも深い山なのかとカガヤキは思った。
カガヤキだけではない。サラキとカチドキも不審に思っていた。
昼時にしては霧が濃いのである。
「カチドキさん・・・。ここは一体・・・。」
カチドキのサポーターを勤める美夏が問いかけた。だがカチドキはそれを無視して通る。
それを見かねた様子でサラキが口を開いた。
「美夏ちゃん・・・。霊山は初めてかしら。」
「ええ・・・。東京出なもので。」
「そう・・・。ここはね、この時間帯だとこれほど霧はでないのよ。」
「・・・?」
「もう・・・彼らの術中に、はまっているの。」
そのとき・・・一斉に霧が晴れた。
カガヤキが兄を一瞥すると、眉間に皺が寄っていた。
それもその筈である。目の前には林の中に大層な日本家屋が建てられている。
その家の玄関の戸が不意に開いた。
中からは6〜7歳くらいの和服を着た女の子が出てきて、こちらを見ると、すべるように滑らかな動きで歩み寄ってきた。
「お待ちしておりました。 鬼の方ですよね。」
カチドキたちは一瞬、耳を疑った。何の前置きもなしに放たれた言葉は、その子がただの子供でないということを、ありありと分からせていた。

68 :God Speed Love.:2006/10/03(火) 22:15:43 ID:+XJxxcX40
「こちらにどうぞ。お上がりください。 長が首を長くして待っておられます。」
カチドキ達は不審に思ったが、女の子に敵意が全くないことを確かめると家の中に招かれていった。
家の中はとても綺麗で、床や障子には一つも埃がついていなかった。
どことなく吉野総本山の雰囲気と似ているな、とカガヤキは思った。
そのカガヤキの隣では美夏がしきりに女の子に問答を繰り返していた。
それは次のような具合である。
「なんでこんな所に家を建ててるの?」
「私は存じません。長に直接お聞きください。」
「・・・あなたのお名前はなんていうの?」
「・・・・・サン。」
「そう・・・。年は幾つ?」
「・・・・・・。」
サンの口が凍りついたように途切れ、立ち止まった。
「存じません。 ・・・長にお聞きください。」
彼女はそれだけ言うと、再び廊下を歩き出した。

69 :God Speed Love.:2006/10/03(火) 22:16:54 ID:+XJxxcX40
「こちらになります。」
サンが指した扉は和風建築には珍しいドアのようなもので、ドアノブに値する部分は銀か何かで出来ているようだった。
中に入れと扉の向こうから言われたカチドキは、すこし躊躇いがちに扉を開けた。
部屋からはスギかヒノキか分からないが木のような香りが漂ってくる。
「ようこそ。君たち“2人を”待っていた。」
声の主は畳が敷かれた部屋の奥で座を組んでいるかなり歳を取った老人だった。
「カチドキ君とカガヤキ君か・・・。いい眼をしている。」
老人という風貌の割には若々しい声をしている。彼は座を崩してスゥーっと立った。
「俺たちを・・・?」
「あぁ、そうだ。 ・・・そこの鬼のお嬢さん。すまなかったが、君をテングに襲わせたのは私だ。」
老人は全てを見透かした眼でサラキに一言謝ると、襲わせた理由を説明した。
「どうしても今日の内に2人と話がしたかったのだ。急なことなのでな・・・。」
それだけ言うと、ギンジと名乗った老人はサンに美夏とサラキを返すように命じて扉をピシャリと閉めた。
「俺たちに用というのは・・・。」
「まてまて、その前に自己紹介といこう。私はさっきも言ったとおり、ギンジという老い耄れだ。だが・・・ 猛士とは付き合いが長いのだよ。」
「と・・・言うと?」カチドキは身を乗り出して問いかけた。

「私とサンは魔化魍だ。」

70 :凱鬼メイン作者:2006/10/03(火) 22:18:21 ID:+XJxxcX40
>>63
God Speed Love. を投下してて気づきませんでしたが、
激しくGJ!!です!!

71 :皇城の…:2006/10/03(火) 23:29:21 ID:QovdqqYN0
設定画キター!

こんばんは。SIC裁鬼・弾鬼・鋭鬼セットを買い逃して激しく凹んでおります皇城のの中の人であります。

72 :竜宮:2006/10/04(水) 00:52:27 ID:tIkOYRfD0
 すごい、画まで充実してきましたね。
 SSの充実ぶりもあいかわらず皆様すごいです。
読むスピードが全然追いつきません。
 皇城SS様、ぜひ仮面ライダー鼾もまたお願いします。
 年中行事様のようにはいきませんが、七五三ネタで読みきりSS投下させていただきます。
明日夢十夜とは関係ないです。

73 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 00:57:44 ID:tIkOYRfD0
 関西圏の誰ということもない鬼一家の読みきりSSです。

「鬼休み」

 いつもは厳しい山寺が11月には色とりどりの子供連れで賑わう。肌寒いような風も、眩しい日に照らされ、スーツに身を包んだ親や、着慣れない服に着物の子供らも汗ばむ。七歳、五歳、三歳、数え年や満の年の子供らが紅葉よりも華やかに山を彩る。

74 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 01:06:20 ID:tIkOYRfD0
「ふ〜っ」
 簪で飾り立てられた頭が気持ち悪いのか、母親の腕の中で童女が身をよじる。
「あんた、お参り前に少し境内を散歩させたって」
 すぐにどこかにとんでいきそうな長男を押さえ込んでいた父親が、あう、と苦虫をかみ殺したような笑顔で答える。
父親っ子の三歳は、嬉しそうに抱えられ、「かたぐ〜、かたぐ〜」とはしゃぐ。
「あかんよ。今日は着物やろ。綺麗なべべ(衣装)が無茶苦茶になってしまうがな」
「お前は歩かんでいいから、ええな。ぼくももう歩くの疲れたわ。お父ちゃん、どっかで休もうな」
「何言うとんねん!男の五歳は初めて袴着(はかまぎ)をつける、いわば大人への第一歩やぞ。ちゃんと参ってお祝いせなあかん。いつも登っとる山の方がよっぽど険しいやろうが」



75 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 01:13:00 ID:tIkOYRfD0
「そやけど、足袋に草履って、めっちゃ歩きにくいわ。それに、お父ちゃん。真っ黒のスーツに真っ赤なネクタイなんて、お父ちゃんの顔やとどっかの悪い人みたいで皆こっち見てんで。ぼく恥ずかしいわ」
 確かに母親似の愛くるしい子供たちを連れたやたら体格の良い丸刈りは人目を引いているようだ。おまけに、こないだ童子に付けられた目元の傷を隠すためにサングラスまでかけているのだから人相の悪いことこの上ない。
「黒と赤は父ちゃんの大事な清めの色やぞ」
「鬼の時はかっこいいけど、普段は目の毒なだけやで」
 親子漫才で足が止まっている間に、母親が帰ってきた。

76 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 01:20:51 ID:tIkOYRfD0
「ありがと。ちょっとお地蔵さんにおまいりさせてもうてきたから。ほな、一緒に行こうな」
差し出された手を振り払おうとした息子が、母親のどこか淋しげな目の色に、その手をつなぐ。
「今日だけやで。ぼくはもうお母さんと手をつなぐ年やないからな」
 照れくさそうにそっぽを向く、くせ毛の頭を似ていない父親ががしがしと撫でた。
「ええ男やな」
 横を七歳ぐらいの少女が通り過ぎて行く。うれしそうに華やかに着物の裾をひるがえす姿は、魔化魍との戦いの中で失ったものを思い起こさせて胸を痛ませる。

77 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 01:27:19 ID:tIkOYRfD0
「あ〜っ!!」
 息子の叫びになにごとかと見回すと、抱きかかえられておとなしくしていると思った下が、ベッタリとスーツの腕に顔の化粧や口紅をなすりつけている。
「黒いスーツで良かったわねえ」
 夫にみもふたもないフォローの言葉をいれると、娘を抱き取り女同士でさっさと顔を拭き、またかわいらしく紅をひいてゆく。
「着物に化粧がつかんでよかったわ」
「お母さん。ひどいで」
 一張羅の悲劇に顔を歪ませる夫に、淋しさが散り、弾けるような笑い声。

78 :竜宮「鬼休み」:2006/10/04(水) 01:38:14 ID:tIkOYRfD0
「かんにんな。ほな、さっさと千歳飴もうて、お父さんの好きな美味しいものでも食べに行こうか」
「ぼくらのお祝いちゃうんか?」
 ふくれる子供の頬をなでながら、またくすくすと笑い出した。
「あのね、七五三はどういう日にお参りに行くといいか知ってる?」
「なに?」
「鬼宿日(きじゅくにち)がええんよ。鬼が家に居るぐらいやから、一番平和な日なんやて」
「きちゅ〜?」
 うまく言えなくて、それでも母の手から降りると、兄の手を引っ張りながらとことこ歩き出す。
「あめ、もあいにいこ」
「うちはお父ちゃんが居るから、年中平和ってこと?」
「そうそう」
 妹に引っ張られながら皆が歩き出し、高い石段を登りだす。
健やかに、誇らかに。
                         (おわり)


79 :竜宮「鬼休み」訂正:2006/10/04(水) 10:10:50 ID:tIkOYRfD0
 すいません。
74.「〜笑顔で答える。」と「すぐにどこかにとんでいきそうな長男〜」の間が抜けてました。
(挿入)「ほな、ちょっとだけこの子らお願いね。すぐ戻るから」ふわりと笑顔で背を向けた。

75.真っ黒のスーツに真っ赤なネクタイなんて→(訂正)真っ黒なスーツに真っ赤なシャツなんて

の2箇所です。ごめんなさい。

80 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/04(水) 19:28:22 ID:hw8kYWK60
>>63
あ、コナユキさんだw

作者が言うのもアレですが人気あるんですねえ彼女……。
これからどんどん活躍させていきますのでお楽しみにw

サイトの名前ですが、このままいくと「雪風日和」で定着してもいいかなという感じです。
皆さん何かアイデアがありましたらどうぞ。


ところで凱鬼メインさんに提案なのですが、サイト持ちの作者同士で
相互リンクを張りませんか?

81 :凱鬼メイン作者:2006/10/04(水) 20:19:43 ID:KDXRv4R/0
>>中四国支部さま
いいですよ。
後ほど工事しておきます。

82 :名無しより愛をこめて:2006/10/04(水) 21:23:41 ID:PmWCAarZ0
サイト持ちは自分たちのサイトだけで展開して欲しい。
こっちに投下しなくていいんじゃん?

83 :名無しより愛をこめて:2006/10/04(水) 22:35:50 ID:LJnvNtl5O
>>82
無粋なこと言うなよ!

84 :名無しより愛をこめて:2006/10/04(水) 23:16:46 ID:yyF4Hq7e0
その内響鬼の二次が全部ここに来るかもな
それはそれでおもしろいがけどな

85 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/04(水) 23:40:59 ID:hw8kYWK60
>>82
サイト持ちだからといって、このスレに作品を投下するのがおかしいということは無いのではないでしょうか。

拙作の場合は、基本的には自分のサイトで作品を展開してこのスレには更新のお知らせだけを書き込み、
単発的な短編の場合は例外的にこのスレに直接書き込むという方法をとっています。

作品発表の方法は人によりけりで、どのような形であれ皆で楽しめれば良いと思います。

86 :見習いメインストーリー:2006/10/05(木) 01:41:06 ID:XMTDKq1X0
>>サイト持ちの作者さん
多くの人が納得できる理由があれば、>>82さんのご要望をご検討すべきと思います。
(実は、これまでの流れを読んでも、私にはよく理由がわからなかったのですが)

>>82さん
できれば、ご要望の理由をもう少し詳しくお願いします。「サイトを持っている人は、
xxxなので、ご自分のサイトだけで展開してほしい」の、「xxx」の部分をお聞かせください。
何かコメントしようと思ったのですが、理由がわからないものですから、今の所は何とも。

ROMり続けて2、3年経ちますが、まだまだ修行が足りないということでしょうか。
そんな私の人生初の2ch書き込みの内容。「弾鬼さんSSマダー?」


87 :見習いメインストーリー:2006/10/05(木) 01:42:51 ID:XMTDKq1X0
前回は>>56から。

二之巻「落ちる撥」

 何度目かの研修の時、柴又の和菓子屋「たちばな」地下の研修室で、純友と
大洋は、みどりが壁際のロッカーから取り出した、魔化魍の写真ばかりが載った
アルバムを見せてもらった。
「こいつだ、高尾で見たのは」
 紺色の背表紙のその一冊を見始めてからしばらくして、大洋が言った。
 純友もその写真に写る凶悪な顔をした巨大な蟻のような怪物に見覚えがあった。

 象かと思うような大きさの蟻の化け物を見上げながら、純友はその時恐怖に
足がすくんでいた。あまりのことに凍り付いていた同級生に必死で声をかけ、
なんとか逃がしたまでは良かったが、自分はもうその怪物の射程距離内に
入ってしまっていると感じた。
 突然の横殴りの衝撃と、宙を吹き飛ぶ無重力感と、廻る景色と──死に直面した
その時、一角の「鬼」がその場に現れた。黒い体と、無貌に青い隈取りを持つその鬼は、
後に病院で会った時は人の姿をしており、「ダンキ」と呼ばれていた。

「じゃあ今日も実技研修はじめまーす」
 二人を引き連れてみどりは展示室に入っていった。
 その日の二人は、鬼面があしらわれた腕輪、鬼弦を渡された。


88 :見習いメインストーリー:2006/10/05(木) 01:43:42 ID:XMTDKq1X0
「そいや!」
 大洋が腕輪にはめこまれた弦をつま弾くと、ビキィーン……と弦が震え、
蛇型に変形したディスクアニマルが床に着地してくねりだした。
 純友は今日もディスクアニマルを起動することができなかった。
「うわぁぁぁん、今日もやっぱり起動できないよぉぉぉ」
 今回も涙目になる純友に、大洋は容赦なく言う。
「ホントにセンスねえなオマエは」
「頑張って、純友くん」
 みどりはあいかわらず優しく指導してくれるが、何度やっても駄目だった。
「もうおれはディスクアニマルはいいや」
 音叉を置いた大洋は、同じテーブルに載っていた太鼓の撥、音撃棒をつかんだ。
その手ががくりと下に引きつけられる。
「意外と重いのな」
「武器だからね。拳銃だって重いでしょ?」
 普通の人はあまり拳銃など持つ機会はないです、と思いながら純友はみどりに訊いた。
「みどりさんは、『銀』の中でも機器の開発担当なんですよね。前に、ディスクアニマル
のテストをすることがあるって言っていましたけど」
 ここ何週かで純友たちは、猛士の各役職の詳細についての講義をうけていた。
一口に「銀」と言っても、機器の開発担当、医療担当など、専門分野が分かれているという。
「そう。私はふだんここで、武器とか道具とかの設計をやってるの。
実際の製造は吉野の本部でやってるんだけどね」


89 :見習いメインストーリー:2006/10/05(木) 01:44:24 ID:XMTDKq1X0
「ここ、研修室じゃなくて本当は設計室なんですか?」
「うん」
 言われてみれば、部屋の隅にCADらしきものが置いてあるし、壁際の机上に
「パーツ構成」とか「組立て」と書かれた書類が目につく。
「あの太鼓の撥もみどりさんが設計したんですか?」
「そう。いま大洋くんが持ってるやつは、耐久性のない試作品だけどね。
その先についているやつ、鬼石っていうんだけどね、これの精錬の具合を
調整したりとか……持ち手のほうは、本人の好みで、霊木を自分で取ってきて
鬼さんが自分でつくることもあるんだけど。この間も、魔化魍との戦いで
持ち手が折れちゃって、屋久島まで代わりを採りにいった鬼さんがいて──」
「なあ、みどりさん」
 改まった態度の大洋に、みどりは小首を傾げてきいた。
「ん?」
「おれ、やっぱ『飛車』じゃなくて『角』をやってみてえ。ダンキさんみてえな
鬼になりてえ」
 不良で、魔化魍に出会ったら同級生を押しのけてまで逃げようとしていた奴が、
この後に及んで何を言っているんだ、と内心純友は思った。負けるものかと、
自分も音撃棒を手に取った。適度に筋肉のついている大洋でも重いと思った
その武器は、純友の細腕には更に重かった。
「わ」


90 :見習いメインストーリー:2006/10/05(木) 01:45:18 ID:XMTDKq1X0
 とり落とした棒の先が足に刺さり、純友は飛び上がって悲鳴をあげた。
「痛っ!」
 跳ね上がった音撃棒が大洋の脇をかすめて展示室の隅に飛んでいった。
「危ねっ! ナニすんだよこのバカヤロウ」
 痛む足によろめきながら純友は部屋の隅に落ちた音撃棒を取りに行った。
 みどりは、自分も態度を改めて大洋に聞いた。
「鬼になりたい?」
「おう」
 部屋の隅にしゃがみこんで何やらうろたえている純友をよそに、いつになく
真剣な表情で答える大洋を、しばらくみどりは黙って見返していた。
「──『角』としての現場研修をしてもらえるように、ダンキくんに頼んでみるわ。
それで、弟子に取ってもらえることになったら、いずれは『鬼』になることも──」
「うわああん、すみません……!」
 涙声で振り向いた純友が、二つに折れた音撃棒を手にして泣いていた。
「あ〜、大丈夫だから泣かないで、純友くん。試作品だし、古いから脆くなって
たんだよ、きっと」
 席に着いた純友に、みどりが紅茶をもってきてくれた。
 その隣には、始末書とペンが添えられていた。

二之巻「落ちる撥」了


91 :名無しより愛をこめて:2006/10/05(木) 07:55:55 ID:X6i3IrWA0
ここを自分のサイトの宣伝に使ってるからだろ。


92 :名無しより愛をこめて:2006/10/05(木) 08:09:33 ID:ycyAlpNQ0
>>91
順序が逆だよ
あくまでこのスレありき。
ここに投下したSSをサイトにも掲載しているだけ。

93 :82:2006/10/05(木) 10:33:15 ID:W6IQxWJm0
そうですね。サイトを持っているから投下するなというのはおかしいですね。すみませんでした。

94 :凱鬼メイン作者:2006/10/05(木) 17:28:48 ID:kxW98SEP0
まぁ、僕の場合は設定画のほうを載せたかったのが発端で
サイトでっちあげたんですがね・・・。

ちなみに二〜三之巻飛ばして、四之巻設定画更新しました。

http://www.geocities.jp/maskedrider_syosetu/index.html

95 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」 予告:2006/10/05(木) 21:41:37 ID:qxJ/+JrV0
 シブキ・史郎師弟の組み手が取っ組み合いの殴り合いの相をていしてきた頃...

「兄ちゃん、サボりか」
「あ、うん。そう」
「築地の人だかね?」
「んー。場外だけどね。がんセンターの前の店。知ってる?」
「おー、なんかあったな。角っこに」 


『立ち入り禁止だよ』

『ははははははは!』
『あはははははは!』

次回、『皇城の守護鬼』、陸  闇は再び活動を開始する……

96 :皇城の…の中の人:2006/10/05(木) 22:15:42 ID:qxJ/+JrV0
バンザイ

「これ『変身アイマスク・曙』 そしてメザマシラジオ『浅意知(朝一)』」

メザマシラジオに時刻をセット。アイマスクを被るのだ!

「ちゃ〜んちゃ〜ちゃちゃ ちゃらららちゃ〜んちゃちゃちゃ ちゃらららちゃ〜ら〜ら〜ら〜ら〜〜 あ〜た〜らし〜い…♪」
「間に合ってみせるっ」

高速の戦士が名乗りを上げる。
最速の勇士・早起(はやおき)、ここに見参!!
カードが、スタンプが!急ぐ心を狩り立てる!

「遅れるものか!」 

舞え、必殺のダンス。徹夜を吹き飛ばせ!

バンザイ 仮眠ライダー 早起 変身セット

「よい子は早寝早起き。僕と約束だ!」

97 :読者:2006/10/06(金) 08:58:54 ID:JIgIFFmqO
流れの合間にスイマセン!
年中行事さんのファンですが
なにか仲秋の名月に投下は?

98 :読者2:2006/10/06(金) 09:35:39 ID:NX4Uiwpx0
キャラや作品の人気投票とかできないかな?

99 :皇城の…の中の人:2006/10/06(金) 19:02:33 ID:NCZlzDKM0
職人の皆様方、読者の皆様方こんばんは。皇城の…でございます。
本日ライダー関係の玩具を乗っけておられるサイトを回っていましたところ、大変興味深いものを発見いたしましたのでご報告を。

ttp://members.at.infoseek.co.jp/ipohjcf/katakansetu-1.html

こちらのサイトは、玩具の改造をメインとしておられるサイトなのですが、響鬼劇中ではオープニングのみにしか登場しない鬼たちを
完全立体化しておられます。勿論ディティールに関してはサイトオーナー様の解釈によるものですが、それにしても見事な造形!
更に、ななななんと、劇中では後姿、それも下半身しか登場していない「あきら変身態(妙にエロチック)」までも立体化とはもう、GJといいますか神?
今後の作品作りの参考になれば、と思い、ここにご報告させていただきたいと思いました。

100 :名無しより愛をこめて:2006/10/06(金) 20:01:14 ID:kqqgNTt8O
>>98
どの作品もそれぞれの持ち味が光っていて、とても優劣など付けられますまい。
でもキャラクターの人気投票なら面白そうですね。


101 :名無しより愛をこめて:2006/10/06(金) 21:52:07 ID:Pl+Xb4GG0
DA小林に一票

102 :凱鬼メイン作者:2006/10/06(金) 22:34:56 ID:u18cFm190
じゃあ、岩井川ジョニ男に一票。

103 :名無しより愛をこめて:2006/10/06(金) 23:56:14 ID:ilFzYoKL0
それじゃコナユキに一票

104 :DA年中行事:2006/10/07(土) 00:00:59 ID:SFH/JJCa0
えー、オレは『たのもしい幼稚園』で。
・・・・あ、キャラじゃないや。

月は出るのか、と待ってみましたが、雨風強くなるばかり・・・・
皆さんのお住まいの場所では、如何でしょうか。


てなワケで、番外「祈る獣」前編を投下します。なんだかどんどんDAから遠ざかっていってるような気がしますが、
しばらくお付き合い戴ければ、嬉しゅうござンすよ。

105 :番外 「祈る獣」:2006/10/07(土) 00:03:47 ID:SFH/JJCa0

夏が雨雲に追いやられるように慌ただしく去り、長い雨が上がると空は随分高くなっていた。
天上に横たわる大きな魚のような雲の下で、夕焼けよりもまだ赤いタカは、眼下に広がるススキの原を眺めながら飛んでいた。
山の夕暮れは早い。
一面に広がるススキの原からは、狂おしく恋を歌う虫たちの声が高らかに聞こえる。
タカは、機械の耳を澄まし目を凝らし、唯一つの生き物の痕跡を追う。
魔化魍。
地上の人々に災厄を齎し、その命を喰らう生き物。いつ頃から、何の目的で発生したのか、詳しくはわかっていない。
魔化魍がその禍々しい命を芽生えさせ、人々に牙を剥く時、その邪な魔物と闘い、清い音を持って無に帰す、厳しく己を鍛え上げた者たちがいた。
彼等に護られ、命を救われた人々は、魔化魍の天敵たる者の事を、その姿からか闘い振りからか、こう呼んだ。
“鬼”、と――――――――
そして、彼等に従い、彼らの目となり耳となり、時には手足となって共に闘う、肉体を持たぬ獣たちがいた。
音式神。
鬼と契約を交わし、その魂を機械のカラダに込めた獣たち。地を駆け、這い、水に潜り、川底を穿ち、空を飛び、憎い魔化魍を追い詰める。
このタカもまた、使命を持ったオンシキガミであった。
彼女は飛ぶ。温かな羽毛を備えた見事な翼と、獲物を捕らえる鋭い爪を持っていた頃と変わらず、大空を滑空する。
気高い魂は、茜のカラダの中にあって、彼女を一層美しく輝かせていた。


106 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:05:55 ID:SFH/JJCa0

「お前、またご飯を食べないの?」
小さな明かり取りの窓から、いつもの笑顔がこちらを覗きこんでいた。
四方を杉板の壁に囲まれた小屋には、南向きの壁にだけ格子をはめた窓がある。恐らくこの格子は脆い。4〜5回彼女がその強靭な翼で体当たりを食らわせれば、砕けるだろう。
だが、壁はそうはいかない。小さな窓を壊した所で、そこから出られるほど自分の体が小さなもので無い事は、わかっている。彼女は賢かった。
「ちゃんと食べないと、わたしのように病になってしまうよ」
青白い顔、弱々しい声、年の割りに小柄な体。それに何よりも、この匂い。
彼女の野生は、自分に微笑みかけている少女の体から漂ってくる病の匂いを、鋭敏に嗅ぎつけていた。
「それとも、雀の方が良かった?毎日蝗や蟋蟀では、身が持たないの?」
鋭い爪でがっしりと掴んでいる止まり木の下では、数匹の虫が己の運命も知らずのんびりと地面の草を齧っている。
油断無く窓の外の少女を睥睨しながら、小屋の主である女王は、こちらに近付きつつある別の匂いと足音を感じ取っていた。
嫌な匂いだ、と彼女は思った。
人の匂いとも違う、獣の匂いとも違う。得体の知れない匂い。嗅いでいると、自分の胸の奥底が、ざわざわと泡立つような匂い。
「お嬢さま!こちらにいなすったンですか」
自分に向いていた顔が、ぱっと華やぎ、声の方を向く。「まぁ、弦次さん。今お帰りになったの?」
「へい、たった今帰って来たところでさ。ああ、それと、『弦次さん』は無しでございますよ、お嬢さま」
若い男の声が笑う。薄暗い小屋に君臨する女王は、男の何が自分を落ち着かせない気分にさせるのか、首を傾げてその声を聞こうとする。
「それを言うなら、弦次さんだって、わたしの事をお嬢さま、だなんて呼ばないで頂戴。ほんの少し前まで、お槙坊お槙坊、って呼んでいたんですから」
お嬢さま、なんて呼ばれると、くすぐったいわ、と少女も笑い返そうとして、咳き込んだ。
人は気が付かないかもしれないが、小屋の中の彼女には、咽るほど病の匂いが濃く感じられる。
「ああ、ご無理をなすっちゃいけませんや。風が冷とうござんすよ。中へ入りましょう」
弦次、と呼ばれた男もまた、人には嗅ぎ分けられないこの匂いを嗅いでいるのだろうか。女王は、少女の肩を労わりながら母屋に入って行く男の後姿を、ずっと見送った。

107 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:09:50 ID:jndWkdVi0
庭では木犀が密やかに香り、無花果の熟れたのが赤い実を重たげに下がらせているような季節だが、布団の延べられた六畳間では火鉢の中で赤々と炭が熾っていた。
「さぁ、おやすみにならねェと、お身体に障りますよ」
癖の強い髪を髷にまとめるでもなく、伸ばしっ放しのぼさぼさ頭で、埃じみた旅装束のまま、弦次は甲斐甲斐しく少女の肩に薄い綿の入った半纏を着せ掛けた。
「でもね、今日は朝から気分が良かったの。熱も上がらないし・・・・」
「お熱が上がってからじゃ遅うござンしょう。さぁさぁお湯(ぶ)をあがりますか、咳止めのお薬湯になさいますか」
むつきが取れない頃からずっと変わらない弦次の言葉に、お槙は血色の悪い頬をふくらましてみせる。
「ひどいわ、弦次さん。人を子供扱いして。さっきまでお嬢さま、なんて似合わない呼び方をしていたのに」
「お嬢さまはお嬢さまでござンすよ。お嬢さまのお父上は、お上から大事な御鷹様をお預かりする、お役人様じゃごわせんか。わっちみてえなのは本来、口も利いちゃいけねぇ身でさぁ」
お槙の父親は、将軍家から鷹狩用の鷹を預かり飼育する、鷹匠同心を代々勤めている。御目見以下の三十俵二人扶持、という軽輩ではあるが、士分は士分。侍は、侍である。
だが、弦次は。
と、お槙ははた、と考え込む。この男は、一体何者だろう、と。
侍でない事は、わかっている。農民でもなければ、商人のようにも見えない。髷も結わず、いつもふらりとこの家にやって来て、猫のようにするりと姿を消す。
「そうそう、お嬢さまに、土産を持ってめぇりやした」弦次が柔らかな笑い顔に戻って、合切袋からこまごまとした物を取り出す。
そう、彼は旅から帰って来ると、いつもこうやってお槙の好みそうなものをくれる。それは飴玉だったり、雲母の入った千代紙だったり、色刷りの双六だったりして、お槙を喜ばせる。
彼が何処に、何をしに行ったのか、知るよすがは無い。
「お嬢さまも立派な娘御にならしゃったから、もうおもちゃじゃ叱られちまうと思いましてね」
そう言った弦次の手から、まるで手妻のように珊瑚の色の珠がついた簪が現れて、お槙は目を丸くする。
それと同時に、弦次という男が一体何者なのかなんて事は、ひどく些細に思えてしまう。これも手妻のようであった。

108 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:15:33 ID:jndWkdVi0
間近に迫った将軍家御鷹狩の準備で、早朝から出歩いていた立山庄助は、紙のように疲弊して雑司が谷の小さな我が家に帰宅した。
玄関先で帰宅を告げたところで、出迎えてくれるはずの妻は十三年前に亡くなり、娘は病がちで臥せっている事の方が多い。住み込みの家僕など、養う余裕は元から無い。
帰宅してまず、娘の無事を確かめに来る習慣のある庄助は、朝よりも多少顔色の良くなった娘が、布団の上に座って、小さな珠飾りのついた簪を手にしているのを見る。
その時にはもう、弦次の姿は庭の土の上に降りていた。小屋の中で、鷹が鋭い声を上げる。
「旦那のお留守中に、御免を蒙りました」
「なに、構うな。今日は飯炊きの婆も来ぬ」
遠慮はいらないから、上がって晩飯でも食っていけ、その方が娘も喜ぶ、という意味も含ませて庄助はまだ頭も上げぬ弦次に声をかける。
「お父っさま、見て!弦次さんからいただいたの」
いつもの熱に潤んだ瞳とは別の輝きを見せる槙の笑顔に、庄助も思わず頬が緩む。妻の命と引き換えに月満たずこの世に生れ落ちた宝は、あまりに脆かった。
十歳まで生きられるかどうか、と医師に告げられてから毎日、父娘は薄い氷を踏むように日々を送ってきた。寒くなれば咳き込み、暑くなれば憔悴していく虚弱な娘。
御鷹匠同心という役目は、他の八丁堀同心などと比べて、収入自体は多い。三十俵二人扶持、という扶持高こそ同じだが、その他に支給される手当ての額が違う。
それに、役目柄「御鷹様の御ン為じゃ」と葵の御紋越しに睨みと凄味を利かせれば、狩場周辺の宿場や村々から袖の下をも搾り取れる。
だが、立山家は代々そういった卑怯な真似を潔しとしない、清廉な家風があった。故に朋輩や、鷹匠たちからは、疎まれると言うより、浮いた存在となった。
そしてそれは、朴訥で無口な庄助の代になり、顕著になる。加えて、娘の槙の病。月々の医者代や薬湯代、自分の留守中に娘を看てくれる者に支払う手間賃などで、収入の大半は消えた。
「いつも済まぬの」
痛む足をそれでもきびきびと動かし、弦次の脇を通ると、庭にしつらえた小屋の様子を見に行く。これも日課であった。
格子越しに庄助と目が合うと、姿形申し分無い雌のオオタカは、挨拶の替わりに大きな翼ではばたき、鋭い爪で格子を蹴った。

109 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:19:07 ID:jndWkdVi0

「ですからね、わっちも言ってやったんでさ。『やい天狗!どんだけ飲んだらそんなに面ァ赤くなるんでィ、三升か、五升か』って。するてぇと野郎『うむ、六升じゃ』・・・」
立山家の夕餉は、久し振りに笑い声に包まれていた。固辞する弦次を半ば強引に膳につかせ、庄助も珍しく酔った。
「弦次さん、本当に天狗さんとお仲間なの?」
笑いすぎて目尻にたまった涙を、細い指の腹で拭いながら、槙が尋ねる。
「ええ、本当でござンすとも。それが証拠に」と、弦次は懐から小さな包みを取り出した。「天狗から薬を貰ってめェりやした」
「まぁ、いつもその苦い薬を下さるのは、天狗さんだったの?なら弦次さん、天狗さんに伝えて。もう少し甘いお薬にして下さい、って」
「我儘を言うでない。良薬は口に苦いものじゃ」
そう娘を窘める庄助の表情は、甘い。やがて娘が、その口が曲がるほど苦い丸薬をようよう飲み下して自室に下がり、座敷とは名ばかりの、殺風景な八畳間には男二人が残った。
「娘の事で、いつも雑作をかける・・・・」口下手な庄助が膳を脇に避け、弦次に手をついた。
「おやめくだせェやし、旦那に手をつかれたら、わっちは居所がありゃぁせん」
弦次が慌てて庄助の手を取ろうとするが、飲み慣れない酒のせいで庄助が前にのめり、思わず二人は顔を見合わせ、笑った。
「お前は変わらぬの」庄助が弦次の顔を見て、つくづくと言う。「子供の頃は随分と大人に見えたものだが、いつの間にか儂はお前の歳を越えたようじゃ」
「それだけ、旦那がご立派ンならしゃったという事でござンしょう」
弦次は、居住まいを正して、静かに微笑んだ。
彼が立山家の人々と最初に関わったのは、将軍が吉宗に替わり、犬公方と呼ばれた五代綱吉が禁じていた鷹狩を、およそ三十年ぶりに再開した年であった。
兄二人の早逝により、紀伊徳川家の藩主となった松平頼方は文武に優れ、特に鷹を用い自らも騎乗する鷹狩を好んだ。
江戸府内に広大な鷹場を設け、国許から優秀な鷹匠を招集し、公儀御鷹狩についての法令を定めると、吉宗は実に精力的に鷹狩を愛好し、奨励もした。
そしてある日、吉宗は鷹狩の最中に恐ろしい化け物と遭遇し、人ならぬものにその身を助けられる事になる。

110 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:21:37 ID:jndWkdVi0
―――――鬼。
彼らは自らをそう名乗った。
吉宗の愛馬を引き裂き、あまつさえ彼の傍に控え、その身を警護していた手練の者たちを軽々と薙ぎ払った化け物を、琵琶のような槍で刺し貫き、轟音と共に『清めた』二つの異形。
『裁鬼と申しまする』
『斬鬼と申しまする』
鬼面のまま、彼らは吉宗の前に跪いた。その顔を余に見せよ、と言う吉宗の言葉に、二人はかぶりを振る。
『我等、卑しき身の上の者ゆえ、人の顔を上様にお見せする事はかないませぬ』
『何卒お赦しを賜りますよう』
ならば命を救ってくれた礼を、どうすれば良い、なんとして報いれば良いのか、と吉宗は尚も二人に問う。
『褒美など無用に存じまする』
『魔化魍から人を護るが、我等の使命なれば』
押し問答が続くうちに、騒動に気付いた同行者たちが、吉宗の身を案じて集まってくる気配がした。
腰を上げ、その場を辞そうとする鬼たちに、施政の頂点たる将軍職についた吉宗は、最後にこう声をかけた。
「ならば、次に会う時は、友として会うてくれるか?堅苦しい挨拶なぞ抜きじゃ。しかと約したぞ!」
武芸者らしく浅黒く日に焼けた顔に、痘痕の残る大柄な青年は、そう言って二人に手を振った。
この瞬間から、大和国吉野に本体を置く『猛士』と、徳川幕府は秘密裏に手を握り合った。
実はその当時、開府して百余年経った江戸には、魔化魍が猛威を揮いつつあったのだ。その強大な力は、現行の鬼の数では御しきれぬものであった。
『猛士』は吉野で開発した、鬼と同等の力を発揮できる鎧を貸し出し、御庭番衆に助力を申し出た。共に、江戸を、そして江戸城におわすお方を護ろう、と。
さて、時の将軍吉宗に拝謁した鬼は、裁鬼と斬鬼であったが、狩場にはもう一人、鬼がいた。
弦鬼。そういう名前の鬼であった。だが、彼は魔化魍の育て親である鎧童子と鎧姫を激戦の末に倒し、自らも手傷を負って昏倒してしまった。
夥しい血を流し倒れ伏す異形のものを助け起こしたのが、立山庄助の祖父、御鷹匠同心立山庄左ェ衛門であった。

111 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:32:51 ID:jndWkdVi0

東の空にまだ夜がうっすらと残っている頃、眠りの浅いオオタカは、近寄る気配に目を醒ました。
あの、弦次と呼ばれた男の気配だ。
「よう、跳ねッ返り。おめぇ、あんまり暴(あたけ)ると、公方様にソッポ向かれちまうぜ」
弦次が低い声でオオタカに諭す。下賤の分際で妾に説教しやるか!と悪態をつくと、弦次が薄暗がりで不敵に笑った。
「俺っちの事はいいわさ。だがの、おめぇのおきゃんで立山様やお嬢さまに迷惑かけやがると、許さねぇからそう思いな」
この、弦次と言う男は、人の身でありながら自分の言葉がわかるのか。オオタカは、月光を集めたような黄色い瞳で、得体の知れない男を見つめる。
弦次は音も立てずに鷹小屋の戸を開けると、鷹の足と止まり木を繋ぐ紐を解き、自分の左手に気位の高い女王を誘う。
幼鳥の頃に巣で捕獲され、ずっと人の手で育てられたのだが、彼女は一時たりとも人間に心を許さなかった。
鷹部屋に他の鷹と入れられるのも嫌い、鷹匠だけでなく仲間を傷つける事も多かった彼女は、祖父譲りの才を持つ庄助に託された。
本来であれば、彼女のように気性が激しすぎて鷹狩に向かない鷹は、然るべく処分されるのだが、その姿形の良さや、生まれ持った狩りへの情熱と闘争心を、只捨てるには惜しかった。
間もなく開催される鷹狩までに彼女を正しく調教できなければ、今度こそ彼女は処分され、庄助は職務怠慢で何らかの咎めを受けるだろう。弦次の言う『迷惑』とは、そういう事である。
――――妾をどうする気じゃ。
そう問い掛けながら、彼女は従順に弦次の左手に移った。「えがけ」と呼ばれる皮製の手袋をつけぬ、弦次の左手に。
小動物を引き裂くほどの力を持つ猛禽の爪を、素手で耐えられる人間など居ようはずも無い。だが、弦次は平気な顔で素手に彼女を止まらせている。
「どうもこうもねェさ。御鷹様を日に当てる、その刻限が来たからそうするんだ。もうちっとしたら、旦那が雀を持って来て下さる。こンだけ人様の世話になってンだ、ちったァ恩に着な」
妾から全てを奪っておいて、何を恩に着ろと言うのだ。そう言いたかった。だが、文句を言う前に彼女の身体に衝撃が走った。
「おう、気ィつけな。この左腕にはな、雷を巻いてあるンだぜ」


112 :番外 「祈る獣」前編:2006/10/07(土) 00:34:56 ID:jndWkdVi0

やがて秋の日は高く昇り、穏やかな小春日和となった。
庄助は、近郷にある御鷹の餌となる小鳥を集める餌差場が荒された、との報せを受け、早くから出かけていた。
オオタカは、時折その大きな翼を広げ、うららかな秋の陽射しを楽しんでいるようだ。
お槙は、その様子を少し離れた縁先に腰掛けて、見つめている。
高い熱も、苦しい咳も、切ないだるさも無い今日は、とても気持ちが良い。それに何より、弦次が傍にいる。
小さい頃に見上げていた弦次は、病床から垣間見える、数少ない外の世界そのものだった。
彼が懐の合切袋から取り出す色鮮やかな玩具で、お槙は自分がどうにか生きている世界が、心弾むものである事を知った。
彼の話す、奇想天外な出来事、少し間が抜けて、それでいて心暖かな人々、旅先で見た美しい景観・・・・それら全てが、熱でうなされる彼女の慰みとなった。
そしてそれは、いつしか彼女の中で形を変える。
子供から少しづつ大人になりつつある今、弦次の存在自体が、彼女の生きる支えになった。
恋と呼ぶにはあまりに幼く、儚い想い。
「ねぇ、弦次さん」肩肌を脱いで薪を割る弦次を、眩しくて見つめられないまま、お槙はオオタカの方を向いたまま独り言のように呟く。
「へい、何でござンすか、お嬢さま」
洗い晒し過ぎて、藍で染めた模様が薄れてしまった手拭いで汗を拭きながら、弦次が近付く。
「もし、わたしの病が良くなって、すっかり丈夫になったら・・・・・・・」
言いながら、お槙は耳朶が熱くなって行くのを感じる。すっかり丈夫になったら、うんと元気になって他の子みたいにお裁縫だってお勝手の事も上手にできるようになったら、その時は・・・・・・
「おや、お嬢さま、顔が赤いや。もしやお熱が」
ふと、お槙は杉の若芽に似た清冽な香りを感じる。目の前に影が落ち、額にふわりと優しい体温が伝わる。弦次の顔が、すぐそこにあった。
「・・・お熱は大丈夫なようで。はぁ驚いた」
もっと驚いたのはお槙の方だった。胸の奥で、どきりどきりと鳴る鼓動。息がかかるほど近くに弦次を感じ、嬉しさの反面、子供扱いされた歯がゆさもある。
すっかり丈夫になったら―――――。それは今夜のお月様にお願いしよう。お槙は小さな胸に、そっと自分の想いをしまい込んだ。

113 :DA年中行事:2006/10/07(土) 00:45:29 ID:jndWkdVi0
・・・・以下、後編に続く。

皇城さん、ちょっぴり設定お借りしました。
読んで下さった方の中で、鷹狩に詳しい方がいらっしゃたら、不勉強な拙著を笑い飛ばして下さい。
それと、一つ補足です。本文中出てくる「紀伊徳川家の藩主となった松平頼方」は、その後の徳川吉宗です。
不勉強な上に、言葉足らずで申し訳ないです。
後編は、また後日・・・・

114 :皇城の…の中の人:2006/10/07(土) 02:35:44 ID:JfQYnxBU0
くぅ〜〜やられた、面白い!!
寝ようと思った矢先。こんなものを鼻先に突きつけられてはスルーするわけにはイキマセン!
内容の濃さ、洗練さを増した文体。しばらくサボっていた自分には痛い一撃です。
負けるものか負けるものか。仮眠ライダーでお茶を濁しておりわけにないかなくなってまいりました。
でも、次回のシリーズは仮免ライダーと決めていたりするあたりがあざとかったり。

弦鬼。拙作にも絡めようと思っていたのですが、回想話にあまり人員を裂きすぎるのも、と思って泣く泣くカットした仁でした。このような形でわが夢をかなえてくださるとは…。
ちなみに、この時代すでに白木は飛沫鬼として江戸市中で奮闘中であります。(当時は魚河岸は日本橋にありましたが。
お庭番でこの頃からあった家柄は日之出家(やつの先祖です)といい、百表七人扶ちを受けています。

それにしてもお槙さんの甘く切ない乙女心行方が気になります。私の心も迷走しますw
近日中に上げねば上げねば!!

115 :97読者:2006/10/07(土) 03:42:42 ID:ifCkn5QXO
ヒャッホウ!
本当に投下して下さるとは感激です。

116 :DA年中行事:2006/10/07(土) 19:36:28 ID:WqNqBjiU0
皇城さん、>>115さん、過分なお言葉、ただただ恐縮するばかりです。
遅寝早起き(早い話が睡眠不足)な生活が続く今、ものすごく欲しい「仮眠ライダー 早起 変身セット」。
必殺のダンスを舞うつもりが、起きぬけ関節固まってるもんだから妙なタコ踊りに。うう。

皇城さんからさらに設定をお借りして、後編を書いています。
投下は、えーと、えーと・・・・ち、近いうちに。



117 :名無しより愛をこめて:2006/10/08(日) 02:13:19 ID:565pmfIN0
たいこもつかう しぶきさん
ttp://olap.s54.xrea.com/cgi/pal/imgdir/35.png

というわけで、皇城の守護鬼から飛沫鬼さんを描かせていただきました。
作者の方のイメージも聞かず勝手に捏造してしまったのですがお許しいただければ有難いです。

それにしても、皇城さんの作品もDA年中行事さんの作品も本当に面白い!
今後も楽しみにしております。

118 :皇城の…の中の人:2006/10/08(日) 11:01:40 ID:gW7qUpI70
おはようございます。皇城でございます。

DA年中行事様>>
あなたの作を読んでいてはたと気づく
「自分の話にはロマンスが足りない…」
あああああ、エンターテインメントの基本がなってないじゃないかぁ〜orz
そそうなのですよ。拙作は北方謙三氏や司馬遼太郎大先生の「燃えよ剣」なんかを教科書としているため、剣戟小説のような流れになっておりまして…
まあ、一発ねたとしてでっち上げた話なのでこれもありかな、と思っていたのですが、次第にわいてくるキャラクターたちへの愛着。
親父萌な自分を確認してしまう情けなさorz
設定上現役メンバー(ハバキ・シブキ・ヒラメキ)の中で最年少はヒラメキの36歳というロートル軍団。
響鬼の世界設定上、かなり無理があるのは否めませんが…細かい部分をつめていったらこうなってしまいました。
今後、シロウ・肇を含めまして若返りを図ろうかと画策中でございます。

>117様
おおおおおおおおおお…凄い。ありがとうございます!なんとも力強い飛沫鬼!!大感激です( p_q)。冒頭の「いざ!」という感じですね。
シブキ師弟の外見は弾鬼+斬鬼・轟鬼師弟+垂れ目(笑)+佐々木健介(プロレスラー)と考えていたのですが、イメージにぴたり!
早いところ本編でも変身を果たさないといけません。このイラスト、いただかせていただきますm(__)m

チラ裏を少し
飛沫鬼(シブキ) 本名 志村史郎 師匠 白木重蔵
属性 五行・水 四大・水
武器銘 音撃管:波涛/音撃鳴:呼浪 音撃射・一吹怒濤
      音撃棒:汐波・夕凪/音撃鼓:波面(ナミモ)・渦淵鼓(カエンズヅミ) 音撃打・乱打大瀑布 乾坤一滴の型
      音撃弦:海神(ワダツミ)/音撃震:E茫(ビョウボウ) 音撃斬 燦?水鳴(サンシスイメイ)
      鬼闘術:蜃気朧  変身鬼笛 音沙(オンシャ/シブキ) 音渦(オンカ/シロウ)
※海神は巨大なベース型。イメージ的にはウッドベースで剣戟形態は鉞か斧。横に弾くよりも上からぶっさして弾く事のほうが多いのがネック(笑)
執筆に戻ります〜〜

119 :皇城〜様:2006/10/08(日) 12:11:29 ID:bgI4w1DAO
石川英輔の大江戸シリーズが
参考になるかと思います。
音激は今野敏の超能力セッションとか?(廃刊ですが

120 :斉藤 真斗芽:2006/10/08(日) 14:36:16 ID:QRzPRnML0
ここまで収録しました。

>>79 「鬼休み」訂正について。
竜宮様、すみません。
>>74 の4行目を直したいのであろうことはわかるんですが、どのように直したらいいのか前後関係がわかりません。
お手数ですが、訂正前の文章と、訂正後の文章をコピペしていただけないでしょうか。

この作品、ほんわかしてるけど切ない感じもしました。
この家族の七五三の風景がとても大切なものに思えました。
この歳になってやっと日本の伝統や文化を意識しはじめた所為かなと思います。
自分は「面倒くさい!」とばかりに七五三どころか成人式までブッチしてしまったのを少し後悔しました。


121 :凱鬼メイン作者:2006/10/08(日) 16:36:24 ID:Hp9QXzoH0
>>DA年中行事さま
相変わらず美しい情景を綴りますねぇ。
毎度、実はプロの方なんじゃないかと思って勉強させてもらっています。

それでは劇場版も進行してペースの遅くなった凱鬼本編を投下させていただきます。

122 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:37:06 ID:Hp9QXzoH0
十一之巻「啼りひびく河」

6月上旬。イツキと一真は魔化魍発生の報を聞き、秋田県鬼首峠に出動していた。
このころになると、弦主体の鬼も太鼓を常時装備している。早い年にはもう夏の魔化魍が湧いて出るころだからだ。
イツキと一真はベースを組むと、早速ディスクを機動させた。
「一真・・・。今度からコレを使え。」
すべてのディスクを放ったあと、イツキは一真から変身鬼弦を奪い、変身音叉を渡した。
「イツキさん・・・!?」
「お前もそろそろ鬼に変われるかもしれん。それなりに鍛えてきたんだからな。」
「でも・・・音叉って・・・。」
「お前の兄貴な。昔、鬼弦で鬼になろうとして弾かれたんだよ。でも、音角には身体も馴染んだ。」
鬼弦に弾かれ、音角に馴染まれる・・・それはつまり、体質的に鬼弦の音波が合わない事からなる、いわばアレルギー現象だった。
一真の兄にその現象が起きたというのなら、一真にも充分にあり得るとイツキは踏んだのだ。
「ま・・・とりあえず今日は俺の戦闘サポートだ。」
「あ・・・あの・・・。」
「心配するな・・・。お前の兄貴も言ってたろ。“案ずれば産むも辛し”ってな。万が一の時は俺がなんとかする。」
「はい!」

123 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:37:38 ID:Hp9QXzoH0
クルルルル・・・・。
「鬼か。」
「鬼だな・・・。」
男女はそういうと握っていた茜色のオンシキガミを破壊した。
「・・・・返り討ちにしてくれる。」
「ガタロウか・・・。 いくぞ、一真。」
「はい。」
イツキは鬼弦を弾いた。それに続いて一真も音角を響かせる。
童子たちが変化して走ってきた。
最初にイツキが稲妻を纏って変身を完了し、怪童子を蹴飛ばす。
一真は鬼面が形成されたあと、暗黒の炎と風を纏った。
一真の着ていた服が焼け、上昇気流によって舞い上げられていく。
「何だ・・・あの気は・・・。」
厳鬼はおろか、怪童子と妖姫までも固唾を呑んで動かない。それほど一真の纏った気は邪なものだった。

124 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:38:17 ID:Hp9QXzoH0
「・・・はぁぁぁあああ!!」
刹那。罵声と共に強烈な光が辺りを包んだ。怪童子と妖姫は思わず眼を庇う。
そこに現れたのは金の四本角、真っ白な肉体、薄紅の隈取をもつ鬼 ―― 一真変身体 ―― だ。
「おぉ・・・・!」
「よし、一真、上出来だ。まずはコイツをやってみろ!」
そういうが早いか、厳鬼は一真めがけて怪童子を投げ飛ばした。
それに多少一真は驚いたが、一番驚いているのは怪童子の方である。
一真は飛んでくる敵を右ストレートで力一杯打った。
瞬間、鈴のような音色が跳ね、怪童子は爆発した。
「のこった!」
妖姫がそう叫んで一真に襲い掛かった。口から粘性の液体を吐き出して動きを封じようとしてくる。
一真は身を翻しながらそれを避け、これではキリがないと感じた。
「厳鬼さん!音撃弦を!!」
「ほらよっ。」
一真は厳鬼から雷帝丸を受け取ると、妖姫が吐きだす粘液を薙いで走っていく。
「ウラァァアア!!」
一真に弾かれた粘液はバシャバシャと飛沫を立てて地面に落ちていき、確実に妖姫との間合いを詰めていく。
「ク・・・・ゥゥウウ!!」
「セェイッ!!」
一真が突き刺さった雷帝丸を左に斬りつけると、断末魔の叫びを上げて姫は塵に還った。

125 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:39:39 ID:Hp9QXzoH0
一真は雷帝丸を厳鬼に差し出すと、まだガタロウが居ますねと言った。
「あぁ。増えない内に片付けておこう。」
「それじゃあ、俺も・・・。」
「いや、お前は良い。相手は夏だしな。 ・・・お前は俺の背中を見てろ。」
そういうと厳鬼は人の顔にもどって川岸を歩き出した。
一真はというと・・・鬼となった自分の顔を水面に写し、複雑な気分に苛まれた。

126 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:40:26 ID:Hp9QXzoH0
東北支部の一階では非番のカチドキ、あきら、美夏が梅雨も近しということで談笑を交えて大掃除をしていた。
一之巻より少々綴っただけなのでここでもう一度言及しておくが、東北支部の表の顔は居酒屋“しゃくなげ”である。看板及び、のれんには「げなくゃし」と大筆で書かれていた。
はっきりと言ってしまえば、店の景気は大繁盛である。
とはお世辞でも言い難い。
実は東北支部は2階建てで、一階は居酒屋。二階は支部長の部屋と猛士の間、カチドキ兄弟の貸り部屋で、地下一階は資料室となっている。
居酒屋は大抵、がらんとしていて、偶に酔っ払って立ち寄ってくる観光客の相手を支部長がすることになっており、鮮やかな包丁捌きで刺身を振る舞い、ぼったくるのだ。
間違ってもあきらを出したりはしない。
ちなみに昼間でも来客はあったりする。近所にすむ小学生である。
彼らはこの居酒屋を猛士の東北支部と知ってか知らずか、わざわざ学校帰りに支部長に会いに来たりするのだ。
子供に好かれる体質の支部長も支部長で、やたらと最近のゲームなどに詳しい。
先週はPS2専用ゲーム、「仮面ライダー555」を子供たちとプレイしていた。
これが若さゆえの特権というものなのだろう。
一階が大方片付くと、3人は地下資料室へと向かった。
この部屋は湿気が多く、かび臭かったりするが、支部長が日に3度は資料を引っ張り出しに入るので割りと片付いている。
そこでここでの掃除とは、“冊子資料の天日干し”である。
それも全て2回のベランダに干し終えると、美夏が冷たい麦茶を淹れに行った。
「あきらも、そろそろ休憩にするか。」
カチドキが声をかけるとあきらは、じゃあ、美夏さんを手伝いに行ってきます。と言って下に降りた。
「本当に健気な娘だ・・・。一真にはもったいないねぇ。」
カチドキが独り言をもらした丁度その頃。鬼首峠の近くに位置する川岸では・・・。

127 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:41:13 ID:Hp9QXzoH0
クルルルルルル・・・・。
水面から青色の眼と白い皿が10組ほど除いていた。
「・・・・ちょっと増えすぎじゃねぇのか。」
「この時期だと・・・少し早いくらいですね。」
「ふん・・・まぁいい。黒金を試すにはこれくらいの数が必要だ。」
そういうと厳鬼は装備帯から音撃棒・須佐乃袁(スサノオ)を手に取った。
それと同様に装備している音撃鼓の名は櫛名田(クシナダ)である。
「一真、お前はそこでみていろ。指一本手をだすな。」
「はい。」
厳鬼が正面の河と対峙すると、水面に浮いていた皿が岸へと向かい、その姿があらわになった。
「やっぱ、ガタロウだったな。」
クルルルルルルル・・・・・・。
厳鬼がガタロウたちの数をざっと数えたところ、およそ18体前後といった所だった。
彼らは夏の魔化魍の中でも東北地方では比較的早い時期に発生してくる魔化魍である。
古い時代には年中無休で発生していたらしいのだが、いつの間にか夏にしか現れなくなったのだという。
このことが裏で魔化魍を改造している連中と関わっているかまでは分かって居ない。
「うっ・・・・。」
一真は急激に鼻を突く匂いに思わず鼻を塞いだ。
腐敗臭である。この匂いの源はおそらくはガタロウの口から垂れる液体 ―もとい、よだれ― である。
「出来損ないのカッパくん。遠慮せずにかかっておいで。」
厳鬼がそう挑発すると、ガタロウの中から3匹が襲い掛かってきた。
クルルル!クルルルルルル!!
「ほいさぁ!」
ドドン!!
厳鬼の奮った音撃棒がガタロウに直撃し、一瞬にして塵へと還った。
残りの2体が厳鬼を挟み込んで攻撃を仕掛ける。
だが前方向に前転してよけたところ、二匹のガタロウはお互いにベチッと平手を打ってしまった。
それがよほど堪えたのか、その二匹はその場で気絶してしまった。
「おい、こらぁ。てめぇらヤル気あんのかぁ!?」
厳鬼がガタロウの集団に因縁をつけると彼らは一斉に襲い掛かってきた。
「そうこなくっちゃな。 はぁぁぁああああ・・・・!! キャス豆腐!」

128 :凱鬼メインストーリー:2006/10/08(日) 16:42:56 ID:Hp9QXzoH0
厳鬼は身体中に気を巡らせ、精神を集中した。途端に漆黒の稲妻が迸る。
厳鬼の身体は雷光を浴び、光の中で変化を遂げていった。
Cast off !
「うらぁぁああ!!」
クルルルァ・・・!!
爆発と共に吹き飛んだガタロウ達。
Change ! ogre of Fe・・・!
爆風の灯が風に流れると、そこには厳鬼の強化変身体、厳鬼・黒金が居た。
「よし・・・快調、快調!!」
そういうと厳鬼は胸の防具に張り巡らされた弦をひとつ、かき鳴らした。
Clock Up !!

爆風で吹き飛んでいくガタロウの子が、空中で次々に爆発四散していく光景を一真は一瞬のうちに見た。
Clock Over !!

「一真・・・。今のが、“厳鬼”のみの、神代(かみよ)より伝わる神業だ・・・。
まぁ、もっとも今では機械によって同系統の業をつかう鬼も出てきたがな・・・。」
「す・・・凄すぎ・・・・。」
「後は・・・親御さんだな。」
グルルルルルゥ・・・!!

厳鬼は音撃棒に精神を集中させた。

十一之巻「啼りひびく河」

129 :次回予告:2006/10/08(日) 16:44:38 ID:Hp9QXzoH0
「あなた・・・あなた!!」

「俺には護らねばならん人が沢山いるんだ・・・。
こんなところで道草を喰っている場合じゃないんだ・・・!」

「紅蓮・・・・か。 使いすぎれば燃え尽きてしまう。
だから・・・・夏にしか使わない。」

十二之巻「紅き蓮花」乞うご期待!!

130 :凱鬼メイン作者:2006/10/08(日) 16:49:53 ID:Hp9QXzoH0
今回は少しばかりネタに走らせていただきました。
もっとも、途中のゼクター音は本来鳴っていません。
>>まとめサイトさま
>>128のClock Up !!の次の行。
そこに、まとめサイトに掲載するとき、以下を追加してもらえるとありがたいです。

キ・・・キェー・・・!!
ボォン! ボォン!! ボォン!!!

このまえに引き続き、申し訳ありません。

131 :見習いメイン作者:2006/10/08(日) 18:23:55 ID:kxbhTd+b0
もの凄い遅レスで、申し訳ありませんが。

>>60さん
これから私が2chの世界で生きていく中で、ひどい中傷を受ける事もあるかもしれませんが、
最初のレスが>>60さんで良かったと思います。暖かいコメントありがとうございました。

>>弾鬼SSの筆者さん
ずっと遠くから見ていたかたに、思いがけなく声をかけてもらったような、
何かすごく不思議な感じがしています。
始末書。平和を守る組織と言えど、始末書を書くこともあると思います。
今日のリュウケンドーでも最後のシーンで始末書というセリフが。いやホントに。

>>91さん
自分のサイトのURLを書くことの目的がサイトの宣伝、というご意見ですが、私には想像も
つきませんでした。(私が知らない2chの暗黙のルールでもあるのかと思っていたのですが)
そういう捉え方をする人もいるんだな、ということで参考になりました。


132 :見習いメイン作者:2006/10/08(日) 18:49:20 ID:kxbhTd+b0
>>キャラクター人気投票
かなり乗り遅れましたが、私は剛鬼メインのマタタキさんに一票。
初登場の人間体の時、町中の自販機で釣り銭チェックしてるのが何かアレですが。
七之巻で、鬼の姿での初登場のシーンがカッコ良かったと思います。

「危ないところだったな。先輩のサポーターくん」

↑この一言だけでカッコイイ。できれば、ですが再開をお待ちしています。

>>斉藤真斗芽さん
私の書いたものも掲載して頂いて、ありがとうございます。今まで、他の職人さんの作品
を見にいっていたところに自分の文が載っているというのは、何か不思議な感じがします。


133 :名無しより愛をこめて:2006/10/08(日) 19:03:03 ID:ZGktIJKs0
>見習いメイン作者さん
ぜひとも頑張ってください。期待してます。

人気投票、俺も乗り遅れましたが「中四国〜」のメブキに一票!
体育の先生だそうですが彼の授業がどんなものか見てみたいw

134 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/09(月) 00:29:35 ID:sm2KUInV0
どの物語も大変楽しく読ませてもらっています。
俺は遅筆なのでなかなか本編が進まず……。

さて、今日はサイトの形を大幅に改装しました。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/
前と比べてどうでしょう?
少しは見やすくなったでしょうか?

同時に、仮称としていた「雪風日和」を正式にサイト名とすることにしました。

イラストのページにはクラリネットを吹くコナユキさんと美咲ちゃんの絵を追加です。

135 :名無しより愛をこめて:2006/10/09(月) 08:09:55 ID:moh5Oew1O
凱鬼さんのIDがハイパー…

一撃鬼に一票

136 :凱鬼メイン作者:2006/10/09(月) 08:38:30 ID:z/R5ZkV60
うおぉっ!?
マヂっすか!?
あ、でも日によってチョクチョク変わるので・・・。

137 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/09(月) 20:06:46 ID:sm2KUInV0
イナナキの絵を2枚頂いたのでイラストのページに追加しました。

さて、突然ですが、皆さんは玩具「装着変身」をお持ちでしょうか?
響鬼、威吹鬼、轟鬼、斬鬼、響鬼紅、装甲響鬼が発売されています。
本日はそれらを用いて音撃戦士たちの勇姿を撮影してみました。

http://www.geocities.jp/hibikigaiden/hibiki

このページはまだTOPからリンクを張っておらず、非公開の状態です。
このスレでのみ先行公開という形にしてみます。
何かご感想を頂けると幸いです。

138 :凱鬼メイン作者:2006/10/09(月) 21:01:54 ID:z/R5ZkV60
うぎゃー!!
響鬼さんは紅で何の書類を燃やしたんだ!?
自分だけ過激なシフトの抹消か!?
・・・と思ったら後ろに新聞紙のような物が・・・。

いいですねー。自然とのコラボ。
これがSICだったらどうなるのか・・・。
ただ残念なのは背景にもピントが合わなかったということでしょうか・・・。
尤も、超難易度高な技術ですがw

139 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/09(月) 21:14:03 ID:sm2KUInV0
>>138
紅の手前で燃えてるのは、調理用の油を染み込ませた新聞紙です。
最初はカメラの前にライターの火をかざして、音撃棒から烈火剣が伸びているように見せるだけのつもりでしたが、
それが全然上手くいかなくて、もうヤケクソで周り一体を燃やすことにしました。
肝心なときになかなか点かない着火マン、思い通りに燃えてくれない火、ピントの合わないデジカメとの死闘ですw

140 :見習いメイン作者:2006/10/09(月) 22:02:36 ID:eKEORrvq0
>>133さん
ありがとうございます。頑張っちゃう。

>響鬼さんは紅で何の書類を燃やしたんだ!?
始末書。

ただいまより、地味地味SS三之巻を投下します。


141 :見習いメインストーリー:2006/10/09(月) 22:03:53 ID:eKEORrvq0
前回は>>87から。

三之巻「臨む研修」

 純友は、柴又の和菓子屋「たちばな」に入ると、作務衣を来た店員、香須実に
挨拶をしながら、奥に通じるのれんをくぐって地下への階段を降りていった。
 階段を下りてすぐの部屋に、やはり店の作務衣を来た初老の男が座っていた。
「やあ、いらっしゃい。研修生」
 おだやかな笑顔で、支部をまとめる役職「王」であり、この「たちばな」の店長でもある
立花勢地郎が出迎えた。
「もうひとりの研修生の大洋くんは、君の同級生なんだよねえ。いつも別々に来るけど、
君たち一緒に来ることはないのかい?」
「いやまあ、高校で同じ組ですけど、住んでるところは違いますから」
 ぼそぼそと答えてから、純友は部屋の一角にある回転扉を通り、地下通路に出た。
そこから廊下を渡り、純友はみどりの設計室に入った。
 大洋はいつも数分遅れて来る。今日も、純友が先にここに着いた。
「こんにちわ、純友くん」
 笑顔で出迎えるみどりに、純友は開口一番言った。
「あの……ぼくも、『角』をやってみたいです」
「え?」
 みどりは数秒、もの凄く意外なことを言われたような顔をしていたが、
にこりとして言った。
「じゃあ、純友くんも『角』の現場研修いってみる?」


142 :見習いメインストーリー:2006/10/09(月) 22:04:39 ID:eKEORrvq0
「は……はい」
 スポーツはからっきし、体力にも自信は無いほうだが、大洋だけ「角」の現場研修を
受けるというのは悔しい。後から設計室に入ってきた大洋を見て、純友は思った。
こいつにだけは、負けるわけにはいかない。

 今週のみどりの講義は、猛士の本部と、全国の支部についての説明だった。
 本部は奈良の吉野にあり、北海道、東北、北陸といった単位で全国十数か所に支部があり、
この「たちばな」が猛士の関東支部であった。
 講義の後、大洋は純友も「角」の研修を受けると知って言った。
「なんだって!? オメー、今日もディスクアニマルの起動できなかったじゃねえか」
「……別に……『鬼』として大事なのはそれだけじゃないし……」
「それができなきゃ魔化魍さがせねえじゃねえか」
「まあまあ」
 みどりが割って入った。
「何事も経験よ。フィールドワークでしか得られないこともあると思うし、
二人そろって行ってらっしゃい」

 翌週の土曜。
「ちょっ……待っ──」
 汗だくになり、よろよろしながら、純友は前を行く二人に声をかけた。
 山道を先に行く大洋と、その更に先を行く銀縁眼鏡のアディダスジャージの男
──ダンキが振り返った。


143 :見習いメインストーリー:2006/10/09(月) 22:05:13 ID:eKEORrvq0
「どうした、『銀』見習い! 根性見せろや!」
 かれこれ二時間も山道を進み続けているというのに、まったく疲れというものを見せず、
ダンキは笑いながら言った。大洋は純友ほどとはいかないまでも汗まみれだったが、
なんとかダンキの歩みに着いていこうとしていた。
「も、もうダメれす……、着いていけましぇん……」
 純友はついにその場にへたり込んでしまった。
「しゃーねえな、ここらでいっぺん休むか」
 気分を害した様子もなくダンキは言った。それを聞いて、大洋もホッとしたように息をついた。
 三人は春先の御岳に来ていた。天気が良く、中天にある太陽が容赦なく照りつけていた。
 道端の丸太に腰を下ろすダンキと大洋から少し離れた草むらで、純友は顔にタオルをかけて
ぐったりと横になっていた。
「なかなか見所あるじゃん、『飛車』見習い」
「おれ……」
 疲れに言葉を途切れ途切れにさせながら、大洋は言った。
「おれは『飛車』じゃ……なくて……『角』やりたいんスよ」
「悪いがソイツは無理だな。少なくとも、今のおまえじゃな」
 不敵な笑みを見せながらダンキは言った。
「アイツが着いてけねえって言い出さなきゃ、そろそろオマエもヤバかったんだろ?
ベースで待っている『飛車』はできても、魔化魍と渡り合う現場で行動を共にする
『角』はオマエにはできねえよ」


144 :見習いメインストーリー:2006/10/09(月) 22:05:58 ID:eKEORrvq0
 更に数時間後、山を下って平地に戻った三人は、テントを張ったそばで周辺の地図を
広げて見ていた。
「とりあえず、人はいなかったよな。この辺は山登りのコースじゃねえから、
いないとは思ってたけどよ。これなら犠牲者が出る前に片付きそうだ」
 ダンキはケースに納められた数十枚のディスクの中から数枚取り出すと、キィィーン
……と音叉を震わせて鳥型のディスクアニマル、茜鷹を起動して空に放った。
「『銀』見習い。赤いピンを地図のそこに刺せ」
 ダンキに言われるままに、純友は渡されたピン刺しからピンを抜き取って地図に刺した。
 次々とディスクアニマルを起動しながらダンキは純友に指示していった。
「ひとマスごとに東にピンを刺していきな。端までいったら一段下の左に戻れ」
 ケースの半分ほどのディスクアニマルを放ってから、ダンキは大洋に言った。
「『飛車』見習い。おまえもやってみるか」
「あ、はい」
 大洋はダンキから音叉を受け取ると、見様見真似でディスクを起動させた。
 設定済みの場所にディスクアニマルが向かっていく。
「いいスジしてんじゃーん!──そっちのオマエもやってみるか?」
「あ、コイツ、ディスクアニマル起動できないんスよ」
 せせら笑いながら大洋が言った。純友は泣きながら地図にピンを刺し続けた。

三之巻「臨む研修」了


145 :DA年中行事:2006/10/09(月) 23:39:04 ID:Hy5YHwlz0
凱鬼SSさん、もうもうお褒めに預かってああもうどうしましょう。プロだなんてとんでもない。
俺なんか、言い回しはもちろん、それ以前に「てにをは」が怪しいのに。
戦闘シーンが書ける貴方が羨ましいです。・・・・・そして、キャス豆腐かっw

見習いSSさん、おらぁ、もともと貴方が書いておられるような成長物語を書きたかった・・・・
二人の少年は、今後どう成長を遂げるのでしょうか。続きが気になります。

中四国支部SSさん、うわぁ響鬼さん燃えてる燃えてる!
炎は撮るのが難しいですよね。でも、いい具合にメラメラしてますな。響鬼さんには火が似合いますね。
そして鬼さんたちは、自然の風景がしっくりきますねェ。

皇城SSさん、俺に欠けてるのは物語の整合性と燃える戦闘シーンです。なんか、鬼さんの話に一番欠けては
いけないものが欠けているような。あがが。今後の課題にしています。
そうか、北方氏や司馬大先生か・・・なるほど。そして石川英輔さんの大江戸シリーズ(>>119さん、ありがとうございます)
なるほどなるほど。今回の拙作で教科書にしているのは、都筑道夫や岡本綺堂・・・・のはずなのに、江戸情緒無しだなぁ・・・・・
こう、なんていうか、スカッと簡潔で明快な文章を書きたいのですが、気がついてみると、ダラダラとくどい俺。

ああっ、もう、後編書こうよ、俺!

146 :竜宮「鬼休み」74:訂正:2006/10/10(火) 01:24:29 ID:2i/VxCBj0
「ふ〜っ」
 簪で飾り立てられた頭が気持ち悪いのか、母親の腕の中で童女が身をよじる。
「あんた、お参り前に少し境内を散歩させたって」
 すぐにどこかにとんでいきそうな長男を押さえ込んでいた父親が、あう、と苦虫をかみ殺したような笑顔で答える。
「ほな、ちょっとだけ この子らお願いね。すぐ戻るから」
ふわりと笑顔で背を向けた。
 祝いの前だからこそ独りで寄らずにはおれないのだろう。笑顔の裏の気持ちが透けて見える分、付いていくのはかえって心痛かろう。
「ぼくかて付いていくのに。お母ちゃんは ぼくらが知らんと思って気ぃ使いすぎや」
おぼこい(幼い)顔のくせに、敏(さと)すぎるほど敏い息子はふくれっ面。
父親っ子の三歳は、嬉しそうに抱えられ、「かたぐ〜、かたぐ〜」とはしゃぐ。
「あかんよ。今日は着物やろ。綺麗なべべ(衣装)が無茶苦茶になってしまうがな」
「お前は歩かんでいいから、ええな。ぼくももう歩くの疲れたわ。お父ちゃん、どっかで休もうな」
「何言うとんねん!男の五歳は初めて袴着(はかまぎ)をつける、いわば大人への第一歩やぞ。ちゃんと参ってお祝いせなあかん。いつも登っとる山の方がよっぽど険しいやろうが」

147 :竜宮:2006/10/10(火) 02:34:58 ID:2i/VxCBj0
 斉藤 真斗芽様、「鬼休み」訂正収録と120でのご指摘ありがとうございました。
我ながら分かりにくいSSだな、と思い74の訂正挿入箇所を増やしてしまいましたが、
黒スーツと赤シャツを直していただいたので感謝感激です。
 自分も成人式は風邪で行っていないです。行っておけば良かったなと今は思いますが。
 年中行事様のSSを読むたびに、日本人っていいなあ、鬼の国に生まれて良かったなあと思います。
お寺などは祝いごと願いごとで行きますが、供養の場所でもあるので鬼宿日とあわせてSSにしておきたいなと思いました。地蔵は子供の神様ですし。
 中四国支部鬼譚作者様、空を見上げている鬼達がかっこいいですね。自然が似合いますね。この撮影のために準備、演出お疲れ様でした。
サイトも充実してゆかれ、イラストも目に楽しいです。
 見習いメインストーリー様も猛士のそれぞれの仕事に日々泣き笑いの見習いさん達に「がんばれ〜」と応援したくなります。
 凱鬼メインストーリー様、厳鬼さんカッコいい!!(笑いも忘れないし)
 皇城様、仮眠ライダー早起ありがとうございます。かわいい、かわいい!
 前々スレッドあたりから読むのが追いつかない状態ですが、連載、読みきり、どれも懐かしく新しい世界を読ませてくださるので、
お体に無理のないよう皆様執筆ください。


148 :名無しより愛をこめて:2006/10/10(火) 21:03:11 ID:NjLE0Jvk0
このスレのSSに出てくる人や単語を盛り込んだ「裁鬼スレ解析機」を作ってみました。
http://seibun.nosv.org/maker.php/sabaki/
気分転換にどうぞ^^

149 :凱鬼メイン作者:2006/10/10(火) 21:53:29 ID:OaGqGpOK0
凱鬼の49%は中四国支部鬼譚で出来ています
凱鬼の40%は送鬼で出来ています
凱鬼の8%は鋭鬼で出来ています
凱鬼の3%は一撃鬼で出来ています

凱鬼メイン作者の46%はドーピングコンソメドラッグで出来ています
凱鬼メイン作者の41%は三十匹殺しで出来ています
凱鬼メイン作者の9%は霧咲鬼で出来ています
凱鬼メイン作者の3%は和泉一文字で出来ています
凱鬼メイン作者の1%は和泉稲妻で出来ています

暁鬼の99%は「ノ ッ ポ さ ん」で出来ています
暁鬼の1%は和泉一流で出来ています

ちょw・・・アカツキさんww

150 :名無しより愛をこめて:2006/10/11(水) 07:27:40 ID:8ZvinJ8IO
面白スw

しかし一撃鬼の64パーセントが木村カエラって…

151 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/11(水) 07:59:54 ID:azdaFvD70
善道要平の86%は爪弾鬼で出来ています
善道要平の7%は吹雪鬼で出来ています
善道要平の3%はエリスで出来ています
善道要平の2%は和泉一流で出来ています
善道要平の2%は和泉稲妻で出来ています

冴峰沙弥の95%は凱鬼で出来ています
冴峰沙弥の5%は鞍馬山僧正坊で出来ています

コウキの56%は善道要平で出来ています
コウキの34%は裁鬼・修羅で出来ています
コウキの6%は高鬼で出来ています
コウキの2%は和泉稲妻で出来ています
コウキの2%は和泉一流で出来ています

イナナキの72%は音撃射・凍衷華葬で出来ています
イナナキの13%は高鬼で出来ています
イナナキの7%は和泉一文字で出来ています
イナナキの6%は和泉一流で出来ています
イナナキの2%はエリスで出来ています

コナユキの41%は『木 村 カ エ ラ』で出来ています
コナユキの38%は和泉稲妻で出来ています
コナユキの9%は一撃鬼で出来ています
コナユキの8%は霧咲鬼で出来ています
コナユキの4%は高鬼で出来ています

和泉一族の出現率が以上に高くないですかw

152 :名無しより愛をこめて:2006/10/11(水) 09:35:34 ID:i3b2JAEB0
かなりビビッた

天道総司の73%は岩井川ジョニ男で出来ています
天道総司の17%は紙黄村で出来ています
天道総司の9%は高鬼で出来ています
天道総司の1%は鋭鬼で出来ています


153 :弾鬼SSの筆者:2006/10/11(水) 21:04:18 ID:kTvm2wd90
く・・くろっくおーばー・・
ようやく書きあがりました。
書いては止まり書いては止まりの繰り返しだった為、書いてる時のテンションにより文の感じも変わっているので
所々辺かもしれませんが、大目に見ていただけると幸いです。

>>DA年中行事さま
相変わらず文章に納得力のある素晴らしい文章です!
ウラヤマシイですよ・・本当に!
>>皇城さま
遅くなりましたが、お帰りなさいませ!
また、シブキさん達のお話が読めてうれしいです〜!
>>見習メインストーリーさま
あ〜・・大変お待たせしました・・どうにか投下できそうです!
そして、まさかのダンキさん登場に狂喜乱舞させてもらいました!
始末書・・・私の書くダンキさん・・けっこう始末書モノな事をしでかしているような気がw
>>凱鬼メイン作者さま
キャス豆腐!!よもや、そのネタでくるとはっ!
>>竜宮
自分の成人式は、急性アルコール中毒で病院行きでしたぁ!
文中の、ほのぼのとした雰囲気がたまりません!
>>中四国さま
燃えてますねぇ・・・!そしてやはり音撃戦士達には森が似合う!
自分もSICで撮影してみようかな・・・蛮鬼だけ居ないんですがw
>>裁鬼解析さま
面白イッス!GJです!そして和泉一族出まくりですなw

154 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:06:39 ID:kTvm2wd90
千明のアパート/
テーブルを挟んでの会話。その内容は吾妻を驚愕させるのに時間はかからなかった。
「・・・・千明・・・本気なの?あなた本気で」
「本気ですよ、先輩。これが、私の決意なんです。だから、この原稿・・・良い出来だって誉めてくれたけど、乗せる訳にはいかないんです」
千明が手にした原稿には、鬼や猛士、魔化魍の事に関する事は何一つ書かれていないが、ダンキやショウキ。サバキ達のインタビューの返答で纏め上げられた内容だった。
そう・・カラカサの一件より前に行ったインタビューで・・・。
内容は、綺麗に纏められているが・・そこには綺麗な事柄しか書かれていない。
彼ら『鬼』が持つ苦悩や悲嘆・・・裏面の部分には一切触れられていない。
そして、それを自らの身で体験した千明は・・・綺麗な部分”だけ“を記事に乗せたくは無かったのだ。
「だから・・・」
千明は目の前に置いた土鍋に原稿を投げ込むと・・・
「ちょっ!千明!?」
ポケットから取り出したジッポライターで原稿の一枚に火をつけて燃やしたのである。別の原稿にも火が移り、メラメラと燃えてゆく。
「インタビューはしてないけど、私自身の目で見た・・・・綺麗じゃない部分・・・それこそを乗せて欲しいんです。そして、望まない事態で命を失う人がいるからこそ、生きている人には今を精一杯生きて欲しい・・・私も生きる。
それが、私が記者として心の底から伝えたい・・・最初で最後の記事にしたいんです」
土鍋から火が踊り、煙が天井へと登ってゆく。
吾妻は・・・フゥ・・と溜息をつき、立ち直り、僅かに成長した後輩を見つめ・・
「まったく・・・段田君・・ダンキ君に出会って・・・変わったとは思ったけど、こんな事を言うようになるとはねぇ。解った。代原・・ううん・・・あなたの本当に伝えたい事、早く書き上げて。そしたら、あなたの決意と共に、編集長には私から言っておくわ」

155 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:08:46 ID:kTvm2wd90
「すいません先輩」
頭を下げる千明。
「いいのよ。でも、早目に辞職の挨拶には着なさいよ?」
「はい」
元気よく返事をする千明。その眼には以前のような全てを拒絶するような弱さは光っていなかった。
彼女の新しい未来は、今始まったのだ。
そして・・・勢いよく天井のスプリンクラーが作動し、部屋中を水浸しにしてゆく。
「おぉ!?」
「千明!アンタ!早く!火!土鍋ぇ!」
突然の水に大慌てする二人。
コレより五分後・・・駆けつけた消防隊と、大家にガッチリ怒られる千明と、吾妻であった。

番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻『呼び戻る声』(後)

トキワ荘・202号室
「ヨッ!と」
大きなリュックを玄関先に置き、表に出るダンキ。
鍵をかけて、トキワ荘の前で仁王立ちする。
ゴウキ・ショウキと共に魔化魍討伐に向い、変身能力が無くなった事が判明した翌日。ダンキとショウキは山篭り身体を鍛えなおす事にしたのだった。
支度を終え、あとはショウキが来るのを待つばかり。
「あら、ダンキ君?」
不意に後ろから声をかけて来たのは、ダンキのお隣さんでもあるイシモリだった。どうやら徹夜明けのようで目の下に大きなクマが出来ている。
「イシモリ先生!珍しいじゃ〜ん、この時間起きてるなんて」
イシモリは集合郵便受けから新聞を取りながら、頭を掻きつつ苦笑いをした。
「いや、新連載の話の方向性が上手く定まらなくてね。次に出てくる変身昆虫メカをクワガタにするかハチにするかトンボにするかで悩んでてねぇ。子供ウケにはクワガタなんだろうけど」
漫画家を生業としているイシモリは、常日頃からこんな様子で行き詰まる事が多い。何度かダンキに相談を持ちかけた事もあるくらいだ。
「それはそうと、ダンキ君は大荷物で・・・いつもの特訓?」
「ん?そうだよ」
「大変だよねぇ、オリエンテーリングだっけ?体が資本って感じだしねぇ・・・あ、ちょっと待ってて」
そんな事を言ってその場から消えるイシモリ。戻って来た時には手に袋一杯のカロリーメ○トやウィ○ーインゼリー、オロナミン○を持っていた。


156 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:09:55 ID:kTvm2wd90
「この間編集さんが差し入れでケース買いしてきたんだけど、なかなか捌けなくてね、よかったらどうぞ」
袋を押し付けるイシモリにダンキは、
「いいの?サンキュー!イシモリ先生!」
袋を覗き込みながら礼を言った。
「なんのなんの。お隣さんの仲じゃないか!また土産話聞かせておくれ」
「おう!そんなんで良ければね!幾らでも!」
「じゃ、僕はこれで失礼するよ。気をつけて」
そう言って部屋へと戻るイシモリ。
「ダンキ君〜〜!お待たせ〜〜!」
丁度、ショウキも到着したようで、先の十字路から手を振ってショウキがやって来た。
「よう!ショウキ。んじゃま、早速行きますか」
ショウキに袋の中からオロナミン○を一本手渡しながら言うダンキ。
「そうだね。で、どうする?今日も競走する?」
栓を開け、一気に飲み干したショウキが言う。
「モチロン!どっちが先に飯田さんトコに着くか勝負!負けた方が、買った方に牛核でメシを奢る!どうよ?」
「OK!じゃ、位置に着いて・・・・」
空き瓶をリュックのポケットに仕舞い込みながらショウキが号令をかける。
「よ〜い・・・」
ダンキもリュックを背負い・・・・
「「どんッ!!」」
二人同時にダッシュで道を走ってゆく。
鍛える為の修行の場に、鍛えながら向う姿はドコまでも体育会系な二人であった。

鬼塚神社/
「で・・・なんで僕は待ちぼうけしてるんでしょうね・・」
薪割りを終え、斧を納屋にしまいこみ、外に出て延びをするバンキ。
日は傾き始め、そろそろ空も赤く染まりだそうとしている。
話は前日の深夜に遡る。


157 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:11:56 ID:kTvm2wd90
その日バンキは、鬼としての仕事が空いており、珍しく大学のコンパに参加していた。
飲みに飲んで、自宅に帰り着いたのは午前一時前。そのまま眠ろうと着替え、携帯を充電器に差し込もうとした時に、留守電のマークが点滅していた。
その数5件。
久々に本気で飲んだせいか、気がつかなかったらしい。
もしや、急な召集だったのでは?バンキはヒヤヒヤしながら留守電を再生してみた。
『バンキ?俺、ダンキだけど。又後で電話するわ・・じゃ』
『バンキ君?ショウキです。ちょっとお願いしたい事があって電話したんだけど・・また電話します』
『ダンキですけど・・・電話出てくれよ・・』
『ダンキですけど!あぁ〜もう!携帯電話は携帯してるもんだから直ぐ出られるだろう?何で出ないんだよ!!』
『ダンキだけど!明日から俺とショウキで飯田さんトコで鍛えるから、お前も来い!以上』
という、理不尽極まりない内容の留守電を聞き、コレはコレで緊急なのでは?と思い、慌ててショウキに電話し、事を聞いたのだった。
『では、突然変身できなくなった・・と』
『うん。とりあえず鍛えなおしてみようって事になってね・・・ホラ、バンキ君はさ、鬼の事とか色々研究してるじゃない?もしかしたら、鍛えてる時の僕らの様子を見れば、何か気づいてくれるんじゃないかなって思ってさ』
『なるほど・・そういうことですか。確か過去の文献等を読んだ時に、突然鬼の変身能力を失った事例があったような気が・・・』
そんなこんなで事情を理解し、酔った頭でバンキデータベースをひっくり返し、似た事例を探した後に睡眠をとり、朝の8時に起床。その後急いで飯田さんの家に向かったまではいいが、待てども待てどもダンキとショウキは現れない。
ただ待っているのも居た堪れなくなり、境内の掃き掃除をし、雑巾がけ。大太鼓の手入れを済まし、薪割りを終えた所でようやく本題を思い出し、今に至るワケである。
結果、ダンキとショウキが現れたのは、それから一時間以上経過した後だった。
「走ってきたんですか!!」
唖然とするバンキの前には、鍛える前からバテバテになり、地面に大の字でぶっ倒れているダンキとショウキ・・・

158 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:12:51 ID:kTvm2wd90
「・・・っくしょ〜・・・ゼィ・・・ゼィ・・・勝てるかと・・・思ったんだけどなぁ・・・・ハァ・・ハァ・・・」
「・・・フゥ・・・フゥ・・・いやいや・・同着でしょ・・・ゼィ・・・ゼィ・・・牛核は・・・割り勘だね・・・ダンキ君・・・フゥ・・」
機械の様に呼吸を繰り返すダンキとショウキ。バンキは二人の息が戻るまで追求をやめる事にした。仕方が無いので、昔ながらの井戸から水をくみ上げ、ダンキとショウキに手渡した。
これを物凄い勢いで飲み干すダンキとショウキ。
一息ついたダンキとショウキは、
「ここまで走ってきたんだ!もしかしたら効果あるかもしれないぜ!試してみようぜショウキ!」
「そうだね!バンキ君、一応見ておいてくれる?」
ある程度距離をおいて立つダンキとショウキを確りと見据えるバンキ。
取り出した変身音叉を弾くダンキ。キィン!と響く甲高い音を耳にしながら、ショウキも取り出した変身鬼笛を吹く。
そして、額に翳し・・・・・

・・・・・

「・・・ほんとに、変身・・・と言うか、鬼面すら浮かばないですね」
バンキも、実際に目で見るまでは信じられなかったのだろう。
「あぁ〜もう!アレだけ走り回ってもダメなのかよ!」
「まぁまぁ!ダンキ君、マラソンでダメならマラソン以上のことをすればいいんだよ!」
一瞬で沸点まで上昇するダンキを、宥めるショウキ。
「手始めに、懸垂100回、片手腕立て100回×2から行こうか!」
「おうよ!お!あそこの木なんてどうだ?」
「そうだね!よっし!いっくぞー!」
ダダダダダダダ!と走り、枝に飛びつくダンキとショウキ。そして物凄い勢いで懸垂を始める二人。
それを見て、
「・・・しかしまぁ・・・暑苦しい二人ですね・・・日も傾いていると言うのに・・」
小声で・・しかし、はっきりと口にするバンキ。
瞬く間に、懸垂を終え、片手腕立てに入る二人。そしてそれも終え、再び音叉・音笛を翳すが・・・
「・・・まるで変化がないですね」
「・・・うん」
シーンとなる空間。

159 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:13:58 ID:kTvm2wd90
「・・・っ・・・くっ・・・・・まだまだァ・・・ショウキ!正拳突き100回!後ろ回し蹴り100回!追加だァ!」
その場で正拳突きをはじめるダンキだが・・・・・
「・・・・駄目か」
結果はやはり同じだった。
結果に落胆しては無茶な鍛えをし、それを終えれば音叉を叩き、額に押し当てる。そんなことを4時間近く続けたが、やはり鬼面は一度も浮かび上がらなかった。
その様子をじっと見ていたバンキは腕を組み、昨日調べた事例を頭の中で思い返していた。
変身能力を失った事例は過去に何度かある・・・と、記録されている。
だが、それは体力の低下や、負ってしまった怪我・病気、精神的なモノ等、原因がハッキリしているものだったが・・・
『明らかに・・・ダンキさんとショウキさんにその様子は見られない・・・・』
腕組みを解き、ゆっくりとダンキとショウキに近づくバンキ。
ダンキはスクワットを物凄い速さで行っている。ダンキの傍らに歩み寄ったバンキは・・・
「・・・・ダンキさん」
「98!99!100!101!102!ひゃ・・何?」
「すみません。失礼します!」
突然、鋭い蹴りを頭部目掛けて放った。
「うわっ!?」
咄嗟にしゃがんで蹴りを回避するダンキ。だが、バンキは続けざまに回転しながら、自らもしゃがみ、脚払蹴りを放つ。
だが、それをバク転で回避すると同時に素早く体勢を整える。
「バンキ!なんのつもりだよ!?」
だが、その言葉に返事をせずに、バンキは地を蹴ると・・・
「え・・え・・ええ・・えええ?」
ダンキの横をすり抜けて、ショウキへと肉薄する。打ち出される攻撃は、素早い拳打!
ショウキは、何故自分に攻撃が迫ってくるのか判らないままその場に立ち尽くし・・・・
「失礼します!ショウキさん!」
繰り出された拳の全てを、華麗に受け流した。
身体に染み付いた、本能とも言うべきモノがショウキの身体を動かしたのだ。
ダンキとショウキの間に立つバンキ。二人とも構えを解く事も無くバンキを見据える。
そこでようやくバンキが構えを解いて、ダンキとショウキに頭を下げた。

160 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:15:21 ID:kTvm2wd90
「すみません。ダンキさん、ショウキさん。でも、今のでハッキリしました」
「へ?」
「えっと・・説明・・してくれる?」
頭上に『?』マークを浮かべるダンキとショウキ。バンキは今の行動の目的と、それから得られた事を話し始めた。
「まず、お二人に攻撃を加えた理由なんですが、一言で言えばテストです」
「テスト?」
「そうです。まず僕は今回の変身が出来ない事の原因Aとして、お二人の体力の低下・・・言い換えれば、身体能力の低下ではないかと睨んだんです」
「えっと、それって僕らの鍛えが足りてない状態になっちゃったってこと?」
「そうです。もっと言い換えれば、一般人と同じ状態に戻ってしまったのでは・・と言う事です。ですが、一般の方々に、今の攻防はムリです」
一見自惚れとも取れる発言だが、事実、鍛えてない一般人には攻防どころか、最初の一撃でのされている。
「結論として、原因Aはありえません。僕は本気で攻撃を仕掛けましたが、一撃も入れることは出来ませんでした。お二人の反応は、鬼としての水準を満たしています」
バンキの言葉に、そりゃそうだ!とダンキが言い放つ。
「次に原因Bですが、精神的な事柄や、病気・怪我による変身能力の消失ですが・・・これも、無さそうです。怪我・病気なら先ほど同様、一撃も入れられる事無く攻撃を防ぐのはムリですから。精神的・・というのも無さそうですし」
確かに、ダンキとショウキはココ暫く色々な事がありすぎて、精神的にまいってるかもしれないが、変身能力を失うほどではない。よって原因Bも排除された。
「そして・・原因Cですが・・・・呪い・・・・」
「呪いだぁ?」
「僕達が、誰かに呪われたって言うのかい?」
バンキの口から出た言葉に、過剰なまでに反応するダンキとショウキ。バンキはその二人を宥め、咳払いしてから説明を続けた。
「落ち着いてください。呪いというか・・・術の類ですね。何らかの呪いがお二人の体内に入り、内側から音を消してしまっている・・という仮説です」
「内側から・・音?」
「はい。僕達は、この道具で鬼へと身体を変えます」
バンキが自らの左腕に装着された変身鬼弦を撫ぜながら言う。ダンキは変身音叉を、ショウキは変身鬼笛を取り出し、同じように撫ぜた。


161 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:16:37 ID:kTvm2wd90
「原理はこうです。例として僕の鬼弦で説明しますが、変身鬼弦に取り付けられている弦を弾く事で、ある特定の音波が発せられます。それを脳で受け止め、全身に染み渡らせる事を切っ掛けに、僕達は鬼へと変身する訳です。僕が言いたいのは、この部分です。
鬼弦から出された音が脳・・または全身に広がる際に、何らかの力が音を打ち消してしまっているのでは・・・と、考えたんです」
その言葉に、首を傾げるダンキとショウキ。やがて何か理解できたのかダンキが、
「それって、アレか?妨害電波みたいなモンか?」
そんなことを口にした。それを聞いてバンキは満足そうに頷き、説明を続けた。
「そうです。切っ掛けとなる音が消されてしまっては、どんなに鍛えても変身する事は出来ません。どんな鬼でも、変身道具無くして変身は出来ませんから」
「なるほどね!僕達が出した音の波紋が広がる前に、妨害電波の波紋がぶつかり合ってしまった為に、音そのものが無くなっちゃったワケだ!」
ショウキも理解したらしく思ったことを口にした。
「でも、あくまでも推測ですよ。仮にこの説が合っていたとしても、対処法がまるで見当がつきませんから」
バンキほど鬼や音撃などの研究をしている者ですら、その対処法が見当たらないと言ってしまうこの仮説。それをどう崩そうか・・と、考えるバンキに・・・
「なら、話は早いじゃん!」
ダンキが自身たっぷりに言い放った。
その言葉に驚愕の表情を浮かべるバンキ。
「そんな!なにか、いい方法を知っているんですか?」
今度はバンキが過剰に反応した。
「簡単じゃ〜ん!いいか?」
「は・・はい」
「音が妨害されるならよ・・・妨害されても問題無い位、連続で音を鳴らせばいいんだよ!!」
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「そっか!すごいやダンキ君!その手があったね!」
手放しでダンキの案を褒めちぎるショウキ。それとは逆にバンキは唖然としつつ、憤慨したような表情で一気にまくし立てた。

162 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:17:35 ID:kTvm2wd90
「え?えぇ?え?ちょ・・えぇ?そ、そんなわけ無いでしょう!!音撃なめないで下さい!そんな力押しな理屈通るワケないじゃないですか!」
「よっしゃ!早速試してみようぜショウキ!」
「オッケー!」
バンキの抗議を聞き流し、その場から駆け出し距離を取って立つ二人。手には音叉と鬼笛を携え・・・・
「うおりゃぁぁぁぁぁ!」
キィン!キィン!キンキンキンキンキンキンキンキンキィン!
「すぅ〜〜〜ハッ!」
ピィィィィ〜!ピイィィィィィ〜!ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピィィィィ〜〜〜〜!」
連続で音を鳴らし額に翳す二人。
果たして・・・・・・鬼面は浮かぶのだろうか・・・・・・・・。


佐伯家/
「・・・・・・というワケで、今音撃弦を持ってないサバキさんに、俺達の代わりに出動して貰いたいんだけど・・・・・・」
あれから一週間ほど経ったある日。ダンキとショウキは二人揃ってサバキの家へと訪れていた。
幾度も変身音叉を叩き、額に押し付けたせいだろうか?ダンキの額には絆創膏が張られている。その表情にはいつもの覇気が無い。
ダンキとショウキとゴウキで魔化魍退治に出た日を境に魔化魍側に大きな変化が起こり始めた。
街中に童子と姫を伴わないカシャが出現し、これまで山や川に出ていた巨大な種類の出現が、約半数に減少した。
そして、ここ一週間もの間、童子と姫の出現が観測されて居ないのだ。
幸いにも出動から、待機に変更されたダンキとショウキのシフトだったが、鍛えても鍛えても変身能力が戻らない。
いよいよ、バンキの推測のが現実味を帯びてきた頃に、現在出動していた組と交替でし、ダンキ達が出動する事になったのだが、いまだに変身能力が戻らない二人では魔化魍に太刀打ちできない。
そこで、サバキに代理での出動が出来ないかお願いしに来たのだった。
「それは別に良いけどさ、お前達、変身出来なくなった原因とか理由とか、心当たり無いのか?」
「う〜〜ん・・・退院した後の出動では普通に変身できたし」
「清めの音もちゃんと発せられたしねぇ・・・・」
「でも・・・何か忘れてるような気がするんだよなぁ・・・・・こう・・・引っかかると言うか」
「僕も・・なんだったかなぁ・・・・・・」

163 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:18:28 ID:kTvm2wd90
そして時計の針が10週ほどした時、ほぼ同時に二人が大声をあげた。
「あ!あの変なオジサン!!」 
「そうだよ!あのヒトから使ってみろって言われたあの剣!!アレが原因だよ!!」
二人が言うのは、以前会った謎の男の事である。
他言無用!と言われていた為か、二人とも綺麗さっぱりと忘れていたのである。
「変なおじさん?剣?何の事だそりゃ?」
ダンキは、以前山の中で会った出来事を説明した。
装甲声刃のこと・・・
「たしか、以前エイキが本部の査問会に召集された時に、参加していた実験に使用されたモノと似ているな・・・ソレ」
「え、そんな事があったの?」
ダンキが目を丸くして、サバキに問い掛けた。
「あぁ、少し前の事だがな。で?続けてくれ・・・」
「あ・・うん。でさぁ、そのオッサン、なんか・・・こう、アイスの棒をでっかくしたような物を持ってて、それでバシバシ叩くんだよ!人の尻を!」
その言葉に、サバキと石割が顔を見合わせる。
「・・・その人、どんな風貌だった?特長とかさ?」
サバキの問いかけに、ダンキとショウキが顔を見合わせる。
「え〜〜と、結構彫りが深かったような・・・でぇ・・・」
「うん。あと、やたらと言葉使いを指摘してきたよ。敬語を使えとか・・・それと・・・」
二人があげる特徴を聞いて、サバキと石割が確信を得たような表情になってゆく。
「それって・・・・・・吉野の木暮さんじゃないでしょうか?」
「木暮!?何、そのヒト!?吉野の何なの!?」
石割の言葉にダンキが大声をあげた。ショウキは完全にポカン・・とした表情で固まっている。
ダンキの言葉にサバキが答える。
「ああ、開発局長らしく、昔、みどりが師事していた人だ。・・・・ん?そういえば、お前達みどりに相談したのか?」
「う〜ん・・・相談しようと思って電話したんですけど・・なんか携帯の電源切っちゃってるみたいで、繋がらないんですよ・・・本当は、直接たちばなに行きたいけど、今おやっさんと日菜佳ちゃんが、悪い夏風邪こじらせちゃってて・・・・」

164 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:20:03 ID:kTvm2wd90
ショウキの言葉にサバキは溜息をついた。
「そうか・・そいつは俺のせいかもしれないな・・・・閻魔の件で頭を悩ませてるんだろう・・・集中する為に電源切っちまってるんだろう。おやっさん達は風邪・・か」
サバキの音撃弦・閻魔は、万人向けの音撃弦ではなく、個人向けに作られた逸品だ。一般の修復技術ではどうにもならない。その為みどりでも容易には行かないのが現状だ。
「よし・・とりあえず、お前らの代理は請け負ってやる。その代わり、今出来る事をやっておくんだぞ?」
サバキの言葉に力なく頷き返すダンキとショウキだった。

トキワ荘・202号室/
ダンキは自室で黙々と、腹筋に勤しんでいた。
機械のように、黙々と・・・・・
だが、どうしても・・・・集中できない。
「101・・102・・103・・・ひゃく・・よん・・・ふぅ・・・」
変身できなくなる事が・・・こんなにも重く圧し掛かるとは思いもしなかったのだろう。
腹筋をやめ、洗面所へ移動して頭から水をかぶる。髪を伝い、水滴が肩にかかる。
鏡に映る顔は・・いつもの自分の顔だ。
いつもなら、音叉を叩けば・・・鬼面が浮かび、蒼い隈取と単角を持つ鬼に変身できた。だが、今はそれになる事が『弾鬼』になる事が出来ない。
「あぁ・・・もう・・俺どうしたらいいんだよ・・・・・」
ゴウキやショウキに言われた様に師匠に相談してみると言う手を思い出す。
だが、師匠だった鬼・・タツキは現在何処に居るか判らない。唯一判っているのは、住所の書かれていない一枚の葉書に書かれた短い文章・・・・
『結婚した』
と言う、一文と・・・・印刷された写真だけ。
その写真に写っているタツキは、髪を伸ばし、殆ど見たことの無い笑顔で夫に寄り添っていた。
もう、鬼でも猛士の一員でもない・・・タツキではなく、田上 珠音として何処かで生きている。
探してみるか?
鬼として立派にやっている報告をしに行くのなら、それもいいだろう。
だが、変身できないままで会うのは・・・

165 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:20:53 ID:kTvm2wd90
『未熟者が!変身できるようになってから出直して来い!』というセリフと、鉄拳が飛んでくるような様子を想像したダンキは、軽く身を震わせた。
とにかく、今できることはただひたすらに身体を動かして、鍛えつづけるだけである。
再び、鍛えに戻ろうかと思い、手足に重りを付けた時、アパートの前に車が走ってきて、急停車した音が聞こえた。
窓を開けてみると、壁に遮られている為にハッキリとは見えないが、車が止まっているのが見えた。
ドアを乱暴に開け、閉める音の後・・・
「よっ!と」
と言う声とともに、一番☆と書かれたTシャツ姿のショウキが壁を乗り越えて現れた。
「うわぁ!?」
「あ、ダンキ君!ちょうど良かった!朗報だよ!朗報!」
壁をよじ登ってまで伝えようとする事だ。今のダンキ達にとって重要な事だろう。
目立つ行動を咎める事無く、ダンキはその朗報が何であるかを問い詰めた。
「おやっさんと、日菜佳ちゃんの風邪が治ったんだって!」
その言葉に、窓枠いっぱいに身体をせり出して、塀の上から上半身だけを出しているショウキに詰め寄る。
「本当か!?ってことは、直接みどりちゃんに会って!」
「相談が出来るって事だよ!」
その言葉に大喜びするダンキ。ダンキはすぐさま上着を羽織ると、部屋を飛び出しショウキの車へ乗り込んだ。


甘味所・たちばな/
車を付近の駐車場に止めて、たちばなへ向かうダンキとショウキ。
これで変身能力を何とか取り戻せるかもしれない。そんな思いでいっぱいの二人は足取りも軽く、たちばなへ急いだ。



166 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:21:37 ID:kTvm2wd90
扉を開けて、久しぶりにたちばなに入るダンキとショウキ。
中では、皆が大掃除をしている最中で、入り口近くで香須実が椅子を床に下ろしている所だった。
「ういっす!」
「ちわす!」
入ってきたダンキとショウキに挨拶する香須実。おやっさんも二人に気がつき、
「お、ダンキ君!あれ、ショウキ君も〜!」
掃除をしていた手を止めて、突然の来訪者を出迎えた。
「二人揃って・・どうした?」
そして、いよいよ打ち明ける時が来た。
変身が出来なくなった事を・・・・・。
ダンキもショウキも苦い表情になり、重々しく今回の来訪の目的を告げた。
「はぁ・・・みどりさんに相談がありまして・・・・」
「わたしに?」
椅子の拭き掃除をしていたみどりが立ち上がり、自分を指差した。
「なんか、忙しそうだけど・・・ちょっとだけ時間もらえないかな?」
「なんか、ワケありみたいだね〜。じゃ、下で話を聞こうかな。明日夢君、すまないけど〜・・・ここお願いしてもいいかな?」
おやっさんが、皆と同じように掃除をしていた明日夢に後を任せ、奥へと歩き出した。
見れば、みどりや香須実や日菜佳、明日夢だけでなくヒビキとトドロキまで、大掃除に参加している。
ダンキと目が合ったトドロキが勢いよく頭を下げる。
「そういえば、トドロキ・・・エイキから昨日電話で聞いたんだけど、童子と姫の調査行ったんだろ?どうだったよ?」
「あぁ・・それなんスけど・・今みんなとも話してたんスけど、聞いてくださいよ!あいつら、無茶苦茶強くなってるんスよぉ〜」
その言葉に、驚くダンキとショウキ。
「えぇ?また出てきたならわかるけど、無茶苦茶強くなってるってのはどういうことよ?」
「なんか、変な衣装着て・・それで、怪童子と妖姫に変身しなくても・・俺達と同じくらいに強いんスよ〜」
童子と姫は、人型から怪人体へ変身することで力を増す。そして鬼へと立ち向かってくるのだが、トドロキが遭遇した童子と姫は、人型でトドロキと同等、もしくは凌駕していたというのだ。
「全く、厄介な奴らっスよ!あのスーパー童子とスーパー姫は!」

167 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:22:45 ID:kTvm2wd90
「ちょっと待て、なんだ・・・そのスーパー童子とスーパー姫ってのは?」
トドロキの言葉にその場にいた人間が全員固まっている。
ダンキの問いかけに、トドロキは狼狽しながらも、
「えぇ!?それは・・なんか強くなった童子達の事ですよ」
そんなことは判っている。皆が無言で返す。
命名。トドロキにより、謎の童子と姫は『スーパー童子』と『ス―パー姫』と名づけられる事になった。
「なんか、トドロキ君って・・・センス外れてない?」
「そうですねぇ〜。せめてもう一捻り欲しい所なんですけどぉ〜」
香須実と日菜佳が小声でトドロキのネーミングセンスを批評する。これには、流石に日菜佳も苦笑いしているが、当のトドロキは全く気がついておらず、ヒビキに「あいつら、スーパーな感じだったっスよねぇ?」と、同意を得ようと必死になっていた。
「おぉ〜い?タンキ君?ショウギ君?どうしたんだい?」
地下からおやっさんが大声でダンキとショウキを呼ぶ声が響いた。
それを切っ掛けに固まっていた空気が解けた。
「いやいや、おやっさん!俺ダンキだから!」
「僕はショウキですって!」
おやっさん特有の、わざと名前を間違えて呼ぶ事に、律儀に反応しながら地下へと雪崩れ込むダンキとショウキ。
その後に続き、みどりとトドロキが。最後にヒビキが、
「少年!あと、よろしくな」
明日夢にいつものポーズを飛ばしつつ、皆の後を追い地下へと下りていった。

地下・猛士の間/
「じゃぁ〜、木暮さんのせいで変身できなくなって言うのかい?」
事の顛末を、包み隠さずに話したダンキとショウキ。
自らが風邪で寝込んでいた時に、そんな事が起きていた。それを知ったおやっさんは、大いに驚きながらも、再度確認した。
「そ〜なんすよ!俺たちあの人が作った新兵器の実験台になったんすよ!・・・それを使えば・・・もっと強くなれるからって・・・・」
ダンキがその問いかけに、興奮気味に立ち上がりながら再度、何があったかを簡潔に説明した。
それを使えばもっと強くなれるから・・・・
つい先日、自分の力不足を嫌と言うほどに痛感させられたダンキとショウキ。
そんな彼らが、更なる強さを求めていた事を知っているおやっさんは、ダンキの言葉に虚空を見つめながら腕を組んだ。

168 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:23:22 ID:kTvm2wd90
「ところがぜんぜん失敗作で・・」
その後をショウキが続ける。鬼になれなくなっちゃって・・・と、心底困った表情でおやっさんとみどりに言った。
僅かに沈黙が続き、事の内容を聞かされたみどりが、ようやく重い口を開いた。
「本当なの?ちょっと・・信じられないんだけど・・・」
さもありなん。
みどりにとっては、件の人物『木暮耕之助』は師匠でもある人物だ。
『口はうるさい人だけど、尊敬できる人』
そんな人物が、二人の鬼から変身能力を奪うような事をしでかした。にわかには信じられないのもムリは無い話である。
目元を押さえ、考え込むみどり。
だが、そんな重い雰囲気を踏み潰すかのような足音が響き渡った。
ドス!ドス!ドス!と、階段を下りて近づく足音。そして・・・
「 馬 鹿 者 ど も が ぁ ! 」
怒号と共に現れたのは件の人物、木暮耕之助。
明らかに今までの会話は筒抜けであったようで、顔には怒りが浮かんでいる。
「木暮さん!?」
駆け寄るおやっさんを意にも介せずに、一直線にダンキとショウキの元へ詰め寄る木暮。
ダンキとショウキは以前の恐怖が蘇ったのか、直立不動になった。
「お前達!日頃の鍛錬が足りないのを棚に上げ、私のせいにするなんて・・・情けない!」
怒りを含んだ言葉で、ダンキとショウキを詰ると背中から、ダンキ曰く、アイスの棒をでっかくしたような物=警策を取り出した。
それを見たダンキが、恐怖に引きつった顔になる。だが、そんなものは何にもならず、木暮が警策を振るった。
「情けない!情けない!情けない!」
ダンキを叩き、ショウキを叩き、またダンキを叩く。
「情けない!馬鹿者!馬鹿者!馬鹿者ぉ!」
流石に堪らず、その場から逃げるが、その後を追いながらも木暮が尻を叩きつづける。
これ以上尻を叩かれないように壁を背にしながら、木暮から逃げる。
「とっとと出て行け!鍛えなおして来い!!」
もはや問答無用・・・とばかりに、ダンキとショウキに退席を命じる。
これ以上逆らえば、また気絶するまで叩かれかねない。
「ほいじゃ!」
お決まりのポーズを決めながら、逃げるように階段を上ってゆくダンキとショウキ。

169 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:24:26 ID:kTvm2wd90
階段を駆け上がり、通路を抜けて店内に飛び込んでようやく一息つく。
「ダンキさん!?」
「ショウキさん・・・・今、木暮さんがいらっしゃって下りていったんですけど・・もしかして・・・木暮さんに?」
日菜佳が恐る恐る、ショウキに近づきながら問い掛ける。
ショウキは、もう嫌だ・・というような表情で肯定し、堪らず椅子に座り込む。
「せっかく、みどりさんに相談できるかと思ったのに・・台無しだよ!」
その言葉にダンキも、
「全くだよ!あぁ〜もう、あのおっさん!俺たちに何の恨みがあるってんモガ・・・」
語気を荒げて怒鳴るが、慌てて香須実がダンキの口を封じる。
「気持ちはわかるけど、落ち着いてダンキさん!聞こえちゃうじゃないですか!」
「そうですよぉ〜!何があったかは判りませんけど・・火に油を注ぐような事は言わないでくださいよぉ〜」
わかってはいるが、怒りは収まらない。
ダンキも椅子に座り込み、ダン!と机を拳で叩く。
イライラした様子で、机の木目を睨みつける様子は、見ていて恐い。
5分もそうしていただろうか・・・・
「そろそろ行こうか・・ダンキ君。出直そう・・・」
ショウキがようやく立ち上がり、ダンキを促す。
ようやく・・ようやく、解決の糸口を手に出来るかと喜んでいただけに、ダメージは計り知れない。ダンキは拗ねた子供のように微動だにしない。
だが、
「 ま だ 居 た か お 前 達  ! 」
階下から、警策を手に木暮が上がってきた。
木暮と警策を目にしたダンキは慌てて立ち上がり、入り口目掛けて走り出した。もはやパブロフの犬状態である。
「全く・・・未熟者共が」
扉から脱兎の如く掛けてゆくダンキとショウキを目にしながら、木暮は腕を組んだ。
「一体何があったんですか?」
香須実が恐る恐る尋ねるが、帰ってくるのは『責任転嫁』『未熟者』『情けない男共』と、いまいち何があったかよく判らない答えばかり。
木暮が警策を背にしまい込みながら、地下に戻ろうとすると、再びたちばなの扉が開き・・・・・


170 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:27:06 ID:kTvm2wd90
「こんにちは〜〜」
1人の来訪者が姿を現した。
その姿を見て、香須実と日菜佳が同時に声を上げた。
「安藤さん」
「千明さん」
現れたのは、安藤 千明。両手に荷物を持って入り口に立っている。
千明は、
「今、出て行ったの・・ダンキ君とショウキ君よね?何かあったの?」
逃げるようにたちばなから出てきたダンキとショウキの後姿を目撃していたのだった。
「もしかして、緊急出動か何か?あら・・・?」
次々と疑問をぶつける千明は、そこでようやく木暮を目に留めた。
「君は・・・随分とここの事を知っているようだが、猛士の一員かね?」
千明と目が合った木暮は、一歩前に進み、まるで尋問するような目つきで、千明を見る木暮。
「いえ・・・あなたは?」
「この人は・・猛士の開発局長で・・・」
「余計な事は言わなくていい!」
日菜佳が木暮の素性を説明しようとしたが、それを一喝し黙らせる木暮。
奥の通路から、おやっさんも出てきた。顔には焦りと、疲れが見えている。
千明は、おやっさんの姿を認めると丁寧に会釈をした。そして、再び木暮を見据え、口を開いた。
「ってことは、猛士のお偉いさんと言う事ですね?ちょうど良かった、お話したい事があってお伺いしたんです。実は・・・」
そして、千明の口から驚くべき言葉が紡ぎだされた。



171 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:27:46 ID:kTvm2wd90
サバキ・ベースキャンプ/
「・・・・・・何されて来たんだ?お前達」
たちばなへ出向いたが、木暮によって追い返された日から3日後のこと。
とある山中で、魔化魍・ウブメが出現し、討伐に出向いたサバキ。みごとウブメを清めた後、突然ダンキとショウキがやってきた。
「いやぁ・・・・・・」
「鍛えてないとか、精進が足りないとか・・・・・・」
要するに、何も進展が無い。
それどころか、木暮自身が現れた事を聞き、サバキは益々頭を痛めた。
そんなサバキを見て、どうしたものかと頭を痛める石割。
このままでは、以前のザンキが入院した時のように、フォローに回ったサバキが過労で倒れかねない。
「みどりさんに連絡してみましょう。事情はわかっていると思いますので・・・」
石割が携帯を取り出し、みどりの携帯に掛けた。
呼び出し音が鳴る。一回。二回。そして三回目でみどりが電話にでた。
「もしもし、みどりさん?」
スピーカーからは、何故かアカペラでシクラメンのかほりが聞こえてくる。 
「あ、石割君?今ちょっと・・・・・・あっ!」
応答するみどり。だが、その直後にアカペラが途切れた。それから数十秒後、石割の耳には、実に久々に耳にする木暮の声が鳴り響いた。
「今から私の言う場所に来たまえ!!その未熟者共も連れてな!!」
「木暮さん!?」
「いいかね?たちばなの近くの・・・・」
木暮が淡々と、どこかの場所を言い、それを慌てて掌に書き留める石割。
電話を切ると、サバキ・ダンキ・ショウキに今の会話の内容を伝えた。
「・・・と言う事は、俺も行かなきゃならんのか・・・」
「えぇ・・・それにしても何処でしょうか?」
石割が、掌に書きとめた地番を眺めるが、地番だけではそこに何があるのか判らない。
目でサバキに尋ねるが、サバキは無言で首を振り、同様にダンキとショウキに尋ねるが、サバキと同様に首を左右に振るだけだった。
「とにかく、行ってみるしかないか・・・・サバキさんと石割は休んでて!片付けは俺らがやるからさ」
そう言いながら、ダンキはテントの解体をはじめた。
「ちょっ!ちょっと待てダンキ!!俺、まだ着替えてないぞ!」

172 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:28:17 ID:kTvm2wd90
某カラオケボックス/
場所を調べて、移動した先はカラオケボックスだった。
「なんで、カラオケ屋なワケ?」
「木暮さんは、大のカラオケ好きなんです。だから、では無いでしょうか?」
入り口をくぐり、受付で、木暮が来ていないかを聞く。
店員が教えてくれた部屋番号を探し、扉を開いた。
中では、待ちきれなかったのだろう。木暮がマイクを片手に美声を轟かせていた。やがて歌い終わり、マイクを置くと、
「遅いじゃないか!全員、尻を出しなさい!!」
背中から、警策を取り出して構えた。
一人一発ずつ打ち据えられた後、とりあえず座る四人。
木暮は、腰に手を当てたまま全員をぐるりと見回すと、
「お前達、歌ってみなさい。さぁ!」
まず石割がマイクを手にした。リモコンを操作して、曲を入れる。テレビ画面には『君は薔薇より美しい』と表示され、石割は見事にそれを歌いきった。
「ふむ。流石だな。私の見込んだ通りだ」
満足げに木暮が石割を評価し、次!とダンキを見た。
だが、ダンキはショウキと顔を見合わせるばかりでマイクを受け取ろうともしない。
「・・・・・・どうした?恥ずかしがるな!!」
痺れを切らした木暮が、ダンキとショウキに喝を入れるが、
「歌下手なんで」
とダンキが断った。
木暮の目がダンキからショウキに移るが、ショウキも、
「音痴ですから」
と、やはり断った。
「仕方が無い・・後回しだな・・・」
仕方なく、回ってきたマイクを手にするサバキ。
リモコンを操作し、曲を入れて歌う。歌い終り、マイクを机に置くと、木暮が今の歌を採点した。それと同時に、携帯の呼び出し音が鳴り、
「及第点だな・・・・まぁいい、少し待っていなさい」
言って、電話の為に部屋を出てゆく木暮。扉が閉まり、ようやく緊張を解く事が出来る四人。
四人ともソファに背中を預け、グッタリとなった。

173 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:29:04 ID:kTvm2wd90
木暮が居なくなった途端、ダンキとショウキが本音をぶちまけだした。
「・・・・・・もう、嫌だよ。変身出来ないから来たのに、歌わなきゃいけないし、お尻は痛いし・・・・・・」
ショウキが頭を抱えながら、そんなことを言った。それに呼応するようにダンキも、
 「・・・・・・ああ!!もう我慢できねぇ!!あのオッサン、一発ぶん殴ってやる!!」
立ち上がり、拳と拳をガッ!と合わせながら、暴言を吐いた。
その言葉に、横合いから腕を掴み静止するサバキ。
「よせダンキ。 あの人には、あの人なりのやり方が有るんだ。辛抱しろ」
「でも、サバキさん・・・・・・」
サバキの言う事ももっともだが、既に怒りの沸点を突き破り、爆発したダンキは引き下がらない。
サバキはダンキの目を睨みながら、
「もし、木暮さんを殴ってみろ。・・・・・・お前、鬼払いだぞ」
当然脅しでは在るが、そんなことを言った。
「お・・・鬼・・払い・・・」
鬼としてあってはならない・・・そう判断された鬼が受ける、究極の処罰『鬼払い』。
当然、そのことはタツキから聞かされている。
その鬼払いを受ける自分を想像するダンキ。
「う・・・・・・解ったよ、サバキさん」
『単純なヤツ・・・』
おとなしく引き下がったダンキを見て、心の中で笑うサバキ。
そうこうしているうちに、木暮が戻って来た。しかし、その表情は先ほどと比べ、険しくなっている。
ソファに座り込み、こめかみを押さえる木暮を見て、石割が何事かあったのか・・と尋ねた。
「トドロキが、私の装甲声刃を勝手に持ち出したらしい」
「装甲声刃って、あのときのインチキな剣?」
ダンキが聞き覚えのある名前に反応して、思ったことを口にしてしまった。
青ざめるショウキ。ヤレヤレといった表情のサバキ。どう反応していいのかわからないような表情の石割。そして、その三人の反応を見てからようやく、自分の失言に気がつくダンキ。
また、警策で打ったたかれる!
思わず身構えるが、意外にも警策攻撃は行われる事は無かった。

174 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:33:00 ID:kTvm2wd90
「トドロキだけでなく、ヒビキまで変身を解かれ、挙句に装甲声刃を奪われたらしい」
「本当ですか!?」
サバキが、木暮の言葉に反応する。
「下手をすれば、魔化魍側に吉野のテクノロジーを解析されてしまうのでは?」
「幸か不幸か・・・あの装甲声刃は・・・・誰にも扱えない代物と言う事が判った。奴らにも今すぐにどうこう出来るとは思えんが・・・早急に手を打たんといかん」
誰にも扱えない代物・・と口にするとき、苦渋の表情をする木暮。 先ほどのダンキの失言に反応しなかったのは、その為であろう。
「私は、対策準備があるから、これで失礼する・・・・ダンキ、ショウキ」
木暮は、立ち上がりリモコンを操作して一曲の歌を入れた。そして、ダンキとショウキの目を見据えて、変身能力を取り戻す方法を教えた。
「歌いなさい、心から!お前達が心を震わせるまで歌えば、きっと身体は応えてくれる筈だ!!」
そう言って、目が合った石割の肩を力強く叩き、部屋から出て行ってしまった。
テレビ画面には、『少年よ』という題名が表示され、雄大なイントロがスピーカーから流れ出した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ンンッ・・・・・・なあ、ダンキもショウキも、知らない歌だろうから、一回お前が歌ってやれ。・・・・・・俺も知らない歌なんだ、スマン」
「そうですね。解りました」
マイクを取り、歌詞ガイドに合わせて歌いだす石割。ダンキとショウキも覚悟を決めたのか、半ば諦めた様子で歌詞テロップを見つめ、石割の歌声に耳を傾ける。



175 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:33:56 ID:kTvm2wd90
 『少年よ』
 
  布施明
作詞 :藤林聖子
作曲 :佐藤俊彦

まるで透明に なったみたい
ぜんぶ 自分をすり抜けていく
そんなふうに 感じていたのかい?
少年よ 旅立つのなら
晴れた日に 胸を張って・・・

Hit the beat!Keep your beat!

心が震える場所 探して

Hit the beat!Keep your beat!

誰にも出来ないこと 見つけ出せ
それが君の HIBIKI



176 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:35:29 ID:kTvm2wd90
歌い終えた石割がマイクを置くと同時に、ダンキとショウキは惜しみない拍手を送った。
「良い歌だなぁ」
「この歌なら、歌いこなせれば変身出来るのも納得です!」
先ほどの諦めた様子は何処へ行ったのか、やおらやる気になったダンキは、壁に掛かっていた二本目のマイクを引っつかむと、
「よっしゃ!ショウキ!歌詞覚えてる内にやろうぜ!」
「OK!石割君、悪い所あったらバンバン言ってね!」
リモコンを操作し、『少年よ』を入れて歌いだすダンキとショウキ。
心を込めて歌っているのだろうが・・・・
「ダンキさん、ショウキさん・・・・・・音痴ですね・・・・・・・」
「石割・・・指導してやれ。なんか、このままじゃ100回歌っても、元には戻りそうに無いぞ・・・・」
サバキの呟きに、石割は「そうですね」と言って、一回目を歌い終えたダンキとショウキに指導を始めた。
「ショウキさん!それじゃ駄目です!Hit the beat!Keep your beat!が、ひっザビー金曜日!になってます!」
「了解!」
「ダンキさん!恥じらいを捨ててください!!」
「よっしゃぁ!」
二回目――――
「やっぱり、金曜日って聞こえます!発音は正しく!!」
「押忍!」
三回目――――
「ダンキさん!?それじゃただ怒鳴ってるだけです!今ので10点は損してますよ!」
「10点!?」
だんだんと指導の方向性がおかしくなってきた。
そもそも、心を振るわせるほどに歌うのが趣旨のはずなのだが、点を取る歌い方の指導になっているような気がする。サバキは、そんなことを感じながら、指導に励む石割を眺めた。
『そういや、水泳で鍛えた時・・・石割に指導して貰ったら・・こんな感じだったな。タイムを一秒無駄にしてるとか・・・・』

177 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:36:09 ID:kTvm2wd90
ぼんやりとそんな事を思い返している内に、五回六回と歌を重ねてゆくダンキとショウキ。
石割が熱心に指導しているが、聞いてるのか聞いてないのか・・・変化の無い怒鳴るような歌声を響かせ続けている。
「そ〜れ〜が〜♪」
「キ〜ミ〜のぉ〜♪」
「「HIBIKI〜〜〜〜♪」」
そして、丁度十回目を歌い終わり、ダンキとショウキがマイクを置いた。
「ショウキ!変身能力が戻ってるかどうか試してみようぜ!」
「うん!」
言うが早いか、部屋を飛び出してゆくダンキとショウキ。
「・・・・・さて、出るか」
サバキが立ち上がり、石割に向かって言う。
「しかし、いいんですか?もし、コレでも変身できなかったら・・・また入り直しですよ?料金も余分に掛かります」
「歌うだけなら何処だって出来るだろうし、仮に変身できなくても・・・機械に頼ったからダメなんだ。自分の肉声で・・とか言えば納得するだろうさ。ああいう性格だし、二人ともな」
「そうですか・・・一応様子を見てきます!」
サバキは二人の後を追いかけ、部屋を出て行く石割の後姿を見送りながらゆっくりと後を追い、出口の前で店員に呼び止められた。
「お客さん!清算を済ませてから出てくれませんかねぇ・・・・」

人が寄り付かなさそうなビルの影で、ダンキとショウキが間を空けて立っている。
手には変身音叉と変身鬼笛。
眼鏡のフレームに音叉を当てて音を響かせる、ダンキ。
息を送り込み、音を鳴らすショウキ。
音がゆっくりと広がり・・・・不可視の波紋を宙に広がらせる。
「行くぜ、ショウキ」
「了解だよ!ダンキ君」
意を決して、それぞれ額へと翳す。

178 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:36:47 ID:kTvm2wd90
頭蓋の更に奥。脳の最も深い所に音が染み込み・・・・


瞬く間に全身へと広がる・・・・

――――額が熱い

感じ取れるのは、鬼面の感触か・・・・

懐かしいその感触を疑とせずに、感じ取った事を実として・・・・

大地に叩きつけるのは脚!

空を引き裂くのは腕!

やがて隆起して姿を現す石の錐。

そして渦巻く暴風の壁。

人の姿を覆い隠すほどに現れたソレは、瞬く間に周囲を薙いで行く。



179 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:37:27 ID:kTvm2wd90
そして実に一月振りに・・・

『ウゥゥゥゥラァァァアアアア!』
『フゥゥゥゥ・・・・ハアッ!』

纏った石を弾き飛ばし、纏った暴風を切り裂いて・・・・

弾鬼と勝鬼が、その姿を日の下に現した。

『やったぁ!!』
『あぁ!俺たち鬼に戻れたぜ!ハハッ!早速おやっさんに連絡しなきゃな!』
鬼の姿のままではしゃぎ回る弾鬼と勝鬼。
石割も無事鬼に戻れた二人を見て祝福した。
「おめでとうございます!弾鬼さん!勝鬼さん!」
『うん、有難う石割君!石割君の指導のお陰だよ』
『ホントホント!サンキュ〜石割ちゃ〜ん』
二人は久しぶりに変身できたせいか、中々顔の変身を解かない。そうこうしている内にサバキもやって来た。
「お!うまくいったようだな・・・」
『サバキさん、ホント迷惑かけちゃってごめんなさい』
『そんかわり、今度こそ俺たちが皆の分まで頑張るよ!』
サバキにも礼を言う勝鬼と弾鬼にサバキは笑い、
「そうか、期待してるぞ・・・・・ココの支払いの方もな」
カラオケボックスのレシートを突きつけたのだった。

180 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:39:17 ID:kTvm2wd90
翌日

都内某所・廃ビル/
蛮鬼は奇怪な泣き声をあげながら、縦横無尽に飛び回る一本足の魔化魍・ゴギャナキに苦戦していた。
『っ!くそっ!ジッとしていろ!』
刀弦響を振るい下ろすが、悉くかわされてしまっている。
壁をも足場とし、反動をつけて蹴りを放ってくる。慌てて刀弦響でガードするが、勢いを殺しきれずに吹き飛ばされた。ガラスが割れ砕け、フレームだけとなった扉をスクラップに変えながら外へと吹っ飛ばされる蛮鬼。
『っぅ・・・くそぉ・・・こんな魔化魍初めてだ・・・僕の知らない魔化魍だなんて・・・・』
ゴギャナキはピョンピョンと飛び跳ねながら外へと出てくると、ぶるぶると身体を震わせて・・・・三体に分裂した。
『ぶ・・分裂!?そんな、夏の魔化魍だって言うのか!!』
三体に分裂したゴギャナキは蛮鬼目指して突っ込んでくる。
『音撃棒は持ってきていない・・・・弦で倒せるのか・・・こいつ等』
刀弦響を背に回し、身を低くして構える。繰り出される攻撃に合わせ、鬼刀術・抜刀閃を繰り出した。刀身がゴギャナキの皮膚を滑り、その身を切り裂いてゆく。
だが、体の中心部から不自然に突き出た金属片のような物に刀身が食い込んだ瞬間・・・刀弦響はピクリとも動かなくなった。
『何ッ!』
押しても引いても動かない。よっぽど深く食い込んだのだろう。
『なら、ダメで元々!』
音撃震・地獄をセットし―――
『音撃斬!冥府魔道!』
弦を爪弾いた。
鬼石を介して清めの音が流れ込み・・・・ゴギャナキの身体を爆発四散させた。
『・・・・成功した?』
ダメもとで行った音撃斬で清めれた事に驚く蛮鬼。
だが、残りのゴギャナキは倒された仲間を見るや否や、一目散に逃げてしまった。
『あっ!待てっ!戻って来い!』

181 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:40:31 ID:kTvm2wd90
凄まじい勢いで走り去ってゆくゴギャナキの背を追っていると、唐突にゴギャナキの内の一体が蛮鬼目掛けて吹っ飛んできた。
『うわわわわわっ!』
つい、反射的に避けると、ゴギャナキは地面にバウンドしてようやく動きを止めた。
『何だ・・・今のは一体・・・』
蛮鬼が周囲を見回すと・・・
『何処見てんだよ!こっちこっち!』
『鬼さんこちら!手の鳴る方へ・・ってね』
ゴギャナキが吹っ飛んできた方角から、弾鬼と勝鬼が現れた。
『・・・・貴方達だって鬼じゃないですか・・・・戻れたんですね・・・でも、どうしてココに?』
逃げ損ねたもう一体のゴギャナキを勝鬼が蹴り飛ばす。
同じように吹き飛ばされ、地面に激突した。
『おやっさんからのお願い・・っていうか罰・・?』
『僕ら皆に迷惑掛けたでしょ?今週はずっと他の皆の所にお手伝いさ!今日は蛮鬼君の所ってワケ』
蛮鬼の横に移動してきた二人が、事の次第を説明した。
『小型って事は・・夏の奴か?』
『じゃ、僕の管じゃ清められないね・・・』
相手を見て、瞬時にどちらが対応するかを段取る二人。そんな二人に蛮鬼が、
『いえ・・・そうでもありません』
今起きた出来事を説明した。
『敵も健在です。掻い摘みますが、ヤツらは改造された魔化魍だと思います。見てください!今までの魔化魍には無かった、金属的なモノがあります。アレは明らかに何者かの手が加わったようなモノ・・と思うんです。
僕の音撃斬が利いたのは・・純粋な自然の力を用いた魔化魍ではなく、手が加わった事で、内律が狂った為だと思います』
『良くわからないけど、つまり音撃管でもイケるってことだな?』
『・・・まぁ、そういうことです』
『なら、勝鬼!かたっぽ頼むぜ!』
『了解!』

182 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:41:12 ID:kTvm2wd90
勝鬼は台風を片手に、ゴギャナキに肉薄した。台風を撃ち、距離を詰める。それを跳躍でかわし、勝鬼の頭を飛び越すゴギャナキ。だが――
『甘いよっ!』
素早く自身も跳躍し、足元に風を巻きつかせオーバーヘッド気味の蹴りを喰らわせた。
『へへっ!変身できない時の鍛えも、無駄じゃないんだ!』
地面に転がるゴギャナキに、素早く鬼石を打ち込む勝鬼。
音撃鳴・風束をセットし・・・・大きく息を吸い込んだ。そして――――
『音撃射・暴風一気!』
発射される清めの音。
埋め込まれた鬼石が、反応し赤く光り輝く。ゴギャナキの内部を掻き混ぜくる清めの音に、のた打ち回るゴギャナキ。

神風の名を持つ音撃管・台風を繰るのは、勝ち風を呼び起こす鬼。

空巻く風を力とし・・今荒れ狂う。


ここに、勝鬼は完全に復活を遂げた。


183 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:41:53 ID:kTvm2wd90
弾鬼は音撃棒・那智黒を肩に構え、ゴギャナキと対峙した。
『随分素早そうじゃ〜ん?』
弾鬼は身を低くし、一気に地を駆けた。
下から救い上げる一撃を、一本足のステップでかわすゴギャナキ。だがそれを追うように自らも飛び、その脳天に那智黒を叩き込んだ。
地面に叩きつけられ、崩れるゴギャナキ。その背(?)を脚で踏みつける弾鬼。
『丸一月やってなかったんで、力の加減がわかんねぇけど・・・』
御影盤を取り外し・・その背中に叩きつけた。
『覚悟しやがれ!』
展開し、光り輝く鼓となる。
『音撃打・破砕細石の型!おぉぉりゃぁぁぁあ!』
那智黒を連続で叩きつける弾鬼。

鼓に叩きつけられては、弾けるように中空に戻り、再び叩きつけられる鬼石。

一月の沈黙を弾破するかのように音を響き鳴らすのは・・・・・弾ける鬼。


ここに、弾鬼は完全に復活を遂げた。


184 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:42:32 ID:kTvm2wd90
数日後/
山海だけでなく、町にも平然と魔化魍が出現するようになって暫く経ったころ。
ダンキとショウキは、おやっさんに呼び出された。
たちばなの地下、猛士の間でおやっさんから呼び出された理由を聞いた。
「疲れてるだろうに、すまないねぇ〜」
「俺らは平気だよおやっさん!な、ショウキ?」
「うん。まだ有り余るくらいですよ!」
おやっさんの言葉に、力瘤を見せるポーズで返すダンキとショウキ。それを見ておやっさんも「頼もしいねぇ」と笑った。
「実はね、吉野の本部から通達がありまして、今回の騒動・・・街に魔化魍が現れる事に関して十分な体制を取るようにとあったんだよねぇ」
街に魔化魍が現れる以上、万全でなければ、被害を食い止める事は出来ない。
ダンキとショウキは、深く頷いた。
「そこで、君たち二人は・・・特定のサポーターさんをつけていなかっただろう?こちらとしては、君たち鬼には魔化魍退治に専念して貰いたいんだよ・・」
「ふんふん」
「でも、僕らお互いがサポーターみたいな事をし合ってるけど・・・・」
「うん。今まではそれで良かったんだけどね・・・現状、そうも行かなくなっちゃってるんだよねぇ・・・・そこで、君たち専属のサポーターさんをつけることになったから、顔合わせをして貰いたくてね、来て貰ったんだ」
「えぇ!」
「僕達に専属の?」
正に寝耳に水である。だが、それ以上何も言わないのを確認してから、
「どうぞ〜入って〜」
扉の向こうに向かい声を張り上げるおやっさん。
やがて、扉がゆっくりと開き・・・・・
「・・・え?」
「・・えええ?」
一人の女性が入ってきた。

185 :番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻 :2006/10/11(水) 21:43:47 ID:kTvm2wd90
髪は流れるような黒髪を、ポニーテールに纏め上げ・・・・

細身な身体には、猛士支給のウェアを身につけている・・・

気の強そうな目を二人に向けて・・・・・

「今日から、お二人のサポートをすることになりました、安藤 千明です。不慣れな部分もありますが、精一杯頑張りますので、よろしくおねがいします!」

安藤 千明がゆっくりと頭を垂れた。

「ええええええええええええええええええええ!!」
「ええええええええええええええええええええ!!」

たちばな中・・いや、柴又中に響き渡るのでは無いだろうか・・と言うくらい大きな声を上げて驚くダンキとショウキ。

「父上〜!何事ですか〜〜!!」
日菜佳が凄まじい勢いで上から降りてきた。だが、ダンキ達にはそんな事は目にも映らない。

ショウキの表情は、驚きと、どこか嬉しそうな表情が。

そして、ダンキの顔には100%驚きの表情が浮かび上がっていた。

番外編『仮面ライダー弾鬼』六之巻『呼び戻る声』(後)  終

186 :番外編『仮面ライダー弾鬼』七之巻  予告:2006/10/11(水) 21:49:12 ID:kTvm2wd90
「そこは、ご安心を!しっかりと吉野で研修積んできたから!ほら、開発局の丸山さんから貰った、機動専用の音叉!これでバッチリサポートできるわよ!」
『それだけじゃなく、みどりちゃんと明日夢君の行方も判らなくなっていると、桐矢君が言っていたんだよ・・』
「みどりちゃ〜〜ん!明日夢〜〜〜〜〜!何処だ〜〜〜〜〜?」
『行くよ!弾鬼君!鋭鬼君!』
『音撃打・必殺必中!』『連撃の型ァ!!』

番外編『仮面ライダー弾鬼』七之巻  『阻む音』

187 :凱鬼メイン作者:2006/10/11(水) 23:19:25 ID:n8/s6Kiy0
弾鬼SS、キタ━━━(´∀`) ・ω・) ゚∀゚) ・∀・) ゚ー゚)  ̄ー ̄) ━━━!!!

クロックアップお疲れ様ですw
ぜひとも上司からハイパーゼクターを奪っちゃってくださいwww
千明ちゃん、とうとうサポーターに成りおったかw
これからの活躍に期待大!!
そろそろ拙作の方でも十五〜十六之巻あたりで新キャラ出す予定・・・。

188 :弾鬼SSの筆者:2006/10/11(水) 23:54:10 ID:kTvm2wd90
>>153にて竜宮さん宛のコメントに「さま」が抜けていました。申し訳ございません。
呼び捨てなんて、何と恐ろしい真似を・・・・

>>凱鬼メインさま
早速のレス、有難うございます。
ハイパーゼクターは奪う前に壊されましたw
お前の未来を壊してやったゾ〜!とか、錯乱気味に言ってました。多分上司も疲れてるんでしょうw
新キャラ、楽しみに待っていますね!

>>斉藤真斗芽さま
いつも更新お疲れ様です。
今回のSSもしかしたら今までで一番長いような気がします。更新の際、お手数を掛けると思いますが、よろしくお願いします。

>>用語集サイトさま
今回も、用語集のお世話になりました。自分で作った設定忘れてる辺り切腹モノですが、非常に助かりました。今後ともお世話になります。



189 :DA年中行事:2006/10/12(木) 19:55:27 ID:avU43Rqe0
おおお、弾鬼SSさん、待ってましたよ!!
放送した本編と、裁鬼SSさんの話との絶妙な絡み、お見事です。
ドキドキワクワクテカテカしながら、ボリュームある六之巻をひと息に読みました。
戦闘シーンに迫力があって、羨ましい限りです。だぁぁぁー、もう、俺も頑張らないとっ!
千明ちゃん、サポーター就任おめでとう!タンキなダンキさんと勝気なショウキさんに挟まれた
新米サポーターの運命や如何に?
七之巻、期待してます!!

190 :高鬼SS作者:2006/10/12(木) 21:15:17 ID:HVRpengV0
一本投下させていただきます。
過去の因縁めいた話をやりたかったので久々にモチヅキ先生に登場していただきました。
…GUN道ネタを入れてみたかったというのもありますが。
それではどうぞお付き合い下さい。

>>弾鬼SS筆者様
新作、お待ちしておりました!
拙作のコウキさんももうちょっと暴走させた方が良いかなぁと読んでいて思ったり。

京極の新刊を読んでいるうちにスレに色々な新作が投下されてて嬉しいやら何やらw
全部の感想書けなくてスイマセン。

191 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:16:36 ID:HVRpengV0
1976年、葉月。
医務室で一人の男が手当てを受けている。関西支部所属の鬼、セイキだ。
手当てを終えた医師のモチヅキがセイキに何があったのか尋ねた。
「いやね、バケネコが出たって聞いたんで俺とドキの二人で向かったんですがね……」
セイキはその時の出来事をつぶさに語り始めた。

俺とドキ、まつの三人はバケネコが出たっていう書写山に行ってきたんですよ。
書写山、知ってます?そうです、姫路の。
あそこには西国霊場の二十七番札所もあるし、霊的な力で魔化魍もそんなに強くないと、そう高を括ってたわけなんです。
で、実際に現地に行って式神で周囲を探索してみたら、確かにバケネコが湧いていた。でもね、おかしいんですよ。
――居ないんですよ、童子と姫が。どれだけ探しても。
ね、変でしょ?しかもそれだけじゃない。バケネコの親も居ないんだ。だのに、後から後から湧いてきやがる。
俺達二人だけで五〜六十近くは倒しましたよ。けど疲れがきて、とうとう俺が深手を負っちまって撤退したってわけなんです。

モチヅキは黙ってセイキの話に耳を傾けていたが、途中から何やら考え込んでしまった。どうしたのかとセイキが尋ねる。
「……いや、君達が出撃したのは書写山なんだよね?」
「そうですよ?兵庫から奈良まで戻ってくるのは結構面倒でしたよ。でも……」
「そんな事はどうでもいいよ。悪いけど詳しい場所を教えてくれないかな?書写山のどの辺りかを……」
怪訝に思いながらも具体的な場所を教えるセイキ。
「君達が戻ってきたという事は代わりに別の誰かが行くんだよね?誰?」
「俺達と入れ替わりにコウキさんが行くみたいですよ。さっきまで研究室に居たみたいですから、まだここに居るんじゃないですかね?」
という事は今駐車場の辺りか。
「手当ては終了。もう帰っていいよ」
「え?ちょっと先生、何処行くんですか!おーい!」
モチヅキはセイキを残すと足早に医務室から出て行ってしまった。

192 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:18:04 ID:HVRpengV0
モチヅキが運転する車に乗って、コウキは一路姫路へと向かっていた。
「しかしどういう風の吹き回しです?先生が自分から同行するだなんて……。医務室までほったらかしにして……」
助手席に座ったコウキが尋ねる。それに対しモチヅキは暫く逡巡していたのだが……。
「う〜ん……。まあ隠すわけにはいかないな。実はね、まだ僕が現役でそろそろ引退かなって頃の話なんだけど……」
丁度コウキが「と」から「角」、即ち鬼に昇格したぐらいの頃の話である。
「あの日、僕は他の鬼達と一緒に書写山へバケネコ退治に向かっていたんだ。童子と姫、それに子どもを倒して残るは親のバケネコだけだった……」
その親を倒したのがモチヅキだったらしい。
「でもね、厳密に言うと倒してなかったんだよ」
「は?」
「音撃じゃなく普通の鬼闘術で倒したんだよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。魔化魍は清めの音でないと倒せない筈でしょう?いつぞやかのノブスマじゃあるまいに……」
困ったように笑いながらモチヅキが答える。
「うん、そうなんだけどね……。何故かそれでそのまま爆散しちゃったんだよ。僕も気になったんだけど蘇る気配も無かったからそのまま放置しておいたんだ」
そういう訳で報告もしてないよ、とモチヅキは言う。
その事に関してはいつしか忘却の彼方へと消えてしまった……筈だった。セイキの話を聞くまでは。
「あの時僕達が戦ったのと全く同じ場所にバケネコが出た。しかも何か妙らしい。だから気になってしまってね……」
「それで私に同行すると……」
「足手纏いにはならないつもりさ。改めて宜しく頼むよ」
その日の夕方には二人は現場へと到着する事が出来た。

193 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:19:42 ID:HVRpengV0
セイキ達が戦った場所へと向かうコウキとモチヅキ。
夕焼け空は小焼けへと変わり、日暮れへと差し掛かった頃、バケネコ達が姿を現した。明らかにこちらに向かって威嚇行動を取っている。
二人はそれぞれの変身音叉を取り出し、近くの木の幹に当てて鳴らすと額へと翳した。
近くにある円教寺の鐘の音が山野に木霊した。それと同時にコウキの体が炎に、モチヅキの体が光に包まれる。
「破っ!」
鐘の音の余韻が残る中、気合一閃、それぞれ炎と光を払い高鬼と望月鬼がその姿を現した。
襲い掛かってくるバケネコ達。それぞれ音撃棒を構えて迎え撃つ二人の鬼。
繰り広げられる死闘。鳴り響く清めの音。
最後の一匹を倒した高鬼が望月鬼に話し掛ける。
「行きましょう。バケネコは日が沈んでからの方が調子が良くなる。このままだと……」
言うまでもないが猫は夜行性である。バケネコもまた然り。
「言われるまでもないよ。……だんだん思い出してきたぞ。ここからもう少し奥へ進んだ所で僕はバケネコの親と戦ったんだ……」
二人は周囲を警戒しながら、奥へと進んでいった。

途中、樹上や木陰から襲い掛かってきたバケネコの群れを撃退しながら二人の鬼は黄昏刻の山道を駆けて行った。
「物凄い数だな。ドロタボウどころの騒ぎじゃないぞ」
高鬼が愚痴るのも無理は無い。夏の魔化魍は種類によって分裂の度合いが異なるのだが、バケネコがここまで増えたという話は聞いた事が無い。セイキとドキが倒した分も含めると、異常なまでの増加数である。
「……またあの連中が関与しているのでしょうか?」
「異常ではあるが現段階では何とも言えないよ。……ほら、もうすぐだ」
嘗て望月鬼がバケネコの親と戦った場所。そこには……。
「何だ、これは……?」
一本の大きな、見たことも無い植物が生えていた。

194 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:21:13 ID:HVRpengV0
その植物は、異常だった。
何が異常かと言うと、兎に角その全てが異常だったとしか言えない。
まず大きさ。成長途中の巨大魔化魍にも匹敵する程の大きさで、その茎も成人男性の胴回りよりも太い。
そしてこの植物から放たれている禍々しいまでの邪気!
邪気の影響か、周囲の植物の多くが枯れてしまっている。そしてこの植物のみ黄色い大きな花を咲かせているのが一層不気味だ。
その花を見ながら望月鬼が呟く。
「あの花は見た事があるぞ。何だったかな……」
とりあえず二人はもう少し近付いてみる事にした。と、次の瞬間信じられない事が起こった。
突然植物に実が生ったのである。その実とは……。
「南瓜……?」
「ああ、そうか。何かで見た事があると思ったら南瓜の花だったのか」
南瓜はみるみるうちに大きくなっていき、人間が一人入れるくらいの大きさまで成長すると、鈍い音を立てて地面に落ちた。
その中から。
「ミアオオオオオオオオオ……」
鳴き声と共にバケネコが出てきたのである。粉々に砕けた南瓜はあっという間に塵と化し、地面に還ってしまった。
次々と南瓜の実が生り、成長と同時に落ちて、バケネコが生まれていく。この余りにも非常識な事態を目の当たりにして絶句する高鬼と望月鬼。
「せ、先生……これは……」
漸く高鬼が口を開いたものの、全くもって言葉にならない。
「……うん。こんなの僕も初めてだが、しかしバケネコ発生の謎はこれで解けた。後はあの植物を始末するだけだ」
「なら私の炎の出番ですね」
音撃棒・大明神を構えながら高鬼が一歩前に出る。それを見て唸り声を上げながらバケネコ達が威嚇をしてくる。
さらに彼等の背後からも多くのバケネコが現れた。
「くそっ!何匹生み落としているんだ!」
一斉に飛び掛ってくるバケネコ。複数のバケネコに組み付かれると同時に高鬼は「紅」へと変身した。空気が爆発し、バケネコ達が吹き飛ぶ。
それが合図となり、その場に居た全てのバケネコが高鬼紅と望月鬼に襲い掛かってきた。

195 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:22:49 ID:HVRpengV0
「大明神」の一撃でバケネコを次々と粉砕していく高鬼紅。しかし倒しても倒しても次のバケネコが湧いてくる。
「あの植物へ!あの植物へ一撃を叩き込めれば!」
だが数匹のバケネコに取り囲まれて近付く事が出来ない。
「とああああ!」
望月鬼が跳び蹴りを放ち二、三匹のバケネコを纏めて吹き飛ばした。
「……しょうがないな。あれを使うか……」
そう言うと自身の音撃棒・残月を片方だけ装備帯に戻し、もう片方を両手で持って上段に構える望月鬼。 
「残月」の露草色の鬼石に、淡い光が収束していく。
「高鬼くん、どきたまえ!最終奥義を使う!」
その言葉を聞き、慌てて後退する高鬼紅。望月鬼の最終奥義の名は噂で幾度か耳にしている。引退してから一度も使った事は無いとも聞いているが……。
「十年振りかな。上手くいけば良いんだが……」
突然周囲を闇が包み、さらに望月鬼の背後に蒼色に輝く大きな満月が現れた。
「……え?」
あまりにもぶっ飛んだ展開に言葉を失う高鬼紅。
「鬼棒術・月光剣!でやああああああ!」
「残月」を縦に振り下ろし、更に横へと薙ぐ。鬼石の先端から放たれた光線が複数のバケネコを纏めて斬り裂き、背後に聳えた植物をも焼き払った。
光り輝く満月を背負った望月鬼が軽く「残月」を振ると、光線は消えた。それと同時に周囲を包んでいた闇も消える。
空には星が煌き、月光が優しく地上のものを照らしていた。
月明かりの下で、体を真っ二つにされたバケネコ達が蠢いている。当たり前の事ではあるが、音撃でなければ完全には倒せないのだ。
高鬼紅が望月鬼に駆け寄る。開口一番。
「何故後ろに月が!?」
望月鬼はわざとらしく「う〜ん」と言いながら少し考え込むと。
「カッコイイからかな?」
そう言って高鬼紅の肩をぽんぽんと叩いた。
「さて、残った子猫ちゃん達を片付けようか」
「残月」を手に、望月鬼は満身創痍のバケネコの群れに突っ込んでいった。

196 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:24:18 ID:HVRpengV0
全てのバケネコを退治し終え、帰路につくコウキ。しかし望月鬼だけは「野暮用があるから」とその場に残ったままだった。
先程までの戦闘が嘘のように周囲は静まり返っている。完全に焼けて崩れ落ちた植物の生え跡に向かって、静かに語り掛ける望月鬼。
「……こんな昔話を聞いた事がある。盗みがばれた飼い猫が、逆恨みしてそれを暴いた相手を殺そうとして返り討ちにあった。その死骸は庭に埋められた」
「残月」を上段に構えながら話を続ける。
「その後、猫を埋めた場所から南瓜が生えてきた。その中にはびっしりと……」
――猫の毛が詰まっていた。
「南瓜は猫の死体から生えてきていたんだ。毒南瓜を食わして怨みを晴らしてやろうとしてね……」
鬼石に光が収束していく。
「この話は日本各地に分布している。ただの昔話としてではなく、最初から魔化魍と関連付けて考えるべきだったよ」
そう言うや否や、月光剣を大地に向けて振り下ろした。眩い光とともに熱で地面が抉られていく。
「……出て来いよ。あの日の決着を付けよう」
怪植物の生えていた跡の地面から、半ば屍人の様に体が崩れた親のバケネコが絶叫と共に飛び出してきた。
バケネコに向かい駆け出していく望月鬼の手には音撃鼓・満月が握られている。
バケネコの爪による攻撃を躱すと、間髪入れずその体に「満月」を貼り付けた。
そして。
「音撃打・月下夜想!」
二本の「残月」により奏でられる清めの旋律が、今度こそバケネコを無へと還すべく、その体を駆け巡っていく。
「ギニャアアアアアアアアアア!」
激しい悲鳴と共にバケネコの体は爆発し、塵へと化した。
顔の変身を解除し、一息吐くモチヅキ。
「一日に最終奥義を二度も使うと……流石に身体に応えるな」
と、そこへコウキが慌てて駆けつけてきた。
「先生、今の悲鳴は!?」
それに対しモチヅキは静かにこう告げた。
「……過去の忘れ物を回収していただけだよ。さあ帰ろう」

197 :仮面ライダー高鬼「月下の昔話」:2006/10/12(木) 21:24:54 ID:HVRpengV0
後日コウキが聞いた話によると、月光剣を使う際に背後に満月が浮かぶのは一種の幻術によるものらしい。ただ、モチヅキは呪術、幻術に長けた鬼ではないため使用するとかなり体力を消耗するようだ。
最終奥義とされているのは威力だけではなく、そういう理由で滅多に使えないからというのもあるらしい。
かの有名な陰陽師、安倍晴明は藤原道長への呪いが瓜に掛けられていた事を見破った。二つに割られた瓜の中からは蛇が出てきたと「古今著聞集」に記されている。
果実と呪いに纏わる話は他にも探せばある事だろう。怪しげなものには手を出さない、それをゆめゆめ忘れる事なきよう……。 了

198 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/12(木) 22:38:35 ID:3Bnu/j2d0
ええと……
本編がまだ書き終わらないので……
六月頃に3番まで投下した「猛士中四国支部の歌」の4番を投下します。


猛士中四国支部の歌 4番

  歌/猛士中四国支部音劇隊

--------------------------------

幾百度目か春巡り 歴史の花よ 繚乱と
添えて咲かすは音の花 音撃戦士 わが誇り

 今日も何処かで音が響く 研ぎ澄まされし神の歌
 人も鬼も手取り合って 力をあわせて進む道

 人も鬼も手取り合って われらが猛士ここにあり



5番以降は無い予定です。多分。

199 :見習いメイン作者:2006/10/13(金) 03:43:21 ID:Lv+gpqPw0
>>弾鬼SSの筆者さん
弾鬼&勝鬼戦線復帰の描写、蛮鬼のクレバーなキャラ、鬼の変身メカニズム等々、
単純に物語として面白いのに加えて、本編、裁鬼SS、鋭鬼SSとのシンクロ率、
遊び心(トキワ荘のイシモリ先生)、等々、盛沢山でした。このSSに出会えた事を
幸せに思います。

他ストーリーとのシンクロも、単純な同期ではなく、より内容が深くなっていて、
本当に凄いと思います。昨日すぐ読ませて頂きましたが、今日もう一回読んじゃいました。

他の御作品や、解析機で遊んだ結果とか色々と書きたいのですが、今日のところは
もうお休みの時間なので、このへんで。じめじめSS四之巻を投下して寝ます。


200 :見習いメインストーリー:2006/10/13(金) 03:45:36 ID:Lv+gpqPw0
前回は>>141から。

四之巻「明かす真実」

 戻ってきたディスクアニマルを次々とディスクに戻し、折り畳んだ音叉に挟んで
回転させていたダンキが、「当たりじゃ〜ん」と呟いて山に分け入っていってから、
三〇分程が経過していた。
「オイ」
 大洋が純友に声をかけてきた。昨年の秋にダンキから助けられた、その前も後も、
たがいに話すこともなく、それは極めてめずらしい光景だった。
 純友は、テントの外に置いた折り畳み椅子に座ったまま、黙っていた。
「聞いてんのかよコノヤロー。ダンキさんが、戦ってんだ。気にならねえのか。
おれは気になるぜ。おれは──行くぜ」
 ダンキの向かった方角に歩いていく大洋に、純友は言った。
「だ、駄目だよ。危険だから絶対来るなって言われたじゃないか」
「オマエは何のためにここに来たんだ。おれは、『飛車』の見習いとして来たんじゃねえ。
鬼になりたいから来たんだ。オマエは違うのか」
「それはそうだけど……でも……その……」
「はっきりしねえヤロウだな。おれだけ怒られんのもヤダからオマエも来い」
 大洋の腕力にひきずられるようにして、ひ弱な純友の体はいともたやすく山道へと
引きずられていった。
 純友も、かつて見たダンキの鬼としての姿をもう一度見たいと思っていた。
大木の陰から、巨大な蜘蛛のような化け物の背に乗って双手の音撃棒を構えたダンキ──
蒼い隈取りと単角を持つ鬼、弾鬼の姿を見た時には、近づくなと言われていた事も忘れて、
ただその勇猛な姿に茫然と魅入るしかなかった。


201 :見習いメインストーリー:2006/10/13(金) 03:47:35 ID:Lv+gpqPw0
『音撃打・破砕細石の型!』
 弾鬼の声が、十数メートルも離れている木陰にいる二人の所にもはっきりと聞こえてきた。
 蜘蛛の背に広がった巨大な円形の鼓を、弾鬼は気合いの声を挟みつつ叩き続けた。
『おぉぉらぁぁぁあ!』
 最後に二本の音撃棒を同時に叩き込んだ後、数瞬の間を置いて、巨大な蜘蛛の黒い体が
爆発して弾けとんだ。爆発の粉塵から出てきた時には、ダンキは既に顔の変身を解いていた。
そして、まっすぐに木の下にいる二人の前まで歩いてくると、ガガン、と二人の頭を
続けて叩いた。
「いッ!」
「痛ッ!」
 涙目になって頭を抱える二人。
「危ねえから着いてくんなって言ったろうがぁぁぁあ!」
「うえぇぇん。すみませぇぇぇぇん」
「謝るくらいなら始めっから見に来んな、『銀』見習い!」
「ごめんなさいぃぃ。始末書かきますからああぁぁ」
「紙切れで済ませられる話じゃねえぞぉ!? 下手すりゃ死ぬことだってあるんだぞ!」
 登山についてこれずに音をあげても怒らなかったダンキが、大声で怒鳴った。
 気づくと、あたりはすっかり夕闇に囲まれていた。


202 :見習いメインストーリー:2006/10/13(金) 03:48:24 ID:Lv+gpqPw0
 新しいジャージに着替えてテントから出てくると、ダンキは純友に言った。
「いつまで泣いてんだ、『銀』見習い。これじゃあ俺がイジめたみてぇじゃねえかよ」
「コイツは元々涙腺がユルイんだよ」
 殴られてから三〇分ちかく経ち、すっかりけろりとしていた大洋が言った。
「お前ら」
 ダンキは二人をじろりと睨みながら言った。
「鬼になりたいんなら、命を軽く見んじゃねえ。人間なんて、簡単に死んじまうんだぞ」
「……スンマセン」
 大洋はようやく謝った。
「単なる興味本位でここに来た、なんてのは認めねえぞ。正直に話せ、『飛車』見習い。
お前はなんで鬼になりたいと思った」
 すっかり暮れかけた景色の中、テントの傍らでダンキは凄んで言った。
「病院で会った時、俺たちはお前らに聞いた。──すべてを忘れて普通に暮らすか、
すべてを知って人助けの道を生きるか。あの時、お前は真っ先に人助けの道を選んだ。
どんな考えがあって、お前は人助けをしようと思った」
 しばらく気まずそうに目をそらしていた大洋が、一瞬だけ純友を振り返ってから
言った。
「悔しかったんだよ。こんな泣き虫が、人を守るためにあそこに残ったのに、
とにかく怖くて逃げちまった自分が、情けなかったんだよ。だからおれは、
こいつより先に言わなきゃ、人助けがしたいって言わなきゃ、ってそう思ったんだ」


203 :見習いメインストーリー:2006/10/13(金) 03:49:02 ID:Lv+gpqPw0
 そして純友は、その大洋が、人を守る資格のないろくでなしで、そんな奴が人を
守る道を選んだことが許せなくて、それに対抗する意味で人を守ることを決めたのだ。
自分も、大洋も、単なる意地で鬼になりたいと思っている、大馬鹿だと思ったが──
「上出来じゃ〜ん」
 ニンマリとしてダンキは言った。
「悔しくて、情けなかった? 上等上等。人助けの理由としちゃ上等だ。
もう、そんな情けない思いはしたくないんだろう?」
 大洋への対抗心だけで鬼になりたいと思った自分は一体。純友は立場がなかった。
「わかってたぜ。あの時もお前、わざわざ危険な場所に戻ってきてたもんな」
 頭の痛みと怒られたショックで泣き続けていた純友は、ダンキのその言葉に耳を疑った。
 あの時とは、高尾で弾鬼に助けられた時か?
「一度逃げちまった自分が情けなくて、それで戻ってきたんだろう?」
(戻ってきた……?)
 純友はあの時、魔化魍になぎ倒されてほとんど意識もうろうとしていた。あの時、
大洋が戻ってきていたというのは、初耳だった。意識が戻って弾鬼の姿に気づいた
時に大洋の姿もあったので、てっきり逃げ遅れたのだと思っていたが。
「それじゃそろそろ、晩メシにすっか。今日はもう遅くなっちまったからな。
ここで一泊して、明日の朝に山を降りるぞ」
 ダンキはキャンプ用品のレトルト食品を取り出し始めた。
 レトルトのカレーを口にした時、純友は自分が空腹だったことに気づいた。

四之巻「明かす真実」了


204 :名無しより愛をこめて:2006/10/13(金) 10:59:41 ID:cWTzO206O
ウワアァァァン(><;)凄すぎるよ職人さんたち
何度か話し投下しようと思ったけれど
なにせ音楽趣味の理系野郎
文章にすると作ったキャラが生きない…

悔しいけど読んじまう!

205 :DA年中行事:2006/10/13(金) 15:42:12 ID:xqPvVXjb0
投下ラッシュで嬉しい悲鳴。きゃあああ☆

高鬼SSさん
ちょっと久し振りの高鬼さん!奇果モノとはまた、嬉しいチョイスを。
そして、読んでましたか、京極!俺も買ってはありますが、読み出したらきっと後編が書けないと思って
積んであります。これから読みます。スーパー読書タイムです(仕事ヒマなんです・・・・)。

中四国支部さん
4番まで来ましたね。もうこの際、5番、6番と行っちゃって下さいw
それにしても、本編書きながら、燃えてる写真撮ったり燃える作詞をなさるとは。GJでございます。

見習いSSさん
お、こっちのダンキさんもカッコいい!良い兄貴ぶりがステキです。
じめじめSSてw 毎回楽しみにしています。泣くな、純友!

>>204さん
是非投下を!連載されてるSSの投下も楽しみですが、新作はまた格別です。
お待ちしています!


それでは、これから番外『祈る獣』後編を投下します。
前編は、>>105から

206 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 15:45:17 ID:xqPvVXjb0

「えぇ、ごめんくださいまし」
主不在の立山家に、客が訪れたのは、御鷹を小屋の中に入れ、二人が質素な昼餉をとった少し後の事だった。
誰かしら、と立とうとするお槙を手で制し、弦次が玄関に向かった。
「もしやこちらに弦次さんが・・・・・おや、やっぱりおいででしたか」
上品な羽織を平紐で締め、縞の着物は尻端折り、浅葱の股引に旅草鞋、と旅装束の商人(あきんど)がそこにいた。
ただ、この男が普通の商人と違うのは、肩に担いでいる包みが、あまりに大きい事である。
「こりゃァ、ザン・・いやさ、佐吉さん。あにさん直々のおでましとは、畏れ入ったねェ」
佐吉、と呼ばれた男は、粋な本田髷に結った頭をひょいと下げ、大した色男ぶりの涼しい顔で微笑む。
「何、あたしもちィと用がありましてね、その帰りなんでございますよ」
そうかえ、と返事をしながら弦次は、裏へ回れ、と顎をしゃくった。
敷地の外れにある井戸端に立ち、二人の風変わりな男は、声を落として話し出した。
「お前さん、美濃では相当無理をなすったようですねぇ。『猛士』の鍛冶方が角を生やしておりましたよ」
佐吉が肩から包みを下ろし、ずっしりと重いそれを、弦次に手渡す。
「あのアミキリって奴ァ殻が固くっていけねェや。いや、佐吉あにさんには面倒をかけやした」
弦次は藍色の木綿を解き、細長い桐の箱を改める。
「佐吉あにさん、おめェさんよくこんなものをここまで持って来れやしたねェ。誰かに見咎められなかったんですかい」
上様御成りの鷹狩が近付いた今、実際に狩りを行う狩場だけでなく、御鷹を飼育する鷹匠や鷹匠同心の近辺も警備が厳しくなる。
見知らぬ人物の出入りは詮議され、不振物の持ち込みは禁止される。そんな厳戒態勢の中、余所者である佐吉が不審極まりないものを持ち込んだのだ。
「何、日乃出様からじきじきにお墨付きを戴いておりますよ」
佐吉はさらりと、千代田のお城におわすお方の耳目となる人物の名前を出して、笑った。


207 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 15:47:07 ID:xqPvVXjb0
「あの庭いじりのお好きなご隠居様かね?久しく会っちゃいねェけど、息災にしていなさンのかい」
「今年はことのほかお城の百日紅が見事だそうでございますよ。たまには弦次さんとも茶飲み話をしたいと仰せで」
「はっ、相変わらずつかめねェ爺さまだな」
そう言いながら、弦次は箱の中身を取り出す。琵琶にしては胴が小さく、長細く、そして鋭い。
音撃弦。
それはただの音曲を奏でる物では無かった。その弦を爪弾く事ができるのは、己を厳しく律し上げた“鬼”のみ。
人を喰らう魔化魍に、仇なす者のみ。
「ザンキ、おめェ、どうやらここに来るまでの間に、試し斬りをしたみてェだの」
井戸端の欅が風に鳴り、木漏れ日が斑に弦次の顔を汚す。
「良ッく斬れたぜ。流石は『猛士』の鍛冶方だ」
佐吉はガラリと口調を変えた。欅の落す影の中で、白い歯だけがニヤリと笑う。
「そうか、餌差場が荒されてたってェのは、ありゃ、おめェの仕業か」
「人聞きの悪い事を言うなィ、ゲンキ。あいつらが出やがったのさ」
「だからって、おめェ・・・・」
「シッ」詰め寄る弦次に、佐吉は人差し指を自分の唇に当てる事で黙らせる。「大事なお嬢さまに、聞かれちまうぜ」
勝手口に人影があった。なかなか戻って来ない弦次を心配して、お槙が様子を見に来たのだ。
「これはこれはお嬢さま、お邪魔をしております。お加減はいかがでございますか」
途端に佐吉は腰の低い商人に戻る。この物腰の柔らかさは、天性のものだろうか。そのまま猿若町の二枚目役者としても通じるような男ぶりは、初対面の相手の警戒心すら解いてしまう。
「まぁ、弦次さんのお客様なの?それなら上がって下さいな。こんなあばら家だけど」
「どうぞお構いなく」と、にこやかに微笑みながら弦次をちらりと横目で見る。弦次はそれに、「フン」と鼻を鳴らして答えた。


208 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:02:09 ID:xqPvVXjb0
周到な事に、佐吉は手土産を持って来ていた。木箱にちんまりと行儀良く並んだ白い団子を見て、お槙は少女らしい歓声をあげる。
「なんて可愛らしい。お月見のお団子ね。食べるのがもったいないわ」
「今夜は十五夜でございましょう?ええ、お槙さまの話も伺っておりますよ、亡くなられたお母上様に良く似ておいでの可愛らしいお嬢さまだと」
茶の道具を持って部屋に入って来た弦次は、お槙に顔を見られない事を幸いに、佐吉に向かって思い切り眉をしかめてみせる。佐吉はそれを柳に風と受け流し、更に続ける。
「今日初めてお槙さまとお会い致しましたが、なるほど、弦次さんは正直な方でございます。お父上様は、お幸せでございましょうね」
よくもまあ、べらべらと。弦次は、どん、と音を立てて佐吉の前に茶をなみなみと注いだ茶碗を置く。
「お嬢さま、佐吉あにさんは忙しいそうで、これをお飲みになったらけェるそうですよ」
「佐吉さん、一杯茶は縁起が悪いわ。そんなに急いでお帰りにならないで、ね?」
いいでしょう?と弦次にも首を傾げて見せるお槙の髪には、珊瑚の色の珠がついた簪が挿してある。
彼女の曽祖父に命を救って貰ったその日から、立山家の人々の為ならどんな事でも、と誓った弦次は彼女の頼みを断れない。
「左様でございますか?」佐吉は人誑し、と揶揄される件の笑みを浮かべる。「では、お槙さまは、弦次さんがお伊勢参りに行った話をお聞きになりましたか?」
「まぁ。わたし、聞いた事無いわ。是非聞かせて下さいな」
珍しく慌てた様子の弦次を尻目に佐吉はつるりとすました顔で話し続ける。お槙は話の中身よりも、この不思議な二人の取り合わせが楽しい。
佐吉の話に笑顔で相づちを打ったり、不機嫌な弦次を宥めたりしながら、お槙の中のもう一人が、寂しい息をつく。
―――――弦次は近いうちにきっと、またいなくなる。
何の確証も無いが、お槙にはそれがわかる。弦次はそういう男だ。ずっと昔から、歳もとらず、何処からとも無く帰って来て、お槙にほんの少しだけ夢を見せると、またふいにいなくなる。
次に逢えるその日まで、わたしは生きていられるかしら。
自分の命が潰えてしまう事よりも、二度と弦次に逢えなくなる、その事実の方が辛かった。
ころころと明るい声で笑いながら、一枚の薄い皮の下で涙を流す。お槙は二つに千切れそうな心を抱えて、戸惑っていた。

209 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:04:42 ID:xqPvVXjb0
すっかり長居を致しまして・・・と佐吉が立ち上がったのは、うららかだと思っていた空に、雨を含んだ雲が広がって来た頃だった。
「お嬢さま、わっちはそこまで佐吉あにさんを見送ってめェりやす。じきに戻りやすから、あったかくしていて下さいましよ」
二人は表玄関を遠慮して、勝手口から外に出る。空き家になって久しい隣家との境に植えられた木犀が、犀に例えられる堅牢な幹からは想像し難い、甘い柔らかな香りの花弁を散らしている。
その濃い橙色の花弁を踏んで、小さな白い犬型の折り紙が、二人を出迎えた。
佐吉が風変わりな腕守りを巻いた左手で印を結ぶと、犬の形の紙は密やかに吠えて、駆け出した。式神が、魔化魍を見つけた、と告げているのだ。弦次は眉を顰めた。
「清めたンじゃねェのか」
「童子と姫はな。『子』は裁鬼が追っている」
「あにさんらしくもねェ、半ちくな事を」弦次はチッと一つ舌打ちをする。「俺ッちも行かざァなるめェ」
「勿体つけやがる。おめェの助(すけ)なんざ、要らねェよ。大人しく姫(ひい)さまのお相手をしてな」
横顔に、うっかり触れれば指先を切りそうな笑みを浮かべ、佐吉は犬型の式神を追って走り出す。それは、人の速さでは無かった。
鬼――――――。
雲は黒さを増し、風が冷たい雨の到来を告げる。逆巻く風の匂いを嗅ぎ、弦次の左腕に巻かれた弦が、びりびりと震えだす。
人外の、魔物の気配。
湿った風に結わぬ髪を弄ばれる弦次の影もまた、既に人のものではない。
行く時が来た。己の使命を果たす時が。
幾多の魔化魍を清めてきた音撃弦『迅雷』が、弦次の背中で鈍く光る。さぁ、早くあの化け物の肉を切り裂け、鋭く突き刺し掻き回せ、俺を啼かせてみせろと、弦次の中の鬼を逸らせる。
弦次は身の内で滾る血に、応ッ、と答えると振り返りもせず走り出した。
再び帰りつけるかどうかもわからぬ、唯一の温もりに、背を向けて。

210 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:07:21 ID:xqPvVXjb0

さして広くも無い古家だが、一人になると急にガランとして、自分が小さくなってしまったような気さえする。
乾いた咳を一つすると、お槙は薄い綿入れを肩にかけ、母の形見の古い手鏡を覗く。
見慣れた血色の悪い顔が、髪に挿した簪を見つけて、弱々しく微笑む。
そうだわ。お槙は佐吉の持って来てくれた土産を思い出す。今夜は十五夜。お月様にお団子をお供えして、ススキを飾ってあげましょう。
もっとも、雲がこんなに出てしまっては、お月様は見えそうに無いけど。
でも、ススキを飾ってお芋を炊いて、佐吉さんから戴いたお団子を三人で食べて、お父っさまと弦次さんにはお酒を・・そうね、きっと楽しいわ。
お槙は綿入れの袖に腕を通すと、障子戸を開けた。
思ったよりも冷たく湿った風が、お槙の頬に吹き付ける。お槙は込み上げる咳を喉の奥で殺し、綿入れの前をしっかりかき合わせると縁先の下駄を突っかけた。
ススキの出ている川原まで、行って戻って来てもほんの四半時。近くの陰気な老農婦が、夕餉を作りに来るまでには戻ってこれるだろう。
朝、思う存分餌の小鳥を蹂躙した猛禽は、暗い小屋の中から光る目でお槙を見つめている。お槙は小さな明かり取りの窓から、いつも通り声をかけた。
「すぐに戻って来るわね。ススキを取りに行ってくるのよ」
ふいに中のオオタカが首をもたげ、鋭い声で鳴く。まるで何かに、怯えたように。
「どうしたの?大丈夫よ、誰もお前をいじめたりしないでしょう?」
オオタカは止まり木から飛び立とうと翼を震わせ、なおも鳴き声をあげる。彼女がこんな声をあげるのは初めてだ。お槙の心臓が、どくり、と鳴る。

ぎぃぃぃぃぃぃィィィィッ

何かが軋むような、嫌な音を聞いたと思った時は、既に立っていられなかった。割れた地面から天に向かって、黒い影が伸びる。
―――――化け物?
それが何かはわからない。確かめる暇(いとま)も無い。しかし、お槙は紛れも無く、御鷹匠同心立山庄助の娘であった。

211 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:08:44 ID:xqPvVXjb0

結局、本格的な雨は夜半まで降り出さなかった。
しかし、降り始めると雨はなかなか止まず、長く空き家であった家の中は、香を焚いても黴の匂いの方が強かった。
「魔化魍は、仕留めたのか」
土壁の染みを隠す為に張られた鯨幕の中から、庄助の静かな声が問う。
「・・・・・・へい。間違いなく、二匹を」
問われた相手は、降りしきる冷たい雨の中、ぬかるんだ土の上で顔も上げずに控えている。
「そうか。ならば御鷹狩中に上様が襲われる心配はあるまい」
重畳であったの、とため息混じりの声は、二人を隔てる鯨幕に吸い込まれていく。昼過ぎに吹いた強い風は収まり、香の煙はまっすぐ天井に向かって白い筋を作っている。
庄助は、その一筋の煙を見つめていた。
「立山様、どうかわっちを・・・・」
「弦次!」思いがけず強い声で、庄助は相手の言葉を遮る。「何も言うな。言うてはならぬ」
詫びの言葉も悔やみの気持ちも封じられ、弦次はただ、ぬかるんでいく土に爪を立てる。雨に打たれ、握り締めた拳の関節が、白く震えた。
真っ直ぐに上がる香の煙のその奥に、守り刀を供えられた、棺があった。
枕経を上げるにも、寝具ばかりか畳にまで血を零しそうな新仏は、早々に棺に納められてしまった。
蝋燭の灯りにぼんやりと浮かぶ、悄然と肩を落とした庄助の影法師は、沈黙を続ける。
責められも、罰せられもせず、弦次は雨に打たれるまま、木犀越しに半壊した立山家の方を見る。
二匹の魔化魍。
おぞましい化け物は、つがいで現れた。
斬鬼によって、生餌を運んでいた童子と姫を失い、彼等は瞬く間に飢えた。
一匹は斬鬼の放った式神に発見され、裁鬼が清めた。だが、もう一匹は地中に深く潜り、己の天敵である鬼の匂いを辿り、立山家を襲ったのだ。
御鷹を救おうとしたのだろう。お槙は、胸に庇った御鷹ごと背中から刺し貫かれ、息絶えていた。


212 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:10:32 ID:xqPvVXjb0
立山家の惨状を、最初に見つけたのは、夕餉の世話をしに来た老婆だった。
崩れた鷹小屋の下に隠れたお槙の屍骸を見ずに済んだのは、老婆にとって幸いであった。
報せを聞いて、急ぎ帰宅した庄助が、御鷹を抱いて事切れていた娘を抱き締めた時には、もうその身体に温もりはなかった。
式神が二匹目の魔化魍を嗅ぎつけ、弦鬼と斬鬼の二人の鬼がそれを清めた。そして、弦鬼は、お槙の最期を知る事になる。
月は、雨雲の中に深く身を隠している。
「弦次、まだそこにいるか?」
鯨幕の中の影法師が、ゆらりと立ち上がる。
「へい、ここにおりやす」
縋るような気持ちで、弦次は顔をあげる。
「長い間、立山家によう仕えてくれた。礼を言う」
「旦那・・・・」いっそ、庄助が自分を殺してくれれば、どんなに気が楽だろうと、弦次は思う。
「もう、立山の家は儂の代で終わる。お預かりの御鷹を、化け物ごときに殺されたとあっては、儂も無事では済まぬだろう。今日が別れじゃ」
庄助は一言も弦次を責めない。何故お前が娘についていてやらなかった、何故鬼のお前が傍にいて娘を護ってやれなかった、何故、何故、何故。
「弦次、一つだけ頼みがある」庄助は、ただ静かな声で言う。

「もう二度と、儂の前に姿を現すな」

その言葉に、ただ黙って平伏すしかない弦次の目の前に、小さな光が転がった。
珊瑚の色の珠がついた簪。
泥と一緒に少女が挿していた簪を握り締めると、弦次は黙って立ち上がった。
雨は一向に、止む気配すら見せない――――――


213 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:13:19 ID:xqPvVXjb0

時が経った。無慈悲に。或いは、忘却という優しさを齎す為に。
かつて美しい姿形とその闘争心を惜しまれた若いオオタカは、オンシキガミの機械のカラダを、その気高い魂の器にした。
「お前は、逃げなさい」
病に寿命を蝕まれた娘は、最期の瞬間にそう呟いた。背後には、魔物の鋭く尖った尾が、迫っていたというのに。
人は、愚かで、弱い。
その愚かで弱い生き物が、命を投げ出して自分を救おうとした。お前は、逃げなさい。その翼で、空にはばたきなさい。どこまでも、高く、高く。
娘は御鷹の足と止まり木を繋ぐ紐を外し、御鷹を自由にしようとした。だが、逃げ切れないと悟った娘は、両手を広げ、薄い胸で自分を庇った。
空の高みに飛んで行きたかったのは、彼女自身だったのかも知れない。
猛禽の女王は、自分が最も蔑んでいた弱い生き物と運命を共にした。
人は、そう弱くも無ければ、愚かでもないのか。
そして、答えを探す女王に差し出されたのは、雷を纏った左腕だった。
幾度も器を変え、鬼と共に魔化魍を追ううちに、人の世もまた、移り変わってゆく。
御鷹匠同心立山庄助は、あの後、上様からお預かりの御鷹を、むざむざと化け物によって殺された責めを負って、その任を解かれた。
例えお目見え以下の身分低き武士とはいえ、やはり武士は武士。武士たる者の家が、化け物ごときに襲われたなど、不面目極まりない。
三十俵二人扶持という禄は奪われ、家名は断絶という沙汰が出た。
その後の立山庄助の行方は、杳(よう)として知れない。
ただ、公儀隠密、いわゆるお庭番と呼ばれる人々の中に、鳥獣を使うに巧みな某という人物がいた、との記載がある。
その人はまた、別な文書によると、日乃出家に仕え、特殊な鎧を装着し、江戸城の奥深くで魔物を相手に切り結ぶ事十数合、犬・鳥などを巧みに用いて獅子奮迅の働きをした、とある。
だがその某という人物をはじめとするお庭番たちも、やがて江戸城の主が変わると、役目を終え、消えた。
江戸は東京と名を変え、さらに時は移ろう。街並みも、人も、変貌を遂げる。かつての御鷹場に、猛禽の姿は無い。

214 :番外 「祈る獣」後編:2006/10/13(金) 16:15:55 ID:xqPvVXjb0

アカネタカは飛ぶ。ススキの原を、杉の林を、ビルの上を。
目指す魔物の、痕跡は無い。
ふと、視界の隅に、人影を見つけた。四角いコの字型の建物の上、高い柵が落下事故から人を守る屋上。
車輪のついた椅子に座る少女と、それを押しながら少女に何事か話しかけている白衣を着た若い男。少女は、若い男の話に朗らかな笑顔を浮かべている。
アカネタカは、ふと、遠い昔を思い出す。
小さな明かり取りの窓から自分を伺う優しい笑顔と、左手に雷を纏った癖の強い髪の男。

キュィィィィィィィィィィィィン

一声高く鳴くと、少女と若い男が空を仰いだ。人である彼等に、高い空を飛ぶ自分の姿は、見えるはずが無い。
白衣の男は椅子を押すのをやめ、少女の前に立つと、彼女に手を差し伸べた。少女が、その手に掴まり、覚束ない足取りで椅子から立ち上がろうとする。
さぁ、立って。大丈夫だから。
男の唇が、少女を励ます言葉を綴る。そして、彼女は自分の足でしっかりと立ち上がった。
アカネタカは一度高度を落とし、花をつけた小枝を折り取って、再び高度を上げた。
屋上では、大きな手術を受け、数ヶ月ぶりに自分の足で立つ事の出来た少女が、上気した顔で夢を語っている。
「先生、わたしね、病気が治ってうんと丈夫になったら、先生みたいにリュック一つで世界中旅行するの。きっと、できるわよね?」
「ああ、大丈夫。北極でも南極でも、宇宙にだって行けるようになるさ」
まだ若い理学療法士が、彼女を優しく支えながら微笑む。と、その癖の強い髪に、ふわりと甘い香りの小枝が落ちた。
「キンモクセイだわ。わたし、この匂い大好き!」少女がはしゃいだ声をあげる。
「じゃ、プレゼント」理学療法士は、少女の髪にオレンジの花をつけた小枝を挿してやる。「さぁ、そろそろ中に入ろう。もうじきお父さんがみえる時間だよ」
二人がゆっくりと建物の中に入って行く姿を見届け、夕日の色よりまだ赤い小さなタカは、仲間たちと鬼が待つベースへと方向を変えた。
秋の陽は西に傾き、風は爽やかというより少し冷たい。もうじき、見事に丸い月が出るだろう。月が出たら、とアカネタカは思う。
今の二人が、幸福になれるように、月に祈ろう、と――――――

                  =完=


215 :DA年中行事:2006/10/13(金) 16:33:49 ID:xqPvVXjb0

相変わらず、燃える戦闘シーンも無いままでしたが、最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
皇城さん、ありがたく設定お借りしました。勝手に日乃出さんをご隠居にしちゃってスミマセン。
もうちょっと(ちょっとで済むのか?)勉強して、いつか再び時代物に挑戦したいと思っております。

そんなこんなで次回ですが。
11月に・・・・えーと、えーと、11月ってなんかありましたっけ?
竜宮さんがステキな七五三のお話を投下して下さったので(オラとっても太刀打ちできねぇだ。流石でございます)、
ケダモノたちは文化祭でもさせましょうかw
今回暗いハナシでしたので、次回は是非、明るいお話しで。



216 :凱鬼メイン作者:2006/10/13(金) 22:04:23 ID:+5WcXkpq0
DA年中行事さま、おつかれさまです!
11月・・・文化祭・・・。
実は地元で国民文化祭があるので、DA達の文化祭をすごく楽しみにしています!

ちなみに、やっつけ仕事になってしまいましたがDAのパソコン壁紙をつくってみました。

http://www.geocities.jp/hubuki024/WP_DiscAnimal.jpg

画質悪いですよ・・・。手持ちのフリーソフトじゃどうしても劣化が激しい・・・。

217 :凱鬼メイン作者:2006/10/13(金) 22:06:00 ID:+5WcXkpq0
ありゃりゃ、上手くサーバーに繋がりませんね・・・。
別のところでアップしてみます・・・。

218 :凱鬼メイン作者:2006/10/13(金) 22:07:43 ID:+5WcXkpq0
投下できるかな・・・。

http://www1.ezbbs.net/02/katidoki/img/1160744836_1.jpg

219 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/14(土) 00:34:42 ID:qF8XskxO0
「中四国支部鬼譚」の外伝というか異伝的なものとして、明治時代のお話を考えてみました。
まだ途中までしか執筆しておらず、タイトルすら決めていない状況ですが、きりのいいところまで投下します。

「中四国支部鬼譚」の本編中、双柳寺創花ちゃんは「十七代目蒼鬼」という設定ですが、
この話では十一代目蒼鬼・杣邦(そまくに)さんと、彼の息子で後に十二代目蒼鬼となる奏磨(そうま)が登場します。

最初に注釈を入れておきますと、「雙柳寺(さうりゆうじ)」とあるのは「双柳寺(そうりゅうじ)」のことです。

220 :名無しより愛をこめて:2006/10/14(土) 00:35:35 ID:qF8XskxO0
 明治六年秋、雙柳寺(さうりゆうじ)家當主、雙柳寺杣邦(そまくに)は長らく頭を惱ませて居た。
 彼の息子、奏磨(さうま)は數へで十六歳になるのだが、其の奏磨の將來についてである。
 雙柳寺家は音撃戰士の名家であつた。歴々の當主は蒼鬼を名乘り、笙やら篳篥やらを用ゐて魔化魍を祓ふのが務めである。
 時に、先の維新より始まつた文明開化の中にあつて、西洋の樂器が幾つも國内に入つて来て居た。
 尤も、喇叭(トランペット)やら震張(シンバル)やらといつた西洋流の樂器は、戰國時代の頃より一部の音撃戰士たちの間では用ゐられて居たのだが、杣邦が氣に留めて居るのはSAXOPHONEなる樂器の事であつた。
 此れはサクソフオヽンと發音し、西歐は白耳義(ベルギイ)で三十年程前に發明されたと云ふ管樂器である。
 絃樂器を用ゐる音撃戰士には、既に提琴(ビオロン)だのギタアだのを導入した者も居ると云ふ。
 管樂器を用ゐる音撃戰士達の頭領的な立場に或る杣邦にとつて、いち早く西洋の管樂器を音撃武器に取り入れるのは必至であつた。
 杣邦は既に、猛士山陰支部に所屬する木庭某と云ふ武器職人に、サクソフオヽンを摸した音撃武器の開發を依頼して居り、遲くとも數年の内には完成を見る筈であつた。
 其れは良いのだが、音撃戰士達の中には、サクソフオヽンを演奏できる者が居らぬ。杣邦は其れを息子の奏磨にやらせようと考へて居るのであつた。

221 :名無しより愛をこめて:2006/10/14(土) 00:36:08 ID:qF8XskxO0
 日課である夕刻の散歩を終へ、邸(やしき)に歸つた杣邦は、奏磨を部屋に呼びつけた。
「お前ももう十六歳だ。そろゝゝ、音撃戰士たる爲に、管樂器の稽古を始めねばならん」
「其れは、父上と同じ尺八ですか」
 奏磨が云ふ通り、杣邦は尺八の音撃戰士であつた。
「さうでは無い。奏磨、お前には、西洋のサクソフオヽンなる樂器をやらせようと思つてをる。そして、サクソフオヽンを習得する爲に、お前は西歐へ留學しなければならぬ」
「西歐へ……」
 奏磨は一瞬、その表情を暗くした。
 奏磨がさういふ反應をするであらうことを杣邦は豫期して居た。と云ふのも、奏磨に實は意中の娘の有ることを、杣邦は知つて居るからである。
 其れは、雙柳寺の邸の隣に雙柳寺の分家に當たる村野と云ふ家が有るのだが、其の村野家の十四歳になる「ふみ」と云ふ娘であつた。
「文明開化の中にあつて、我等音撃戰士も變はつて行かねばならぬ。お前は其の最初の一人に成るのだよ」
 杣邦がさう云ふと、奏磨は取り繕つたやうに「さうで御座いますか」と答へた。
 杣邦は、やはり息子は西歐には行きたくないに違ひないと察し、かう云つた。
「僅か數年の事と云へど、日本を離れ遠い異國へ行くのは辛いだらう。どうしても嫌だと云ふなら行かずとも良い」
 そしてその後、かう付け加へた。
「然し、何れ十二代目蒼鬼と成るお前にとつて、延ゐては雙柳寺と云ふ家其の物にとつて、大きな糧となる留學であることは違ひ無い。良く考へて決めなさい」
 結局其れだけ云ふと、杣邦は奏磨を歸した。
 杣邦は奏磨の戀情の行方を思つた。
 奏磨は何れ、何處かの良家から娵を迎へ、雙柳寺の家督を繼がねばならぬ身である。
 よもや、分家村野の長女であるふみを娵に取る譯には行かぬので、奏磨のふみに對する戀情は成就しようが無い。
 しかし、どうせ叶はぬ戀だと分かつてゐるならば、せめて少しでも長く奏磨をふみの側に居させてやりたいと思ふのが親心であつた。
 だが、音撃戰士の世界に文明開化の風を吹き込む爲には、若い奏磨を西歐に遣つて西洋の樂器を學ばせ、其れを音撃に取り入れるのは正に最善の手段であつた。
 此れこそが、杣邦の惱みの種だつたのである。

222 :名無しより愛をこめて:2006/10/14(土) 00:38:54 ID:qF8XskxO0
今回はここまでです。
この続きはいずれまた投下する予定です。

ちなみに提琴(ビオロン)=現代でいうヴァイオリンです。

223 :DA年中行事:2006/10/14(土) 13:07:30 ID:f60Xp5GF0
凱鬼SSさん、
おおおお、キレイですキレイです!
キアカとコガネが「おれはやるぜおれはやるぜ」と騒ぎ、アカネが「おまえらやかましい」と釘を刺し、
リョクはその脇で「びばのんのん♪」と踊り、奥でルリが「わふん・・・・」と言っているようなw 
背景の緑もキレイですね。GJでございます!

中四国支部さん
御作を読んで気がつきました。ああっ、俺に徹底的に足りんのは、この重厚感や・・・・・
本編もさることながら、外伝の続きも気になります。


近所の小学校で、文化祭の取材をしようかにゃーなどと軽く考えておりましたが、何しろこのご時世、
子供のいない俺が行ったら良くて門前払い、悪きゃ通報されそうです。あがががが。
書き出す前から暗雲が。そんなこんなで、次回はン十年前の文化祭の話になりそうです。

224 :見習いメイン作者:2006/10/14(土) 16:31:48 ID:PyVbdcfb0
な〜んの予定もナイ土曜日の午後。今日はゆっくりと、過去スレ含めて見返してました。

>>竜宮さん
このスレ投下の「鬼休み」ですが、この言葉、実際に出先の会話で聞いたことがあります。
社員A「今結構忙しい時期だけど、俺は心を鬼にして休むよ」
社員B「……。鬼休みですか?」
そんだけ。(すみません)

過去スレにあった和泉親子出演の「桜色」。会話の中にイブキの「兄ちゃん達」とあり、
(裁鬼SSで言うところの和泉稲妻さんと、後に殉職してしまうイブキのもう一人のお兄さん?)
これも入れると和泉一文字一家総出演? 響鬼は設定資料集等でしか語られていない裏設定が多く、
私はそれを補完するようなお話が好みなので、こういう作品を書いて頂き感謝です。

それから、「明日夢十夜」。恥ずかしながら元ネタがわからなかったんですが、
調べてみたらどうやら一般常識レベル。クイズ番組とかで出題されそうな。勉強になります。
残り六夜の投下をお待ちしています。


225 :見習いメイン作者:2006/10/14(土) 17:27:12 ID:PyVbdcfb0
裁鬼スレ解析機で遊んでみましたよ。

バファリンの60%はオレンジ色でツンツンの頭で出来ています
バファリンの22%は不敵鬼で出来ています
バファリンの9%はエリスで出来ています
バファリンの5%は和泉一文字で出来ています
バファリンの4%は一撃鬼で出来ています
→やさしさは何処に?

<アーマーゾォーン>の55%は音撃棒・大明神で出来ています
<アーマーゾォーン>の25%は斬鬼・変態で出来ています
<アーマーゾォーン>の8%は和泉稲妻で出来ています
<アーマーゾォーン>の7%は鋭鬼で出来ています
<アーマーゾォーン>の5%は太田豊太郎で出来ています
→吹雪鬼さん、そんなこと言ってたのね。

たのもしい幼稚園の66%はジンライムをどかしてください。で出来ています
たのもしい幼稚園の30%は裁鬼で出来ています
たのもしい幼稚園の4%は和泉稲妻で出来ています
→どかせってナニよ。

仮面ライダー斬鬼と128人の斬鬼の93%は岩井川ジョニ男で出来ています
仮面ライダー斬鬼と128人の斬鬼の6%は金霊で出来ています
仮面ライダー斬鬼と128人の斬鬼の1%は高鬼で出来ています
→ジョニ男率高過ぎ。


226 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/15(日) 01:11:48 ID:Su0AG3ZL0
イラストが一気に7枚も増えました。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/illust.html
今回の目玉は「鬼法術・お紅茶アイス」のコナユキさんでしょうか……?

227 :凱鬼メイン作者:2006/10/15(日) 20:56:46 ID:eZCJY3Ep0
・・・!!

オニエンタルラジオの69%は古代エジプトにおける忍者ハットリくんの信仰で出来ています
オニエンタルラジオの19%はオニエンタルラジオで出来ています
オニエンタルラジオの8%は高鬼で出来ています
オニエンタルラジオの4%は太田豊太郎で出来ています


228 :凱鬼メイン作者:2006/10/15(日) 21:04:45 ID:eZCJY3Ep0
これより、十二之巻前編投下します。
今回は全般的にシリアス・・・。
今後の伏線にもなっていきます。

229 :凱鬼メイン作者:2006/10/15(日) 21:07:17 ID:eZCJY3Ep0
十二之巻「紅き蓮花」

ボォン! ボォン!! ボォン!!!
十数体ものガタロウが、一瞬の閃光によって清められた。
Clock Over !!
グルルルルゥ・・・
厳鬼はガタロウの親と対峙した。
子にはなかった巨大な甲羅が彼女には具えられている。
その蒼き眼は我が子を地へと還した怨敵に向けられた。
「オ・・ニ・・・コロ・・・ス・・・。」
「やれるもんなら・・・やってみろよぉ! あぁ!?」
シュゴォオ!!
ジェットコースターのような勢いで彼女の腕が厳鬼にむかって放たれた。親の両腕は伸縮自在である。
それを音撃棒で弾く厳鬼。
「オニ・・・。」
「一真ぁ!!離れてろぉ!!」
厳鬼が叫ぶと咄嗟に一真は、その意図を汲み取って岩場の影に滑り込んだ。
次第に厳鬼の鬼面が黄金色から黒ずんだ銀・・・。燻し銀のような鈍い光を放った。
「そりゃっ!」
厳鬼が親に向かって駆け出した。その速さは鬼といえども郡を抜いた早駆けで、韋駄天走りというに相応しい。
「音撃鼓!」
厳鬼は櫛名田をガタロウの腹に投げつけた。彼女は腕を伸ばしていたせいで音撃鼓を払うことが出来なかった。
「音撃打!雷堕音白十(ライダーインパクト)!!!」
Rider-impact !!
ダダン!!
音撃鼓が清めの音を増幅し、親の身体に巡らせる。
厳鬼は櫛名田に須佐乃袁の先端を激しく叩きつけ、ガタロウの親を清めた。

230 :凱鬼メイン作者:2006/10/15(日) 21:09:01 ID:eZCJY3Ep0
「厳鬼さん、なんで親の時にはあれ使わなかったんですか?」
一真のいう“あれ”とは、ガタロウの子を一掃したときに使った高速移動のことである。
「それはな・・・・。」
「はい・・・。」
「 そ ん な に 早 く 終 わ ら せ た ら
  読 者 に 申 し 訳な い だ ろ 。 」
・・・・なるほど、奥が深い。
納得してしまう一真であった。

――― 同日、岩手県南部。
一人の鬼が枯れ草の上で倒れている。そこへ駆けて寄り添う女。
「あなた・・・あなた!!」
女が主人を呼ぶ声もむなしく、鬼は病院へ送られた。

――― 青森県、某診療所。
天美蘭が診療室に呼ばれ、白髭を蓄えた医者と向かい合った。
「高倉先生・・・。明日馬の容体は・・・。」
高倉と呼ばれた医者がレントゲンを眺めて妻に言った。
「どうやら・・・。そろそろ、鬼としてはやっていけない時期に入ったようだ。」
「・・・・・。」
「アカツキ・・・。たしか34だろ?よく耐えたほうさ。彼は自分でも気づいてたんじゃないのかね・・・。
今は疲労が溜まって眠っているだけだ。時期に気がつくだろ。でもまぁ・・・。これを機に、引退も考えた方がいいかもな。」

231 :凱鬼メイン作者:2006/10/15(日) 21:09:34 ID:eZCJY3Ep0
「そんな・・・・軽々しく考えないで下さい・・・。」
「・・・・・。」
「先生も分かっているハズです・・・。あの人が、どれだけ今を大事にしているか・・・。」
「それは分かるがしかし・・・。」
「それだけじゃないんです。あきらの事だってある・・・。」
「・・・・・。」
「あの人が気づいてて言わなかったのは、そのせいじゃないかと思えて仕方がないんです。言えないほどのことなら、それなりの理由があるんじゃないかと。」
「・・・・・。」
「あの人なら・・・。やれないと分かったことはやりません。」
「・・・・そうだな。少し様子見という意味も含めて・・・。彼とあんたに任せよう。
ただし、週に2回は検診に来ることだ。分かったな。・・・あんたが思っている以上、“紅蓮”を使った時の体力の消耗は激しいんだ・・・。」
「はい・・・。ありがとうございます。」
そう言って蘭は東北支部へ帰っていった。

「アカツキぃ!お前、魔化魍にやられてぶっ倒れたそうだな。」
病室の扉が音を立てて開くと、イツキが冷やかすような口調で言った。
それに対抗してか、ベッドの上で上半身を起こしたアカツキは鼻を鳴らす。
「抜かすな、イツキ。貴様とて黒金は仕上がったのか。」
「おうよ。 ・・・それはそれとしてだな。この前、面白い物を見てやったぞ。」
「何だ。」
イツキの口元が端へ引っ張られる。一拍おいてイツキは言った。

232 :凱鬼メインストーリー:2006/10/15(日) 21:10:27 ID:eZCJY3Ep0
「一真が、とうとう化けやがった。」
「一真が・・・? 鬼に変われたのか。」
「ああ。」
「どんな姿だった。」
「身体は白かったな。それでいて、隈取は紅い。二本角だ。」
「そうか。」
「ところでお前、身体の調子はどうなんだよ。」
「昨日・・・紅蓮を使ってな・・・。それから暫く、脚が思うように動かん。」
「大変だなぁ。急いて身を焦がさぬ内に、引退でも考えといた方がいいんじゃないか。」
「フッ・・・抜かすなと言ったろう。忘れたのか、黒金の鬼法術とて貴様の生命をもぎ取る可能性があるんだぞ。」
「“命を粗末にすれば私が貴様を殺してやる”と師匠に言われている。」
「遑(いとま)さんか。」
「ああ。あの人が元気な内は、そう簡単には命を投げ出さない覚悟だ。」
「ご苦労なことで。」
そう言ってアカツキはベッドから降りようと身体をもたげた。
「立てるのか・・・?」
「さあな・・・。 おわっ!」
床に脚がついて体重をかけた途端、膝が曲がってアカツキはイツキに抱えられた。
「へっ・・・このザマじゃあ、鍛えた甲斐がないな。」
「ゆっくりしてろ。」
「・・・牛頭鬼はどうなった?」
「カチドキとミチビキが追ってる。」
「そっか・・・。」

233 :凱鬼メインストーリー:2006/10/15(日) 21:13:23 ID:eZCJY3Ep0
その日の夜。東北支部に、アカツキが病院を抜け出したという報せが届いた。
丁度、イツキがアカツキに教えた一真変身体の容姿を一真本人が「角は2本じゃなくて4本ですよ。」と訂正していたときだ。
カチドキとミチビキがベースキャンプでその報せを聞いたのは、午後十時を過ぎてからだった。
瑠璃の獣が草原を駆け、仲間と連絡をとりあって魔化魍の痕跡を発見した。
その蒼い瞳にはどのように写ったろうか。

荒れ狂う悪鬼に一人の男が対峙して鬼笛を吹き鳴らした。
その音色は機械の心さえ振るわせ、奮い立たせた。

To be continued ・・・・・・

234 :204:2006/10/16(月) 19:08:25 ID:IcxsvlIvO
やさぐれてます…


創作キャラが自在に動く文章書けず
作曲初めた頃の裏ワザ、コンポーズつまり
フレーズをパクってつぎはぎしてました。

…でもキャラがぎこちないんですよ。

諸先輩がたの凄さに恥いります。

235 :見習いメイン作者:2006/10/16(月) 22:57:22 ID:HQRVh6Ej0
>オニエンタルラジオの19%はオニエンタルラジオで出来ています
オニラジの19%はオニラジ。そのオニラジの19%もオニラジ。実は最初のオニラジも
他のオニラジの19%にすぎなかったりして。そして大正浪漫なカッコをしてみたり。

>>204さん
どのようなお話をお考えなのか、お聞かせ頂けますか?
……銀と飛車の見習いのお話だったらどうしよう。主役がやたらめそめそしてたりとか。

ただいまより、めそめそSS五之巻を投下します。


236 :見習いメインストーリー:2006/10/16(月) 22:58:50 ID:HQRVh6Ej0
前回は>>200から。

五之巻「変わる志望」

 魔化魍も倒し終え、平和になった御岳山中に設営したテントの中で、
純友と大洋は横になっていた。時刻はすっかり真夜中になっていた。
「お前は、どうして人助けの道を選んだんだ?」
 あれほど嫌悪していた大洋の問いにも、今夜の純友は素直に答えることができた。
「ぼくは、きみとは違うよ。きみがあのとき高尾で、わざわざ戻ってきてたなんて
知らなくて、逃げ遅れてそこに居ただけだと思っていたから──そんなきみに、
病院で、人助けの道を選ぶことで先を越されて……それに対抗したんだ」
「……」
「この『角』の研修だってそうさ。きみが鬼になりたいって言うから、
ぼくはそれに負けるわけにはいかないって、そう思ったんだ」
「……」
「でも、きみはダンキさんに認められた。上出来だって言われた。今ならぼくも、
そう思える。もうきみに対抗する必要は無いから、ぼくが『猛士』に入る理由も無いよ」
「そうか……」
 テントの天井を見上げたまま、静かに大洋は呟いた。
 それからしばらく黙っていた大洋だったが、やがて言った。
「なあオマエ、クラスに好きな女とかいるか?」
 そう言われて、純友の頭には、クラスの学級委員をしている橘多美の
黒目がちの小づくりな顔が浮かんだが、断固として言うまいと思った。
「そんな、中学生みたいな」
「中学だろうが高校だろうが、修学旅行の定番だろ」
「これ現場研修だよ」


237 :見習いメインストーリー:2006/10/16(月) 22:59:33 ID:HQRVh6Ej0
「いいから言えって。おれから言うから、後でオマエも絶対言えよ」
「自分が言いたいだけなんじゃ……」
「おれは多美ちゃん」
 多美の名を聞いて、思わず純友は言った。
「えっ、どうして」
「高尾で怪我した後、おれたちが入院してた時に多美ちゃん見舞いに来てくれたろ? 
おれのために来てくれたのかなって思ったら、何か気になりはじめた」
「橘さんは、学級委員として、クラスの代表で来てくれたんだよ。
それに、ぼくだっていたし。別にきみだけのために来たわけじゃ……」
「あ。オマエも多美ちゃん狙いかよ」
「狙いとかそういうことじゃなくて……相応しいとか相応しくないとかあると思うし……」
「──夜中にウルセエぞお前ら!!」
 二人の少年にテントを明け渡し、外の寝袋で寝ていたダンキがテントの中に
顔を出して怒鳴った。

 翌朝、レトルトの缶詰で軽い食事をとっている時に、純友はダンキに正直に話した。
 自分が人助けの道を選んだ理由も、鬼になりたいと思った理由も、すべては大洋への
対抗心だったということ。
 そして、もう「猛士」に入る理由が無くなったということを。
「──そうか」
 あっさりとダンキは言った。


238 :見習いメインストーリー:2006/10/16(月) 23:00:24 ID:HQRVh6Ej0
「まあ、まだ研修中だしな。猛士や魔化魍のことを誰にも話さないって約束すれば、
普通の生活に戻れるだろうぜ」
 そこでダンキは遠い目をして言った。
「けどな──みどりちゃんが、自分にも『弟子』ができそうだって喜んでたんだよな。
鬼を目指すのはともかく、猛士はやめなくてもいいんじゃない?」
「え?」
 純友は、ツナをたべかけたまま顔を上げた。
「山を降りてから、ゆっくり考えな。次のみどりちゃんの研修まで一週間あるしな。
ま、どっちにしても、お前ら二人ともやっぱ鬼はムリだ。今の体力じゃな」
「え、おれもスか!」
 大洋が声を上げた。
「『飛車』見習いとしてなら、見所あると思うけどな。鬼をやるにはちょっと厳しいな」

 次の週の日曜、純友と大洋は再び「たちばな」地下での学科研修に戻った。
 今月のみどりの講義は、「猛士」の表向きの顔、オリエンテーリングのNPO法人
「TAKESHI」についてだった。
 一九八〇年、関東支部長兼事務局長である立花勢地郎の発案により誕生したもので、
魔化魍の探査および出現予測のために全国の山河を調査しても怪しまれないための
カモフラージュとなっている。また、TAKESHIの名でキャンプ用品の製造、
販売を行っており、先週の現場研修でダンキが使用していた寝袋やテントなども
すべてTAKESHIで作られ、支給されたものだった。


239 :見習いメインストーリー:2006/10/16(月) 23:01:06 ID:HQRVh6Ej0
 その日も居残りでディスクアニマルを起動しようとしていた純友は、展示室の奥の
ロッカーが少し開いているのに気づいた。前に行って扉を開くと、何本かのギターの形を
した武器がそこに並んでいた。
 上の棚には、壊れているのか組み立て途中なのか、バラバラになったディスクアニマル
の大量のパーツがプラケースに収められていた。
「みどりさん、このロッカーの中にあるディスクアニマルのパーツみたいのは何ですか?」
「ああ、それ?」
 展示室の入り口に顔を出してみどりは言った。
「壊れたものの一部とか、試作用のパーツとか……ま、いろいろかな」
「ちょっといじってみたいんですけど、いいですか?」
「どうしたの〜? 『角』志望じゃなかったっけ?」
 くすくすと笑いながらみどりは言った。
「この前の研修で、二人とも鬼はムリだって言われちゃいまして。あいつはあきらめて
ないみたいですけど。ぼくは──あいつみたいに、はっきり何かを決めてるわけじゃない
んですけど──今ぼくにできることを、やろうと思うんです」
 しっかりと聞き終えてから、みどりはニッと笑って言った。
「工具貸すから、それ持ってコッチ来なさい」
 純友はパーツのケースを抱えて設計室に戻った。
「はい工具」
 みどりは純友のために出してきたTAKESHI製ツールボックスを机上に置いた。

五之巻「変わる志望」了


240 :見習いメイン作者:2006/10/16(月) 23:03:58 ID:HQRVh6Ej0
昨日は、野暮用を終えておうちに帰ってから、DA年中行事さんの作品を拝見しつつ、
めそめそSSを書きつつ、でした。

>>DA年中行事さん
昨日あらためて、過去スレ含めて読み返させていただきましたが、私はたぶん他の皆さんと
違った意味で面白さを感じていると思います。

私含め、いろんな方が本編放送当時かその前の時系列の話を書いていますが、DA年中行事
さんのSSはリアルタイム。その中で、トドロキ&日菜佳が婚約したり、子供ができたり、
尾賀先生にいろいろあったり、これまでは一話一話別々に楽しんでいましたが、昨日
まとめて読んでみて、今更ですが、連作としての面白さに気づきました。

トドロキのお婆ちゃんが語る、お爺ちゃんの最期は、目頭が熱くなりました。
今まで他のSSでもあまり書かれなかった、闘鬼をメインにしたお話が私は結構好きです。
先代闘鬼の生き様とか、闘鬼親子のお話とか。「集う獣」で、童子と姫の魂が、敏樹くんの
居場所を教えてから「次に逢う時は容赦しない」と言って去っていたあとの、闘鬼の独白。

「ああ、俺も容赦なんかしねぇよ」

なんて格好いいことか。DAメインで書いている作者さんの意図とは違うと思いますが、
本編最終回で飛ばしているオロチ後の空白の一年の鬼達の様子を、特別に見せてもらっている、
そんな感じで楽しんでおります。


241 :見習いメイン作者:2006/10/16(月) 23:05:36 ID:HQRVh6Ej0
……続きです。

「集う獣」のあの金色オオカミ男のキャラ。これ「あの人」だと思うんですけど、
誰が書いても、はっきり名前を書かなくても同じキャラに見えるから不思議不思議。
それだけアクが強いってことでしょうか。

「フラフラ上等、ビバ優柔不断!」「ボンダンスはもともと面を被って踊るんだ」

……このあたり最高に面白かったです。

「祈る獣」でまさかの弦鬼さん登場。本編で古文書の中に書かれていた鬼だと思うんですけど、
皇城さんの設定を織り交ぜつつ弦鬼さん人間体を見事に文章化。

お次は何十年か前の文化祭のお話になりそう、とのことですが、鬼達がどんな風に絡むのか、
今から楽しみです。来月?の投下をお待ちしております。


242 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/16(月) 23:10:21 ID:uJRB+Lj70
>見習いメイン作者さん
リアルタイムで作品投下に立ち会えました。
見習いメイン作者さんの作品は、現役の鬼や猛士の一員ではなく見習いを主人公に据えて修行を描くという点で
拙作「中四国支部鬼譚」にどこか通じるようなものがあるのかな、と、妙な親近感を覚えております。


さて、今日は、明治時代のお話の続きを少し投下します。
>>220-221の続きから。

243 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/16(月) 23:11:03 ID:uJRB+Lj70
 初秋の黄昏であつた。
 雙柳寺奏磨は、出雲を流れる神戸川(かんどがわ)の土手を先刻から一人でぶらゝゝして居る。
 穩やかな風が土手の柳を搖らし、空の向かうに夕日が落ちんとしてゐた。
 やがて、奏磨は草の上にごろりと仰向けになり、一つ溜息をついた。
 奏磨の胸中は己の將來のことばかりであつた。彼は今しがた、其れについて父から宣告を受けたばかりだつたのである。
 即ち、西歐へ留學してサクソフオヽンなる樂器を學べと父は云つた。
 實は、奏磨は豫てから西洋の樂器に憧れて居た。喇叭(トランペット)ないしは提琴(ビオロン)、手風琴(アコオデオン)等と云つた西洋の樂器に、彼は大いに興味を覺えてゐる。
 それらの樂器には、和の管弦太鼓とは全く違つた魅力があつた。
 そして、己は何れ雙柳寺の十二代目として尺八やら篳篥等をやるのだと慥かに認識しながらも、實は其れより西洋の樂器を演奏してみたいといふ密かな望みを奏磨は持つてゐた。
「お前には、西洋のサクソフオヽンなる樂器をやらせようと思つてをる」
 その樣に父が云つた時、奏磨は胸中で密かに喜んだのである。
 しかし、直ちに父が續けた「お前は西歐へ留學しなければならぬ」と云ふ言葉によつて、彼の束の間の歡喜は打ち消されることとなつた。
 奏磨が西歐留學を喜べぬ理由は唯一つであつた。
 密かな戀情の對手、幼馴染の「ふみ」の事である。

244 :名無しより愛をこめて:2006/10/16(月) 23:11:33 ID:uJRB+Lj70
 この出雲の地を、否、日本を遠く離れ西歐へ行けば、ふみと話すことはおろか顏を合はせることすら叶はぬ。
 しかも、再會が約束されてゐるなら兎も角、奏磨とふみとはそもゝゝ結ばれ得ぬ身の上なのだ。
 幾年かの留學を終へて日本に歸つて來た時、ふみは既に何處かの家に嫁いでしまつてゐるかも知れぬ。さうなればもはやふみとは一生涯逢へぬだらう。
 さうでなくとも、何れふみと別れる時の來る事は分かつて居る。さう、だからこそ、それまではふみの身近に居たい。
 毎朝同じ時間に學校へ行く時顏を合はせ、挨拶をし、他愛の無い與太話をする。
 又、時には學校の退けた後に密かな媾曵をし、今川燒きを買ひ食ひしたり、街をぶらぶらと歩いて西洋館や瓦斯燈を飽きもせず二人眺めてゐたりと云つた樂しい時をずつと過ごして居たい。
 ふみはきつと、己のことを仲の良い幼馴染程度にしか思つてをらぬだらう。それでも良いのだ。ふみと一緒に居られるだけで己は仕合せなのだ。
 十六歳の奏磨はさうした戀情の虜となつてゐたのである。

245 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/16(月) 23:12:04 ID:uJRB+Lj70
 いよゝゝ黄昏は夜に變はらんとし、コロヽヽと鈴蟲の鳴く音が目立ち始めた。
 奏磨はまた一つ溜息を吐いて、それから伸びをして體を起こした。
 邸への家路を辿りながら、彼は己の身の上をよくゝゝ考へた。
 望むと望まざるとに關はらず、父の後を繼いで十二代目蒼鬼と成るのが、この世に生を受けた時から決まつてゐた奏磨の宿命である。
 出雲の雙柳寺と云へば秋田の天美、吉野の和泉等と肩を竝べる音撃戰士の名家だ。父、杣邦の次に其の雙柳寺の當主となるのは、誰でも無い此の自分なのだ。
 己の未來は、音撃戰士達の未來へ繋がつてゐる。奏磨は常に其の事を自覺して生きてゐた。
 奏磨が西歐へ留學する事が音撃戰士達の爲になると云ふのなら、奏磨は父の云ふがまゝ西歐へ渡らねばならぬ。
 其の事を自覺してゐるからこそ、奏磨は其れが辛かつた。
 嗚呼、こんなことなら文明開化など起こらなければ良かつた。西洋文化など日本に入つて來なければ良かつた。
 さうすれば己は西歐へ行く必要など無く、己とふみとが大人に成るまでの僅か數年はずつとふみと一緒に居られたのに。
 奏磨は此の時、維新、文明開化と云ふ時代の動きを恨んだが、雙柳寺の蹟取りなどに生まれなければ良かつたとは全く思ひ付きすらしなかつた。
 其れは、幼少の折より蒼鬼の名を繼ぐためだけに育てられて來た奏磨にとつて、それ以外の人生を送る自分など全く考へられないからである。
 奏磨はまさに、ふみへの戀情に縛られるより以前に、自分でも氣付かぬまゝ、雙柳寺といふ壓倒的に巨大な鎖によつてがんじがらめにされて居るのだつた。

246 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/16(月) 23:16:09 ID:uJRB+Lj70
ということで今日はここまでです。
この続きはまたいずれ。

最近は本編をあまり書き進めず、もっぱらこの明治時代編を書いているという状況で……。
しかし不思議ですね、歴史的仮名遣いで文章を書くと、それだけで心が洗われるような心持がします。

247 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/16(月) 23:29:05 ID:uJRB+Lj70
嗚呼、ミス発見……。

街をぶらぶらと歩いて

街をぶらゝゝと歩いて

とすべきでした。

248 :204:2006/10/17(火) 05:08:12 ID:ko+P5l+sO
>見習いメイン様
実はそうなんです。
「銀」車両部をでっち上げバイク開発しようかなと。
でも猟奇方向に移ったりなかなか人工生命体に
苦戦して、書いては消しの繰り返しです。

249 :名無しより愛をこめて:2006/10/17(火) 17:56:27 ID:xrWIl+d/0
はじめまして。
先にまとめスレを知って、あらかた読んでからここ来ました。
皆さん、自分の世界観を作り上げてらして圧巻の一句に尽きます。

これからも頑張ってください。

                 しがない一読者より。

p.s.
っ【だれか、現代版で明日夢・持田・あきらの淡い恋愛絡みの話書いてくれないかな…(独り言)】
  そういう青春チックな世界に飢えている名無しなのでありました。
  …ほら…明日夢のその後も…気になりますし…(苦しい言い訳)

250 :凱鬼メイン作者:2006/10/17(火) 18:07:55 ID:OFfaGuVW0
>>249
>>だれか、現代版で明日夢・持田・あきらの淡い恋愛絡みの話書いてくれないかな

拙作のほうでは後々そういったことも・・・。
確実に含んでいくとかいかないとか・・・。

251 :ZANKIの人:2006/10/17(火) 19:18:12 ID:gD4TyiH40
200X 年−春

城南病院でアルバイトを続ける医大生の明日夢の前に一人の女性が現れる
「明日夢くん?」「天美さん?」
天美あきらとの数年ぶりの再開だった

BGM 「ラブストーリーは突然に」小田和正

「明日夢くんは私の事どうおもってるの?」
「…ただの……友達だよ…」
明日夢の言葉がひとみを傷つける……

「なら、持田は……俺が貰う……」
「…本気で…言ってるのか。京介……」
ひび割れて行く友情……

「俺たちとりあえず、付き合ってみる?」
「…うん」
生まれる恋……

「音撃斬!雷電ラブラブ大激震!」
熱愛中の鬼!

「一晩で二人の愛を成就できますか?」
「やります!やってみせます!」
またジェバンニが伝説を創る!

「なんか最近バッタが見えるな……」
仕事でやさぐれてる作者!

響鬼外伝 「あいおに」 今秋 妄想予定!!

252 :劇場版凱鬼メイン作者:2006/10/17(火) 20:57:07 ID:OFfaGuVW0
ちょいと遅かったかも知れませんが劇場版の方のご当地ライダーを週一で紹介しておきます。

253 :御当地ライダー激闘ファイル:2006/10/17(火) 21:01:13 ID:OFfaGuVW0
御当地ライダー激闘ファイル その一

はるか遠くの地平線から、白いコートに身をつつむ、二枚目の青年が歩いてくる。
ゼンキ:「俺の名はゼンキ。北の大地で魔化魍を清め鍛えぬいた、蝦夷きっての鬼だ!
     自慢の音撃弦・狗刀音獅狸鹿で音撃斬・神威を轟かすぜ!!」
カガヤキ:「ゼンキさん!北海道出身ですか!?」
狗刀音獅狸鹿:「やいやい小僧、ゼンキ兄ぃに気安く喋るんじゃねぇやい!」
ゼンキ:「おい!勝手に喋るなって言ってんだろがッ!」
カガヤキ:「お・・音撃弦が喋った!?」
狗刀音獅狸鹿:「あぁ!?喋っちゃいけねぇのかよ!?」
ゼンキ:「ビックリさせて済まないな。ディスクアニマルと同じようなものと考えてくれ。」
カガヤキ:「えぇーーーっ!?」
ゼンキ:「来週は関東から、優男が登場です!」

254 :見習いメイン作者:2006/10/18(水) 19:25:37 ID:rsItxdnc0
>>204さん
銀のお話だったら……というのは冗談のつもりでしたが、一部当たっていたようで。
剛鬼SSや中四国支部SSのように、鬼の見習い、つまり「と」を主役としたSSもいくつか
存在していますが、それ意外の銀や飛車が主役というSSは、まだあまりないと思います。
それって私と被……いや親近感を覚えますので、その物語の主役の活躍を期待しています。

車両部ですから、私のよろよろSSとは違って、超弩級のバイクアクションなんかがあったりして。
開発担当でも試運転くらいはすると思いますし。中四国SSでは主役たちがそのうちとどめの音撃
を決めるようになり、剛鬼SSはあのマニアックな少年が、やがては年間戦績No2の鬼となり……
イヤ、別にひがんでナイですよ。

204さんの良しと思ったタイミングで投下して頂ければよいかと思います。


255 :御当地ライダー激闘ファイル:2006/10/18(水) 20:08:25 ID:R6vuxy1V0
週一とか言っておきながら、本編もそこそこについつい投下してしまう・・・orz
>>204さん
バイク好きの私としましては、その話は非常に興味が・・・。
もし・・・もしも、その案を文章にして納得いくものが書き上げられましたら・・・。
是非、投下してください!
それでは、気まぐれで投下する凱鬼メイン御当地ライダー激闘ファイルです。

256 :御当地ライダー激闘ファイル:2006/10/18(水) 20:09:05 ID:R6vuxy1V0
御当地ライダー激闘ファイル その二

明日夢「天美さん・・・一体どこに・・・。」
カガヤキ「よぉ!明日夢っち!!」
明日夢「あ・・・明日夢っち・・・?」
カガヤキ「それよりさぁ、一体どーしたの、こんなトコで!」
明日夢「あ、いやあの・・・天美さんがほら・・・。」
カガヤキ「っていうかキミ、なんで凱鬼メインの映画にでんの?」
明日夢「あ!それはですね!
    生まれも育ちも東京、柴又!!実は密かに鍛え上げ、鬼に変われるようになりました!
    音撃棒・烈火と火炎鼓で魔化魍を清めます!!ちなみに現在、現役の医大生ッ!!」
カガヤキ「おぉ〜お前、江戸っ子かい!」
明日夢「はい!寿司くいねぇ〜!!」
カガヤキ「寿司って何処だよ明日夢!!」
持田ひとみ「次回は関西からです♪」

257 :昔語り:2006/10/18(水) 23:07:06 ID:jIZUQMh/0
闇。
 心を包み込む闇。命生ずるところにして、命果つる場所。
 祖が中を進むもの共あり。時代の闇を行く者。人としての生き方を捨てた者。
 奇態な甲冑に身を包み、矢筒を負い、手に携えるは弓と撥。尖った鉢金、総面は大鷹の
意匠を様す。従えるは巨大な鳥獣。ひたひたとそれに付き従う。
 深淵に響き渡るは、武具具足の触れ合う音、足音、息遣い。
 何を追ってか探してか、黙々とされど敏速に進む異様の二人。

「疲れたか」

 先を進む異様の者が声を掛ける。されど、歩は止めずますます早く。追従する者答えて

「何のまだまだ。殿こそ息が上がってはおられますまいな」
「云うてくれるは老骨が──」

漏らし、

「お前の目鼻はまだ何も感じぬか」

問われれば、先を行く四足(よつあし)の名を小さく呼ばわり、息遣いに聴き入る。

「今しばらく。一丁ほどに」
「急ごうぞ」
「御衣」

 江戸の大地の奥底を、戦支度で闊歩する一団が望みしはいかなる企みか?

258 :昔語り:2006/10/18(水) 23:07:43 ID:jIZUQMh/0
四半刻を経、一団は闇を抜け潮風の中を行く。
 上弦の月は猩々と。地を照らす光寒々と。
 地にざわめくはススキの群れ、天にざわめくは夜鷹の群れ。

 目鼻が何かを捉え、唸りを上げて身構えた。

 撥持つ異様構えよと促し、弓持つ異様が無言でそれに答える。
 ススキの原の真ん中を割り、さめざめとした光を背に、黒く青く浮かび上がった異形の
姿。鋼のごとき体表は赤黒く、幾対もの脚は禍々しく。百足の首に亀の胴。からからと関
節が鳴り、尖った歯列がてらてらと映える。
 屠ってくれようぞ、妖(あやかし)め。儂はそのために生きている。
 うぬらを殺すのが我が生きがい、うぬらを滅ぼすが我が人生。

「太郎丸・五郎丸・黒兵衛・赤兵衛!」

 獅子吼一つ、星空を貫く獣の咆哮。
 一団の長(おさ)は撥を構え、ススキの原を分け疾る。
 妖は山の如く聳え立ち。
 四つの影は疾風の如く。
 五間の距離を一足飛びに。
 大怪虫は復讐に燃える男目掛け一直線に。
 弓持つ異様は動かず。騒がず。

「力、暴!」

 肩と腕から夜の猛禽を放った。藍に染まった空に鏡合わせに弧を描き、怪虫の眼を目掛
け音も無く。稲妻のごとき飛翔。撹乱を開始する。

259 :昔語り:2006/10/18(水) 23:09:24 ID:jIZUQMh/0

 撥の異様目掛け、叢(むら)より吹き上がる悪意。
 怪童子・妖姫という名の一対の魔風。 
 
「予測済みよ」

 不適に漏らし急制動。沈めた身体の後ろからを太郎丸、五郎丸が巨大な礫と化し、夫婦
(めおと)の魔風に襲い掛かった。巨狗の剛牙は喉笛を捕らえ放さず。

「今!」

 掌(て)にもった鼓を童子に叩きつければ一尺ほどに展開し、大地へと縫い付けた。気合
一閃、左右の撥を上げれば雨よ霰よと打ち下ろせば、撥の一撃ごとに童子は土中へと埋没し
てゆく。

 ぴいいいぃぃぃぃぃぃっ

 鼓動に和して鏑矢が飛んだ。
 巨狗が下がるを合図に妖の姫の額に矢が生える。
 二射、三射。
 清音を纏いし魔弾はあやまたず。
 撥が最後の一振りを打ち下ろし、弓の弦を爪弾けば、番(つがい)は同時に塵へと還った。
 立ち上がるももどかしく、撥持つ異様は号を放つ。

「本体を落とす」

 余裕はない。時が過ぎればその分成長し、力をつけさせることになる。
 
「結!」 

 狗が、梟が、主従が一丸となり、野を疾け抜け、一気に押し包みにかかった。

260 :昔語り:2006/10/18(水) 23:10:06 ID:jIZUQMh/0
 巨狗が亀の脚を封じ、猛禽が複眼に突進する。
 撥を振り上げ踊りかかる。
 鏑矢が夜気を震わせ「ひゃうど」と奔り、百足の身体に脚の数を追加して行くが大怪虫は
衰える気配すら見せない。すぐに矢玉は尽きた。ままよと唱え、主の下へ。
 鬼の力を秘めた甲冑が、壮年の男の意思を力に変える。ありえぬ距離を疾駆跳躍し、苦戦
する主に加勢を試みる。屈強の武者が五月人形と見まごうほど、目の前の怪虫は巨大に思え
た。一抱えはあろうかという太さの百足の尻尾の先には、小屋程もある亀の体がついている。
配下の四頭は亀の脚に必死に齧り付き、辛うじてその動きを止めているのみ。
 主が二羽の梟と連携し、何とか攻撃を加えようと奮闘するが圧倒的な力を前に苦戦を極め
ていた。合力いたすと、自らも撥で殴りかかろうとした刹那、主が鉄の塊のような胴体に凪
ぎ払われ吹き飛んだ。二・三間ほどをまるで鞠のように大地を跳ね、倒れ付す。

「殿!」
「大事無いわ、莫迦奴!」

 血にまみれた総面を投げ捨て、まろびながらそれでもしっかりと地を踏みしめ、

「庄助、その距離なら音撃も届こう、援護せい」
「応」

 腰の装備帯に装着された掌大の円盤を取り外し、握りの部分に取り付けると、「音撃弓」
は「音撃弦」へと姿を変える。庄助はつがえる矢のない弓を構え、弦を弾いた。

「音撃振・砕魔退転!」

 円盤が集音器となり弦の音を集約し、音の矢を射ち出し始める。大怪虫──轆轤首が動きを
止め苦しみ始めた。百足の体表に皹が入り始める。魔化魍の体内に打ち込まれた鏑矢の鏃は鬼
石で出来ていた。弦が生んだ清音は鬼石と共鳴し、唯一魔化魍を滅ぼしうる攻撃──音撃とな
るのであった。

261 :昔語り:2006/10/18(水) 23:11:07 ID:jIZUQMh/0
 殿──日之出彦四郎が音撃鼓を手に猛然と疾駆した。鬼の具足を身に着ければ鬼の力を得る
ことが出来る、とはいってもその力は完全ではない。資格のないものに強引に力を付与するの
だから、正規の鬼には劣る。一人の音撃では魔化魍を完全に滅ぼすことは難しい。だから、お
庭番集が魔化魍に立ち向かう時は必ず組を作って当たるようになっていた。音撃を重ねること
によって正規の鬼のそれに近づけるためである。
 日之出が跳躍し岩のごとき亀の甲羅に取り付いた。派手な仕草で音撃鼓を叩きつけると太鼓
が展開し、轆轤首の背に三つ巴が浮かび上がる。待っていろ。今楽にしてやろう。

「音撃打・業打絢爛!」
 
 音撃の重奏が秋の夜空に響き渡り──。

 汐留武家屋敷の外れ。江戸湾の砂浜に壮年の男が横たわっていた。星を眺めながら波の音を
聞いている。潮風はまだ夏のいろを残していたが、絣の着物一枚ではもう肌寒く感じるのだが、
その男は意に介した風はなかった。虫が鳴いていた。狂おしいほどに。今を盛りと懸命に唄を
叫んでいる。
 今は亡き娘の名を心の中で呼んでみた。
 癖の強い髪の男と、楽しそうに戯れる娘の笑顔。
 あの男は今頃、どこでなにをしているのであろうか?
 今もこの空のどこかで弦を振るっているのだろうか?
 それとももう、人に戻って暮らしているのだろうか?
 
 今の自分とあの時の男。何ほどの差があろうか。

 自分を見下ろすやせ細った三日月が、今の己の心のように思えて、ひどく悲しい気分になった。

昔語り 〜終〜

262 :皇城の〜の…中の人:2006/10/18(水) 23:30:20 ID:jIZUQMh/0
というわけで本編ぶっ飛ばして、このようなものを書いてしまいました。
賛否いろいろあると思いますが、許されて下さりませ。

大変遅ればせながら。
119さま>
石川英輔の大江戸シリーズですか。フムフム。近所の書店をあさって見ます。
ありがとうございます。最近久方ぶりに活字に飢えておりますゆえ、一気読みでもして見ましょうかと画策中であります。

斉藤 真斗芽さま
いつもいつも転載、お手数様です&ありがとうございます。

格SS作者様方
いつもいつも思うんですが、筆が早い…どうやったらそんなに早く面白くかけるんでしょうか(^-^;
あやかりたいですorz

148さま>
志郎の89%はたのもしい幼稚園で出来ています
志郎の4%は霧咲鬼で出来ています
志郎の4%は太田豊太郎で出来ています
志郎の3%は和泉一文字で出来ています

志郎の84%は幼稚園らしいですorz

ヒラメキの95%はオペレーション舞姫で出来ています
ヒラメキの5%は天鬼で出来ています

舞姫度高すぎですorz

微妙な立ち位置の皇城でしたw

263 :見習いメイン作者:2006/10/19(木) 10:06:46 ID:yFjW4zlA0
>>257-261
「祈る獣」とのコラボ、ですね? オリジナルの音撃武器と音撃が格好イイ。
こうした感じでお話ができていくの、面白いと思います。

>いつもいつも思うんですが、筆が早い…
ヒント:一話一話の長さ

100行に満たない、よろよろSS六之巻を投下します。


264 :見習いメインストーリー:2006/10/19(木) 10:08:00 ID:yFjW4zlA0
前回は>>236から。

六之巻「叫ぶ金」

 三月のある日曜、純友がいつもより早めに「たちばな」に訪れると、関東支部長の立花
勢地郎は吉野の本部に出張中であり、長女の香須実が一人、一階の店舗で働いていた。
「いらっしゃい!」
 整った顔に似合わず威勢のいい挨拶をする香須実へ、純友は多少びくびくしながら
「お疲れさまです」と返して脇を通り抜けた。地下一階の「猛士の間」に降りると、
そこでは次女の日菜佳がパソコンの前で何やら作業をしていた。彼女にも挨拶をして、
そのまま設計室に向かおうとした時、みどりが設計室に通じる回転扉から出てきた。
「うわ」
 慌てて後ずさった純友は、足に何かが引っかかり、そのまま後ろに転んでしまった。
「ええええーっ!?」
 同時に日菜佳が素っ頓狂な声をあげた。純友の足に引っかかったのはパソコンの電源
コードで、データベースに入力途中の魔化魍の情報が消えてしまったというのだ。
「ごめんね〜、日菜佳ちゃん。私が急に出てきたから……」
 みどりが謝る横で、純友は泣きながら頭を下げた。
「うわあぁぁん、すみませえぇぇん……!」
 べそをかく純友の様子におろおろしながら、日菜佳は言った。
「事故ですから、泣くことはないですよ、純友くん。ただ、一応これを書いて下さいませ」
 目の前に出された始末書を見て、純友の泣き声が大きくなった。

 一〇分後、みどりの監督の元、純友はパソコンに向かって日菜佳が行っていたデータ
入力を代わりに行っていた。


265 :見習いメインストーリー:2006/10/19(木) 10:08:33 ID:yFjW4zlA0
「うぅ……。今日は早く来て、研修の前にディスクアニマルのパーツをいじろうと
思ってたのに……」
「いいじゃない、これやれば、日菜佳ちゃん始末書はいいって言ってるんだから」
 日菜佳は、店舗で一人働く姉の応援に行っていた。
 しばらくして、日菜佳と大洋が階段を降りてきた。
「何やってんだ? オマエ」
 泣きながらキーボードを叩いている純友を見て大洋が言った。泣いている純友の
代わりにみどりが答えた。
「ちょっとした罰ゲーム。──日菜佳ちゃん、もう純友くん連れて行っていい?」
「はい、もう三〇分近く作業してもらっちゃいましたからね〜。もういいですよ、
純友くん。ありがとうございました」
 深く頭を下げてから純友は席を立ち、設計室に向かうみどりと大洋に着いて
いった。再び席についた日菜佳は、パソコンのモニターを見てまた声を上げた。
「えええっ!?」
「すみませええん!」
 反射的に謝る純友。
「いや、別に怒ってるわけではないんですよ、純友くん。これ、純友くんが
全部入力したんですか?──こんな短時間で」
 どうやら純友の入力したデータ量は、日菜佳が同じ時間で行える量の二、三倍
はあったらしい。
 日菜佳は純友の腕を両手でつかんで引き止めて言った。


266 :見習いメインストーリー:2006/10/19(木) 10:09:05 ID:yFjW4zlA0
「純友くん、『金』をやってみませんか?」
 反対側の腕をみどりがつかんで言った。
「ダメよ日菜佳ちゃん、純友くんは『銀』候補なんだから」
「モテモテだなオメー」
 そう言って笑いながら、大洋は回転扉をくぐって設計室に向かっていった。
「いや……ぼくはその……まだ何をやるか決められないです……」
 赤面しながら純友は言った。

 その日の講義の後、例によって居残りをして、純友は研究室でたくさんのパーツを
机上に広げていた。その中から次々と選んだものを組み合わせていき、二週がかりで
ようやく一枚のディスクの形に仕上げた。
「ちょっと見せてね、純友くん」
 ディスクを手に取ったみどりは、パーツの継ぎ目が描く模様を見て言った。
「消炭鴉の初期型かぁ。こんな古いやつのパーツがまだあったんだ」
 みどりはディスクを純友に手渡した。
「ちょっとはディスクの内部構造がわかったかな? このちっちゃい中に、
変形機構とか録音機構とかを、少しでも長く飛べる様に、少しでも長く録音
できるように設計するのが『銀』のおしごとの一つよ」
「これ、動きます?」
「ディスクアニマルって動物の魂を封じ込めるものだから、組み立てただけじゃ
動かないの」


267 :見習いメインストーリー:2006/10/19(木) 10:09:47 ID:yFjW4zlA0
 みどりが展示室からとってきた音叉で机上のディスクを叩いたが、反応はなかった。
「ほらね」と言ってみどりが音叉をもとの場所に戻そうと背を向けた時、純友はハッとした。
 机上の鈍い銀色をした円盤が、わずかにかたかたと動いたように見えたのだ。
「うわあああっ!」
「ん?」
「う、うごうご、動いたあああっ!」
「そんなわけないでしょ、純友くんったらもう」
 くすくすと笑うみどりに、椅子から立ち上がって純友は言った。
「それ、借ります!」
 みどりはよくわからないまま純友に音叉を手渡した。その音叉で純友がディスクに
触れて、キィィーン……という澄んだ音が設計室に響き渡った、その時。
「あっ?」
 みどりが声を上げたのも無理はない。何年前のものかもわからない古ぼけたディスクが、
黒く色づいてカラス型に変形して翼を広げたのだった。
「うそ……バラバラになったディスクに、ずっとカラスの魂が残っていたの……?」
 音叉を持ったまま、みどりに向けた背を震わせて純友が泣いていた。
「うっ、うっ、ううう」
「どうしたの〜? 純友くん。別に、始末書を書くようなことじゃないよ」
「ううう、動いたあぁぁ。ぼ、ぼく、初めてディスクアニマルを起動できたあぁぁぁ!」
 感涙する純友のまわりを、カラス型のディスクアニマルがくるくると飛んでいた。

六之巻「叫ぶ金」了


268 :凱鬼メイン作者:2006/10/19(木) 18:57:18 ID:hbs9zjqS0
みどりさんって罪な人www

269 :高鬼SS作者:2006/10/19(木) 20:31:59 ID:tGQvx6QH0
一本投下しますがその前にお断り。
折角70年代という設定なので、ちょっとした時事ネタを書いてみました。
その結果、鬼への変身も魔化魍の登場も一切ナシという話になってしまいました。
どちらかというと「宴の始末」や「惑わす小判」と同系統の話です。
あそこまでドタバタじゃない分中途半端ですけどね…。
それではどうぞ。

>見習いメインストーリー様
DAが動いたという事は一歩前に進めたってわけですね。
純友くんのこれからに期待!

270 :仮面ライダー高鬼「嵌まる遊戯」:2006/10/19(木) 20:33:24 ID:tGQvx6QH0
1978年、下旬。
関西支部の表の顔である老舗旅館。その経営難を打破するべく、総本部長である和泉一流はある決断を下した。
インベーダーゲームの導入である。
当時一大ブームを巻き起こしていたインベーダーゲームを旅館のロビーに設置して、それを売りに客を呼ぼうと考えたのだ。
当然ながら反対意見も出たのだが、一流は半ば強引に意見を押し通し女将、すなわち自分の妻の説得にも成功したのである。
で、公務で忙しい一流の代わりにイブキが勢地郎と共にゲーム喫茶の視察に行く事になったのだが……。
「何故私まで同行する必要があるのだ?」
愚痴るコウキをイブキが宥める。
「まあまあ、非番だから良いじゃないですか」
「大の大人が平日の真っ昼間に連れ立って喫茶店へゲームをしに行くなど、私には耐えられんよ」
そうぶつぶつと文句を言いながらコウキは車に乗り込んだ。今回は特例として猛士の車を使用しても構わないように便宜が図られているのだ。
こうして三人は、新しく大阪に出来たという最も大きなゲーム喫茶へと視察に向かった。

駐車場に車を停め、店へと向かうコウキ達。と、駐輪場に見慣れたバイクが停まっているのを発見した。
「あれ?これって……」
「アカツキとイッキも来ているのか……」
そこに停まっているのは、間違い無くアカツキの装甲バイク「陸震」とイッキのあかね製カスタムバイクであった。
「でもアカツキさんって確か出撃中の筈じゃ……」
まさかサボっているのではないだろうな?そんな事を考えながらコウキはイブキ達と共に店内へ入っていった。

271 :仮面ライダー高鬼「嵌まる遊戯」:2006/10/19(木) 20:34:31 ID:tGQvx6QH0
店内は喧騒に満ちていた。そこかしこから電子音が響いてくる。
三人は適当な席に座ると飲み物を注文した。
「ゲーム機がテーブルになっているのか。噂には聞いていたが、とんでもないものだな」
「ところでこの中でインベーダーをやった事がある人、います?」
勢地郎が二人に尋ねた。
「私はまだやった事が無いな。そう言うそっちはどうなのかね?」
勢地郎もまた、無いと答えた。続いてイブキが答える。
「僕も同じです。ブームだというのは知っていましたが。……あの、ちょっと試しにやってみても良いですかね?」
そう言いながら財布を取り出すイブキ。
「分かった。君達はインベーダーをやっていたまえ。私はアカツキ達に会ってくる」
そう言うとコウキは席を立ち、店内を一通り見渡すとそのまま行ってしまった。

筐体に向かって熱心にボタンを押しまくっている若者が一人。関西支部所属の鬼、イッキだ。
「ああ、くそっ!もう一回」
「精が出るな、イッキ」
「コ、コウキさん!?何故ここに……」
「まあ色々あってな。しかし……」
イッキがプレイしている机の上には、飲み物と一緒に大量の百円玉が山積みされていた。
「無駄使いだとは思わんのか!大体お前、京都担当のくせに何故大阪に居る!」
「いや、その……大きな店が開店したと耳にしたもので試しに……」
「ゲームなぞ何処でやろうと同じだろうが!……それよりアカツキは何処だ?答えたまえ」
「ああ、アカツキさんならそこに……」
そう言ってイッキが指差す先には、これまた熱心にモニターを凝視中のアカツキの姿があった。

272 :仮面ライダー高鬼「嵌まる遊戯」:2006/10/19(木) 20:35:21 ID:tGQvx6QH0
アカツキの傍に近寄るとコウキは早速怒鳴りつけた。
「貴様、出撃中ではなかったのか!?」
「予定より早く片付いたので時間潰しに……」
コウキの方を見る事無く、淡々と受け流すアカツキ。
「だったら早く戻って報告に来い!態度が悪いぞ!」
無視してゲームを続けるアカツキ。
「貴様!何とか言え!」
「何とか」
完全に馬鹿にされている。コウキが背中に隠した愛用の警策を取り出そうとしたその時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「……あいつらも来ているのか」
そう呟くとコウキはアカツキの事は後回しにして、声のする方へと向かっていった。

「凄い!セイキさんの記録を越えましたよ!」
「くそっ!おいドキ、そろそろまた俺に代われよ」
高得点を叩き出すドキの後ろでセイキとまつが騒いでいる。
「鬼の反射神経と動体視力をもってすれば簡単な事だ」
イッキが聞いたらショックを受けそうな事を平然と言いながらプレイを続けるドキ。そこへ。
「お前達待機中じゃなかったのか……?」
「コ、コウキさん!?」
「げぇっ!こ、これはその……」
突然の来訪者に揃って驚きの声を上げるセイキとまつ。
「あ、あのですね。大阪に大きな店が出来たって聞いたもので、それで……」
イッキと全く同じ事を言う。
「待機中に大阪へ来る奴がいるか!何かあった時連絡はどうする!?まつ、君まで一緒になって……」
「ご、ごめんなさい!」
まつが頭を下げる。と、その時。
「よっしゃああッ!」
隣の席からこれまた聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「……おい、バキさんも来ているのか」
「ああ、バキさん凄いんですよ。集中力が違うんですかね、なかなかの点数を叩き出して……」
そんな事を言うセイキを一喝すると、コウキは次にバキの下へと向かっていった。

273 :仮面ライダー高鬼「嵌まる遊戯」:2006/10/19(木) 20:36:29 ID:tGQvx6QH0
目にも止まらぬ速さでボタンを連打しているバキ。その傍らにコウキは立って話し掛けた。
「バキさん、あなた……」
コウキの声に反応する事無くゲームを続けるバキ。
「バキさん、聞こえているのか?」
さっきよりも少し大きな声を出すがやはり結果は同じだった。
「……この人は集中すると相手以外は何も見えないし聞こえないんだったな」
噂ではこの男、脳内物質まで自在に操れるらしい。これ以上バキに話し掛けても無意味と判断したコウキは、とりあえずイブキ達の所へ戻ろうとした。だが。
「よっしゃ見てみい!行くぜ最高記録!」
「流石ニシキくん!そこにシビれる!憧れるゥ!」
やれやれといった表情でコウキは声のする方へと向かっていった。

プレイ中のニシキを石川がその横で応援している。
「スゲェ!こいつはヤベェよニシキくん!まさにゲームの鬼!」
「おうよ!この店の最高記録塗り変えたる!」
相変わらず騒がしい二人に向かって一喝するコウキ。
「馬鹿者!何をやっているんだ!」
「あ、コウキさん。ちぃ〜っス。何ってインベーダーに決まってるじゃないっスか。俺ら今日非番っスから」
「む……そうだったな」
石川に言われて漸く彼等が今日は非番だった事に気付く。
「それよりも凄いんスよ、ニシキくん。この店ももう少しで最高記録更新っスよ!」
「この店も、だと?」
石川曰く、彼等二人はメイン担当地区である滋賀にある全てのゲームセンターやゲーム喫茶を荒らし回ったらしい。そしてとうとう京都、大阪にも進出を始めたのだという。
「……お前達、暇なのか?」
「そんな事よりもニシキくんのプレイを見てやって下さいよ!」
「どうや!この華麗なる名古屋打ちのテクニック!」
「ニシキくん最高〜!」
馬鹿騒ぎをしながらゲームを続けるこの二人が何となく癇に障ったコウキは問答無用で二人を警策でしばき倒すと、改めてイブキ達の下へと戻っていった。

274 :仮面ライダー高鬼「嵌まる遊戯」:2006/10/19(木) 20:37:29 ID:tGQvx6QH0
自分達の席へと戻ると、既にテーブルの上には注文した飲み物が置かれていた。そして。
「行けっ!行けるよイブキくん!」
「よし、記録更新!」
イッキ同様テーブルの上に山積みの百円玉を乗せて、ゲームに熱中するイブキの姿があった。
呆れ果てて頭を押さえるコウキ。
その日イブキは今月分の小遣いの大半を使ってしまったのであった。
ちなみにアカツキ、セイキ、ドキ。まつの四人も後でたっぷり絞られている事を明記しておく。

その後、色々な手続き等を踏まえてとうとうイブキの実家にインベーダーゲームの筐体が数台設置された。
「これで集客率アップだ!笑いが止まらんぞ!わははは!」
お披露目の時、一流はそう言って実に愉快そうに笑った。だが僅か一月で全ての筐体が旅館から撤去される事となった。
理由は簡単。関西支部の鬼やスタッフが連日入り浸り業務に差し支えるようになったからである。おまけに旅館の利用客がそんなに簡単に増加するわけでもなく、一流の目論見は悉く外れてしまった事になる。
撤去当日、旅館には入り浸っていた面々が集結していた。旅館から撤去するのなら総本部に設置しろと言うのである。
「巫山戯るんじゃない!お前達のために設置したんじゃないんだぞ!」
一流が声を荒らげて怒鳴っている。その様子を遠目から眺めているコウキ。団体の中心人物としてイブキが父一流に抗議している。
「……ある意味魔化魍より怖いな。近い将来、もっと酷い事態が起こりそうだ」
コウキのぼやきは現実のものとなった。1988年、ドラゴンクエストVの発売日には沢山の鬼やスタッフが任務をサボって行列に並んだのである。
当然、その者達は全員警策の洗礼を受け、酷い者は買ったばかりのソフトを文字通り粉砕されたという。 了

275 :凱鬼メイン作者:2006/10/19(木) 21:47:40 ID:hbs9zjqS0
>>高鬼SSさま
なんか勢ぞろいって感じですねぇ〜。
実を言いますと、拙作のアカツキは1970年代に活躍&異端視された
アカツキの倅ということになっております。
若干年代がずれそうな感もありますが、高鬼SSには「天美家」と複数系にも取れる風に明記されていたので
当時の先代アカツキには家庭はあったのではないかと解釈させていただいてます。
しかしまぁ、随分若々しいパパさんになってしまいますけど・・・。

276 :DA年中行事:2006/10/20(金) 00:01:04 ID:N9UOfJ1K0
皇城さん・・・・・読んだ瞬間「ふぎょッ」とか「もぱッ」とか変な声が出ました。
庄助に忠実な鳥獣を与えて下さって、本当にありがとうございました。
薄っぺらい拙作に、厚みを出して戴きました。あああ、俺もちゃんと勉強しないととと!



277 :高鬼SS作者:2006/10/20(金) 19:48:19 ID:my0XGaA30
>凱鬼メイン作者様
以前凱鬼メインSS中でそれっぽいセリフがあったので、そうじゃないかと思っておりました。
「秋田の鬼」冒頭でも書いたように高鬼SSのアカツキとあきらの関係は決めておりませんでしたし、
また「天美家」との表記も深く考えずに書いたので、こちらとしては問題はありません。
…強いて言うならやはり歳ですかね。描写を見た限り、明らかにコウキより若い感じ。

あの後何となく考えた設定じゃ、高鬼SSのアカツキは沢山いる兄弟の長兄で、
何らかの理由で(たぶん死亡)末弟がアカツキの名を継ぎ、あきらはその子ども…ってのがあったのですが
わざわざ書く必要もないし読者の皆様の想像に任せよう、と没にしておりました。

でもまあ何とでもなるでしょう。

278 :瑠璃公作者:2006/10/20(金) 23:24:47 ID:A/7alJSF0
前に「DA短編 忠犬瑠璃公」を投下した者です。
今回、冬物のDA短編の案を思いつき、執筆中ですので先に予告編を投下します。

279 :予告編:2006/10/20(金) 23:25:44 ID:A/7alJSF0
「DA短編 雪ごろも」
予告編

ケーン、ケーンと、甲高いよく通る啼き声が、はらはらと牡丹雪の降り積もる原っぱに、こだました。

「なんの声ぞや。」若者が、さも北国らしい、急斜の屋根の家から外を覗こうと引き戸を開けると、たちまちに寒気が入り込んできた。


主を憎き魔化魍に殺された消炭の烏は、再び鬼の清き音色で甦った。

――――そなたは何故に魔化魍を追うか。

――――主君の仇を討つ為に候。

――――仇を討ったとして、そなたの君が帰るわけでもあるまいに。

――――あなたは何故にそれほど私に問答するのか。

 わ た し に も 、 愛 し た 人 が い た 。

 そ な た は わ た し と 同 じ 。

 愛 す る 人 を 護 ろ う と 式 神 と な っ た 。


DA短編 雪ごろも
今冬、投下。

280 :厨房職人:2006/10/21(土) 22:22:34 ID:wTrxHLgz0
まとめサイトのお絵かき板に、以前依頼のあったサバキさんUPしときました。
今ならポージングのご要望が幾らか聞ける段階ですので、ぜひともお願いします。

281 :高鬼SS作者:2006/10/22(日) 09:16:25 ID:fpxSLNsG0
一本投下しますが、先に謝っておきます。
新キャラが出ます。あからさまなパロディです(苦藁)。
その関係で長い薀蓄パートが出てきます。
今まで何回言ったか分かりませんが、怒らないで読んでやって下さい。
あと、珍しく以前投下した「吉良家の一族」と「夏の風物詩」の後日談という形をとっています。
これ単独でも大丈夫ですが、未読の方は良かったら先の二本も読んでみて下さい。
それではどうぞ。

282 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:17:34 ID:fpxSLNsG0
1977年、葉月。
京都での一件からほんの数日後、コウキはまたしても出撃する事になった。
場所は和歌山県。先のワニュウドウとの戦いの後メンテナンスに出しておいた音撃鼓を受け取るため研究室に行くと、旅支度をしているあかねが待っていた。
「どうしたのです?また何処かへお出かけですか?」
「あ、コウキくん。『紅蓮』のメンテナンスは終わってるよ。はい」
そう言って「紅蓮」を差し出すと、あかねはコウキの質問に答え始めた。
「実はね、これから旅行に行くんだ」
「お一人で、ですか?」
「ううん。私とモチヅキくんと京極くんの三人で。総本部長から特別に夏休みを貰っちゃったんだ」
京極とは総本部の図書室に勤務している司書の名だ。彼もまたコウキとの付き合いは長い。

283 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:18:57 ID:fpxSLNsG0
数年前のある日、調べ物をしていたあかねに付き合ってコウキは図書室を訪れていた。
カウンターでは仏頂面をした陰気な司書が座って本を読んでいた。いつもの図書室の風景である。
「ねえ京極くん。ちょっと探しているものがあるんだけど……」
京極と呼ばれた司書は本に目を落としたままあかねの問いに答えた。
「……何をお探しかね」
「この間魔化魍が出現した地域に関する資料なんだけど……」
あかねが京極と話している間、コウキは書架を回っていた。別に何か読もうと思っていたわけではないのだが、病的なまでに潔癖な司書が整理整頓した書架は見ていて気持ち良く感じられる。
「民俗学」と分類された書架を眺めていると、河童に関して書かれた書物が目に留まった。そういえばそろそろ夏の魔化魍の季節だなぁ、と何気無く本を手に取るコウキ。
ぱらぱらと頁を捲っていると背後から声がした。
「河童かね。確かにそろそろ時期だからねぇ」
いつの間にかコウキの背後に京極が立っていたのだ。鬼の背後を取るという常人には不可能とも思える離れ業をやってのける京極に驚きを隠せないコウキ。
「せ、先生!あかねさんはどうしたのです!?」
「彼女ならお目当ての資料を持って研究室へ戻ったよ」
「では私も……」
立ち去ろうとするコウキを京極が呼び止めた。
「その本、借りていくのかね?」
本を書架に戻し忘れていた事に気付くコウキ。
「いえ、これは……」
「ところで君はカッパとの戦闘経験はあるかね?」
「鬼になってから数える程しかありません」
コウキの答えに「まあそうだろうねぇ」と言いながら頷く京極。
「関西じゃあ、特にここ奈良じゃあムジナの方がよく湧くからねぇ……」
ここ関西ではムジナ絡みの伝承が数多く残っている。白坊主や砂かけ婆といった妖怪達だ。
関西にも出ないわけではないんだがねぇ、と言いながら京極は話を続けた。
「ひょっとして君はカッパが地域によって異なる名を持つという事も知らないのではないかね?」
そういえば「と」だった頃に研修でそのような事を習った気がする。しかし正直な話、殆ど記憶に残っていない。
素直に分かりませんと答えると、京極は各地のカッパについて語り始めた。

284 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:20:34 ID:fpxSLNsG0
「まず魔化魍は出現した場所によって個体差がある事は知っているね?」
「形状や体色の事でしょう?」
例えばバケガニは出没地域だけでなく、淡水に棲むか海水に棲むかでも体色が異なってくる。また、ヤマビコは個体によって鳥のような嘴と羽を持っているものがいるが、それらは鳥取方面では「呼子鳥」と呼称されている。
「……つまりヤマビコのようなものだと?」
「そう単純ではないのだよ。それらはあくまで形状が微妙に違うだけで、基本的な能力に差異は無い。しかしカッパの場合は……」
別個体と呼んでも差し障りはないだろう、と陰気な司書は断言した。
「例えば九州。ここは沢山のカッパが居る事で有名だ」
九州は嘗て九千坊と呼ばれるカッパの親玉が大陸から九千匹の眷属を引き連れて上陸した地だとされている。
「佐賀のヒョウスベ、宮崎のヒョウズンボ、奄美大島のケンモン、南九州のガラッパ……どれもカッパではあるのだが、全て外見も能力も異なる」
ヒョウスベの外見は猿に酷似しているし、ガラッパは信じられないぐらい長い手足を持つ。ケンモンは頭の皿に溜まった油に常に火を灯しているし、ヒョウズンボに至っては……。

285 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:21:23 ID:fpxSLNsG0
「……空を飛ぶ」
「空を……ですか?」
カッパが空を飛ぶなど聞いた事が無い。
「ヒョウズンボは空を飛んで山に入る。山に入ったヒョウズンボはそのままヤマワロへと姿を変えて秋から次の夏までを過ごすと言われている」
さらに元を辿れば大陸の……と京極が続けようとした時、コウキがそれを遮った。
「……すみません、簡潔にお願いします」
これでも噛み砕いて説明しているんだがなぁ……とぼやく京極。
「兎に角、カッパと一口に言っても色々いるわけだから『歩』の人がカッパが出たと報告してきても、それがどのカッパなのかを事前に調べておかないと痛い目を見るという事だ」
最初からそれだけ言えばいいのに、とコウキは思ったが口には出さないでおく。
「ちなみによく報告に挙がる『普通のカッパ』も東日本ではカワタロウ、西日本ではガータロやガタロウやガワタと呼んで区別しているよ」
でも最近はみんな好き勝手に呼んでいるみたいだけどね、と京極は続ける。
漸く長話から解放されて図書室を出ようとするコウキを、再び京極が呼び止めた。
「機械いじりばかりやっていないで、たまには本を読みにきなさい。魔化魍に関する相談もあかねさんにばかりせずに僕にもしに来なさい」
「……はい。本日はお世話になりました」
その日以来コウキは図書室へ行く回数が増えた。京極は科学にも明るく、新しい実験について示唆してくれる事もあったからだ。
ちなみに、伝説となった「三十匹殺し」。あの日コウキにヒントとなる言霊について書かれた文献を渡したのも京極である。

286 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:22:11 ID:fpxSLNsG0
ここで話は現在に戻る。
「ほら、私もモチヅキくんも京極くんも、ここで働き出してから長いでしょ?だから御褒美に温泉旅行に御招待ってわけなのよ〜」
元々旅行好きのあかねが実に嬉しそうに告げる。
「で、コウキくんはこれから何処へ?」
「和歌山です。場所は那智勝浦。あそこは熊野に近いですし、先月の事もありますから……」
先月、熊野山中に現れたダリを退治に向かった際、何故か報告に無かったカッパまで現れている。その事がコウキには多少気掛かりだった。
「那智勝浦!?私達が旅行に行くのもそこだよ!じゃあさ、一緒に行こうよ」
別に断る理由も無いため承諾するコウキ。
こうしてコウキは、旅行に向かう中年三人組と一緒に和歌山へと向かったのであった。

287 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:23:59 ID:fpxSLNsG0
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町。モチヅキの車に乗って四人は宿泊先の民宿へとやって来た。ここでコウキは三人と別れて行動する事になる。
「どうやらバケガニらしいですね。ここは沿岸部ですから間違い無いでしょう」
「海の個体は淡水の個体よりも気性が荒いのが多いから気を付けてね」
あかねに向かって静かに微笑むコウキ。大丈夫だという意思表示だ。
民宿の建物には大きく「鮫番」と屋号の書かれた看板が下げられていた。玄関には民宿の主人が既に出迎えの準備をして待ち構えていた。
「こんにちは〜。今日からお世話になる南雲です」
「ようこそいらっしゃいませ。私が当民宿の主人の……あっ!」
主人がコウキの顔を見て驚きの声を上げた。
「あの時の探偵さんじゃないですか!」
「あっ!あなたは確か奈良県警の……」
「大沢です!吉良邸での事件の時にお世話になった……。いやあ、覚えていてくれて光栄です」
その主人は紛れも無く今年の春にコウキが身分を偽って介入したとある事件の現場責任者だった大沢刑事であった。
「どうして奈良県警のあなたがここに……」
「毎年夏休みを取ってここ那智勝浦で民宿の親父をやっているんです。まあ趣味みたいなものですわ。しかしこうしてまたお会い出来るとは……」
本気で嬉しそうな大沢とは裏腹に、コウキ、そして当時の事情を知るあかねは突っ込んだ質問をされでボロが出やしないか不安で仕方が無かった。
「どうしたんだいコウキくん。あかねさんも……」
モチヅキが不思議そうな表情をして尋ねてくる。と、車から最後に降りてきた京極が驚きの声を上げた。

288 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:25:10 ID:fpxSLNsG0
「何処かで聞いた声がすると思ったら、大沢先輩じゃありませんか!」
「京極!?お前京極か!久し振りだな、元気にしてたか!?」
どうやらこの二人、知り合いのようである。その事についてあかねが尋ねると。
「ええ。この人は僕の高校時代の先輩なんです」
「ミス研のな。……しかし驚いたな、お前が来るとは。これはいよいよもって運命というやつかもしれんぞ」
「と、言うと?」
怪訝そうに尋ねる京極に向かって大沢が笑顔で答える。
「実はな、我らがミス研のアイドル、美幸ちゃんも今ここに泊まってるんだよ」
「美幸先輩も来ているんですか!?」
驚く京極。その姿を見て、いつも無表情な司書の姿しか知らないコウキ達三人もまた驚きを隠せないでいた。
「……ところで京極。今日泊まるのは三人だと聞いていたんだが……」
「あ、私は客じゃありません。偶々知り合いと行き先が一緒だったので乗せてもらってきただけです」
慌ててコウキが答える。
「そうですか。やはり今回も何かの事件で?警察が関与している事件なら、和歌山県警に知り合いが居るから捜査協力を仰ぐ事も出来ますが……」
「いえ結構です。それでは私は行きますから。ではあかねさん、私はこれで」
そう言うと音撃武器等の入ったバッグを片手に慌てて立ち去っていくコウキ。
「あ、探偵さん!吉良邸の事件のその後の進展とかは聞かなくてもいいですか?……ああ、行っちゃったよ」
「……あの、そろそろお部屋に案内してもらえませんか?」
「や、これは失礼!」
あかねに言われて、慌てて三人を建物内に案内する大沢だった。

289 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:26:45 ID:fpxSLNsG0
その夜、民宿の小さな食堂では嘗てのミス研仲間のちょっとした同窓会が開かれていた。
「京極くん、今何をしてるの?」
美幸が京極に尋ねた。
「……司書をしています。とある公的機関で」
「うわぁ、凄いね!私は今、弁護士事務所に勤めてるんだ。ただ、弁護士としてではなく事務員としてだけどね」
「俺の商売敵の所で働いてるんだよなぁ、美幸ちゃんは」
大好きなウイスキーを飲んで上機嫌の大沢が、嫌味たっぷりに言う。
「やめて下さいよ大沢さん!絡み酒なんて迷惑なだけですよ」
「いいじゃねえか!ほら京極、お前も飲め!」
「僕は下戸ですから……。しかし先輩方は何もお変わり無いようで安心しました」
「お前だって陰気なまんまだ!あの頃と何ら変わっちゃいない。ははははは!」
大沢と美幸は酒のせいで随分と顔が赤くなっている。京極は飲めないが、それでも昔の仲間とこうして一緒の席で食事をしているというのが非常に嬉しかった。
「……ところで大沢さん。私、こっちに来る前に妙な噂を耳にしたんだけど……知ってます?」
「何?」
美幸の質問に耳を傾ける大沢。
「……この辺り、出るんですってね。化け物が……」
幽霊が出てくる時の真似をしながら美幸が言う。その「化け物」という言葉に京極が反応する。
「……ああ、そういやそんな噂がここ暫く出回ってるんだよな。そのせいか、今のところ客は美幸ちゃんと京極達だけだし……」
「……その話、詳しく聞かせてもらえませんか?」
身を乗り出して二人に頼み込む京極。
「何だ何だ?そういやお前、昔から化け物とか好きだったよな。いいぜ」
二人はそれぞれ自分が聞いた噂話を京極に話した。黙って二人の話を聞き続ける京極。
聞き終わった京極は静かにこう言った。
「先輩、今日僕に会った時こう言いましたよね。『運命というやつかもしれんぞ』と。僕もそう思います。ここに僕達が泊まった事は運命だったのではないか、と」
「どうしたんだよ、お前。まあいいや、ほら飲めよ!」
そう言うと大沢は空になった京極のコップになみなみとオレンジジュースを注いだ。

290 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:27:53 ID:fpxSLNsG0
その日の晩、京極は横で眠るモチヅキに大沢達から聞いた話を聞かせていた。
「カッパ……ですか?」
「そう。先輩達の話を総合した結果、どうやらカッパが湧いているようなのだよ」
「先月熊野にカッパが出たって報告もあったし、別段不思議じゃないと思うけど……」
襖一枚隔てた隣の部屋で寝ているあかねが、襖越しに話に割って入ってきた。
「起きていたのですか?」
「うん。最近夜型の生活が続いていたせいかなかなか眠れなくて。で、カッパが出た事の何が変なの?」
あかねに尋ねられて京極が答える。
「……話を聞いた限りでは、どうもそのカッパ、九州特有のカッパと外見が似ているようなのです。しかし九州のカッパが近畿に居る筈が無いんだ」
京極の総本部での役職は「金」。彼の頭の中には古今の魔化魍に対する膨大な知識が蓄えられている。そんな彼がおかしいと言うのだ。流石にモチヅキも不安になってきた。
「コウキくん、確かバケガニ退治に行ったんですよね。本当にバケガニでしょうか……」
「だってカッパだよ?カッパって海に出るものなの?ねえ京極くん」
闇の中、モチヅキが視線をこちらに向けてきた事を感じ取った京極はこう答えた。
「……現段階では何も言えません。ですが、この件は彼の耳にも入れておいた方が良いと思う。明日、彼のキャンプに行ってみましょう」

291 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:29:04 ID:fpxSLNsG0
翌朝、あかねとモチヅキの二人は当初の予定を変更してコウキの下へと向かった。京極は大沢と美幸に釣りに誘われたため、残る事になった。
「京極さん、確か釣りって苦手じゃなかったですかね?」
運転しているモチヅキが助手席のあかねに言う。
「釣りが苦手と言うか、体を動かすレジャー全般が苦手なのよ。まだ釣りはそんなに動かないから行ったみたいだけど……」
その割に京極という男、噂では日本三大奇祭の一つに数えられる長野県の御柱祭に参加した事があるらしい。巨大な柱を坂から落とすこの祭は行われる度に負傷者が出る事で有名だ。
「まあ滅多に会えない昔の友人に会えたんですもの。京極くんの好きなようにさせてあげましょう」
どうせ夏休みの最中だしね、と笑いながら言うあかね。
「その休みを返上して働いている今の僕等って、一体何なんでしょうね……」
二人がコウキの仮設キャンプを訪れた時、そこに彼の姿は無かった。
「出撃中?ベースに行き先の手掛かりになるようなものは残ってない?」
「あ、ここに印の付いた地図がありますよ」
モチヅキが見つけてきた地図を頼りに二人はコウキが向かったと思われる現場へと急いだ。
「念のため聞くけどモチヅキくん、音叉は持ってきてる?」
「仕事の事は忘れてのんびりするつもりだったので置いてきちゃいました」
「だよねぇ」
山中に分け入り、川の流れに沿って歩いていく。ふと、あかねは何かが川を流れていくのを目撃したが、先を急いでいるので気にも留めずにそのまま歩いた。
現場では既に高鬼が魔化魍と戦っていた。相手は……。
「カッパ?」
「どうやら京極さんが仕入れてきた噂は本当だったみたいですね」
高鬼はここ関西では見たことも無い外見のカッパと戦っていた。

292 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:30:12 ID:fpxSLNsG0
見た事もない種類のカッパと戦いながら高鬼はこいつらが何者なのか以前聞いた京極の話を必死になって思い出していた。
(カッパというよりはむしろマシラ同様猿に近い姿をしている。こいつらは……)
ヒョウスベ。その名が頭に浮かんだ。だが京極の話ではこの種は確か佐賀にしか発生しない筈である。
「おおおっ!」
「紅蓮」を貼り付け、「大明神」で打撃を与え次々と粉砕していく。粘液玉を吐かない分、普通のカッパよりも戦い易いと言える。
最後の一体に音撃を叩き込む高鬼。清めの音がヒョウスベを粉砕する。
「ふぅ……」
「やったね、高鬼くん!」
あかねが声を掛ける。だがあかね達の方を向いた高鬼は一声。
「危ない!」
「え?」
二人の背後の川から新たなヒョウスベが現れたのだ。鋭い爪を振り翳して襲い掛かるヒョウスベから、間一髪でモチヅキがあかねを救った。
刹那、跳躍してヒョウスベの眼前に立った高鬼が「紅蓮」を貼り付け音撃を叩き込む。爆発。
「危なかったですね。しかし何故あかねさんと先生がここに……?」
「うん、その事なんだけど……」
あかねが続けようとした矢先、信じられない光景が高鬼の目に映った。
川上から沢山のカッパが流れてきたのである。普通のカッパ、京極が言うところのカワタロウだかガータロだかを始め、ヒョウスベ、そしてそれ以外のカッパも流れてきている。
「な、何なのよあれ……」
高鬼同様その光景を見て絶句するあかねとモチヅキ。
「……あれは以前四国に出向していた際に戦ったエンコウとかいうカッパじゃないか。中四国にしか出ないとキリサキ達は言っていた筈……」
何処を見ても様々なカッパばかり。まるでカッパのバーゲンセールだ。
と、あかねはここに来る途中で見たものを思い出した。川を流れていたあれは確か……。
「上流よ!上流に行きましょう!」
あかねに言われ高鬼が駆け出す。あかねを背負ったモチヅキも、引退者とは思えない身のこなしで山道を駆けていった。

293 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:31:12 ID:fpxSLNsG0
川の上流では、全身白尽くめの傀儡が川に藁人形を流していた。その体に呪が刻まれた藁人形は、川の流れに乗って下流へと下っていく。
と、そこへ高鬼が現れ、鬼棒術・小右衛門火を放った。白い傀儡はその攻撃を避けるも、その脇に置かれてあった沢山の藁人形は直撃を受け灰と化してしまった。
あかねを背負ったモチヅキが追いつく。
「さっき川を流れていたのは藁人形ね。カッパは人形が化身したものだって話を聞いた事があるけど、本当にそうやって人工的に作っていたなんてね」
傀儡を睨みつけながらあかねが言う。
「大方各地のカッパを他地域でも育成出来るかどうかの実験でしょうけど、そんな事はさせないんだから!ねえ高鬼くん!」
「あかねさんの言う通りだ。貴様はここで倒す!」
と、「ヒョウヒョウ」という奇妙な鳴き声と共に空から二匹のカッパが飛んできて高鬼の前に立ちはだかった。その隙に逃げ出す白い傀儡。
「カッパが空を飛んだ!?そうか、こいつらがヒョウズンボというやつか!」
「大明神」を手に攻撃を仕掛ける高鬼。と、先程の御当地カッパの群れが再び現れた。
「あかねさん、安全な場所に避難していて下さい」
「モチヅキくん、あなた変身出来ないのに戦うつもり?」
「高鬼くんがこちらに来るまでの時間稼ぎぐらいは出来ますよ」
そう言うとモチヅキは近くに落ちていた手頃な太さの枝を拾うと、カッパの群れに向かって構えを取った。
「破っ!」
高鬼紅へと変身し、ヒョウズンボを撃破する。振り向くと、生身の状態でカッパの群れと渡り合っているモチヅキの姿が見えた。
「先生、今行きます!」
そう言うや否や高鬼紅は疾風の如き速さでカッパの群れに突撃していったのだった。

294 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:32:05 ID:fpxSLNsG0
「紅」と化した高鬼が全てのカッパを倒すのにそんなに時間は掛からなかった。些か拍子抜けしたぐらいである。
本来の生育環境と異なる場所で生み出されたので、結果弱くなってしまったのではないかとあかねが答えた。
「しかしあかねさん、どうしてここに……」
「京極くんがこの辺りにカッパが出るって噂を民宿で聞いてね。念のためコウキくんに知らせに来たってわけ」
「結局ここに出たのはバケガニじゃなくカッパだったって事だろ?」
「いえ、バケガニも出ましたよ」
モチヅキの問いにそう答えるコウキ。何でも、昨晩バケガニが童子と姫を引き連れて現れたのだという。
「童子と姫は倒したのですが、バケガニには海の方へ逃げられてしまって……。片腕を奪っておいたから気性も荒くなっているだろうし、朝一で捜索しようと思っていたのですが……」
「手負いのバケガニが……海へ逃げた?」
嫌な予感がする。海には今京極達が行っているのだ。
「急ぎましょう!嫌な予感がするの!早く!」
あかねに急かされ、コウキ達はそのまま京極達の下へと向かった。

295 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:34:12 ID:fpxSLNsG0
旅館の近くの穴場で大沢と京極は釣り糸を垂らしていた。長丁場になるだろうと踏んだ美幸は食料品の買出しに出掛けている。
「おっ!また来た」
ウイスキーの小瓶を片手に真っ赤な顔をした大沢が、獲物を釣り上げた。
この辺りの海は黒潮の影響で魚がよく釣れるらしい。大沢も京極もかなりの数の魚を釣り上げていた。
「いやあ、今日はツイてるな。いくら穴場だからって、こんなに釣れるのは今までで初めてだ」
上機嫌の大沢が再び酒を呷った。
「先輩、朝っぱらから飲み過ぎですよ」
「堅い事言うなよ。しかし入食いだな、今日は」
どうやらまた何か引っ掛かったようである。しかもかなりの大物のようだ。
「うおっ!こいつは凄いぞ!手伝ってくれ!」
仕方なく大沢に手を貸す京極。成る程、確かにかなりの大物だ。だが。
(大物過ぎないか?一体何が釣れたというのだ?)
と、海面が泡立ち、その中から大きなバケガニが現れた。その腕は片方が斬られて無くなっている。
魚が大量に釣れたのは、バケガニに驚いて逃げていたものが偶々釣り針に引っ掛かっていたからのようだ。
バケガニは失った腕を再生させるための栄養となる餌を求めていた。魚などどれだけ食らっても意味が無い。人を狙い、そして偶然にもこの場所に現れたのだ。
バケガニの姿を見た大沢が素っ頓狂な声を上げて引っくり返った。
「先輩!」
海から這い上がってくるバケガニを食い止めるべく、京極は懐から数枚の式神と音叉を取り出した。音叉を鳴らして式神を動かす。

296 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:35:14 ID:fpxSLNsG0
「先輩、しっかりして下さい!さあ僕の手に掴まって」
大沢を起こし、逃げる京極。彼等が釣りをしていたのは岩場だが、なかなかの身のこなしで京極は駆けていく。御柱祭に参加したという噂もあながち嘘ではないようだ。
「きょ、京極ぅ!ありゃ一体何だ!」
「知りませんよ!」
逃げる二人をバケガニが追い掛けてくる。やはり式神では足止めにもならなかったようだ。
二人が同時に覚悟を決めた時、声が響いた。
「音撃斬・豪火剣乱!」
バケガニの頭上から、刃に炎を纏った音撃弦・五月雨を逆手に持った高鬼が落下してきたのだ。
「五月雨」の刃がバケガニの脳天を貫いた。
「焼き蟹にして食卓に並べてやろうか!」
激しく弦を掻き鳴らす高鬼。清めの音がバケガニの全身を駆け巡りきると同時に、バケガニの巨体は塵芥へと変わってしまった。
岩場に着地し、顔の変身を解除するコウキ。
(しかし……「五月雨」もいつまでもつか。やはりキリサキから「宵闇」を返してもらうべきだったな)
コウキの傍に京極が近寄ってくる。
「危機一髪でしたね、先生。……あっ!しまった、大沢刑事が居るのを忘れていた!」
慌てて顔を隠そうとするコウキを京極が止める。
「心配はいらないよ。先輩なら、ほら」
そこには、完全に気を失っている大沢の姿があった。

297 :仮面ライダー高鬼「夏の思い出」:2006/10/22(日) 09:36:13 ID:fpxSLNsG0
その後、あかね達は任務を終えたコウキと一緒に当初の予定通り周辺地域の観光や温泉を心行くまで楽しんだ。
「……しかし何だったんだ、あの化け物蟹は」
「大沢さん、幻覚を見るぐらい酔っちゃったの?」
暫くして戻ってきた美幸は大沢達から話を聞いてころころと笑った。どうやら大沢自身もあれは酒に酔って見た幻覚だと思っているらしい。「暫く酒は控えるかな……」と
大沢は寂しそうにそう呟いた。
報告のため一足先にコウキが列車で奈良に帰った後も、三人は夏休みを満喫した。そして最終日の朝、民宿の玄関先で一行は大沢に別れの挨拶をしていた。
「お世話になりました」
「また来年の夏も是非お越し下さい。それと京極」
大沢が京極を見て言う。
「……近いうちにまた会おう、とも言えんな。俺も美幸ちゃんもそれにお前も忙しい身のようだからな」
「なあに、それでも今生の別れという訳ではないでしょうから、いずれまた何処かでばったり出くわしますよ」
「……そうだな。そうだといいな」
車に乗り込む際、京極は最後にこう告げた。
「先輩、今年の夏は久々に楽しかった。僕の生涯の宝物になるでしょう。この、夏の思い出は……」
「へっ、俺は多分二、三日もすれば忘れちまうぜ、きっと」
京極が軽く手を挙げて挨拶をすると同時に車は発進した。
車中、後部座席でじっと窓の外を流れていく景色を眺めている京極。
「京極さん、久々に会った友達との別れがやはり辛いようですね」
「うん。そっとしておいてあげようよ」
と、京極がぼそりと呟いた。
「全国津々浦々のカッパの集まり……。僕も見たかったなぁ……」
「そっちかよ!」
あかねとモチヅキの同時ツッコミが車中に響いた。
余談だが、例の実験の成果か日本各地で様々な種類のカッパが沸くようになり、今日に至ってもなお、稀に地域にそぐわないカッパが出てくるようになったという。 了

298 :DA年中行事:2006/10/22(日) 11:34:41 ID:bSi4+b5C0
高鬼SSさん
・・・・・・そうか、だから大沢先輩(酔いどれ)と美幸さんなのか!!
大沢先輩、飲み過ぎですw

早く京極読まねば、と思っているのになかなか手がまわりません。SSも遅筆なもので・・・
いやもう、高鬼SSさん、流石です。


299 :見習いメイン作者:2006/10/22(日) 19:23:59 ID:f9Q/Hfd60
>>高鬼SS作者さん

>>269
見習いオリキャラの分際で疾風鋼の鬼(の、SS作者さん)に名前を呼んでもらえるとは、
見習いくん身に余る光栄です。

>>281
「吉良家の一族」「夏の風物詩」と合わせて、今回のお話を読ませて頂きました。
冒頭で「京都での一件」として触れられていた「疾走する炎」も読みました。
というか、たまたま昨日辺りから、まとめサイトで全作品を読ませて頂いていたわけですが、
軽いものから重いものまで、実に多彩で多作なSSだと思います。

作者さんの今までの読書量がバックボーンになっているのではないかと思いますが、出現する
魔化魍のバリエーションの多さ、登場するシチュエーション、様々なストーリーなど、
読み切り形式が何十本もありながら、それぞれ違った面白さがあるのが素晴らしいと思います。

今回登場の京極さん。パロディキャラではありますが、高鬼の「三十匹殺し」にも絡んで
いたり、鬼の背後を取ったり式神を使いこなしたりと、おいしいキャラだと思います。
今後再登場すると、これはこれでまた多彩なストーリーが生まれそうな予感がします。


300 :見習いメイン作者:2006/10/22(日) 19:24:59 ID:f9Q/Hfd60
続きです。

番外編で何本も先代ザンキさんを書かれていますが、毎回笑わせてもらっています。
本家の連載が終わってから久しく、最近の先代ザンキさんのイメージは高鬼SSさんの
書くところが大きいかもしれません。他の色んな作者さんにも、あの人をくったキャラは
浸透しているようですが……。

コウキの出向や先代ザンキの訪問によって、1970年代の各支部の様子が出てきますが、
私はこれを結構楽しみにしています。今の所あまり触れられていないのは東海(中部)支部と
沖縄支部でしょうか? 既出の支部についても、全部の鬼や猛士のメンバーを知りたい所です。
そのあたりを書くも書かないも作者さん次第ですが、四国は九人の鬼がいて、太鼓と管と弦が
三人づつなんて設定を聞くと、キリサキたちの他にどんな鬼がいるのかとか、気になります。

ただ、沖縄支部については、いつか弾鬼SS作者さんが書いてくれそうな感じですが……
弾鬼SS作者さんの高鬼コラボSSのラストを見ると、沖縄で先代ザンキさんが何か
やらかしそうな気配がします。


301 :凱鬼メイン作者:2006/10/22(日) 23:45:04 ID:axMxNDS+0
>>見習いメイン作者さん
純友くん、頑張ったようですねw
彼の無邪気さ、ひ弱さは一頃の明日夢っちを見ているようで可愛らしいw
太陽くんは京介と似通った点もありますが、根は純友くんと変わらないですねw
後にはやっぱ鬼になるのかな?
今後の二人の方向性が気になりますw

さて、ちょっとした詩を書いてみたので投下します。
とりあえず「猛る詩」(たけるうた)ってことで詩集形式でまとめてもらえたら非常にありがたいです。

302 :猛る詩 :2006/10/22(日) 23:47:40 ID:axMxNDS+0
「呼ばぬ名 呼べぬ名」

あの人は一度だって俺を名前で呼んでくれたことは無かったっス
いつでも苗字で呼んだっス
あの人が消え去ってからもう何年が経った事か
たまに明日夢が羨ましくなったりもしたっス
俺もう・・・パパになるんスよ・・・・

お前は鬼だ
鬼を生きるのに人間の名は必要ではない
だから俺はお前を名前では呼ばなかった
お前だって俺を本来の名で呼んだことはないじゃないか

でもな

人に名をつけるときは
精一杯考えてやれ
名で人の人生が変わるわけじゃあない
でも自分の名というのは特別なんだ
親からもらう初めての誕生日プレゼントだからな
まぁ自分流で頑張れよ日菜佳ちゃんにもよろしくな

“登巳蔵パパ”・・・。


303 :見習いメイン作者:2006/10/23(月) 14:39:39 ID:8QdHm4/p0
>>301
>今後の二人の方向性が気になりますw
その辺をうじうじ悩むのが純友のキャラですが、大洋の方向性も含めて
あと六話くらいで決着をつける予定です。

これよりうじうじSS七之巻を投下します。


304 :見習いメインストーリー:2006/10/23(月) 14:41:20 ID:8QdHm4/p0
前回は>>264から。

七之巻「弾ける石錐」

 城南高校のあるクラスでの授業中、ぽっかりと空いた机が一つあった。
 それは「飛車」見習いとしてダンキの仕事の同行を許された、大洋の席だった。
 純友は、そこから何席か斜め後ろの席で、まじめに授業を受けていた。
(いまごろあいつは現場研修か……)
 自分は「角」はあきらめたものの、やはり現場に行ってダンキの側に居ることの
できる大洋が、うらやましかった。
 窓の外には、おだやかな春の青空が広がっていた。

 山梨の大月近くの山中に、テントを設営するダンキと大洋の姿が会った。
「いいか、お前を俺の弟子にするわけじゃないからな。あくまでも『飛車』見習いとして
来てるってことを忘れんなよ」
 危ない場所には着いてくるな、と釘を刺す意味でダンキは言った。
「今はな」
 地面にペグを刺しながら、大洋は言った。
「でも、鍛えて鍛えていつかは弟子にとってもらうぜ」

 純友は、休み時間に鞄からディスクアニマル・消炭鴉を取り出した。
 これを音叉を使って起動させた時の感動は、いまだに忘れられない。
 その後、外のディスクの起動も試みたのだが、結局純友が起動できたのは
これ一枚だけだった。


305 :見習いメインストーリー:2006/10/23(月) 14:41:58 ID:8QdHm4/p0
 一枚だけだが、初めて起動できたのがうれしくて、純友はみどりにディスクを
携行して良いか願い出た。音叉や鬼笛なしではただの円盤でしかない。また、自宅で
内部構造の勉強もできるように携帯型の工具ボックス付きで持ち出しが許可された。
「須佐くん、なあに? それ」
 学級委員の橘多美が、ディスクに気づいて声をかけてきた。昨年秋に怪我で
入院したとき、見舞いに来てもらって以来、たまに多美とは話すようになっていた。
「いや、な、な、な、何でもないよ」
 純友は慌ててディスクを鞄にしまった。
「学校にオモチャ持ってきちゃだめでしょ?」
「ただの、その、お守りみたいなものだから」
 多美は本気で注意しようと思ったわけではないらしく、それ以上追求せずに、
大洋の席を見て言った。
「田島くん、どうしたんだろうね」
「ああ、なんか、オリエンテーリングの強化合宿だとかなんとか言ってたよ」
 学校や大洋の両親にも、同じ説明がなされている。
「そうなんだ。──須佐くん、けっこう田島くんと仲いいんだね。教室で話して
るのとか見たことないけど」
 まさか、毎週日曜に柴又の和菓子屋の地下で顔を合わせているとは言えないが、
これも多美は特に深く追求しようとはせず、どうやら挨拶代わりに話している
だけのようだった。


306 :見習いメインストーリー:2006/10/23(月) 14:42:31 ID:8QdHm4/p0
「鬼だ」
「子供もいるぞ」
 ダンキと自分以外誰もいないはずの山中で不意に男女の声を聞いて、大洋はドキリとした。
地図を張ったボードの近くでディスクアニマルを起動しようとしていたダンキは、落ち着き
払った声で言った。
「出たな」
 ダンキたちがキャンプを行っている周囲の森の中に、横に太い枝を張り出した一本があった。
その上に直立する女と、膝を抱えて座る男が居た。
「子供の肉は、やわらかいぞきっと」
 と、低い男の声が女から発せられ、
「わが子の餌に是非」
 高い女声が男の口からもれた。
「そこを動くんじゃねえぞ」
 大洋の頭を音叉で小突き、ダンキは木の上の男女に向かって歩いていった。
澄んだ音を響かせる音叉を額に当てた後ろ姿が、男女の数メートル前で足を止めた。
その足が地を蹴ると、ダンキの周囲に突如隆起した石錐が弾け、たちまち彼の体に張り付いた。
「ダンキ……さん……?」
 ダンキが鬼の姿に変わるのを見るのは、大洋にとってはこれが初めてだった。
『うぉらあッ!!』
 発する気合いと共に石を弾き飛ばした中から現れたのは、黒い体に蒼い前腕と隈取りを持った、
一角の無貌の鬼、弾鬼の姿だった。
 吹き飛んで来た石に、性別が逆転した声で悲鳴を上げて男女は木から落ちた。


307 :見習いメインストーリー:2006/10/23(月) 14:43:05 ID:8QdHm4/p0
『見習い。童子と姫を見るのは初めてか』
 男女から目を離さぬまま弾鬼は訊いた。
「なんなんだよ、そいつら」
 弾鬼のはるか背後のテントの側から、大洋が叫ぶ。
『魔化魍を育ててるやつらだ。詳しくは、みどりちゃんにでも教えてもらいな』
 素早く、先ほど男女──童子と姫がいた枝の上に跳び乗ると、そこから飛び降りて、
間下にいる童子を全体重をかけて蹴りつけた。
 慌ててその場から離れた姫のそばに、童子が蹴り転がされてきた。童子がよろよろと
立ち上がってから、男女は弾鬼を睨みすえながら、硬質の肌を持つ異形の姿に変身していった。
(魔化魍を……育てている?)
 とにかく、弾鬼の様子から彼らが敵だということはわかった。
 そして、この戦いが、単なる物の怪退治ではないということに気づいた。
 鬼が猛士をバックに戦っているように、魔化魍の背後にも、何者かがいる。
 
 授業が始まったのにも気づかず、飽きずにディスクアニマルを見続けていた純友に、
教師の厳しい声がとぶが、二、三列離れた席から心配そうに見ている多美にも気づかず、
「没収する!」
 と横で言われて初めて純友は授業が始まっていることに気がついた。
 ディスクを取り上げられ、そのあと泣きながら授業を受ける純友の姿が教室にあった。

七之巻「弾ける石錐」了


308 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/23(月) 20:18:26 ID:ZGTJU7Qj0
先代幸鬼、小池墾蔵じいさんのイラストを頂いたので、親子合わせてTOPにしてみました。

http://www.geocities.jp/hibikigaiden/

え?……コナユキさんに戻せって?w

309 :高鬼SS作者:2006/10/23(月) 21:15:07 ID:A0wPTS8+0
>見習いメインストーリー様
拙作にこんなにも長い感想ありがとうございます。

>京極
このキャラは複数のパロディが混ざっています。
作家の京極夏彦、その小説に出てくる中禅寺秋彦、この両者以外に
アニメ版ゲゲゲの鬼太郎に登場した一刻堂というキャラも混ぜています。
脚本・キャラデザ・声優を京極夏彦自らが務めており、言霊と式神で鬼太郎を苦しめた強敵です。
そういう訳で言霊マイクの件と絡めてみたり式神を使わせてみました。

>各支部
中部支部はいくら時代が違うとはいえ、裁鬼SSと剛鬼SSでのイメージを損なう事にならないか不安で書き渋っています。
事実、同じ理由で東北支部の描写も「秋田の鬼」では殆ど出しませんでしたし。
沖縄支部もやはり世界観を異にするとはいえ風舞鬼SSで既に出ていますし、
何よりも時代が時代だけにアメリカから返還されるまで活動はどうなっていたのか、そこら辺の事情を考案しないといけないので…。
ただ北陸支部に関してはレンキの出向という前フリがあるので、近いうちにまた書くつもりでいます。
番外編も基本的に各支部ごとに二本ずつ書いていたので、四国支部話ももう一本書こうかと考えています。

310 :御当地ライダー激闘ファイル:2006/10/24(火) 00:41:40 ID:E6fig2dJ0
御当地ライダー激闘ファイル その三

カガヤキ「・・・ヒビキさん!どうしたんですかこんな所でぇ!」
ヒビキ「およ?君は確か・・・おぉ!カチドキの弟くんか!ちょーっと見ないうちに大きくなったな。」
カガヤキ「いやいやいや、それよりなんでまた劇場版凱鬼に?」
ヒビキ「うんっ・・・それはなぁ、本編見てからのお楽しみだよ、キミ。」
カガヤキ「もったいぶらなくてもいいじゃないですか〜。」
ヒビキ「そう言われてもね〜。俺ってさぁ、ホラ、結構良いポジションだしぃ?」
カガヤキ「はぁ・・・。」
総司「俺も結構なポジションにいるんだが・・・。」
カガヤキ「おわっ!?アンタ誰!?」
総司「おばあちゃんが言っていた・・・。俺は“天の道を往き、総てを司る男” 天道総司。よく覚えておけ。」
カガヤキ&ヒビキ「は・・・はぁ・・・。」
総司「俺ともう一人の鬼・・・。この劇場版に於いて重要な役目を果たすことになる・・・。画面の前のみんな。God Speed Loveの投下は近い。待っていてくれ。」
カガヤキ「ちょっ・・・!最後は俺が締めくくるんですよ!!」
総司「皆既日食が近い・・・。急がなければ・・・。」
カガヤキ「ちょっとアンタ!!」
総司「ひより・・!ひよりぃ!!」
カガヤキ「聞いてねぇ!! (`Д´)ウワァァアン!!」
ヒビキ「次回はいよいよ本編(の予定)だよ!! 〆シュッ」

311 :御当地ライダー激闘ファイル:2006/10/24(火) 00:43:33 ID:E6fig2dJ0




カガヤキ「ちょっとヒビキさん!なに勝手に終わらせてんですか!!」
ヒビキ「テヘッ♪」

312 :元・ZANKIの人:2006/10/24(火) 18:42:10 ID:xJ4R4ZqZ0
>>高鬼SS
沖縄だとアメリカの支配下でしょうね。
またDMC、RPGみたいな感じだとアメリカの討伐隊は
ネイティブアメリカンたちによるグループと、移民たちが科学により作り出したグループがあるとか。
名前は「ジェロニモ」と「X-Human」とかかな(適当)
そうなると沖縄返還の裏には日本の魔化網はアメリカの部隊では倒せない事なんかが影響したとか。
そんな感じでどうでしょか?

313 :名無しより愛をこめて:2006/10/25(水) 21:26:07 ID:xSeW7PpdO
関東十二鬼が立体で拝めるなど、このスレが始まった頃
誰が予想できたであろうか>ボビージャパン

314 :凱鬼メイン作者:2006/10/25(水) 23:09:26 ID:O13F8n1n0
まさか吹雪鬼さんがあんな造形になるなど、鋭鬼SSが始まった頃
誰が予想できたであろうか>ボビージャパン

315 :見習いメイン作者:2006/10/25(水) 23:40:39 ID:ST/gHtuL0
まさかあきら変身体まで拝めるとは、313>>を見た時
私には予想できませんでした>ホビージャパン

またあとで、もうちょっと詳しい内容を報告しに来ます。


316 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:40:56 ID:iZM3Es0g0
>>313-314
勝鬼さんと闘鬼さんの音撃武器が一体何の楽器なのか気になりますよね。
勝鬼さんのはスーザフォンに見えないこともないですが、
闘鬼さんのは一体……? トロンボーンはベルの位置違いますし何でしょうか。


さて、ようやく本編の続きが完成しました。
サイトへのUPに先駆けて、このスレで投下しようと思います。
明治編の続きはまた後日ということで、
それでは十三之巻「刻む一歩」です。

317 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:42:19 ID:iZM3Es0g0
十三之巻「刻む一歩」

 要平がコナユキの弟子となって半年が経つ。TAKESHI中四国支部バンドの夏の演奏会を一週間後に控えたこの日は、丁度コナユキが夏の長期休暇に入る初日でもあった。
 朝八時。いつものように要平と美咲が多仁鮨地下の音楽練習室に行くと、そこにはコナユキの他にソウキが居て、それぞれクラリネットとアルトサックスを手にしていた。
挨拶をしながら部屋に入る要平たちに、コナユキは「おはよー」と明るく返し、ソウキは「おはようございます」と上品に頭を下げる。
 ソウキ――弱冠二十歳の若さで、誇り高き双柳寺蒼鬼の名を受け継ぐお嬢様。コナユキとどことなく雰囲気が似ていて、こうして二人並ぶとまるで姉妹のように見えた。
 要平たちとの挨拶の後、ソウキはコナユキの側から離れ、部屋の一角に移動した。
「それじゃ、練習しましょ?」
 コナユキが要平たちに言う。
「鬼の仕事はしばらくお休みだから、演奏会までつきっきりで教えてあげられるよ。あと一週間しかないから頑張っていこうね」
「はい!」
 美咲と一緒に元気よく返事したはいいが、実は要平は内心不安だった。あの曲も、あの曲も、まだ吹けないところが何箇所もある。それなのにあと一週間……?
 とりあえずその不安は表に出さないことにして、要平はクラリネットを組み立てていく。
 楽器を組み上げると、まずはいつも通りの基礎練。ロングトーンなどのお決まりのメニューだが、今日は二人の基礎練をコナユキがじっくりと監督してくれた。
 ロングトーンにしても、ただ闇雲に音を伸ばし続ければいいというものではない。タンギングにしても、単に音を小刻みに切りまくればいいというものではない。常に、良い音を吹くことを考えて――それがコナユキの教えである。
「善道くんは、まだ結構音が揺れるね……。きっと息の勢いが足りてないのかな」
 要平のロングトーンを聞いてコナユキが言った。音が揺れ、音程が安定しないのは、要平の最も目立つ弱点であった。少しずつ良くなってはいるものの、目立った改善は未だ見られないのである。

318 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:42:59 ID:iZM3Es0g0
「もっと思い切って力を入れるってことですか?」
「うーん……力みすぎてもダメだけど、楽器の真ん中にまっすぐ息を通すイメージでやってみて? きっと良くなると思うよ」
「真ん中をまっすぐ通るイメージ……」
 再び楽器に口を添える要平。
 楽器の真ん中にまっすぐ息が通るとは一体どういう現象なのだろうか。それは要平にはよくわからない。だがきっと観念的なものだろうと彼は思った。
 楽器の中心を突き抜けろ。駆け抜けろ。そう念じて要平は息を吹き込む。
 穴を押さえる指先に振動が伝わる感覚。先程までより音が大きくなったのは自分でわかるが、音程がどうなっているかは……
「そうだね、ちょっと良くなったよ。今、楽器の真ん中を通れ通れって念じたでしょ?」
「は……はい。理屈で考えるものじゃないと思って……」
 すべてお見通しなのかと驚きながら、要平は答えた。するとコナユキは、
「そう、それなの。楽器って不思議でね、こういう音を出したいなって思いながら吹いたらほんとにそういう音に近づくの。感情を込めたら楽器は応えてくれるっていうのかな?
 だから、どんな時でも……基礎練でも曲練でも、ロボットみたいに吹いてちゃダメだよ。自分はどういう音を出したいのか考えながら吹いてね」
 そんなことを言いながら、彼女はいつものような微笑を見せるのだった。
 コナユキは次に、要平と同じようにロングトーンをしていた美咲にアドバイスを始めた。
「美咲ちゃんはね……」
 その間、要平はロングトーンを続けながら、向こうでサックスを吹いているソウキをちらちらと見ていた。ソウキは微妙に体をスイングさせながら、今回の曲目の中でも特に難しい「風雅勇伝」のメロディをすらすらと吹いている。
 ソウキの練習を眺めながら要平が漫然とロングトーンをしていると、不意にコナユキに声をかけられた。
「善道くん、善道くん」
 要平ははっとしてクラリネットから口を離し、「す、すみません」と慌てて謝る。怒られるに違いないと思ったのだ。感情をこめるように言われた矢先、他のことに気をとられて吹いていたなんて。

319 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:43:46 ID:iZM3Es0g0
 だがコナユキが抑え目の声で要平に言ったのは、
「えっ、そんな謝らなくてもいいよ。やっぱり目が行っちゃうよね、創花ちゃんの演奏」
 といった言葉だった。
「え、あ、はあ……」
「どんなふうに思う?」
 半ばささやくようにコナユキが問う。
 要平は呟くように返す。
「……躍動的な感じで、かっこいいと思います」
 いつの間にか美咲もロングトーンを休んで、要平とコナユキと一緒にソウキの練習を眺めていた。
 声を抑えたまま、コナユキが二人に語った。
「よく、楽器と心を通わせるって言うでしょ。抽象的な言い方でよくわからないけどね。私はそれって創花ちゃんみたいな吹き方かなって思うの。
吹いてる人の思いが楽器に伝わるだけじゃまだ不十分で、吹いてる人も楽器の思いを感じ取って動くっていうのかな? きっと創花ちゃんはそうしてるよ」
「楽器を愛してるんですよねー」
 と、美咲。
「そうそう、美咲ちゃんいいこと言った。楽器は自分と一緒に音楽を奏でる、いわば相棒だから……」
 要平はコナユキが話すのを聞きながら、ソウキの流れるような演奏に見入っていた。
 今は「凄い」と思って見ていることしかできないが、自分もいつかあんな風に楽器を吹けたら……?

320 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:44:18 ID:iZM3Es0g0
 ソウキは「風雅勇伝」を吹き終えて一息ついたところで、視線でも感じたのだろうか、ふと後ろを振り返った。
 途端に彼女はびくっとして、
「え、な、なんでそんな皆で見てるんですか」
 と、若干動揺したように言う。
「創花ちゃんの演奏がかっこいいねって話してたの。びっくりさせちゃったならごめんね?」
「そんな、私なんてコナユキさんと比べたらまだまだですよぉ」
 ソウキは照れ隠しのように笑った。
「創花ちゃん、こっち来て座る? ちょっと休憩しようよ」
 コナユキが手招きをする。ソウキは頷いてコナユキらの隣に腰掛け、思い出したように「そうだ、コナユキさん、あとで『風雅勇伝』合わせましょうよ。四人で」と誘った。
「そうだねー……、じゃあ午後から合わせましょ。それまでに二人にはわからない所とか教えてあげるから」
 コナユキは要平と美咲にそう言い、二人はそれぞれ「はい」と頷いた。
 ソウキは膝の上に降ろしたサックスを撫でながら、ふと尋ねる。
「善道さんは今回が初めての演奏会になるんですよね」
「はい、俺なんかが出ちゃっていいのかなって感じなんですけど。周りはコナユキさんとかソウキさんとか、皆凄い人ばっかりで」
「ふふ、頑張ってください」
「善道さん、あたしはー?」
 美咲が要平の前に身を乗り出してくる。「もちろん美咲ちゃんも」と要平は後から付け加え、ソウキもコナユキもくすくすと笑った。
 それから要平は、ソウキさんはいつ頃から楽器をやってるんですか、と尋ねてみた。彼女は「えっと……」と少し間を空けてから、
「お琴とかピアノとかは幼稚園の頃からやってましたけど、サックスに初めて触れたのは十歳の時です」
 十年間ずっとこの子が相棒なんです、と彼女は自分のサックスを指した。

321 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:44:48 ID:iZM3Es0g0
「でも私の場合は、将来サックスを吹くのは生まれる前から決まってたようなものですから、あまり参考にならないですよ」
「生まれる前から?」
「はい。父も祖父もサックスの音撃戦士でしたから」
 そういえば彼女に初めて会った時、十七代目の蒼鬼を継いでいると言っていたことを要平は思い返した。
「何代も前から鬼をやってるんでしたっけ」
「創花ちゃんの家のこと、善道くんはまだよく知らなかったかな」
 と、コナユキ。
「由緒正しいお屋敷なんですよねー」
 美咲も横から言う。
 コナユキの「創花ちゃん、せっかくだから話してあげて?」という言葉を受けて、ソウキは「双柳寺は江戸時代から続く鬼の家系なんです」と説明し始めた。
「初代蒼鬼は双柳寺壮之進といって、この人が活躍したのが江戸時代の最初の頃です。それから四百年間、蒼鬼の名前は世襲で受け継がれてきました」
「江戸時代からサックスを?」
「そうじゃないですよ。サックス型の音撃管を使うようになったのは、明治初期の……確か十二代目の蒼鬼からです。それからは五代に渡ってずっとサックスを使ってます」
「ソウキさんはサラブレッドなんですね」
「え……」
 ソウキは「そんな大したものじゃないですよ」と照れた。
「でも創花ちゃんは色々凄いんだよ」
 コナユキが言い出した。
「女性で蒼鬼を継いだのは創花ちゃんが初めてだし、それに二十一歳で襲名する予定だったのを二年も早めて、十九歳の若さで襲名しちゃったの」
 美咲が「丁度、あたしが『飛車』になったばかりの頃でしたよねー」と、一年半前のことを懐かしむ。
「あたしも、コナユキさんと一緒にソウキさんの襲名披露に出席したんですけど、色んな偉い人とかが沢山来てて。うわー凄いんだなーって感動しまくりでした」
「へえ……。なんか、想像もつかないような世界ですね」
 要平は心から感嘆した。
 当のソウキは「いえ、そんな大袈裟なものじゃなくて……」などと気恥ずかしそうに呟いている。

322 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:45:34 ID:iZM3Es0g0
「それでね善道くん、ムラサキくんっていう太鼓の鬼がいるんだけど」
 コナユキが要平に新しい説明を始めた。「え」と反応するソウキ。
「そのムラサキくんと創花ちゃんは幼馴染なの。ムラサキくんの家は、創花ちゃんの所の分家でね」
「あ、あの、コナユキさん?」
 ソウキが何だかそわそわし始めた。コナユキは心なしか口許を綻ばせて説明を続ける。
「分家っていっても、べつに鬼の家系とかじゃなかったの。だけどあるとき、ムラサキくんは一念発起、イツキさんに頭を下げて弟子にしてもらって」
「あの」
「修行に修行を重ねて、十九歳で鬼になったの。二年前ね。創花ちゃんはその時十八歳」
「あ、あの」
「そしたら、突然創花ちゃんも『早く鬼になりたい』なんて言い出しちゃって」
「あの、ほら、コナユキさん、そろそろ練習しましょうよ、練習」
 ソウキはいよいよ慌ててしまって、コナユキの話を遮るようなジェスチャーを繰り返した。
「それじゃ、お話はこのくらいにして、練習再開ね」
 平然と微笑むコナユキだった。

 その後、午前中の練習ではいくつかの曲をさらい、要平や美咲は未だ上手く吹けない箇所をコナユキに教えてもらった。コナユキはその箇所を実際に吹いてみるなどして丁寧に指導してくれ、その甲斐あって要平も美咲もこの午前中の間になかなかの上達を見ることができた。
 昼の休憩のとき、要平はコナユキに誘われ、二人で多仁鮨近くの川沿いの土手に出た。
 初夏の日差しが思いのほか強い。
 コナユキは要平の前を、ゆっくりとした足取りで歩いていく。
「善道くん」
「はい?」
 要平は少し歩調を速め、前を行くコナユキに追いついた。
 コナユキは少し間を空けてから、
「覚えてる? この土手だったよね。私と善道くんが、師弟になった場所」
 振り向くこともせず言った。
「はい」
「……あれからもう、半年経ったんだね」
 一体何を言わんとしているのだろう。何か大事なことなのだろうけど――
 要平は黙って後をついて歩く。

323 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:46:53 ID:iZM3Es0g0
 コナユキはふと立ち止まり、要平が何か考えるその一瞬さえ与えず、くるりと振り返った。
 そして、どこからか取り出した小箱を要平にそっと差し出す。猛士の紋が刻まれたそれを受け取り、要平は問うた。
「これは?」
「そろそろ、次の段階に進んでもいいかなって思ってるの」
「……次の段階」
 要平は小箱を見て、次にコナユキの目を見た。開けてみて、と言っているような気がした。
 蝶結びにされた赤い紐を解き、蓋をそっと持ち上げる。紫の布にくるまれて収まっていたのは、銀色の変身鬼笛だった。
「……コナユキさん、これって」
 コナユキの言った「次の段階」が一体何なのか要平には分からなかった。鬼笛を手にするなど、もっとずっと先のことだと思っていた。
「色は勝手に決めちゃった。私のと同じ銀色。気に入ってくれたら嬉しいな」
 そしてコナユキはふふっと微笑み、「説明するね。座って?」と告げて草の上に腰を下ろした。要平も彼女の隣に座る。
「善道くん、序の二段に上がれる条件はいつか話したよね」
「はい。音楽の経験ですよね」
 音撃戦士になるための最初の一歩、つまり序の初段から序の二段への昇段条件が、担当しようとする楽器に関してある程度の修練を積むことなのは以前教わっていた。
 鬼の弟子として要平は序の初段、沙弥は序の二段からスタートした理由がすなわちそれである。
「うん。それでね、今度の演奏会が済んだら序の二段を認定してもらえるように、支部長さんにお願いしてあるの」
「えっ……」
 要平の思考が一瞬止まる。あまりに突然といえば突然の話だった。

324 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:47:25 ID:iZM3Es0g0
「楽団の一員としてお客さんの前で演奏するまでになれたら、経験としては十分でしょ? だから、ね」
 コナユキはディスクアニマルを一枚取り出し、爪でチン、と弾いてみせる。
「序の二段になったら、奈良の吉野で、ディスクアニマルを動かすための修行コースが受けられるの。ディスクアニマルカリキュラムって言うんだけどね」
 そしてコナユキは語った。
 段位のいくつかは、吉野の猛士本部で開講される一定の修行コースを修了することで認定されるということ。
 序の二段から序の三段に昇段するための修行コースが、ディスクアニマルカリキュラムであること。
 そしてコナユキは既にイナナキと相談して、演奏会を終えて要平が序の二段に認定された後、要平と沙弥に揃ってディスクアニマルカリキュラムを受けさせようと話を決めていたこと。
「……だから、頑張ろうね、演奏会」
 コナユキが優しく笑いかける。
 様々な想いが瞬間的に要平の頭の中を去来した。
 ――昇段、それも立て続けに三段まで……? そしてディスクアニマルを操る? コナユキさんがやっているように?
 ……そうだ、よく考えてみれば、もう半年も経った。修行期間を二年とすればその四分の一が過ぎた。一歩、また一歩と、鬼に向かって近づいていくのはむしろ当たり前のこと……。
「はい!」
 要平は力強く頷く。
 その胸中は、自分は修行の道を確かに歩んでいるのだという実感で一杯だった。

325 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:47:56 ID:iZM3Es0g0
 鳥取県および岡山県の六市町にまたがる大山(だいせん)は中国地方最大の山だ。出雲神話の「国引き」では、島根県の三瓶山とともに、島根半島を繋ぎ止めた杭であるとされている。
 古く奈良時代から山岳信仰を集めた大山は、中四国支部の圏内では出雲大社に次いで強大な霊力を秘めており、支部の鬼たちが本格的な鍛えを行う際には大山に赴くのが通例となっていた。
 山の中腹、大神山神社奥宮がある辺りから少し外れた山中に、猛士の紋をかかげたパープルメタリックのオデッセイ『蜃気楼』が到着した。この車の主であるムラサキが運転席から、師匠のイツキが助手席から、兄弟子のセンキが後部座席から、それぞれ降りる。
 ムラサキは空を仰ぎ、大きく深呼吸をした。
「着いたー。よーし、やりましょう!」
 ムラサキはイツキとセンキに向かって両腕を広げる。
「なんでそんな焦ってんだよ」
 センキが突っ込みを入れた。ちなみに春頃にはオレンジ色だった彼の髪は、今はラメの入った濃い茶髪に染め変えられている。
 イツキはただ黙って、ふう……と息を吐いた。

 太鼓の鬼にとって、夏は鍛えの季節だ。
 毎年夏になると発生する「夏の魔化魍」を退治するため、彼らは体を鍛えなおし、強化形態への変身の勘を取り戻す。
 イツキ、センキ、ムラサキの太鼓三人衆は、演奏会に向けての和太鼓の稽古を兼ねて、三日三晩の鍛えに入るところであった。

326 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:48:27 ID:iZM3Es0g0
 三人は手早くテントを設営し、準備運動を終えた。
「さて、いよいよだな」
 イツキは「練習用音撃鼓」と墨で書かれた桐の箱から音撃鼓を二つ取り出し、一つずつセンキとムラサキに渡した。最後に自分用の一つを取り出した彼は「あのあたりにするか」と、立ち並ぶ木々を指差す。
「師匠、師匠。今年の夏は俺、色んな叩き方にどんどん挑戦していきますよ」
 イツキについて歩きながら、ムラサキが声高に言ってみせた。
「ほう、言ったな。それじゃ、まだ教えていない俺の叩き方をいくつか教えてやるとするか」
「それなら俺の『電光炸裂の型』も特別に伝授してやるぜ。ありがたく習え」
 センキが手を大きく振りかぶってムラサキの肩を叩こうとすると、ムラサキも慣れているのか、ひょいと身をかわした。
「はい! よろしくお願いします、師匠、兄貴」
「よし、やるか」
 イツキが音撃鼓を木に向かって放り投げると、音撃鼓はしゅるしゅると飛んで木肌に貼り付き、巨大化した。
 センキとムラサキも同じことをする。三本の木に、地味な色の練習用音撃鼓が並んで展開した。
 音撃棒ではない普通の撥を取り出す三人。
「行くぞ! 清めの、鼓動!」
「応ッ!」
 ドドン!
 三人の撥がそれぞれの太鼓に振り下ろされる。
 ドドン!
 そして、息の合った連打が始まる。
 ドドドン、ドドドン、ドドドン、ドドドン……
 清めの鼓動。TAKESHI中四国支部定期演奏会、和太鼓の部のお決まりの序曲である。
 男たちが打ち鳴らす鼓動が、猛々しく大地に響いていった。

327 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:48:58 ID:iZM3Es0g0
 あれから一週間が経った。
 要平は今、数多くの先輩達に交じって演奏会の開幕を待っている。
 昨夜はなかなか寝付けなかった。
 和太鼓の部の熱演は少し前に終わった。吹奏楽の部の開演が今か今かと待たれている。
 クラリネットを抱える右手が緊張で少し震えた。要平は右隣のコナユキを見た。彼女はにっこりと笑って返した。そのさらに向こう、隊列の中心からパートリーダーの男性も要平に向かって頷いてみせた。
 今日はきっちりとタキシードで決めた指揮者の草間求道が、皆の前に立って全体を見渡している。
 要平は左の手のひらに滲む汗をズボンで拭った。
「それでは和太鼓の部に続きまして、吹奏楽の部をお楽しみ頂きます」
 幕の向こうからアナウンスが聞こえた。支部長の声だった。
 いよいよだ。要平は固唾を呑んだ。
 ……きっと大丈夫だ。皆と一緒に練習した。きっと出来る。
 全てを教えてくれたコナユキ。
 共に練習に励んだ美咲。
 ソウキ。沙弥。イナナキ。トキ。コウキ。メブキ。
 すべての仲間たちが今、ともに居る。
 そして、開幕のベルが響いた。

十三之巻 完

328 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/25(水) 23:50:30 ID:iZM3Es0g0
・・・ということで、十三之巻「刻む一歩」でした。
今回色々あって執筆に二ヶ月もかかってしまったので、もう秋も深いというのに今頃夏の話です。
気にせずお楽しみ頂けたら幸いかと……。
サイトへのUPは明日以降ということに。

329 :見習いメイン作者:2006/10/26(木) 01:58:02 ID:17kQmcDl0
まさか書き込んだ17秒後に投下が開始されようとは、
私には予想できませんでした>中四国SS十三之巻。

明治編の奏磨くんに触れている辺りは「修羅の刻」を思い出させるものが。
連綿と続く戦いの系譜みたいな感じで。

ホビージャパン>
勝鬼さんの音撃管は、肩に乗せて装着する形……と言えばいいんでしょうか。
なるほど、これなら両手がフリーになって風牙も使い易いかな、と思いました。
闘鬼さんは、マタギをイメージしたとかで、音撃管が猟銃風。
おまけにナタみたいな武器を腰に着けてたりして。カッコイイ……。

吹雪鬼さんは、全体的に京介変身体みたいなカラーリングでしたが、
体型が女性でした。変身解除したら冬木風花になると思いたい。
で、関東の管の鬼そろい踏みの一番後ろに、モノトーンの地味〜な
イブキさんっぽい細身の鬼が。コメント見たら、あきら変身体でした。

吹雪鬼さんとあきら変身体の詳細は、なんとかカタログ? だったと思うんですが、
何か増刊みたいのが出るので、それを見てほしいみたいなことが書いてありました。
(不確かな情報でごめんなさい)とにかく、見れて何か嬉しかったというか……
>>313さん、お知らせありがとうございました。「313>>」て書いちゃってごめんなさい。


330 :204:2006/10/26(木) 17:15:16 ID:MoPsnf8pO
今日と明日は休みなので>313氏のを買いました。
が、地方で11月号の売れ残りしか無かったです。
これでいいんですか?

331 :皇城の〜の…中の人:2006/10/26(木) 19:29:32 ID:TOFEcZKj0
> 330さん
最新号は12月号です。(通巻450号)
見習いメインさんのおっしゃっているムック((ΘoΘ;) ガチャピンの相方にあらず)は「S.I.C.スーパーコレクションvol2」ですね。これは買わねばなりません。
吹雪鬼さん、ライオンみたいな顔でした。かなり愛らしい造詣でちょっとLOVE。
実際の吹雪鬼さんは、京介変身体のスーツの元になっていたそうです。布施(小暮)さんあたりが中の人をやる予定だったそうですけれど、ぽしゃったそうで残念。
あのまま白鬼だったみたいです。

ホビージャパン>
今回追加された二鬼のアレンジは私的にちょっと…でした(^-^;
僕も大型の管楽器を出そうかと画策したのですが、アサガオ(ベル)=音撃鳴の大きさを考えると、
ユーフォニウムが限界のサイズだったのです。
チューバ・スーザフォン(今回のアレンジに使用された楽器)・バスーンなどの大型楽器は、音撃鳴の
展開サイズが現実的ではないのです。ユーフォニウムは、鳴の外周を引き伸ばし展開させることによっ
て本来のサイズよりもオーバーサイズに…と解釈できたのですが…風爪も右腕1枚左腕3枚という設定を生かしてほしかったなぁ、と

闘鬼の管はトロンボーンの変形かな?拙作・飛沫鬼所有の管の狙撃モードがあんな感じかな〜と感じました。

あきらもいいかんじでしたね〜。あきら=暁鬼のイメージがある方はこっちの造詣はいかがでしょう?

http://www3.alpha-net.ne.jp/users/zightnin/AKIRA.html

かなり萌&燃えです。

332 :204こと野獣作者:2006/10/26(木) 23:13:02 ID:MoPsnf8pO
設定はどんどん膨らみますが何せ文章力無く
やっと削りの作業に入ってます。
バイクに魂を持たす(アマゾンのジャングラーみたく)のが
周りが膨らみ過ぎて整理出来ませんが
完成次第投下します。

音撃もかなりマニアックなものを考えてます。

333 :野獣作者:2006/10/26(木) 23:16:32 ID:MoPsnf8pO
野獣は読み方を工夫して【NOKEMONO】とします。

334 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:28:11 ID:9ZhqQE8U0
明治編が完成しました。
これより続きを一気に投下します。

335 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:29:14 ID:9ZhqQE8U0
>>243-245の続きから。

 その數日後、一人の仲間と共に一目散に馬を走らせる杣邦の姿があつた。
 石見の國、千丈溪に一反木綿が出現したのだ。
 出雲に屯してゐた音撃戰士達は協議し、飛び道具を有する者を二人程送るのが良からうと云ふ事になつた。
 そこで杣邦と、彼と同年代で圭佐(けいざ)と云ふ者が出向くことに決まつたのである。
 此の圭佐は音撃戰士としての名を景鬼(けいき)と云ひ、元は三味線の音撃戰士だつたのだが、數か月前から提琴(ビオロン)を用ゐてゐた。
「此處から先は馬が入れませぬな」
「それでは此處に馬を繋いで、からくり動物で飛んで行く事にしよう」
 二人は腰にぶら提げた圓盤を手に取り、其々の變身道具を鳴らした。即ち杣邦は鬼笛を吹き、圭佐は鬼弓の鈴を鳴らしたのである。
 さすらば、二人が其々に持つ圓盤はたちまち巨大な鳥へと其の姿を變へた。からくり動物『茜鷹』だ。
 杣邦は、圭佐の持つ鬼弓が氣になり、ふと尋ねてみた。
「圭佐殿、其れが變身鬼弓と云ふ物ですかな」
「左樣。提琴を奏するのに使ふので御座る。差し詰め、三味線を奏する變身鬼撥(きばち)の樣な物ですな」
「成程」
 杣邦が頷いてゐると、二羽の茜鷹が早くせよとばかりに急かすので、二人は急いで其々の茜鷹の背に乘つた。
 二羽の茜鷹はたちまち舞ひ上がり、山の木々をぐんと見下ろす。
 やがて魔化魍、一反木綿が彼等の視線の先に其の巨體を現した。その背には眞白い裳束を纏つた童子と姫が佇んでゐる。
「圭佐殿、いざ!」
「應!」
 杣邦の號令に圭佐が應へた。二人は其々に變身道具を響かせ、昂る氣合を雄叫びに變へる。
 杣邦に荒ぶる疾風が、圭佐に轟く雷鳴が落ちた。聳え立つ鋼の肉體、音撃戰士が其の姿を陽光に晒す。
「音撃戰士景鬼、參上!」
「十一代目蒼鬼、雙柳寺杣邦! 參る!」

336 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:29:45 ID:9ZhqQE8U0
 二人が聲も高々に名乘りを上げれば、其々を乘せた茜鷹が主に呼應してピキャアとばかりに啼く。
「鬼さん此方、手の鳴る方へ」
 童子と姫が聲を合はせ歌へば、一反木綿が巨大な翼で風を打ち、童子と姫は變化して其の背の上から飛び立つた。
「蒼鬼殿! 其方を頼みますぞ!」
 景鬼が茜鷹を操り、怪童子へと向かつた。
 對して蒼鬼は妖姫とぞ中空で對峙する。音撃戰士がからくり動物の力を借りねば空に舞へぬのに比して、魔化魍共は己が翼で自在に空を往くのだ。
「よし、青薔薇の尾!」
 氣合を込めて妖姫を狙ひ撃つ蒼鬼。青い花瓣の交じる龍卷が囂々と唸りを上げ、空を驅けた。
 しかし妖姫はその竜巻を避け、さらに上空へと飛ぶ。
「何と。さすらば、音撃管『烈雅(れつが)』!」
 蒼鬼は胸の前で印を組み、彼の音撃武器たる尺八を虚空より取り出した。そして茜鷹を妖姫と同じ高度まで舞ひ上がらせる。
 尺八を吹き矢として構へると、蒼鬼は妖姫を狙つて幾度も鬼石を放つた。
 ビシヽヽと音を立てゝ、鬼石が妖姫の體躯にめり込む。
「自然に還るがよい!」
 蒼鬼は尺八を吹き鳴らさんとした。其の途端、彼は突如襲ひ掛かる暴風に身を押され、茜鷹の背から振り落とされて仕舞つた。一反木綿の攻撃である。
「ぬおつ!」
 落下せんとする蒼鬼を茜鷹が救ひ、蒼鬼は再びその背に舞ひ戻つた。
 一方、景鬼は、音撃弦『烈迅(れつじん)』の名を唱へながら怪童子に矢を撃ち立てゝいつた。ボウガンと云ふ種類の武器である。
 景鬼に矢を撃ち込まれる度、怪童子は苦痛の悲鳴を上げた。
 蒼鬼は體制を立て直し、再び尺八を銜へんとする。其處へ一反木綿と妖姫とが其々別の方向から突撃を仕掛けた。間一髮、茜鷹を操つてそれらをかはす蒼鬼。
「蒼鬼殿、退かれィ!」
 景鬼が叫び、蒼鬼の目の前に茜鷹で躍り出た。そして景鬼は鬼弓を瞬く間に開き、提琴の弦に添へる。
「音撃奏、震天亂地(しんてんらんち)!」
 提琴の音色が空を渡つた。怪童子に撃ち込んだ景鬼の矢、妖姫に撃ち込んだ蒼鬼の鬼石、それらに音が共鳴したかと思へば、怪童子と妖姫は揃つて爆散し土塊に還つた。

337 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:30:16 ID:9ZhqQE8U0
「景鬼殿、忝い!」
 落ち着いて居る餘裕は無い。景鬼が即座に一反木綿の兩目をボウガンで撃つて潰し、隙を作つた。
 そこへ蒼鬼が、一反木綿の巨大な體躯の彼方此方へ吹き矢を撃ち込む。
 一反木綿の渾身の突撃を避けて、二人が乘る茜鷹は右へ左へ飛び別れた。
「音撃奏、威風一陣!」
「音撃奏、震天亂地!」
 二人の音撃が魔化魍を包み込む。そしてその巨體は破裂して土塊、葉、水と變はり、地面に降つた。
 茜鷹を驅つて舞ひ降りた二人の音撃戰士は、其の顏の變身を解いた。
「圭佐殿、全く參りましたな。西洋の武器と比して、いかに古來の武器が不便であるか良く分かつた」
「身共もこの提琴を持ちてより其れを實感して居るので御座るよ。杣邦殿、此れからは西歐の進んだ技術をどんゝゝ取り入れねばなりませぬぞ。何せ文明開化ですからな」
 さうして二人は再び馬に乘り、歸途に就いたのだが、杣邦はその道すがら一つのことを確信した。
 やはり時代は變はらねばならぬ。
 古來、乏しい技術で音撃戰士達が戰へたのは、其れを補つて餘りある強力な呪術を有してゐたからだ。其れが失はれた今、西歐の進んだ技術を導入せねば、魔化魍に對抗出來なくなるばかりだ。
 奏磨を西歐へ遣らねばならぬ。
 ふみとの事は慥かに可哀相だが、しかし何れは諦めねばならぬ戀情なのだ。此處はすぱりと諦めて西歐へ渡つておくれ。
 息子よ、名門雙柳寺の十二代目當主たる我が息子奏磨よ、願わくば立派な音撃戰士となり、新しい時代を開いておくれ。
 杣邦にもはや惱みは無かつた。

338 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:30:46 ID:9ZhqQE8U0
 其の日、奏磨は橋の欄干に凭れて往來を眺めてゐた。
 右から左から、或る人は忙しなく、或る人はゆるりと、橋を往き來していく。
 奏磨は既に、父の云つた通り西歐へ留學しようと決心をしてゐた。今日は其の事をふみに傳へるつもりだつたのだ。
 暫く待つてゐると、やがて待ち人は橋の向かうからやつて來た。見慣れた村野ふみの姿である。
 奏磨が居るのを見捉へると、和裝のふみはあどけない足取りでちよこまかと驅けて來た。
「嗚呼、すつかりお待たせしてしまつたわ。御免あそばせ」
「やあ、ふみちやん。さう息を切らすことは無いとも。それよか、今日は少うし背伸びをして、芝居でも見に行つてみないか」
 奏磨は、もはや己がふみと共に居られる時間の少ないことを覺悟して居る。それでかうした思ひ切つた事を言つてみたのであつた。
「まあ、お芝居。だけどあれは高あいのでせう?」
「大丈夫だよ。金子は僕が持つてゐるし、それに芝居は二月程前に父に連れて行つて頂いた事があるから勝手は分かるんだ。さあ、早速行かうぢやないか」
 さうして話が決まり、二人は歩き出した。
 街を歩いてゐると、西洋の食器を賣る店が目に入つた。
「まあ、綺麗。西洋のものは何であつても素敵だわ」
 ふみは店先に陳列してある西洋柄の皿やテイヽカップ、銀のナイフやフオヽクなどに見惚れて云つた。
「さうだね、西洋は……進んでゐるから」
 奏磨は暫しその場に立ち止まつて、ふみが再び歩き出さうとしても足を動かさなかつた。
「奏磨さん、どうしたの」
「……ふみちやん」
「なあに?」
「……」
 奏磨はふみの顏を見た。それからぐつと顏を背け、云ふ。
「いや、何でも無いんだ。さあ、行かうか」
「おかしな奏磨さん」
 ふみはふふつと笑つて、奏磨の隣に竝んで歩いた。
 奏磨はゐよゝゝ心が張り裂かれる樣な氣持ちがした。
 嗚呼、己はふみに戀をしてゐる。ふみと離れ遠い異國へなど本當は行きたくは無い。だが、行かねばならぬ。それが、誇り高き名門雙柳寺の名を繼ぐ己の務めだからだ。

339 :中四国作者:2006/10/27(金) 02:34:25 ID:N82f86NVO
連続投稿規制が厄介だ…

340 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:34:31 ID:9ZhqQE8U0
「さうだわ、奏磨さん。あたし、陸蒸氣に一度乘つてみたくてよ」
 ふみが無邪氣に言つてのけるので奏磨は答へた。
「それは無理だよ。陸蒸氣何かが走つてゐるのは東京くらひのものさ。出雲には走つてゐないよ」
「あら、さうなの。殘念だわ」
 話しながら歩いてゐると、客待ちをしてゐる人力車が目に入つた。奏磨はかつて、父に付いて人力車に乘つた事があつた。
「ふみちやん。陸蒸氣は無理でも、人力車に乘つてみようか」
「わあ、乘りたいわ。人力車も初めてですもの」
 そこで、奏磨は人力車の車夫に「芝居小屋まで行つて下さい」と話し掛けた。
「學生さんが芝居見物とは豪儀だね。さう思つて見れば品の良い着物だ。さあ、乘つた乘つた」
 二人乘りの座席に奏磨とふみが竝んで腰掛けると、車夫は「よし、それでは出發だ」と合圖し、輕快に走り始める。
 人力車に搖られながら奏磨は思つた。どれ程遠く離れても、どれ程時が流れようとも、決してふみの事を忘れずに居よう。此の樂しい日々を忘れずに居よう。

 奏磨はふみと竝んで芝居を見たが、其の内容は餘り頭に入らず、彼は西歐へ行くことをどのやうな話し方でふみに傳へようかとずつと考へてゐた。
 芝居小屋を出た時には既に夕刻だつた。柳の立ち竝ぶ川原を二人は一緒に歩いた。
「ふみちやん、實は大事な話があるんだ」
「あら、なあに? そんなに改まつてしまつて」
「僕は……」
 奏磨はどうしても言葉に詰まつた。今更になつて、全てをふみに傳へるのが怖くなつた。此れを傳へれば本當に全てが終はつて仕舞ふ。
 だが、此處で云ひそびれる譯にも行かぬ。
 奏磨は思ひ切つて口を開いた。
「僕は、西歐へ行くんだ」
「西歐へ。奏磨さんが西歐へ行くの? 本當に?」
「さうだよ、そして……歸つて來るのは何年も先になるんだ」
 奏磨が其れを傳へると、ふみは寂しさうな顏をして云つた。
「あたし、奏磨さんに會へないと寂しくなるわ。一體どうして西歐へ行くの」
 ふみのそんな表情を見れば、奏磨も益々悲しくなつてしまつた。それでも彼は氣丈に云ふ。
「サクソフオヽンといふ西歐の樂器を學ぶためだよ。僕が蒼鬼を繼ぐ時、サクソフオヽンの音撃戰士に成るんだ」

341 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:35:14 ID:9ZhqQE8U0
「それならあたし、待つてゐるわ。奏磨さんが西歐から歸つて來るのを何年でも待つてゐるわ。さうしたら、奏磨さんのサクソホンを聽かせてくれる?」
「其れは……」
 奏磨は俯いた。
「其れはきつと無理だよ。僕が歸つてくる頃には、ふみちやんはもう何處かの家へ嫁いで仕舞つて居るかも知れないよ」
「そんな先のこと、何も分かりはしないわ」
 ふみの澄んだ瞳を奏磨は見た。
「僕も大人になつたら、何處かから嫁を迎へて家督を繼がなければならない。お互ひ大人になれば、かうしておいそれと會ふことも出來ないんだよ」
「其れなら、あたしは奏磨さんのお嫁さんになりたいわ。さうして奏磨さんに何處までも付いて行くわ」
「そんな事、無理だよ……無理だよ。子供の樣な事を云はないでおくれ」
 奏磨は拳をぐつと握つた。
 本家の長男である奏磨と、分家村野の娘であるふみが夫婦になどなれようも無いのだ。
 奏磨もふみもずつと默つてゐた。やがて、奏磨が言ひ出した。
「約束するよ。僕が西歐から歸つて來た時、ふみちやんが未だ自由な身だつたなら、きつとサクソフオヽンを聽かせてあげる。そして僕が西歐で見聞きした樣々な事を、殘さずふみちやんに話して聽かせてあげる」
「本當に? 嬉しいわ」
 心なしかふみの聲が震へてゐた。其の瞳に涙がきらりと光るのを奏磨は慥かに見た。
「ふみちやん。僕は、君と共に過ごせて良かつた」
「奏磨さん、きつと……きつと立派な音撃戰士になつてね」
 そして、二人はどちらからとも無く抱擁を交はした。
 奏磨が抱き締めたふみの體は力を込めれば折れてしまひさうな位に華奢で、しかし温かゝつた。
 夜の帳が邊りを包み、何處か遠くで鐘が鳴つた。

342 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:35:45 ID:9ZhqQE8U0
 明治六年十一月某日、蒸氣船で西歐へ船出した使節、留学生達の中に、猛士山陰支部所屬音撃戰士候補生、雙柳寺奏磨の姿が在つた。
 彼は西歐へ渡つた後、サクソフオヽンが發明された白耳義(ベルギイ)、音樂の都と名高い墺太利(オヽストリア)、西歐に於ける音撃戰士の組織の本部が在る伊太利(イタリヤ)などで研鑽を積んだ。
 ソプラノサクソフオヽン、アルトサクソフオヽン、テノオルサクソフオヽン、バリトンサクソフオヽンの全てに習熟した他、廣く西歐の文化を學び、六つの外國語を覺え、西歐の音撃戰士達の事情にも精通した雙柳寺奏磨は、五年後の明治十一年、二十一歳にして日本に歸國した。
 歸國の翌年には父、杣邦から蒼鬼の名を讓り受け、關西の良家から娵を迎へて雙柳寺家十二代目當主となる。そしてサクソフオヽンの音撃武器を手に第一線で魔化魍と戰ひ、管樂器の音撃戰士達の改革の手本となつた。
 ところで、村野ふみは奏磨が歸國する二年前に九州の名家に嫁いでをり、結局二度と二人が出逢ふ事は無かつたと云ふ。
 雙柳寺奏磨は二十五歳で息子、染裕(そめひろ)を設け、率先してその穎才教育に當たつた。奏磨四十二歳の時、父、杣邦が享年六十八歳で沒する。その翌年には奏磨は音撃戰士を引退し、息子や若き戰士達の指導に徹した。
 染裕の十三代目蒼鬼襲名と、孫、楚人(そひと)の誕生を見屆け、明治四十二年、享年五十二歳で逝く。彼の死後も、彼の志を受け繼ぐ者達が文明開化の花を咲かせ續け、新たな時代を切り開いていつた。

 晩年、彼は若かりし日を思ひ返して、このやうに記してゐる。
 我が人生は滿ち足りたものであつた。しかし唯一忘れ得ぬ思ひ出が、あの若かりし日の村野ふみの事である。
 何時か未來、何代目かの我が子孫、やはり雙柳寺の蹟取りたる若者が、丁度若かりし頃の我の樣に結ばれ得ぬ間柄との戀をするやも知れぬ。
 その遠い未來の若者達の戀情はどうか、成就せんことを。彼らが仕合せにならんことを。雙柳寺家十二代目當主奏磨は其れを切に願ふ。

明治編 完

343 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/27(金) 02:38:43 ID:9ZhqQE8U0
ということで、長丁場の連載になってしまった明治編はこれで終わりです。
お付き合い頂きありがとうございました。

本編はまだまだ続きますよー

344 :見習いメイン作者:2006/10/27(金) 03:45:21 ID:tGm79n990
>>中四国SS作者さん
十一代目(と景鬼さん)の見せ場の後、若い二人のやりとりがセツナイ。
これ読むと現代編のソウキさんとムラサキくん頑張れって思いますね。

>>野獣作者さん
もうじき始動のようですが、タイトルも内容もカッコ良さげ。
主人公がしょっちゅう泣きべそをかいている私のSSとは大違いです。

これより、ぐすぐすSS八之巻を投下いたします。


345 :見習いメインストーリー:2006/10/27(金) 03:46:47 ID:tGm79n990
前回は>>304から。

八之巻「響く拍手」

 二年への進級を目前にしたある日、めずらしく教室内で大洋が純友に声をかけてきた。
現場研修で話して以来、その後の学科研修でも少しは話すようになったが、それでも
今までは、学校で話すことはあまりなかった。
「『童子』と『姫』ってのが、魔化魍にはつきものなんだとよ。こないだ、初めて見た」
 机につく純友の脇で、ポケットに手を突っ込んだ姿勢で大洋は話した。
「うす気味わりい男と女で……声が、男と女で逆だった。人間じゃねえかもしんねー」
「声って……喋るの? 知能があるんだ」
「知能もあるし、鬼じゃねえけど向こうも変身した。変身した後のあいつらを、
ダンキさんは『怪童子』と『妖姫』って言ってたぜ」
 そこに、学級委員の橘多美がやってきた。
「オウ、多美ちゃん」
 柄にもなくテレた風に応対する大洋を、純友は密かに白い目で見た。
「なに話してたの?」
「それは……その、男と男の話ってヤツだ」
 むー、と少々不機嫌そうになった多美だったが、純友に笑いかけて言った。
「でも良かったー、やっぱり仲良いんだね、二人って。病院に見舞いに行った時
なんだか雰囲気わるかったから、どうしようって思ってたんだー」
「大丈夫だって。な、純友」
「いつから名前で呼ぶようになったのさ」
「オマエもおれを大洋と呼べ」
「ホントに良かった。そのことが心残りだったんだー」


346 :見習いメインストーリー:2006/10/27(金) 03:47:26 ID:tGm79n990
 純友は多美を見上げて言った。
「た、橘さん、いま何て?」
「ホントに良かったって」
「そ、その後」
「心残りだったって」
 多美はあっけらかんとして言ったが、純友と大洋は絶句した。
「多美ちゃん……?」
「──学級委員として二人のことが心残りだったんだけど、転校前に解決できて、良かったー」
「「転校!?」」
 純友と大洋は同時に声を上げた。

 その日のショートホームルーム。教壇の横に立つ橘多美。
 担任が皆に言った。
「橘は、家の仕事の都合で神戸に転校することになった。一年間の付き合いだったが、
学級委員として、クラスメートとして、本当によくやってくれた橘に拍手をしてやれ」
 拍手が鳴り響く教室の中で、純友が泣いていた。今日ばかりは、大洋も泣いていた。
「橘から、皆に何かあるか?」
 多美は笑顔で言った。
「みんな、これからも仲良くするんだよー」


347 :見習いメインストーリー:2006/10/27(金) 03:48:00 ID:tGm79n990
 学校で没収された純友のディスクアニマルは、その日の放課後に返してもらうことができ、
以来、純友はディスクを鞄に入れるのではなく、ひもを通して首に下げることにしていた。
 そうしてディスクをお守りのように首にかけ、純友がいつものようにみどりの設計室に
研修に来たとき、そこには机が三つ並べられ、既に一人の男が席についていた。
「よっ、見習い」
 二本指を差し向けて純友に挨拶をしたその男は、どこかダンキに似た強さを秘めながらも、
それよりずっとこなれた大人の雰囲気をもっていた。
「今日は俺も特別参加させてもらうぜ。よろしくな」
 あとから入ってきた大洋にも、男は同じように挨拶した。
 展示室の方に行っていた滝澤みどりが、三人の様子を見て言った。
「こんにちは、純友くん、大洋くん。こちらは、『角』担当のヒビキくん。
今日の研修はディスクアニマルについてなんだけど、新型の説明も合わせて行うから、
ヒビキくんにも出てもらおうと思って」
「じゃあ、鬼の人ですか?」
 みどりの言葉を聞いて、純友はなるほど、と思った。どうりでダンキに似たものを感じたわけだ。
「ダンキさんから聞いたことがある。太鼓担当じゃ関東最強で、ダンキさんはヒビキさんを
目標にしてるって言ってたぜ」
 大洋が言うと、ニヤリと笑ってヒビキは言った。
「まあね。関東の太鼓専門の鬼としちゃ、一番オッサン……いや、経験長いしね」


348 :見習いメインストーリー:2006/10/27(金) 03:48:55 ID:tGm79n990
 みどりが一冊のファイルを持ってきて机の上で開いた。
「見て、これが関東の鬼さんたち」
 クリアフォルダに入れられた書類には、鬼の顔写真、人の姿での写真、鬼名、本名、住所、
生年月日など、様々な情報が書かれていた。
「えっ、ダンキさん本名ダンダダイスケって言うの?」
「色んな人がいるんですね……」
 純友は黒い顔に赤い何対もの筋の入った鬼の履歴を見て言った。
「この人だけ武器が三種類ある……?」
「いいところに気づいたね、純友くん」
 みどりが言った。
「鬼さんの武器って何種類かあるんだけど、今の若い鬼さんは、たいてい一種類が専門で、
その武器だけを持ってるのね。でもサバキさんの場合、三つ使いこなせるからこんなふうに
三種類持ってるの」
「サバキさんとか俺とかの世代は、まず全種類教え込むって方針だったからな」
 ヒビキが言った。
「俺も一応三つ使えるんだけど、太鼓以外は滅多に使わないから自分専用のは持ってないんだ。
サバキさんみたいに三種類専用の武器を持ってる人ってのは、最近ではめずらしいかもな」
 さらりと言ったが、要するにヒビキも三種類を使えるということだ。やはりダンキが目標とする
存在だけのことはある。純友は、この男にただならぬ凄さが潜んでいるのを感じた。

 その日のディスクアニマルの歴史についての講義中、ヒビキは早々と眠りの舟を漕ぎだしていた。

八之巻「響く拍手」了


349 :見習いメイン作者:2006/10/27(金) 03:54:48 ID:tGm79n990
>>309 >>312
私の場合、30年前の沖縄に色んな制約があることにまったく気づかず。
何十年も前のSSを書くのも結構注意が必要ですね。うっかり携帯電話とか出せないし。
(あかねさんが、そういうのがあったらいいな〜くらいのことを言ってましたね、確か)

また、他のSSへの影響をちゃんとお考えになっているご姿勢、見習いたいと思います。

>>331
私のうろ覚えなトコを補完頂きありがとうございました。「S.I.C. スーパーコレクション
vol2」。ホビージャパンは買いませんでしたが、こちらは買うかもしれません。
……今ちょうどサーバがメンテナンス中とかで、萌&燃えなあきらが見れなくて残念。


350 : :2006/10/27(金) 09:28:43 ID:gq7sZO6/0
昔は「響鬼」のSSだったけど、最近は「響鬼風オリジナルヒーロー」だな。


351 :野獣作者:2006/10/27(金) 17:24:20 ID:8bYwLp0OO
響鬼世界を創造で楽しむのはマズいッスか?

12月号買いました。
闘鬼の造形が好きです。
が、11月号の蛮鬼が刀弦響を低く構えたのが
いいですね。
実際ベース弾いてたから判るんですが
低い構えは演奏的にツラいんです。
ですが慣れると無駄な力が入らないんです。
ジャズよりロックのスタイルですね!


352 :名無しより愛をこめて:2006/10/27(金) 20:32:52 ID:TgKGcLGN0
響鬼は、歴史のある組織がバックについていて、それが全国にあるっていう設定
なんだから、時代を変えたり、地域を変えたりして想像したくなるじゃん。

353 :名無しより愛をこめて:2006/10/27(金) 20:56:16 ID:onkhyfk00
そりはもう「響鬼風オリジナルヒーロー」で差し支えないと思うぞ
どっちかっていうと二次創作というよりは三次創作の域になってる感は否めないだろ
例えるなら
1stガンダムという本編があって
MSVという設定が公式から出されて
オレMSやオレ宇宙世紀を楽しんでる現状

354 :名無しより愛をこめて:2006/10/27(金) 21:04:04 ID:vOhEW4020
二次だろうが三次だろうが楽しめた者が勝ちさ。

355 :名無しより愛をこめて:2006/10/27(金) 21:30:09 ID:LfsKLUgw0
そうか?1stガンダムと種ガンダムぐらい違う気がするぞ。
このままだとワームと鬼の戦いとか出そう。

356 :野獣作者:2006/10/27(金) 21:38:01 ID:8bYwLp0OO
どうでしょ?
魔化魍は一種の精神体だから清められるけど
ワームはナマモノですからね

357 :名無しより愛をこめて:2006/10/28(土) 11:58:24 ID:hjw4DXz50
じゃあ、俺が考えたのもありかな。

−20XX年−
洋館の男女は人と魔化魍を交配させる事により擬人化ができる"魍人"を完成させた。
この事により今までは自然界にしか存在しなかった魔化魍が街へと繰り出した……。
増大する魔化魍に対抗しなければならない猛士であったが、希望者の減少と修行の厳しさから
鬼は極端に減り深刻な人材不足に悩まされていた……。
だが、吉野は装甲声刃の装甲化技術を鬼の鎧と組み合わせることにより鬼に変身できなくとも
鬼と同様の力を得ることができる「鬼装甲」の開発に成功した。

−今、人類と魔化魍の未来を賭けた戦いが始まる−

358 :名無しより愛をこめて:2006/10/28(土) 12:32:49 ID:hjw4DXz50
20XX年−新宿

人気の少ない路地裏で女が怯えていた。
女は必死に命乞いをするが目の前に立つ謎の男は聞く耳を持とうとしない。
男がにやりと笑うと、男の顔に亀裂が入りペリペリと皮が剥がれそこから異形の者の姿が現れる。
それを見た女は声もあげる事すらできず、ただ怯え。自分の恐ろしい運命を想像し泣き叫んだ。
「まて!」だが、男の背後から20前後の青年の声が!
「俺が相手してやる」左手に短い剣を持ち、腰には不思議な形をしたベルトを巻き異形の者の前に立ちはだかる。
異形の者は青年を睨みつけ、襲いかかろうとしたが、青年とは反対の方向から何者かが衝突し出鼻を挫かれる。
異形の者にぶつかった者はコガネオオカミのDAだったが、通常より少し小さい。

−これこそが「鬼装甲」の要となるDAFA(Disk Animal For Armed)である−

コガネオオカミは異形の者を突き飛ばし、青年の方へと向かう。
「よし!変身して一気に倒すぜ!」向かってくるコガネオオカミをキャッチしようと手を伸ばす。
「あれ?!」だが、オオカミは青年の手をするりと抜け走り去る。
「何で?」と思っていると走り去った先にもう一人長いコートを着た男の姿。
「……残念だが、コイツは俺のDAFAだ……」
オオカミが飛びつくのをガッチリと掴むとコートを脱ぐ。その腰には同じようなベルトが。
「……変身」ディスクになったオオカミを腰にセットすると無数のDAが男を包む。
男は武士達が身に着けていたような鎧の姿になった。

359 :野獣作者:2006/10/28(土) 12:48:20 ID:mrkjTIkkO
なるほど、DAタソをゼクターと解釈しましたか。
コガネタソはその側面ありますわな。

360 :名無しより愛をこめて:2006/10/28(土) 12:52:28 ID:hjw4DXz50
鎧の男はあっけに取られていた青年の横を通り過ぎ、異形の者に近づく。
今度ばかりは先手を取ろうとした異形の者は無用心に襲い掛かった。
だが、あまりに無用心すぎた。鎧の男はすぐさま異形の者に蹴撃を当てる。
その攻撃がカウンターとなり異形の者は無様に転がり壁に激突する。
鎧の男は腰に着けていた装甲声刃を構え、無防備な体制に素早く「止め」の音撃を放つ。
「鬼神…覚声…」
装甲声刃から放たれた剣撃は異形の者を爆発四散した。

「……ふう」男がため息をつくと、ベルトからオオカミが外れどこかに走り去っていく。
それを待っていたかのように青年は男を問い詰めた。
「お前誰だ?!」
「……昨日こっちに配属された"鬼道"だ」
あまりに必死な青年とは対照的にめんどくさそうな態度で答える。
「昨日?香住実さんからなんも聞いてないぞ!」
「そんな事知らないよ…で、お前も鎧の戦士なのか?」
突き刺さるような目で男は青年を見る。
「……一応な。"鬼一"って言うんだ。まだDAFAは無いけど……」




361 :名無しより愛をこめて:2006/10/28(土) 13:00:45 ID:hjw4DXz50
「なんだ鎧の戦士じゃないのか」あきれたような顔をして男は去って言った。
鬼一は蔑んだ目で見られたのに腹が立った。
しかし、未だ半人前の自分を認めざるを得ない。悔しいが事実だった。
「クソッ!」仕方なくぶつけ様の無い怒りをそこにあった空き缶に思い切りぶつける。
カン!と高い音を放ちカンは飛んで行くと奥の方から「イデッ」と言う叫び声が聞こえた。
慌てて声の先を見ると缶は先ほど襲われていた女に命中していた。
女は「痛いじゃない…」そう言うとそのまま気絶し床に倒れた。
「ごめんなさぁああああい!」
夜の新宿に鬼一の絶叫がこだました。

続く(?)

362 :名無しより愛をこめて:2006/10/28(土) 13:31:51 ID:hjw4DXz50
続けるかわからんが設定

鬼一(本名)鬼怒川一平 二十歳ぐらい?
鬼の修行をしていたがなんか適正があわなくて断念。
いいタイミングで鬼装甲の話が来たので鎧の戦士になるがまだ変身できない。
赤い装甲声刃。アカネタカで変身するかも。原付免許しか持ってない。

鬼道(本名)木村 道真 24とか5とかかな?
元・鬼だけど、なんか神経系をやられて鬼になれなくなったので鎧の戦士に。
魔化魍に恋人を殺されたとか付けるかも、ゴンみたいなオマケと一緒に活動してるかも。
青か黒の装甲声刃で、コガネオオカミがDAFAだと思う。

DAFA(Disk Animal For Armed)武装用ディスクアニマル。
呼び名はダーファ(?)
ほとんどゼクター。常に一人一体にするか、色んなDAFAで色んな力にするか考え中。
タカならジャンプ力とかサルならパワーとか。おもしろいけどややこしい。

魍人
人の受精卵にクグツが持っていた変な液を加えて作った化け物。
魔化魍と人間のハーフではなかろうか?(思考中)
たぶんモッチーがさらわれたのはこれの実験だったのでは?

タイトル募集中

363 :皇城の〜の…中の人:2006/10/28(土) 14:14:05 ID:EfTYOF070
基本的な世界観を守り、整合性をとって話を進めれば2次創作の域に収まると私は考えます。

MSVを例に取れば、1年戦争時のパワーバランスを大きく崩したり、当時最高のMS(RX-78もしくはその改良型あるいはシャアの操るMS)を
大きく超えるような設定の機体を造ってしまったり、特殊すぎる機体を歴史(UC0079)に絡めてしまうのはどうかと思います。
しかし、限定された戦域において歴史の日の目を見ることなく朽ちていった名機(ZUDAなど)が活躍する話しがあってもいいとおもいますし、
そういった範囲内なら二次創作として通用するのではないでしょうか?

私の話に関しては、微妙な点があるので「映画版」と言う視点を提示してあります。
鬼が「修験者」「忍者」的なイメージで描かれている点を膨らませ、鬼の原型・源流としてディティールを作りこんだ結果こうなりました。
限定された地域だけでひっそりと活動しているのも、本編とクロスした場合大きな影響を及ぼさなくてすむように、と考えました。

見解は人それぞれあると思います。352さんの意見ももっともだと思います。
私的にこの当たりは今一度考えてみたいと思います。

364 :野獣作者:2006/10/28(土) 15:14:31 ID:mrkjTIkkO
>>皇城様
自分も修験道に近いのですが
神仏習合の四国遍路の切り口で創作してましたが
安易に強化してないか自信ありません。
帰ったらチェックします

365 :野獣作者:2006/10/28(土) 18:35:08 ID:mrkjTIkkO
投下前に読み直すとビビります。
何せネット環境にないし
早朝でも携帯で貼り付けます。
設定が先走りドラマが薄いです。
やぱ職人様達すげーや

366 :皇城の〜の…中の人:2006/10/28(土) 21:32:46 ID:EfTYOF070
これより投下いたします。
しばしの間、お時間を頂戴します。

367 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:35:42 ID:EfTYOF070
  陸、

 シブキ・史郎師弟の組み手が取っ組み合いの殴り合いの相を呈してきた頃、清澄通りを
豊海埠頭目指し、熱風を切ってカブが疾走していた。口ずさむ鼻歌はルパン三世のテーマ。
誰あろう江川大介である。文明堂の勝どき工場まで二日分のイチゴと皆敷を配達し終えた
あと、清澄通り沿いのローソンに立ち寄り、一番安い缶コーヒーとアイスを二本ずつ買っ
た。涼む場所を与えてくれる友人に対する貢物だ。
 友人とは今月の初めに仲良くなった。
 その日江川はほんの些細な理由で上司にこっぴどく叱責された。無理難題吹っかけてお
いて、ちょっとミスったら鬼の首取ったようか?フザケンナ!フザケンナ!フザケンナ!
脳内でそいつを四度ほどぶちのめした後、午後の作業にバックレを決め込み、配達を装っ
て店を飛び出すと倉庫街を目指した。昼下がり。埠頭の縁に愛車を停めて跨ったまま、波
頭の砕ける音と蝉時雨をBGMに、潮風に当たりながらだらしない格好で煙草を吹かして
いた時、その友人は声をかけてきた。

「兄ちゃん、サボりか」

 どきり。声に江川は振り向いた。
 バイザー付きの、昔のアニメに出てくるヒーローを思わせるような青いヘルメットをか
ぶり、同じような色の制服を着た四十がらみの親父だった。制服が汗で塩を吹いている。
ヘルメットには、巷でよく見かける警備会社のステッカーが貼ってあった。なれなれしい
と云うか気さくと云うか、何本か欠けた前歯をむき出しにして「ニッ」と笑って立ってい
た。清澄通りと対岸の芝浦を繋ぐ、海底トンネルの工事現場の警備要員らしい。まずいと
ころを見られたと思いつつ、それを押し隠すように気色ばんだ声で、
 
「あ、うん。そう」
「築地の人だかね?」
「んー。場外だけどね。がんセンターの前の店。知ってる?」
「おー、なんかあったな。角っこに」 
「そこのバイトだよ」
「おー、そうらけ」

368 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:37:37 ID:EfTYOF070

 親父の言葉に郷里の訛りを確認し、出身を聞くと同郷、それも実家のすぐ近くであるこ
とが判った。競馬にのめりこみ多額の借金を作り、逃げるように都会へ出てきたのだとい
う。さらに詳しく聴いてみると母親の同級、自分の出身中学の先輩らしい。急速に親近感
が生じた。当初の胡散臭さはどこへやら。

「おーおー。あの子にこんげ大っきな息子さんが居たんかね」

 壮年のガードマンは目を丸くして声を上げた。それから地元の話でしばし盛り上がった。
店に戻ったのは太陽は中天を過越し、投げかける陽光はいよいよ苛烈さを増す頃であった。
朝よりも激しい怒号の雨をしたたかに受ける羽目になったのだが、打って変わって馬耳東
風。こんどはいかほどの苦にもならなかった。
 次の日も現場を訪ねてみると、また親父はいた。常駐で入れてもらっているという話だっ
た。
 江川の顔を見るとガードマン──高橋は欠けた歯でまた「ニッ」と笑い、二畳ほどの広
さのプレハブに招き入れ、自分の水筒から冷たい麦茶を入れると、「ほれ、飲まっせや」
と差し出してくれた。狭い室内はウインドクーラーの吐き出す冷気で適度に室温調整され
ていて、心地よかった。

「お、わーりね」

 郷里の言葉で答えると、お返しにセブンスターを差し出す。

「おー、大介ちゃんありがと」

 百円ライターで火をつけてやると口を窄めウマそうに吸った。深く吸い込んだ紫煙をゆっ
くりと頭上に吐きだす高橋に「おじちゃん、いいんかよ。部外者入れるとまずいんじゃね
えの?」と訊ねれば「おー、ホントはいけねんだが、大介ちゃんならいいわや。涼んでく
んださ」と返ってきた。

369 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:39:27 ID:EfTYOF070
 高橋はよくしゃべった。ギャンブルの話。もう競馬はやめた、スロットのが儲かる。休
日はどう過ごしているのか。暇なら呑みに行こう、突き出しのうまい店を知っている。金
がないのか?じゃあガード下はどうだ云々…。都会で故郷の人間に、それも知り合いの息
子に出会ったというのがいたく嬉しかったらしい。一方、江川のほうもその点に関しては
まんざらでもなかった。親子ほどの年の差があるにもかかわらず、わずかな期間で二人は
意気投合してしまっていた。それから週に一日くらいの割合で、江川は高橋の警備小屋で
サボりをかますようになった。

「ちわぁ、おじちゃん」

 警備小屋の脇にカブを乗りつけ、高橋を呼ばわった。
 返事はない。いつもの笑顔は現れない。
 小屋備え付けの冷房はきちんと仕事をしている。
 吹き抜ける潮風。暑い。
 スタンドを立てると、汗臭い制服を脱ぎ捨て丸め、かぶっていた半キャップにぶち込ん
だ。正面に回り込み警備小屋を覗き込む。机代わりに渡された合板の上に古い型の携帯が
転がっている。その存在は持ち主の存在も示している。窓硝子が反射してよく見えないが、
何軒かの着信があるようであった。
 現場自体は先週の頭から休工になっていた。トンネルの必要性について、行政と地域住
民と意見がかち合ったらしい。月島・晴海・清海・勝鬨を全部含めても五千人強しか居な
い埋立地区の住民のために何十億もの税金を投入する必要があるのかという意見を容れて、
計画を見直すことになった。ただ現場自体はあくまで休工という建前上、建築資材を残し
たまま作業員だけを引き上げさせ、安全管理のために引き続き警備員だけはおいている筈
だった。

 音。

 五十目米ほどの広さの工区を囲むトラジマのバリケードが、小屋から少し離れた位置で
人が通れるくらいの広さにひろげられ、風にあおらればたばたとはためいていた。警備小
屋のドアは鍵が掛かっている。もう一度高橋を呼ばわった。どこからも返事はない。現場
の巡回にでも行ったか。

370 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:40:00 ID:EfTYOF070
 大型トレーラーのアイドリング。
 汗ばんだ身体を撫ぜてゆく温い潮風。
 放置されたフォークリフト。
 扉を半開きで駐車してある軽自動車。セルの回る音が聞こえる。
 街路樹にしがみつき、短すぎる青春を必死で謳歌する蝉達の声。
 倉庫街は人影も無く閑散としていた。安物の腕時計を覗き込んだ。針は十一時十二分前を
示している。
 アイスの具合が気になった。チョコチップ入りのアイスを一本取り出し銀紙のパッケー
ジをはがし去り口にほおばる。滴るバニラ。やべぇもう限界。早いとこおっちゃんに渡し
てやんないと。江川は足早にバリケードの隙間を目指した。
 首だけ突っ込んで中の様子を伺う。袋詰めのコンクリート、鉄筋の束、鉄パイプ、組み
立て式の足場、ぬかるみ防止の鋼板。工区のいたるところに様々なものが乱雑に放置され
ているのが見える。ずいぶんと慌てたものだ。急な工事中止といえども、もう少し片付け
ておいてもいいだろうに。重機だけがどこにも見当たらなかった。盗まれて犯罪に利用さ
れるのを防ぐため、すべて引き上げられていた。正面二十米。本来ならば水上である地点
には、差し渡し十五米ほどの海底トンネルの入り口が海獣の顎(あぎと)よろしく黒々と。
そこからゆるゆると這い出してくるひんやりとした空気。遠くで汽笛が鳴った。漁船だろ
うか。かすかに流れてくるエンジン音。鴎(カモメ)の声。

「……あ?」

 トンネルの向かって左側。鉄パイプで組んだ足場の奥の闇に何かが動いた。
 目を凝らす。人がいた。長髪の男。ニッカ・ボッカーを履き地下足袋を着け、上半身は
晒だけの姿で腕を組み、ゆるいカーブを画くコンクリートの壁に寄りかかって立っている。
作業員だろうか。妙な違和感。すぐに忘れる。「あの、スンマセン」と間抜けな声を上げ
ながらバリケードの内側へと踏み込んでいった。
 この時江川はこのとき考えるべきであった。携帯が何故、置き去りにされていたのかを。
 また確かめるべきであった。着信記録の件数を。
 気づくべきであった。昼前にもかかわらず人影の見当たらない不自然さに。
 注意すべきであった。瞬間止んだ蝉の声に──そう、全てが手遅れになってしまうその
前に。

371 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:41:24 ID:EfTYOF070
 歩み寄りながら「こんちは。ガードマンのおっちゃんそっちにいます?」と声をかけた
が返事を返すそぶりはない。「聞こえねえのかな」憤りを漏らし舌打ちで上塗った。自ら
の行動について省みる気は毛頭ないらしい。作業員が顔をこちらに向けた。

 ぞく

 長髪の隙間から金壷眼がじっと江川を視る。何だ。この感触。男と自分は二十米近い距
離を隔てているにもかかわらず、すぐ傍にいるような錯覚にとらわれる。確かにそこに見
えているのだが、誰もいないようにも感じる。軽い眩暈。日陰の中に立っている男の周り
だけ、何故だかひときわ暗い。男の身体から闇が濃く滲み出してきている様に思えた。何
かおかしい。やばいのではないだろうか。漸くそのような思考が頭をもたげてくる。全身を
真綿で包まれ、じわじわと締め付けられていくような不快さと圧迫感。コンビニの袋を取
り落とした。貢物のラクトアイスはすでに液状化し、甘い香りを芳っていた。
 口の端を吊り上げて男が笑った。真っ直ぐ江川を見据えたまま、口だけで。細面の整っ
た顔立ちが笑顔の異様さを際立たせ。頭の鉢を剥がされて、中で渦巻くものを覗かれてい
るような気さえしてくる。きりきりと更に釣りあがってゆく口元。十五米以上も先の暗が
りの中の人物の表情がどうして鮮明に判別がつくのか。ピントの合わない写真に、くっき
りとした人物像を貼り付けたかのようにそこだけ──がそれだけがはっきりと見える。も
ういけない。逃げよう。ほんの数歩下がれば、今しがた入ってきた隙間がある。このまま
だとやばいことになるに違いない。
 別の生き物になってしまったように言うことを聞こうとしない下半身を無理やり引きず
り、あとずさろうと努力をする。

372 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:42:36 ID:EfTYOF070

「立ち入り禁止だよ」

 しゃがれた低い男の声。後ろから。悲鳴を飲み込んだ。ぎこちなく振りくとそこにいた
のは──女だった。艶やかな髪に彩られた丸顔の女が暗がりと男と同じような姿で、己を
見下ろしていた。唯一違うのは右目を隠すように斜に被っているヘルメット。サウナもか
くやの外気の中、女の病的に白い肌には汗の玉ひとつ浮いてはいなかった。いま声をかけ
たのはこいつか?声と姿がかみ合わない。目指した隙間はいつそうなったのかぴったりと
閉じられていて、ご丁寧に針金でくくられていた。またひとつ、背筋を嫌なものが駆け上っ
て行く感覚。犬のように口で激しく呼吸を繰り返す。

「判らないのかい、立ち入り禁止だよ」

 甲高い女の声。今度もまた後ろから。あわてて振り向いた鼻先に金壷眼があった。尻餅を
ついた。腰が抜けてしまったのだ。

「ははははははは!」
「あはははははは!」

 男が、女が、江川の表情を覗き込むように屈み込み、性別の入れ替わった声で哄笑した。
さも面白そうに。おぞましき重奏。強烈な禍々しさが脳を揺さぶり、わずかに残っていた理
性を頭蓋の外へと吹き飛ばした。四つん這いのままで、しかもその格好からは想像もつかな
い勢いで逃走を開始した。小砂利を蹴散らし土埃を巻き上げ、逃げた先は掘りかけのトンネ
ル。闇の残り香漂う海獣の口腔。いずこからか染み出す海水でぬかるむ地面をはいずり転が
り、奥へ奥へと逃げ込んだ。 哄笑は続いている。男は腕を組んで立っていたのではなかっ
た。右腕の肘から先が無かった。無い部分を押さえていたのだ。女の被っていたヘルメット
は見覚えがあった。あれは高橋が被っていたものではなかったか?ならば持ち主は今どこに?
判らない。想像したくも無い。

373 :『皇城の守護鬼』 一之巻「飛沫く鬼」:2006/10/28(土) 21:51:16 ID:EfTYOF070

「おやおや、餌を巣穴に運ぶ手間が省けたねぇ」

 しわがれた声が言った。

「子供たちや。たーんと食べるんだぜ」

 甲高い声が言った。子供たち?何のことだ?
 周りに、自分以外の、無数の気配を感じる。見てはいけない。思っているにもかかわらず、
視線は巡る。壁。天井。張り付いていた「モノ」が一斉に眸を開いた。ソフトボールほどの
大きさの光の群れが、小男の周りを囲んでいる。 

 ざわ。

 光のが波をうち、闇が蠢動した。
 

 潮風と哄笑が絡み合い、真夏の空に立ち上り。

 ──静寂。

 蝉達が鳴いている。何事も無かったかのように。たった今起こったことを全て忘れ去ろうと
するかのように。一生懸命鳴いている。

end

374 :皇城の〜…の中の人:2006/10/28(土) 21:53:46 ID:EfTYOF070
え〜これっぱかしの文章を書くのに約半月orz
遅筆が過ぎますね、ハイ。
とにもかくにも、次章からはいよいよフルメンバーが動き始めます。
皆様、今しばらくお付き合いお願いします。

375 :野獣作者:2006/10/28(土) 22:06:51 ID:mrkjTIkkO
皇城様の作品はタバコとかの小物描写が
毎度の事ながら素敵ですな!
こういうのが真似出来ないんッス…orz

376 :野獣作者:2006/10/29(日) 05:57:34 ID:I5+FxAvRO
これから
野獣【NOKEMONO】
下ろさせていただきます。
もとより自分の文章はスピード感がなく
中編、後編は畳み込み感バリバリですので
後日投下します。
どうか忌憚のない御意見を賜りますように。

377 :野獣【NOKEMONO】:2006/10/29(日) 06:38:43 ID:I5+FxAvRO
プロローグ木蓮の涙
あなたは嘘つきだね 私を置き去りに

「小暮さん何なんですか?車両部に居た不良少年は!」みどりは憤慨していた。
たしかに[銀]でも吉野本部開発局で従事出来るのはエリートで、世間で言えば博士クラスの限られた者の聖域。
響鬼に負けじと[智]で鍛えてきたみどりには、そこらに居る様な金髪ピアスの少年が出入りしている事自体許せなかった。
「ふむ、山本大地をそう診たか。」なぜか機嫌良さそうな小暮に少年の名前を知る。
「茶化さな…」「私が訳も無く無礼を正さないと思うのか?」今度は言葉を遮りながら高笑いした。
そう言えば不思議なことに礼儀に煩い小暮が一度も彼を叱責してない。


…逃げ疲れていた、生き延びる事に。例え愛した男との約束だとしても…
この林に追い込まれている事は判っていた。…むしろ望んでいたかもしれない。
狩猟に追い立てられる獣の様に、そして最期は討たれる事も。
しかし易々と鬼払いを受ける訳にはいかない。抜け殻となっても「生きろ!」と叫び、自らの角を折って散った、人ではない滅すべき魔化魍ウシオニとの約束。
何より清められては愛した男の魂さまよう修羅界へ行けない。
「フウ、ここまでかなあ?…」一言漏らしクスクスと笑い、眠りながら最後の闘いを思い出す。

378 :野獣作者:2006/10/29(日) 06:41:41 ID:I5+FxAvRO
すんませんリューケンドー始まったので続きはスパヒロの後でも

379 :名無しより愛をこめて:2006/10/29(日) 11:22:16 ID:eL5zmmqw0
ポジション的には
1st ガンダム=裁鬼SSとか鋭鬼、弾鬼SS
ZG ZZG = 皇城とか高鬼
VG=凱鬼か?
08MS小隊またはガンダムセンチネル=中四国や見習いか?
DA年中=SDガンダムとか?ターンエー辺りが作風としてはいいのかも。
Gガンダム=ZANKI
どうだろう?

380 :野獣【NOKEMONO】前編の1:2006/10/29(日) 11:47:38 ID:I5+FxAvRO
―五年前―
血塗れのウシオニが走る。同族107匹をその角で突くために。
その背には手刀を構える鬼。能力の限界か美しい女の全てを晒す裸身であった。
かつての仲間を屠(ほふ)るため魔化魍が更なる突進を続ける。半身を翻した刹那、おぞましく悲しい光景が現れた。
背に乗せた女の右肩から股間にかけて、魔化魍の溶解液を浴び爛れている。壁に這う蔦の様にケロイドがはしる。13歳の頃、父親の営む―魔化魍に親を殺された者のため吉野が村上氏に委託した―孤児院が襲われた際、子供を庇って浴びた溶解液で惨たらしい身となった。
戦いに酔っていた訳では無い。背中の心地よさに酔っていた。
和冦の末孫、村上氏に産まれて総領の睦鬼、察鬼二人の兄に鬼の仕事を任せて大三島宮の巫女に成る筈の娘が頭から血を浴び恍惚の笑みを浮かべていた。
殺戮の血の汚らわしさより、今は亡き兄達より愛する男の背に居る喜びが勝っている。…悲しいほどオンナだった。

381 :皇城の〜…の中の人:2006/10/29(日) 11:54:32 ID:p8GXc1pP0
なるほど、そういうポジションになりますか。

Gの流れとしてたとえるのならば(あくまでも例えですが)、
自分は08小隊か0008ポケットの中の戦争的なポジションで進行していました。
1年戦争期のMSとして例えるのなら御所守たちは、連邦側ならNT-1 ALEXや、GPシリーズ、
ジオン側ならブルーディスティニーシリーズやイフリート、ZUDAにでもなるのでしょうか。

量産されたり前線に持っていけば戦況をひっくり返すようなスペックであるが、諸事情により
それが出来ない。スポットで援軍要請は出来ても、メンテの関係でそこにい続けることは不可能。
そんな感じですね。

382 :野獣【NOKEMONO】前編の2:2006/10/29(日) 12:55:15 ID:I5+FxAvRO
「いやあぁぁぁぁぁ!!見やんといてぇぇ!」
106匹目のウシオニを倒した晩、既に兄達は自分を庇い散っていた。
音枷を破壊され戦場に裸体を晒す女鬼、水無津鬼はサポーターに爛れた裸を見られたくなかった。だが[一誠]は寂しげにそっと抱きしめた。
「んなこと言うたらいけんよミナちゃん、わしと大ちゃん護った傷の何処が醜いのん?胸を張りんさい。…107匹目いこか!ウシオニに戻ったら暴走せんよう角をしっかり握っといてな。」
二人が一人と一匹に変わる。化け物から幼子を護ろうとしたウシオニと、それを庇った少女の10年後の姿に。
「大ちゃん本部で優等生らしいやん?四国で食い止めんとな!」「…うん。」
和冦が略奪で手に入れた南蛮呪術で人型となったが、それを知るのは亡き総領睦鬼のみ。ミナは一誠がヒト戻れないとは知らなかった。
一人は子供達を護るために、一匹は一人を護るために、死ぬ気でいた。
ウシオニに戻り水無津鬼を乗せ同胞(はらから)に向かって走る。直撃を避けて脇腹を、右肩をスピードを殺さず確実に抉っていく。
最後の反転をドリフトのように行い、今度は真正面に捉える。その瞬間ウシオニは意識で伝える。
―ミナちゃん、わし武蔵(睦鬼)兄ィ聡(察鬼)兄ィと約束したんや、ミナちゃん護るって。…せやからここでお別れや―
「えっ??」「生きてや!…ソリャァァァァア!!!」
刹那、一誠は水無津鬼が握る自らの生命源である角を根元から切り離した。
振り落とされ高く宙を舞うミナの目に映るのは107匹目の魔化魍にぶつかり互いに消滅する108匹目の角を無くしたウシオニだった。

戦いを終えて遺されたものは愛した男の一部であった角のみ。本来ならばそれは猛士に差し出して清められねばならない。だが女の業が男の一部との別れを拒み続けていた。

383 :野獣【NOKEMONO】前編の3:2006/10/29(日) 13:15:35 ID:I5+FxAvRO
―「小暮さん、見つけました!」「よし、確保だ!」―

ピシピシと頬を叩き声を掛ける。「ミナ姉ェ?ミナ姉ェ?」「…チビの時に助けられた大地です。」「…大ちゃん??」朧気な記憶を巡り目の前の少年に面影を見つける。
「久しぶり。…あの言いにくいけど分析の為、一誠さんの角を預かります。」「えっ?」「…俺もう銀何です。」麻酔を注射された薄らぐ意識の中で握ったものをもぎ取られながら訴える。
「それだけは堪忍…かんにん…かん…」

―水無津鬼は壊れた。―

384 :野獣作者:2006/10/29(日) 13:24:36 ID:I5+FxAvRO
>>379様、皇城様
すいませんモタモタ投下して話しを断ち切ってしまいました。
前編は校正済ましたハズが
打ち込みながらだとやはり気になる所がでまして。
中、後編のメカニズム展開とのバランスで
調整がつらいです。

385 :見習いメイン作者:2006/10/29(日) 19:33:54 ID:y8OKOPFY0
>>皇城の守護鬼作者さん

まとめサイトとスレ投下分を合わせて、「皇城の守護鬼」一之巻の壱〜陸を読みました。
鬼の姿の描写には、響鬼を知らない人でもイメージが湧くような丁寧さがあると思います。
私の場合、細部まで描写できる知識もありませんので、人物の容姿も風景も思い切り省略
していますが。

パーフェクトアーカイブに書いてあった猛士の支部の区分けに「その他」というのがあり、
私の中では、中央特区がこれにあたるものと思っています。秘密な部分が多くて、近くに
いながら関東支部との交流もなさそうなのがちょっと寂しいですが……。私の場合、
弾鬼SSに見られるような他作品とのクロスオーバーにニヤリとしちゃうタチですので。

そういう意味で私のツボにはまったのは、一之巻の参でヒラメキが「東北のソウキ」に
ついて話しているくだりです。このスレに出入りしている皆さんの中にはご存知の方も
いらっしゃるかもしれませんが、↓で連載している「奏でる鬼」の奏鬼さんのことですね。

ttp://www.denpan.org/book/DP-2670-63ba-1/index.html


386 :見習いメイン作者:2006/10/29(日) 19:34:53 ID:y8OKOPFY0
──続きです。

一之巻の伍でヒラメキが語っている「東北に出している藤梟の弐式」らしきものをソウキさん
も使用しており、クロスオーバー好きの私としてはこれまたニヤリとするところですが。
更に言うと、「奏でる鬼」三之巻で他支部から出張してきた女性の鬼・ツワブキさんは、

ttp://homepage1.nifty.com/〜sudo/takasugi/

ここ↑のサイトさんからのゲスト出演で(ご興味のある方は「編集日記」の過去ログ11月と
12月をチェックしてください)、この繋がりが面白いと思います。ヒラメキは藤梟の弐式を
甲信越にも出しているということで、ツワブキさんも弐式のモニターをやっていればいいな、
なんて思うんですが。(ちなみにツワブキさんの所属支部名は「甲信越第四ブロック」)

少々ミクロな視野の話題になってしまいますが、史郎と重蔵が出会った東西線のホームは、
大手町でしょうか?(作中に出てくるトイレの位置がちょっと思い当たらないんですが)
昔、東京駅でJR組の友達と別れて、地下通路を大手町までダッシュということをよくやって
いましたので……。乗り換えというには結構長い距離だと思います、あれは。

遅ればせながら、>>331のあきら変身体を見てきました。色使いが「暁鬼」という感じでした。
あの姿から顔だけ変身解除するあきらが本編で見たかったです……。


387 :野獣作者:2006/10/29(日) 21:32:43 ID:I5+FxAvRO
皆さんの文章の前に恥ずかしいです。
校正中の中、後編も設定に懲り
やたら説明くさいものですが
自分なりに思い入れがあるので
完了次第お目汚し投下お許しを

言い訳するぐらいなら投下すんなっつうの!

388 :見習いメイン作者:2006/10/29(日) 23:31:58 ID:y8OKOPFY0
>>350-364
ぜんぶの願いを聞き入れられればいいんですけど……。私が、>>350さんも>>353さんも
>>355さんも楽しめるような「響鬼」のSSを書ければいいんですけど、残念ながら、
いじいじした主人公の見習い話で精一杯なのが現状です。

軌道修正するご意見も必要だと思います。「こんなの読みたい」って意見が多くなれば、
自然とそういうSSも増えてくるでしょう。>>379さんの分類でいうと、私は1stが一番スキ。
私が今いちばん読みたいと思っているのは、弾鬼SS、鋭鬼SSの続きです。(同意見の人は挙手を!)

なんだか読んでくれてる人がいるのか心配になってきましたが、いじいじSS九之巻を投下いたします。


389 :見習いメインストーリー:2006/10/29(日) 23:34:21 ID:y8OKOPFY0
前回は>>345から。

九之巻「教わる角」

 二年に上がりクラス替えが行われた結果、純友と大洋はまた同じクラスだった。
「橘さん……」
「多美ちゃん……」
 純友と大洋が、クラス替えの結果の張り出しを見上げながら呟いた。
 橘多美は、一年度の終業式を最後に神戸へ転校していった。どこを探しても彼女の名前は無い。

 先週に引き続き、日曜に行われた純友と大洋の研修内容は、ディスクアニマルについてだった。
 かつては、折り鶴などの形をした紙製の式神に獣の魂を封じ込め、鬼はそれを使役していたが、
近年、金属の体に録音機能、録画機能を備えた機器が開発された。それがディスクアニマルの
なりたちだった。
 ──という先週のおさらいに続けて、みどりの講義はディスクアニマルの説明に入った。
今週も、純友と大洋の隣には、ヒビキが座っていた。
「ひとくちにディスクアニマルと言っても、空中用とか、水上用とか陸上用とかがあるのね」
 みどりはディスクアニマルの名前をホワイトボードに書き出していった。
「このあいだ純友くんが組み立てた消炭鴉は空中用の初期型で、連続稼働時間・最大録音可能容量
共に四〇時間。今の量産型の茜鷹は、機能アップして連続稼働時間は五一時間、最大録音可能容量
は四六時間。──ね、ヒビキくん」
「……ッ、はい!」
 またしても居眠りをしていたヒビキが、気がついて居住いを正して言った。
「空中用のディスクアニマルは水中用、陸上用と比べて稼働時間が短いのが特徴よ。空飛ぶのには
エネルギー使うから」
 みどりは現行の量産機を用途別にホワイトボードに書き出していった。


390 :見習いメインストーリー:2006/10/29(日) 23:35:20 ID:y8OKOPFY0
「今のところ、この緑大猿だけが録画機能を持ってるのね。他のは音声のみなんだけど。
で、今回、春の新作として、録画機能を持った二機種が新たに追加となりました」
 みどりはホワイトボード上で「空中用」の分類に「浅葱鷲」、「陸上用」に「黄赤獅子」を
それぞれ書き足した。
「開発コストの関係で、最初のうちは一人一機種づつの配布になるから、ヒビキくん、
大事に使ってね」
「かしこまりました」
 またヒビキは、いつも挨拶の時にするように、敬礼風に二本の指を差し向けて答えた。
「同じ用途のディスクアニマルの場合、パーツにある程度の互換性があるから、例えば
現場で浅葱鷲の一部が壊れても、茜鷹のパーツで代用できることがあるから覚えといてね」

 数週間後、不定期で実施される、大洋の「飛車」としての現場研修が行われた。
 平日にあたるその日、大洋は表向きは「オリエンテーリングの強化練習」という理由で、
また学校を休むことになった。
 純友が登校すると、生徒たちが向かう校門の前に、ヒビキの見知った姿があった。
「ヒビキさん?」
「おお、見習い」
 二本指の敬礼ポーズで挨拶をするヒビキに会釈を返し、純友はヒビキに訊いた。
「どうしたんですか? 一体」
「ああ、ここに通ってる安達明日夢っていう少年に用が会ってな。俺の友達」
「友達……ですか。二年生では、安達という生徒はいなかったと思いますけど」


391 :見習いメインストーリー:2006/10/29(日) 23:36:25 ID:y8OKOPFY0
「ああ。少年は、一年生。──あ、そうだ。今日は『飛車』見習いの方は学校休んで
研修なんだよな」
「はい。たまにですけど、『飛車』として現場に連れて行ってもらってるみたいで」
「『銀』見習いは、授業のノート貸してやったりしてるか?」
「いや、あいつは、あまり勉強好きじゃない方なので、特に必要ないみたいですけど」
「ここの一年に、『角』見習いをやってる女の子がいてな、その子のためにノート貸したり
とか、いろいろ助けてくれないかって、少年に頼みに来たんだ。お前も、せっかく同じ組に
いるんだから、『飛車』見習いを助けてみちゃどうだ? 勉強が好きじゃないってんなら、
もうお前が勉強をさせてやる、くらいの勢いで」
 手振りをまじえて話すヒビキの様子に、ちょっと笑いながら純友は言った。
「勢いで、ですか」
「ま、考えてみてよ」
 ヒビキに、その安達明日夢という生徒が既に登校していたら、ヒビキが来ていることを
連絡すると告げて、純友は校舎に向かっていった。ヒビキは、それからも通りかかる生徒に
明日夢について尋ねていたようだったが、やがて、何かを発見してそちらに歩いていった。
 純友は、校舎の中から、ヒビキが明日夢らしき生徒と話しているのを見届けると、
自分の教室に向かっていった。
 ダンキと共に居れる大洋、ヒビキに友達と言われている明日夢。どちらも、純友にとっては
どこかうらやましかった。

 ダンキと大洋は山梨と東京の境にほど近い、小菅の山中でキャンプをはっていた。
「金」の立花日菜佳からの情報によると、魔化魍ヤマビコの発生が予測されている。


392 :見習いメインストーリー:2006/10/29(日) 23:37:44 ID:y8OKOPFY0
 大洋の携帯が鳴り、出てみると日菜佳だった。
『助かりましたよ〜。ダンキさん、携帯電話使えない人だから』
「はあ」
『実はですねぇ、緊急連絡事項がありまして』
 日菜佳によると、埼玉で魔化魍ウブメを追っていた「イブキ」という鬼から連絡があり、
翼を持つ形態に変化した童子が、姫とウブメの幼体を食い殺し、そのまま飛び去ったという。
 近くにいる魔化魍、つまりダンキたちの追っているヤマビコを狙う可能性があり、空を飛ぶ
翼を生やした童子に警戒せよ、とのことだった。
 そのことを話すと、ダンキは頭を抱えて言った。
「かぁ〜、こないだは武者童子なんて新種が出たっていうしな。次から次へ手を変え品を
変えてくるな、あいつらは」
「あいつら?」
 大洋は聞き返した。
「魔化魍にも二種類あるってことを覚えときな」
 返ってきたディスクが拾ってきた音を、音叉に挟み込んで回転させ、再生させながら
ダンキは言った。
「自然発生するヤツと、そうでないヤツがいる。そうでないヤツってのが、あいつら、
クグツが発生させたモンだ」
「クグツ」
 何枚目かのディスクを再生中に、ダンキは言った。
「いやがった。──行ってくるから、くれぐれもここを動くなよ、『飛車』見習い!」

九之巻「教わる角」了


393 :見習いメイン作者:2006/10/29(日) 23:49:36 ID:y8OKOPFY0
>>野獣作者さん
現代の小暮さんの登場が多そうな予感。ラストで出てきた大ちゃん──山本大地が
主人公ですね? 本部の「銀」車両部所属。……関東の「銀」候補生とは偉い違い。
見習いと違ってちゃんと給料も出てるんでしょうね。賞与もきっと年二回くらい。


394 :野獣作者:2006/10/30(月) 10:37:40 ID:3gb3taoAO
雇用条件まで考えてなかったorz
しかしカブトのビストロサルやまかないは
グッチとレミのレシピジャマイカと仕事先で思った

395 :名無しより愛をこめて:2006/10/30(月) 12:44:08 ID:3GmnmIbTO
雇用条件といえば、中四国支部さんの描写によると鬼の給料はそこらのサラリーマンよりずっと良いみたいですね。
戦績に応じて給与・賞与の額が決まったりするのだろうか。
でも給料目当てで戦う鬼ってなんかイヤだなあ。やはり年功序列かな?

396 :野獣作者:2006/10/30(月) 13:41:56 ID:3gb3taoAO
変身のたびに服が無くなるって
ダンキさんかエイキさんがまとめ買いしてましたね
服飾手当ては変身毎に必要ですね!

397 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 13:47:35 ID:RDgqhKk00
「え?今なんて?」
表向きにはなんの変哲も無い病院の一室。
綺麗な白衣に身を包んだ医者は一見どこも悪そうにない若い男に残酷な宣告をした。
「冷静に聞いてほしい。君は鬼に絶対なれない体質なんだ」
若い男はその言葉を理解はできたが、受け入れる事を本能的に拒む。
安達という名の医者は男の全身が写ったレントゲンのような写真を見せる。
「いいかい?人の体には額の鬼面から脊髄まで鬼神経という神経が通っているんだ」
安達は額から背骨にかけて通っている白い線を指でなぞった。
「神経といっても実際の神経じゃなく経絡のような気の通り道のようなもんなんだけどね。
 普通の人間には僅かにこれが存在していて、鬼は修行でこの神経を大きくすることで変身する」
安達は男が放心状態であることは理解していた。その為、ゆっくりと冷静に話を進めた。
「昔はすべての人間が持っていたんだけど、現代人はこれがかなり退化してきて……」
だが、そんな安達の必死の説明は寝起きに見るニュースのようなもので、言葉だけが脳に入り、
その事実に何も思考する事はできなかった。

398 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 13:48:11 ID:RDgqhKk00
色々説明を受け、病室を後にしたのは十分ほどしてからだった。
男はあまりの事に怒りや哀しみさえ表現できないまでに精神が麻痺していた。
とりあえず……キョウキさんに報告か……いや、支部長かな……
先の事はまったく考えられなかった。ただ、誰かに話をしたい。
「一平君」そんな放心状態に看護士が話しかけた。
うつろな顔で相手を見ると、先ほどの医者の妻が立っていた。
「あ、あきらさん」一平は一生懸命笑顔を作った。
「話は聞いたよ。こんな言い方しか出来ないけど落ち込まないで…」
かつてはあきらさんも鬼を目指していた事をと一平は師匠に聞いたことがあった。
それだけに鬼になれないという事が目指す者にとってどれだけ残酷な現実であるかは
痛いほど判っていたのだろう。色んな励ましを考えたのだろうが結局月並みの言葉しか言えなかった。
「はは、まあ、明日になればケロッと忘れてますよ」虚勢を張る。
空元気なのは誰の目にもわかった。もちろん一平自身もわかっていた。
「そうね…がんばろうね…」そんな言葉しか言えない自分が悲しくなる。
だが「がんばります!」と一平は元気一杯に声をあげるとあきらを後にし去っていく。
そんな空元気一杯の後ろ姿をただ見つめるしかなかった……。

399 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 13:48:46 ID:RDgqhKk00
「こんにちわ」キョウキが「立花」に到着した頃には一平の話はみんなに知れ渡っていた。
「あ、キョウキくん。話は聞いた?」店の開店準備をしていた香住実はレジにお金を入れると
お茶を入れ、テーブルに座った。
「ええ、明日夢から電話が来ました。残念ですけど……」
「そうね……」ふたりは考えても見なかった事態に暫く沈黙する。
自分の弟子が鬼になれない事は師にとっても非常に辛かったが、
それ以上に鬼のなり手が一人減った事も非常に痛手だった。
キョウキが鬼の修行を始めた頃もそうだったが鬼のなり手は年々減少傾向にある。
希望者ですら減り始めている上に最近は町にも童子と姫らしき者が見られるようになり
どうしようもない人手不足は猛士全体の大きな悩みであった。
「ところで一平はどうしました?」
「ああ、彼ならね…」香住実は床を指差した。

「……もう…いいんすよ…」
キョウキが地下室に行くと大量のお汁粉の器がテーブル一杯に転がっていた。
「…馬鹿野郎がやさぐれやがって…」
「お汁粉で酔う人なんか見たの何年ぶりだろう」
すっかり腐り切った一平にあきれるキョウキ。
「あ"、ギョウギざぁぁん…俺…俺…」
涙を流しやり場のない悲しむをキョウキに助けてもらおうとする弟子。
一平の思いはキョウキには痛いほどわかったいた。
しかし、日頃から「鬼になる事が大事な事ではない」と指導していた師にとって
鬼に執着する弟子は非常に情けなく幼稚に見え、かつての自分を思い出させ、辛く当たる。
「しばらくそうやって腐っていろ。今日は俺一人で行くからな」
そういって一平に背を向けた。
「師匠ぉぉぉ」必死に足にしがみついてくる一平をキョウキは適当にあしらい地下室を後にする。
地べたに這いつくばった一平はそのままメソメソと泣き続けた。
香住実もいい加減疲れてしまい、一平を残してお店に戻った。


400 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 13:51:08 ID:RDgqhKk00
時計の針が4時を指した頃、「立花」に懐かしい顔が現れた。
「こんにちわー」と入店してきた中年の女性は、
品のある服装に不釣合いな大きなジェラルミンケースを引っ張りながら出入り口に一番近いテーブルに座る。
一瞬、なんて態度のでかいお客だろうと香住実は思ったが、顔を見るとすぐに笑顔になる。
「みどりさん!」「ひさしぶりぃ」
昔、ここで銀をやっていた滝沢みどりの姿がそこにあった。
メールなどでやり取りはあったが直接あったのは恐らく5年ぶり。
多少顔に小じわが目立つようになっていたが、当時と殆ど変わっていない。
「すっかりお母さんの顔になったね。イブキくんは?」
「うん、今は弟子を連れて長野にいってるよ」
二人はしばらく興奮状態でワイワイと騒いだが、仕事中であることを思い出したみどりは
香住実に迷惑をかけまいと少し落ち着きを取り戻す。
「仕事の話もあるから地下室に行くね」みどりは大きなジェラルミンケースを掴み地下へと行こうとしたが、
香住実はそれを静止し、困った顔でみどりの耳元で囁いた。
「あのね……」

401 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 13:52:01 ID:RDgqhKk00
地下室は甘いものが苦手な人なら五秒も持たないほどすっかりお汁粉臭くなっていた。
しかし大の甘党であるみどりは全然気にはならなかった。
「一平くん」と部屋に入ると床で寝転がってる一平の姿があった。
誰だ?と思い視線を向けるとどこかで見たような顔。
「吉野の研修以来かな?」みどりはしゃがみ込み一平の顔を突っつく。
「あ、みどりさん!」一平がみどりと再会したのは3年ぶりぐらいだったろうか。
「話は聞いたよ。まだ、落ち込んでるの?」
その言葉に内心ムッとしたが、一平は「はい、落ち込んでますよ」と怒り交じりに答えた。
「そうだよね」と優しく笑いみどりは諭すように話を続けた。
「ねぇ?なんで鬼になりたいの?人助けをしたいなら鬼じゃなくてもいいじゃない?」
いい加減自暴自棄になるのにも飽きた一平はみどりに理由を話し始めた。
「小さい頃にですね。魔化魍に襲われたんですよ。
で、その時の鬼が自分の命と引き換えに俺を助けてくれたんですよ」
短い説明であったが、その事件が一平に大きな影響を及ぼした事を読み取るには充分だった。
「そっか、その人への恩返しとして鬼になって沢山の人を救いたいんだ」
「……そうっす」鬼を目指す者の理由としては指して珍しくもなかった。
だが、それだけに鬼になれない現実は本人にとって非常につらい事であろう。
みどりは亡骸のように床にひっくり返っている一平をしばらく見つめ決断した。
「ねぇ、鬼にはなれないけど魔化魍に……」

402 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 14:40:18 ID:RDgqhKk00
その時、会話を遮る様に非常警報がなった。
一平はさっと立ち上がり、パソコンに向かいキーボードを叩く。
「鷹の45番は……」すばやく位置を検索をするとプリントアウトをクリックする。
「町に魔化魍が出たのね……」一平は静かにコクリと頷く。
騒ぎを聞きつけた香住実が地下室へと降りてきた。
香住実は発生した位置を確認し、シフト表を確認する。
「駄目だわ……誰も居ない……」
自体は最悪だった全ての鬼が都心から遠い場所へ行っていたのだ。
「…えっと、一番近いのは……」香住実が場所を確認する横で、一平は棚に置いてあった
音撃鼓と音撃棒をバックにいれ、DAを数枚腰に着ける。
「ちょっと、一平くん!なに考えてるの!?」
「俺がやります!やらなきゃいけないんです!」
「無理よ!すぐにキョウキくんが来るから!」
今にも飛び出しそうな一平の腕を香住実は力いっぱい握り締める。
「それじゃ遅いんですよ……ごめんなさい!」
ドンと少し強めに香住実を押して一平は出て行った。
「キャッ」と倒れこんだ香住実をみどりが起こす。
「何も出来るわけないじゃない…」悔しそうに唇を噛む香住実。
みどりはジェラルミンケースを握り締め香住実に言った。
「場所は何処だかわかる?」

後編につづく

403 :名無しより愛をこめて:2006/10/30(月) 16:04:06 ID:hsB0Q3I30
明日夢はもっちーと結ばれるという鉄則を覆した作品ですな。

404 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 16:26:19 ID:RDgqhKk00
ちゃんとした作品が多いのであえて鉄則を覆していきたいです。

405 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 16:51:32 ID:RDgqhKk00
後編とかいったけど中編に変更

現場へとバイクを走らせていくと空を飛ぶアカネタカと合流した。
一平はタカの誘導され更に細かい道へと入っていく。
「…倒せなくても食い止めるぐらいは…」細い路地でも目一杯バイクを走らせる。
距離にすると5分ぐらいで到着する距離であるが、その5分が何時間にも感じられる。
まだか!そう思っていたらタカの動きが変わった。
「ここか!」一平は素早くバイクを止め、メットを外し古い工場を目にする。
「大丈夫だ!できる!」そう自分に言い聞かせ工場の扉を開くと、
中はおびただしい数の蜘蛛の巣がシーツが被さっているかのように張り巡らされていた。
その光景に一瞬足を止めそうになったが、すぐに正気に戻り、タカに誘導され更に奥へと進む。
キュイーンとタカの声が一層甲高く聞こえた先には蜘蛛の巣でぐるぐる巻きにされている子供の姿が。
一平は急いで近づき無造作に蜘蛛の巣を破る。恐怖で気絶していただけのようで命に別状は無い。
タカの反応は静かになっている。どうやらこの子だけが犠牲になったのだろう。
一平は少し安心して、早くここを出ようと子供を抱えて出口に向かおうとした。
だが、再びタカが甲高い声で鳴く。
まだ、いるのか?振り向くと後ろに男が立っていた。
「大丈夫で…」そう声をかけようとした時、男の皮膚はボロボロと崩れ始め、手と足は更に二つに枝分けれする。
「こいつは…」サイズは通常よりも遥に小さいがその姿はツチグモだった。
倒さなければ被害は拡大する。だが、子供を抱えてる状態では戦闘はできない。
ツチグモがモタモタと「脱皮」をしている間に一平は出口に向かって駆け出した。
運がいい事にツチグモは追ってこなかった。子供を抱えてはいたが鬼の修行をしていた一平は
何の苦も無く工場の外に出られた。適当な安全な場所を見つけるとそこに子供を寝かす。
「よし!あとはあのツチグモだ」一平が音撃棒を構え工場に向かおうとすると、
一台の車が到着し、中からみどりがジェラルミンケースを持って現れた。

406 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 16:52:28 ID:RDgqhKk00
「みどりさん!」
「一平君!」
「みどりさん、早く逃げて。相手は人ぐらいの大きさしかありません。生身でもいけます!」
しかし、そんな一平の言葉を覆すかのように工場から現れたのは先ほどの5倍もあるツチグモだった。
「成長している?!」先ほど逃げる余裕があったのは、どうやらツチグモが大きくなっていたからだった。
「くそ!」駄目もとで一平は音角を鳴らし額にかざした。辺りにリィィィンという音がこだまする。が、音が響いただけだった。
一平は何度も音角を鳴らす。しかし、その度にただ金属音がむなしく響く。
「やっぱり駄目なのか…」そう僅かな隙を見せた時、ツチグモは渾身の力で一平に襲い掛かる。
細く長い足を一平の腹の辺り目掛け蹴りかかる。とっさに音撃棒でガードをするが大きく吹き飛ぶが、
とっさに受身を取って体制を整える。だが、衝撃を受け止めた音撃棒は真っ二つに割れた。
「大丈夫!?」みどりは素早く一平の側に駆け寄る。
「俺が食い止めますから、早く逃げて!」
「駄目よ。このままじゃやられて、すぐに追いつかれるわ」
みどりはジェラルミンケースの鍵を開け、ケースを開く。
中にあったのは装甲声刃と音撃鼓のついていないベルトが入っていた。
「あなたが変身できる確率よりは……」
みどりは素早く一平の腰にベルトを巻きつける。
「みどりさん?これは?」
「新型の鬼の鎧よ。上手くいけば鬼と同様の力を得ることができるわ」
そういって一緒にあった装甲声刃を手渡すと、一緒に入っていた通常より小型のDAを手に取った。
「片っ端から行けばどれかは……」ベルトの丁度音撃鼓のはいる部分にオオカミのDAをはめ込む。
DAをセットするとベルトからキィィンと起動音が聞こえた。が、すぐに音が止まるとDAは勝手にベルトから
はずれオオカミになってどこかへと消えてしまった。

407 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 16:53:17 ID:RDgqhKk00
「どういうことですか!?」
「よくわからないけど、気に入った人じゃないと変身できないの!」
そんな?!と思っているとツチグモが再び襲い掛かる。
ツチグモは同じように前足で二人一緒に振り払う。
一平はとっさにみどりを庇ったが、ツチグモの強い力で二人とも大きく弾かれた。
「いてて…」一平がうまく抱きかかえたお陰でみどりには怪我は無かったが、
DAの入ったジェラルミンケースも同時に飛ばされた為、変身に必要なDAが手元から無くなってしまった。
「ちくしょう!」一平は無いよりはマシだろうと装甲声刃を構えて、みどりの前に守るように立つ。
「一平君!あなただけでも逃げて!若いあなたが犠牲になる必要はないわ!」
だが、一平はその場を一歩も動こうとはしない。
「俺は鬼です!鬼の仕事は人の命を守ることです!」
ちゃんとあの人を継ぐものが此処にもいたんだ……。
シュッと師匠譲りのポーズを決める一平の姿はみどりにある男を面影をダブらせた。
それは絶望的な状況下であるのにも関わらず、みどりに深い安心感を生んだ。
一平は剣先をツチグモに向け、ツチグモに攻めのきっかけを与えないように牽制する。
うまくきっかけの掴めないツチグモは一平たちの目の前をフラフラと揺れるだけで攻撃はできない。

408 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 16:54:25 ID:RDgqhKk00
だが、状況は一切変わらない。ツチグモが力任せに暴れれば、この状況は簡単は打破されてしまう。
状況を把握していたみどりは一平の腰からDAを取り外し、音叉を鳴らす。
わずか三体ではあったがDA達はツチグモの目や背中の辺りをウロチョロし、ツチグモを撹乱する。
その隙を見計らって一平は飛び散ったDAに飛びついた。
が、手が触れる直前にDA達はアニマル形態に姿を変え四方に散らばる。
「おい!そんなに嫌うなよ!」だが、そうではなかった。
DA達は一斉にツチグモに襲い掛かり、ツチグモの目を潰し動きを封じ込めた。
視力を奪われたツチグモは何もない空間に向かい糸を吐き散らし、ブンブンと足を振り回す。
その状況を確認すると小さいDA達は一平の周りを見定めるように回ると、
一体のタカのみを残して再びツチグモへと向かった。
「お前が戦ってくれるのか?」目の前を飛んでいるタカにそう呼びかけ、一平は恐る恐る手のひらを向ける。
タカは甲高い声を上げ、高く舞い上がりディスク形態へと変形し一平の手の中に納まった。
「一平君!」みどりの呼びかけにウンとだけ頷くと、DAをベルトへと装着する。
さっきと同様にベルトから起動音が鳴り響く。今度は音は止まらない次第に音は大きくなっていく。
一平は装甲声刃の柄のそこにあるスイッチを押した。
「変身!」
その声が合図となり無数のDA達が炎を纏いながら一平の次々と体に張り付いていく。
最後にアカネタカが額に張り付くと一平は装甲化した鬼とそっくりな姿へと変身を遂げた。
「やった!成功した!」その姿を見たみどりは声を上げる。

本当の後編につづく?

409 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 18:15:16 ID:RDgqhKk00
「すげぇ……」一平は夢にまで見ていた鬼の手足を暫く見つめた。
鬼になれた。本当ならここで大声を上げて喜びたいが、今の一平にそんな気持ちはない。
逞しい筋肉と分厚い装甲を見るとツチグモを倒せる。という確信ができ闘志をたぎらす。
「よし……」一平がツチグモを見ると目を潰されていたツチグモは全神経を触覚に集中し、
音や振動で一平の位置を把握していた。
みどりに動かないように指示をし、みどりから離れる。
それにつられるようにツチグモも体の向きを変え、シュルシュルと不気味な鳴き声をあげた。
ツチグモを戦いやすい場所に誘導すると、一平は一気に懐に潜り込む。
実戦を体験するのは初めてだったが、太鼓の師匠の下で修行した為、間合いを一気に詰める術を知っていた。
重心が乗っている足は決してそこから攻撃される事はない。まずはそこを見切って斬り付けると、
足はあっさりと切り落とされ、ツチグモはバランスを崩し倒れ、体制を整えようと他の足に重心を移動する。
だが、それも見切り足を叩き斬る。ツチグモは再び崩れ落ちる。
一平は一旦距離を置き、ツチグモを観察する。
決して焦って攻撃をしてはいけない。師匠の教えを口にし冷静さを保つ。
しかし、ツチグモの動きは鈍い。一平は装甲声刃を構え「止め」の体制に入る。
「鬼神覚……」が、その時、目の前に身なりのいい男が現れた。
突然の事で攻撃の手を止めてしまう一平。
「…おもしろい物が見れた。これは大事な実験成果だお前にはやらせない……」
男が合図をすると空からウブメが現れ、ツチグモを捕まえて宙に舞う。

410 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 18:16:12 ID:RDgqhKk00
「みんなまとめて!」装甲声刃を宙に向かって構えた。しかし、装甲声刃のパワーが急に落ちた。
「しまったわ。試作品だからパワーバランスがおかしいのね」
焦る一平に対し、システムを熟知しているみどりは一平に告げる。
「蛙のディスクをリーダーで読んで!」
言われるがままにセイジガエルのディスクを柄の部分にあるリーダーで読み取る。
一瞬、刃に『蛙脚』の文字が浮かび上がると今度は『転送』の文字が浮かび上がった。
それに連動するようにベルトが共鳴すると、急に脚が軽くなるのを感じた。
「すごい!なんか軽くなった気がする!」
みどりが空を指差してるのを見ると一平は小さく頷き空へと高くジャンプした。
が、きちんと目測を図っていなかった為にツチグモに背を向けるような位置に飛んでしまう。
「…おもしろい奴だな」男がニヤリと笑う。
「くそぉ!きあいだぁぁ!」
一平は強引に空中で縦方向に回転し背後にいるツチグモを蹴り落とそうと脚を振り切った。
「きぃぃく!」恥ずかしい叫び声だが思わず声がでる。そのお陰か蹴りは見事にツチグモに炸裂し、
ツチグモは遥上空から地面へと叩きつけられ、粉々に飛び散った。
「……しまったな」男は素早くウブメへと飛び乗った為に被害を受けなかった。
折角の実験成果が無残に砕け散ってるのを見届けるとウブメと空へ消えていった。
一平はツチグモが砕け散った辺りに見事に着地を決めた。
それと同時にベルトのタカは勝手に外れてどこかへと飛び去っていく。
「あ、ありがとうな!」一平は振り向きもしないタカに手を振った。

411 :仮面ライダー鎧 Inspired the HIBIKI:2006/10/30(月) 18:17:38 ID:RDgqhKk00
それが戦闘終了の合図だと気付くと急に嬉しくなって叫んだ。
「みどりさん!やった!俺やったよ!」
「うんうん!初めて成功してよかった!」
と、みどりの言葉に絶句する一平。
「え?これって?」「あはは、理論上は可能なはずだから……」笑って誤魔化す。
「…みどりさん?」「あはは、ところで最後の『ライダーキック』って何?」
へ?と自分でも記憶に無い事を聞かれた。
「叫んでたじゃない?」「それは、気合だ…キックって叫んだだけで…」
あまりにもくだらな過ぎてみどりはまた笑い転げた。
一平も自分が馬鹿にされてるようで段々腹が立ってきた。
「もう!返りますよ!」みどりに背を向け自分のバイクへと向かおうとしたが、
みどりは後から追いかけながら更に続けた。
「そうだ、鬼の鎧の人って呼びづらいからライダーって呼ぼうかな?」
「イヤですよ!」
「じゃあ、キアイダーってどう?」
「いい加減にしてください!」

第一話「Contact」END

412 :中四国支部鬼譚作者:2006/10/30(月) 23:32:19 ID:zFOz9YlN0
昨日、今日と、合わせてイラストが3枚増えました。
太鼓三人衆が2枚と、ムラサキ&ソウキのツーショットが1枚です。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/index.html
こういうイラストがこのスレの潤いになったらいいなあと勝手に思ってます。

413 :野獣作者:2006/10/31(火) 03:56:03 ID:a34DBBZtO
野獣【NOKEMONO】中編を投下させて頂きます。
前回>>383から。

尚、先代斬鬼さん本人ではないのですが
名前を勝手に使わせて貰いました。

414 :野獣【NOKEMONO】中編の1:2006/10/31(火) 03:57:30 ID:a34DBBZtO
―五日前―
二人の変装した外国人と山本大地は福岡の屋台で再会を喜んでいた。
「しかし釜山から博多ルートとは考えたな!」「ああ、国境突破はどうにもなるが海上はな!」「パスポート無しの偽造身分証で行けるしな。北の封鎖で選択出来なくなったが。」と酒を酌み交わす。
「で、大地?どこまで組み上がってる?」青年の一人、兄のミハイルが聞く。「うん、後は頼んでおいたジェネレーターだけだよ!しかし日本語巧いな…大将、生お代わりと明太餃子二人前!」「あっ、こっちも生追加。…5年は長かったな。」弟のラルフがため息を漏らす。
「俺達呪われた一族が大地の恩人復活に役立つならいいじゃないか?」「復活ねぇ!作り物の身体で修羅界に引き戻すのがかよ。」言い合いを遮って大地が口を挟む。「…修羅界自体を清める為に俺も堕ちる覚悟は説明したろ?」沈黙が三人を包む。
しばらくして兄が口を開く。「心配すんな!一族の魔法学は大地の精神体と同じインド源流だからな。」「そうだな兄貴、獣人として菩薩の力になるのが一族の悲願…理屈じゃ判るんだが。」「すまん、俺達酔い過ぎたな。」博多の夜は更けてゆく。

415 :野獣【NOKEMONO】中編の2:2006/10/31(火) 03:58:44 ID:a34DBBZtO
翌日、吉野本部に着く早々イニシアティブを取ったのはラルフだった。
「せっかくだが全部バラしてくれ!ビス一本単位まで。」「おい、次の満月の完成オーダーに間に合うのか?」「間に合わすだけさ!」「悪ィ大地、ラルフにスイッチ入っちまった。」苦笑するミハイル。
「兄貴は精霊結界盤張ってくれ!」「OK!」「大地はバラした部品を固有振動数440Hzに設定したプレートに乗せて!」「お、応!」指示しながら歯医者の様な格好で膨大な数の部品を削りチューニングしていく。
440Hz、Aキー、ラ音。人が先入観無しで発声する音。赤ん坊の泣き声然り。
生体に最も適合する周波数に合わせていく。その合間にミハイルがあの[角]をハンドルグリップに加工していく。仮組し、結界盤を60?四方のものから3mのターンテーブルに切り替え載せる。魔法陣が描かれた中で作業する兄に外でモニターを見ながら弟が指示する。
「ちょい締め!…5度ネジ戻し…ゆっくり、ソコッ!」「おしっ!固めるぞ!」ミハイルの手に握られた柳の小枝からアーク溶接の様な光が走る。傍目は整備工場だが内容はほぼ調律師だった。

416 :野獣【NOKEMONO】中編の3:2006/10/31(火) 04:03:58 ID:a34DBBZtO
―五時間前―
「も、もう駄目…zzz」「兄貴、まだ現地調整が…guooo」二人に大地は呟く。
「満月の日に獣人が倒れるまで、無理させたな!」と冷め切ったコーヒーを啜る。
コンプレッサーのエア抜き音を響かせ2tを超える扉が開く。轟鬼、みどり、小暮が入って来た。
「トラックの手配出来たッス!」「大地君ご苦労。…しかしなんたるざま」「まあまあ、ほら二人共?コウキさんだよ!」
名前を聞いて二人は飛び起きた。
「え?あ?…初めまして!」「父親ザルバトーレが生前ご迷惑をお掛けしたばかりでなく、我々を匿って頂き…」「なんの、目撃者に勘違いされたとは言え、ドイツの街を良く守り抜いた!」
ザルバトーレの名前で部屋のDA達が一斉に騒ぎ出した。

417 :野獣作者:2006/10/31(火) 04:16:19 ID:a34DBBZtO
カブトの地獄兄弟にヒントを得て
メカニズム路線とバランス取りたく
仏教世界観を試みてます。
修羅界は元々ですが、畜生界を織り込みたく狼男を使わせて頂きました。
世界中に子供が居そうで大変助かりましたw

418 :高鬼SS作者:2006/10/31(火) 19:02:01 ID:zGNEMlvw0
>>309
>ただ北陸支部に関してはレンキの出向という前フリがあるので、近いうちにまた書くつもりでいます。

とりあえず書いてみました。
ただ全体的に長くなりそうので、今回は弥子の回想という形で
北陸支部の表の顔と数名の鬼についての紹介を行いたいと思います。
肝心のレンキ出向編も現在書いている最中なので、早ければ今週中には投下出来ると思います。
残りの鬼もそちらで紹介する予定です。
そこそこ長いですが、お付き合いの程よろしくお願いします。それではどうぞ。

419 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:05:32 ID:zGNEMlvw0
私の名前は葛木弥子。当時高校三年生。ある日の事、私は大きな袋を担いだ人に拉致されそうになりました。
突然の事に声を上げる事も出来ず、もうちょっとで袋の中に押し込まれそうになった時、二人の人物が偶然傍を通り掛かりました。
一人は長身で切れ長の涼しい眼をした美青年。もう一人は優しそうな外見をした好青年。
忘れもしません。切れ長の目をした美青年の方が、私を連れて行こうとした男を問答無用でぶん殴ったのです。その時私には彼が正義のヒーローに見えました。
お礼を言おうとした私を置いて、二人の青年は立ち去っていきました。
「ドクハキさん、いいんですか?問答無用で殴っちゃって……」
「構いません。どう見ても誘拐の現行犯ですよ?」
「いや、僕が言いたいのは鬼の力で本気で殴っちゃって大丈夫かという……」
「大丈夫じゃないでしょうね。でも殺しはしませんよ。それより再起不能になって『あの時いっそ死んだ方が楽だった』と思いながら苦しみ続ける方がよっぽど良いですから……」
……この時まさかこんな物騒な会話をしているとは夢にも思いませんでしたが、兎に角これが私とドクハキさんとの出会いでした。

420 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:06:51 ID:zGNEMlvw0
数日後、私は奇跡的にあの人達と再会をする事になりました。街であの時の好青年にばったり出会ったのです。
「あれ?君はこの間の……」
「あ、あの時私を助けてくれた……」
その青年はソゲキと名乗りました。その時は「変わった名前だなぁ」ぐらいにしか思いませんでしたが。
「あの、あの時私を助けてくれた方に直接会ってお礼がしたいんですけど……」
私がそう言うと、ソゲキさんは本気で困った顔をしてこう言いました。
「え?直接会いたい?あの人に?う〜ん……」
暫し黙考してからソゲキさんはこう言いました。
「あの人、あの日ちょっと機嫌が悪くて、それでとりあえず目に映った悪そうな奴を殴っただけだって言っていたから……多分君の事覚えていないと思うよ」
「それでもいいんです。是非会わせて下さい!お願いします!」
正直、あのハンサムな人ともう一度出会ってお近付きになれたらなぁ……って都合の良い事を考えていました。
「……じゃあ行ってみるかい?」
「は、はい!有難う御座います!あ、手ぶらじゃなんだから何か買ってきますね!」
「いいよ、別にそんな……」
ソゲキさんが止めるのも聞かず、私はとりあえず近所の和菓子屋さんでお煎餅の詰め合わせを買っていきました。

421 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:10:37 ID:zGNEMlvw0
「着いたよ。ここが僕達の職場さ」
ソゲキさんに案内された場所は、表通りから外れた路地にある二階建ての小さなビルディングでした。窓のところに「鬼小島商事」という文字がでかでかと見えました。
「鬼小島商事……?」
……不安でした。こんな具体的に何をやっているのか分からない会社、どう考えても堅気の商売ではありません。
ソゲキさんが私の手を引いてビルに入っていこうとします。正直、来た事をだんだん後悔し始めていました。
「このビルは地上二階、地下一階で全部うちの会社のオフィスなんだ」
確かそんな風に説明されたと記憶しています。
二階に上がりドアを開けると、中には応接室があり、一人の女性が革のソファに腰掛けて何かの作業をしていました。
「ソゲキか。その子は?客とは思えないが……」
「ドクハキさんに会いたいんだそうです、メッキさん」
ドクハキというのがあの美青年の名前なのか。しかしソゲキ、ドクハキ、メッキ。明らかに本名とは思えない。偽名だろうか……。
メッキと呼ばれたいかにも「出来る人物」といった風貌の女性が、まじまじとセーラー服姿の私を見て訝しんでいる。
あまりにもキツイ眼光に、私は冷汗が出てしまいました。
「……あのドクハキに会いに来るだなんて、あなた彼にとっての何なわけ?」
ソゲキさんがメッキさんに事情を説明し始めました。そのお蔭でとりあえずは納得してくれたみたいです。
「ふ〜ん。やめといた方が良いと思うけど、まあ私が口を挟む事じゃないしね」
でも反対はしとくからね、そう言うと再び作業を始めてしまいました。

422 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:13:24 ID:zGNEMlvw0
「ドクハキさん、留守みたいだから座って待ってて。今飲み物を淹れてくるから。何がいいかな?」
「あ、お構いなく……」
私はメッキさんの向かい側の席に座りました。見るとメッキさんはとても小さなトランペットのようなものを磨いていました。
「それ、トランペットですか?」
しかしベルの部分やマウスピースが無く、しかもこの形、よく見ると拳銃にも見えました。
(まさかこれは……新型の武器!?)
この怪しげな会社はひょっとして武器の密売でもやっているのだろうか。充分に有り得る事だ。
そんな事を考えて一人で怖がっている私に、メッキさんが手入れを続けながら話し掛けてきました。
「一応ポケットトランペットっていう種類の、世界最小のトランペット」
一応とはどういう事なのだろう。やっぱり武器なのだろうか。私はただただその拳銃のようなトランペットを凝視していました。
手入れを終えたメッキさんは、さらにもう一つ同じ形のトランペットを取り出して磨き始めました。
(二丁拳銃!?)
もう、どうしても銃にしか見えなくなっていました。と、そこへソゲキさんが紅茶を淹れて持ってきてくれました。
「お待ちどうさま。こんなのしか無かったけど、悪く思わないでね。砂糖やミルクは自分で好きな量を入れてね。はい、これはメッキさんの分です」
そう言うと私とメッキさんの前にティーカップを置き、私の隣に腰掛けました。

423 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:15:53 ID:zGNEMlvw0
と、誰かがドアを開けて入ってきました。カラカラカラとベルの音が室内に鳴り響きます。
入ってきたのは、ショートヘアをしたスーツ姿の女性でした。
「ただいま〜。あら、お客様……じゃないよね。どちら様でしょうか?」
やはり私の制服姿を見て、女性が不思議そうにそう言いました。さっきと同じ様にソゲキさんが説明をしてくれました。
「へぇ〜。あのドクハキくんがそんな事を……。弥子ちゃんだっけ?私は直江なぎさ。ここの……秘書みたいな事をやっています」
よろしくね、と人懐っこそうな笑顔でなぎささんは私に言いました。
「あの笑顔に騙されちゃ駄目よ〜。あの人、外面如菩薩内心如夜叉を絵に描いたような人だからね」
「が……外面にょ……?」
「あ〜!メッキさん酷いじゃないですか!」
メッキさんに食って掛かるなぎささんをソゲキさんが宥めて、何とかその場は収まりました。ただ、今思えばあの時のなぎささん、顔は笑っていたけど目は笑っていなかったような気がします……。
「悪い意味じゃないわ。やり手の人物だって褒めただけよ」
「普通悪い意味でしか使われない言葉だと思いますが……」
すると、またしても誰かがドアを開けて入ってきました。白衣を纏った男性です。ただ、科学者というより料理人に見えてしまうのは何故だろう……。今でもたまにそう思う時があります。
「支部長は?……おや、その少女は誰だい?客……ではないよな?」
「支部長は留守ですよ、代田さん。この子は葛木弥子ちゃん。ドクハキさんのお客さんです」
なぎささんにそう言われて、代田さんが怪訝そうに私の事を見てきました。
「ドクハキに客だって?ひょっとしてまた何かの賠償とかか?」
「は?」
「やだなぁ、今回は違いますよ。この子は……」
なぎささんが代田さんに説明をしている間、ずっと私は「また何かの賠償」や「今回は」の意味を考えていました。あのドクハキという人はどういう人なのだろう。でも美形に悪い人なんていないよね……と。

424 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:18:27 ID:zGNEMlvw0
「そうか……。だが弥子ちゃん。悪いがドクハキの奴、今日は戻ってこれないぞ。さっき連絡があった」
「ドクハキさんからですか?」
「そうだ。あいつは今サポーターが付いていないからな。色々と雑事をこなさなきゃならない分、捜索が遅れているらしい」
サポーターとはどういう事だろう。
「でもドクハキさんのサポーターに付いた人って、みんなあっという間に辞めていくんですよね。病院送りになった人もいたような……」
ソゲキさんが溜め息を吐きながらそう言いました。当時は何の話かと思いましたが、今の私には痛い程その溜め息の理由が分かります……。
「その話は止しな。お客さんの前よ」
メッキさんのその一声で、話題は全く別の事に変わってしまいました。
「……じゃあ私はこれで失礼します。あ、御土産置いていきますので皆さんで食べて下さい」
「じゃあ僕が近くまで送っていくよ」
ソゲキさんが席から立ち上がりながらそう言いました。
「じゃあね。でも、もう二度とここには来ない方が良いかもね」
ドアから出る私に向かってメッキさんがそうはっきりと告げました。……最近、どうしてあの時言われた通りにしなかったのか後悔する事がたまにあります。はぁ……。

425 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:21:09 ID:zGNEMlvw0
後日、私は改めて鬼小島商事を訪れました。事務所の中にはなぎささんとワインレッドのスーツという奇抜な恰好をした青年、そして……。
「儂が鬼小島平八であーる!」
衝撃で窓硝子がびりびりと震える程の大声を出す、髭面でスキンヘッドの中年男性がふんぞり返っていました。
私同様、耳を押さえながら青年が言いました。
「支部長……毎回客が来る度にそれやるの、止めてもらえます?」
「うむ……。で、何用かな?」
私が答えに窮していると、なぎささんが助け舟を出してくれました。
「こちらはドクハキくんのお客様です」
「ドクハキさんの?」
青年が不思議そうになぎささんに尋ね返しました。
「へぇ〜。あのドクハキさんにこんな可愛らしいお客さんが来るだなんて……。俺の名前はコイキ。どう?ドクハキさんなんかより俺と一晩付き合うってのは……」
そう言うと花瓶に生けられていた花を一輪手に取って、私の傍に近寄ってきました。ちょっと濃い目の顔立ちですが、彼もまた美形です。
「え!?いや、その、私……」
「あはは。狼狽える顔も可愛らしいよ」
「もう、コイキくんったら本当に手が早いんだから……。ごめんね、弥子ちゃん」
そう言ってなぎささんが頭を下げました。私はドクハキさんについて尋ねました。が、今日も留守との事です。
「でも今はトツゲキくんと一緒だから、もうそろそろで帰ってくる筈……」
と、騒がしい声と共に誰かが階段を上がってきました。勢いよくドアを開けたのは、戦国武将みたいに鉄板を縫い付けた鉢巻を締めたツリ目の青年でした。
「とんでもねえ!とんでもねえよあの人!……うおっ!お客さん!?」
無駄に力の入った話し方で青年が驚きの声を上げました。
「どうしたの、トツゲキくん?」
「聞くまでもないですよ。あのドクハキさんと一緒に出撃しているんだから。な、そうだろトツゲキ?」
どうやらこの人がトツゲキという人らしい。ではドクハキさんは?
「そう!あの人は異常!滅茶苦茶!支離滅裂!どんだけ命があっても足りないくらい!今回も……」
「ストップ!そこまでよ」
なぎささんに強い口調で注意されたトツゲキさんは、私の方をちらりと見ると「報告書は後で提出します」と言って奥の部屋へと入っていってしまいました。

426 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:23:25 ID:zGNEMlvw0
「あの……ドクハキさんは?」
「トツゲキくんが帰ってきたから彼も一緒の筈だけど……」
その瞬間、私の背後でドアの開くカラカラカラというベルの音が響きました。振り向くとそこには……。
「ドクハキくん、お帰りなさい。あなたにお客さんよ」
そこにはあのドクハキさんが、あの時と同じ涼しげな眼をして立っていました。
「客?私に?」
「あ、あの……数日前に助けてもらった者です。覚えておいでですか?」
ドクハキさんは暫く宙を見つめて何やら考え込んでいましたが、「おお!」と呟いて手をぽんと叩くと私の方を見てこう言いました。
「あの時の学生さんですか。何の用です?」
「あ、あの時のお礼を言いに来ました。あの時は本当に有難う御座いました!」
自分でも顔が赤くなっているのを自覚しながら、私は頭を下げました。ドクハキさんはにこにこ笑いながら私の傍に近寄ると……。
おもいっきり私の頭を床に押し付けました。
「ぎええええ!」
「わざわざお礼を言いに来たんでしょう?だったら誠心誠意頭を下げなさい」
……絶対にあの時、いつもの冷酷な笑みを浮かべていたと思います(泣)。
「ドクハキくん、止めなさい!」
「調子乗り過ぎだぜ、ドクハキさん!」
なぎささんとコイキさんの慌てる声が聞こえてきました。
「ドクハキよ。照れ隠しにしてはやり過ぎであると思うぞ」
支部長にそう言われ、ドクハキさんは私の頭から手を離しました。
あの時の私は、何が何だか分からず錯乱状態でした。

427 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:25:23 ID:zGNEMlvw0
それ以降、私はちょくちょく鬼小島商事に顔を出すようになりました。なぎささんやソゲキさんは勿論、厳つい顔をした支部長も意外と優しくしてくれました。
ソゲキさんなんて、期末考査前には試験勉強を手伝ってくれたりしたんですよ。本当に良い人です。
ただドクハキさんは私と出会う度に何かしらちょっかいを出してきましたし、コイキさんも毎回挨拶代わりに口説いてきました。
ある日の事、卒業後の進路が決まらず途方に暮れていた私が、何気無くその事をなぎささんに相談すると、ここで働かないかと誘ってくれました。
「ここでですか?そういえばここってどんなお仕事をしているのか未だに知らないんですけど……」
「うん、まあうちは『何でも屋』みたいな事をやっているんだけど……それとは別に本業もあってね。もしうちで働く気があるのなら説明するけど……」
その時の私には「本業」というのが何を指すのか分かりませんでした。
悩みに悩んだ末、私はなぎささんの申し入れを受ける事を決めました。あの人達となら上手くやっていけそうな気がしたからです。
私にはお父さんがいません。早くに亡くなってしまったのです。
だから、自分で勝手に進路を決めてしまった事は、今まで女手一つで私を育ててきてくれたお母さんを裏切る事になるんじゃないかと不安でたまりませんでしたが、幸いにも理解を示してくれました。
そして季節は流れ、楽しかった高校生活も終わり、私は鬼小島商事に入社しました。それは結果的に、猛士北陸支部の一員になったという事でもありました……。

428 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:27:35 ID:zGNEMlvw0
なぎささんが教えてくれた事は二つ。表の顔である「鬼小島商事」の仕事についてと、本業である「猛士北陸支部」の活動についてでした。
まず鬼小島商事についてですが、以前なぎささんが言ったようにここはどんな内容の仕事でも請け負う会社でした。それこそ人に言えないような汚い仕事まで……。
そういう訳で顧客は一般人よりも警察関係者、あるいはやくざ等の裏社会の人達が多いのも特徴です。
県警の上層部にも顧客がいるため、魔化魍絡みの事件での情報操作や事後処理の協力を取り付け易いとか……。
実働部隊である鬼の皆さんも、普段はここの派遣社員として働いているのだそうです。
基本的に皆さん楽器の扱いに長けているので、音楽教室で非常勤講師をやったり、ライブハウスや高級クラブで演奏をしたりしているらしいです。
あとは身体能力を活かして警備員や用心棒、借金の取立て人をやっている人までいるようです……。
他にも運び屋のお仕事とか……。私、何を運んでいるのか一切知りません!本当です!何も見てません!見たらドクハキさんに殺されます!
……すみません、取り乱してしまいました。
兎に角、表の顔は凡そ正義の味方とは思えないような事をやっています。「鬼とは元々清濁併せ持つものだからこれで良い」と支部長は言ってたんですけど……ねぇ。
次は北陸支部について。
諸々の理由で中部支部から独立した後、ここへは戦力として鬼の中でも特異な能力を持つ人達が意図的に集められるようになったそうです。
既に全国でも数名しかいなくなった毒属性を持つドクハキさん。超人的な狙撃能力を持つソゲキさん等等。
……何故かその分変わり者が多いのもうちの支部の特徴ですけど。
で、そういう理由で総本部から新型の音撃武器のモニターに選ばれている人も多いんです。ソゲキさんのスナイパーライフル型とかメッキさんの二丁拳銃型とか……。

429 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:30:23 ID:zGNEMlvw0
「王」は鬼小島平八支部長。昔、鬼でもないのに素手で童子や姫と戦った事があるらしいです。今の総本部長とはその頃からの知り合いだそうです。
「金」は直江なぎささん。この人、昔は鬼だったと支部長に聞きました。噂では「ナマイキ」というコードネームの弦の鬼だったらしいです。その時使っていた弦は総本部に返却された後、関西支部の鬼の誰かが使っているらしいです。
「銀」は代田政影さん。……正直言うと私、この人も苦手です。腕は確かなんですけど、噂じゃ夜な夜な人体実験の被験者を探して街を徘徊しているとか……。なんか本当にやっていそうで怖いです。
「鬼」は全部で十人。四国支部の九人に次いで鬼の数が少ない支部なんだそうです。その分、さっき言ったように特異な能力者が多いのですが。
最初、鬼について支部長に尋ねた時、偶々点けっぱなしだったテレビを指差して支部長はこう答えました。
「ああいうものの事である」
そこにはテレビの特撮番組が映っていました。異形の仮面を着けたヒーローがバイクに跨って同じく異形の敵と戦っています。
「人知れず異形のものから平和を守る正義の異形。その系譜。それこそが鬼である!」
相変わらずの大声で支部長はそう断言しました。
とりあえずここではドクハキさん、ソゲキさん以外の方を紹介しますね。

430 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:31:33 ID:zGNEMlvw0
まずは管使いのメッキ(滅鬼)さん。二丁拳銃による射撃と格闘技術を組み合わせた独特の戦法の使い手らしいです。これまた噂ですが、昔は公安の人だったらしく鬼小島商事ではその時のパイプを使って警察関係の仕事を一手に引き受けています。
何でも複雑な事情があって鬼になったらしいです。ただ、どの支部にもそういう人は沢山いるのだとなぎささんから聞きましたが……。
次は太鼓使いのコイキ(小粋鬼)さん。いつも華美な恰好をして予想外の行動を取り、周囲を驚かせています。どうもわざとやって周りが驚くのを見て楽しんでいるようです。あと女好きです。
カブキさんという鬼の弟子らしく、そのよしみで後に兄弟弟子のレンキさんがうちに出向してくるのですが、それはまた別のお話ですね。
そして弦使いのトツゲキ(突撃鬼)さん。第一印象の通り、年中無駄に熱血している人です。武闘派で、会社では揉め事関係のお仕事を主に担当しています。
他の弦使いの人が「斬る」「薙ぐ」といった風に音撃弦を刀として使っているのに対し、この人は「突く」「払う」といった風に槍として使っているようです。
他の方の紹介はまた別の機会という事で。……ふぅ、疲れた。
ちなみに私は「飛車」なんですけど、私以外にもサポーターはいますし、鬼の中には弟子を取っている人もいます。

431 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:33:55 ID:zGNEMlvw0
さて、私は半ば強引にドクハキさんのサポーターとして働かされる事となりました。ですが、事務所で再会した時にあんな事をされているのですから、正直嫌で嫌でたまりませんでした。その事を支部長に訴えると……。
「弥子よ。鬼とは強さと優しさを兼ね備えた誇り高き人々の事である。ドクハキもああ見えて根は良い奴だ。儂が保障しよう」
厳しさと優しさの篭った眼で私の目をじっと見ながら支部長はそうはっきりと言いました。
支部長が言うと説得力があります。私はその言葉を信じてみようと思いました。そして私を助けてくれたドクハキさんの事も……。
「彼のサポーターはあなたにしか出来ない事なの。お願い。ねっ?」
なぎささんもそう言って私の手を取り、顔を見つめてきました。私は……。
「……分かりました!これからサポーターとして頑張ります!」
ドクハキさんのサポーターとなる事を決意しました。
「有難う弥子ちゃん!じゃあ早速この書類にサインをしてもらえるかな?」
なぎささんに言われるが儘に私は書類にサインをしました。……後で分かったのですが、それは高額の生命保険の書類だったようです。受取人はなぎささんでした。
その後すぐに私はドクハキさんの下へ挨拶に向かいました。ビル内にある鍛錬室でトレーニング中だったドクハキさんは私が新しいサポーターになった事を知ると……。
「八日」
「はい?」
「八日ですよ。前に私に付いていたサポーターが辞めるまでの期間です。たった一回の出撃でそのまま辞めてしまった。あなたは何日持ちますかね?」
そう言って不敵に笑うのでした……。

432 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:34:52 ID:zGNEMlvw0
ドクハキさん専属のサポーターになってから、三度目の出撃を迎えました。とっくに八日は過ぎています。
どんなに虐められてもめげない私を見て、ドクハキさんはまるで出来の良い玩具を買ってもらった子どものように毎日目を輝かせていました。
その日、ドクハキさんの帰りを待っていた私は、ドクハキさんの言いつけを破って戦闘が行われている場所へと向かっていきました。まだ魔化魍を生で目にした事がなかったため、一目見てやろうと思ったからです。
式神に案内をさせて歩く事数分、湖の傍でミズチと戦う毒覇鬼さんの姿が漸く見えてきました。どうやらトドメの音撃を決める直前のようです。
音撃管・雑言を音撃射の体勢に構えた毒覇鬼さんは、私の気配に気付いてこちらを一旦見ると、悶え苦しむミヅチに向かって音撃射を発射しました。
高らかに鳴り響く清めの音。辺りに響き渡るミズチの悲鳴。思わず私は耳を塞ぎ目を閉じていました。そして。
爆発。
全てが終わり、顔の変身を解除したドクハキさんがこちらへと歩いてきました。
「お、お疲れ様でした。あれが魔化魍なんですね。初めて見ました……」
と。
パンッ!
乾いた音が周囲に木霊しました。部分変身の応用で腕のみ人の姿に戻したドクハキさんが、私の頬を叩いたのです。
「何故ここに来たのですか?」
その声の調子から明らかに怒っているのが分かりました。
「遊びじゃないんですよ。これは命の遣り取りです。力を持たないあなたが踏み込んで許される場所では無い」
ドクハキさんが真剣に怒っている……。こんなドクハキさんを見たのは、後にも先にもこの日だけでした。
私は俯くと小さな声で「ごめんなさい」と謝りました。その後ドクハキさんはキャンプに戻って着替えを終えるまで一言も口を利いてくれませんでした。

433 :仮面ライダー高鬼番外編「葛木弥子―その青春―」:2006/10/31(火) 19:35:43 ID:zGNEMlvw0
帰りの車中で、助手席に座っていたドクハキさんがおもむろに口を開きました。
「反省してます?」
「はい……」
車を運転しながら私は軽く頷きました。そんな私を横目でちらりと見てからドクハキさんはこう告げました。
「……今日はこれで許してあげます」
「ドクハキさん……」
有難う御座いますと続けようとした時、いつもの調子に戻ったドクハキさんが高笑いと共に恐ろしい事をはっきりと言いました。
「しかし明日以降は別です!そんなに魔化魍が見たいのなら今度から連れていってあげます!そしてあなたには囮をやってもらいます!ふはははは!」
「な!?」
あまりの事に思わずハンドルを切り損ねてしまいました。この人が一度言い出した事を撤回する筈がありません。
「……あの、まだ怒ってます?」
「怒ってませんよ。今日はこれで許すと言ったでしょう?恨むなら自分の愚行を恨みなさい」
ほらほら、ちゃんと前を見なさい。そう言いながらドクハキさんは私の頭をぺしぺしと叩き始めました。
最近導入されたばかりの若葉マークを貼り付けた私達の車は、時にふらふら蛇行運転をしながら支部へと戻っていったのでした。

以来、私はドクハキさんが出撃の度に囮として前線に連れていかれるようになりました。ですが、何だかんだでそれはドクハキさん自身が守りながら戦うというリスクを負った事に他なりません。
でもあの人の事だから、そのリスクを補って余りある程私が困惑する姿を見て楽しんでいるのでしょうけれど……。
あれから数年。これ程の仕打ちを受けながらもサポーターを続けていられる事が自分でも不思議に思う時があります。
初めて出会った時に助けてくれた事と三度目の出撃の際に怒ってくれた事、どちらかが欠けていたとしてもここまでやってこれなかったんじゃないかと今では考えています。
十代最後の青春は、ドクハキさんと共にありました。今日も私は各地を行きます。ドクハキさんのサポーターとして。 了

434 :野獣作者:2006/10/31(火) 19:51:37 ID:a34DBBZtO
男塾塾長キターー!w

皆様の文章を読んでは拙作と見比べ
へこむばかりです。
しかも>416のゴバク
父親ザルバトーレ ×
父ザルバトーレ ○
まであるし…OTL

435 :見習いメイン作者:2006/11/01(水) 21:56:49 ID:uunJlhuN0
>>395
>でも給料目当てで戦う鬼ってなんかイヤだなあ。やはり年功序列かな?
その説で行くと、サバキさんは関東の鬼の中でも最高の……
お子さん五人分の扶養補助もついていてほしいところです。

ここに来て、みどりさんの登場率がアップしていて何かうれしい。
私はあのフワーッとした雰囲気がスキです。

今回は、主役は泣きはしませんがキョドってます。おどおどSS十之巻を投下します。


436 :見習いメインストーリー:2006/11/01(水) 21:57:59 ID:uunJlhuN0
前回は>>389から。

十之巻「失う音叉」

 山中の河原で怪童子と妖姫を相手に弾鬼が戦っていると、そこに、空から翼を持つ武者童子
──乱れ童子が飛来して、怪童子の肩口に噛み付いた。
 飛び退り身構えて弾鬼は言った。
『こいつか、イブキが言ってたのは……!』
 その時、岩陰から、清流の水をしぶかせながら巨大な毛むくじゃらの魔化魍、ヤマビコが姿
を現した。岩盤のような手が、怪童子に続いて妖姫に喰らいついている乱れ童子を叩き潰そうと
したが、乱れ童子は翼を羽撃かせて飛び去り、残った妖姫だけがヤマビコの手の下敷きとなった。
 七メートルはあろうかという巨躯を持つヤマビコの眼前まで飛び上がると、乱れ童子は
ヤマビコの目に拳を突き入れた。たちまち悲鳴をあげて轟沈するヤマビコ。
 飛び去って行く乱れ童子を見ていた弾鬼に、上体を起したヤマビコの巨大な手が迫った。
間一髪かわした弾鬼だったが、腰の装備帯にかすり、ディスクアニマルや音撃鼓が弾け飛んで
川面に落ち、流されて行く。
『うおっ!』
 川に躍り込んで危うく音撃鼓を回収すると、弾鬼はそれを手にしたまま跳躍し、ヤマビコの
背後に回り込んだ。
『どぉりゃぁ!』
 弾鬼は毛むくじゃらの巨大な背中に体当たりで突っ込んでいき、再びヤマビコを這い
つくばらせると、青い音撃鼓・御影盤を魔化魍の背に貼付けて、鼓を人の身長ほどの直径がある
巨大な姿に展開させた。
『粉骨砕身の型ァ!!』


437 :見習いメインストーリー:2006/11/01(水) 21:58:38 ID:uunJlhuN0
 装備帯から取り出した、黒い柄に赤い鬼石を嵌めた音撃棒・那智黒を両手に構え、
弾鬼の音撃が始まった。一打一打、ヤマビコの巨大な体に響き渡るように、重い音撃で
清めの音を打ち込み続けること数十打。
『だりゃぁッ!』
 強力な打撃の後、数瞬の後に爆発した巨体が、細かな破片となって舞い散っていった。
 先ほどの戦闘で、装備帯に着けていたディスクが何枚か川に落ち流されてしまった。
 地元の『歩』に回収を依頼することになるか──そう思いながら、傷付いた装備帯を
確かめていた弾鬼は、ディスクと逆側に何も付いていないことに気がついた。本来そこには、
変身音叉が付いていたはずだ。
『そうか。さっきヤマビコにかすられた時に……! これじゃ、一度解除したらもう
鬼になれないじゃーん!』

 顔の変身を解除せずにベースキャンプに戻ってきた弾鬼に、大洋は言葉を無くした。
弾鬼は、そのまま変身を解かずに折り畳みの簡易椅子に座って息をついた。
「何やってんスか?」
『考えてんだよ』
 鬼の姿のまま弾鬼は答えた。
『音叉を落としちまってな。まだイブキやヒビキさんが近くで戦っている状況だし、
一度変身を解いたらそのあと鬼になれねえし、どうしようかと思ってな。……
ヒビキさんとこまで行って、貸してもらうか?……いやまてそんな状況じゃ──』
 しばらく考えていた弾鬼は、やがて言った。


438 :見習いメインストーリー:2006/11/01(水) 21:59:10 ID:uunJlhuN0
『とにかくおやっさんだ。おやっさんに電話』
 言われて、大洋は「たちばな」に携帯電話で連絡を入れた。
 鷹揚に答える勢地郎に、大洋は今の弾鬼の状況を伝えた。

「たちばな」一階の休憩室の電話で勢地郎は電話を受けていた。
「代用の音叉をいますぐ届けて対応したいところなんだけどね〜、香須実は風邪で、
日菜佳はそのピンチヒッターで出ちゃってるからねえ」
 勢地郎自身も、こうして現場に出ているメンバーとの連絡や、営業中の「たちばな」
の仕事で手一杯となっている。
「すみません、お店のほう、お手伝いしましょうか?」
 地下の研究室から上がってきてそう言った滝澤みどりを見て、勢地郎は言った。
「みどりくん。これは本来『銀』の仕事じゃあないんだけどね、いま小菅に行っている
ダンキくんが、音叉を紛失してね。その替りを届けてもらえないかと思ってね〜」

 携帯にみどりからの電話があり、純友はぽつねんと一人、城南高校の前でみどりを待って
いた。時おり、下校していく生徒たちが自分を振り返る視線に身を小さくしながら、純友は
校門前に立っていた。
 クラクションの音が聞こえ、見ると、みどりの運転する車が近づいてくるところだった。
 指をさし何やら言っている女生徒たちに気づき、いたたまれない思いをしながら純友は
車に乗り込んだ。


439 :見習いメインストーリー:2006/11/01(水) 21:59:45 ID:uunJlhuN0
「ど、どうも」
 助手席に小さく収まりながら、純友はハンドルを握るみどりに言った。
「電話で話した通り、ダンキくんに代用の音叉を届けに行くのが今回のおしごとね」
「あ、はい……」
 車は、高速道路に乗り西へと向かっていく。
「あの、その……ありがとうございます」
「大洋くんの現場研修が多いの、実はうらやましかったんでしょ?」
 いきなり核心を突かれて、純友はどきりとした。
「男の子だもんね。『角』とか『飛車』とか、現地で戦っている役職のほうが、
面白いのかもしれないけど──私たち『銀』も、鬼とは違ったかたちで戦ってるのよ」
 普段と変わらず、ものやわらかな言い方のみどりだったが、その横顔はいつになく
凛々しく見えた。
「強力な武器や装備を開発したり、負傷した鬼の怪我を治したり──それが、
『銀』の戦い方なの。だれにも負けない武器を作る、それが私の戦い方」
 みどりはにこりと笑って言った。
「純友くん、私の弟子として『銀』をやってみるつもりはない?
 消炭鴉を直している君を見て、適性試験の結果は正しいって思ったんだ。
だから今日は、勝手に君を『弟子』として現場に連れていくつもり。
だから──『ありがとう』って言う必要はないのよ。師匠が弟子を連れて行くのは、
当然のことなんだから」
 二人を乗せた車は、小菅へと走っていった。

十之巻「失う音叉」了


440 :名無しより愛をこめて:2006/11/01(水) 22:31:45 ID:4DH9HGk/0
なあ、作品批判したらいけないのかな?
カブトネタひどすぎだし ゼクターとかクロックアップとかさ
あと女キャラ萌えもひどすぎ 初期の頃にはもうもどらんのかね…

441 :名無しより愛をこめて:2006/11/01(水) 22:47:07 ID:B0m1ENWn0
昔は鋭鬼SSや弾鬼でさえ、叩かれたこともあったな。

442 :凱鬼メイン作者:2006/11/01(水) 22:50:07 ID:hUqJKvHJ0
>>なあ、作品批判したらいけないのかな?
僕は別にいいんじゃないかと・・・・・・・・・。
拙作でもクロックアップさせたりしてますけど・・・・orz
ま・・・夏期間と劇場版だけなんで・・・・・。

443 :見習いメイン作者:2006/11/02(木) 00:09:30 ID:MpovMrng0
あらら、戻ってきたらこんな流れに……

>>440さん
読み手も書き手も等しく自由があると考えるならば、読み手の自由として
「批判」ではなく「批評」くらいはしても良いと思います。
また、書き手の自由として多少のネタは含んでも良いと思います。

ただ、私だったら、突然身も知らない方から批判めいた言葉遣いで言われたら、
泣くと思います。泣きながら、SSを書き続けると思います。そして、
書く気力が無くなるくらい叩かれたら、泣きながらこのスレを去ると思います。
せめて敬語で書かないと、鎧の人に失礼だと思います。

初期の頃に戻るには、>>388でも少々書かせて頂きましたが、「こんなのが読みたい」
というご意見を書くのも一つの方法かと思います。趣きを異にする作品だけ際立てば、
私だったら居心地の悪さを感じて、スレから居なくなるかもしれません。

私は、鋭鬼さんSSの続きが読みたいです。


444 :名無しより愛をこめて:2006/11/02(木) 00:40:24 ID:HhB7ZpMB0
>>440
あなたの様にちゃんとおかしいものはおかしいと言える人がいてよかったです。
>>見習いSSさん
養護していただきありがとうございます。
ですが、あのSSは「楽しければなんでもアリなのか?」と言うテーマで書きました。
嘘くさいかもしれませんが、批判された時点でやめようと思ってましたし、
響鬼の設定を使った違う作品を作るつもりでした。
なので養護してもらえるような「真面目な作品」ではありません。
見習いさんには本当に申し訳ないと思っています。
そういう訳でまとめサイトさんにも申し訳ないですがあの作品は掲載しないでください。
本当にすみませんでした。いないとは思いますが続きが気になっていた人もすみませんでした。

見習いの視点のSSはなかなかおもしろいですよ。

445 :野獣作者:2006/11/02(木) 01:26:33 ID:1nUPEoClO
女キャラに関しては、自分の稚拙な文では
表現が足りませんが弱さを秘めた設定として
又、内なるそれに向かう強さを示すのに
有効な設定ではないかと考えます。
萌えキャラと取るかは読み手の選択では?

446 :440:2006/11/02(木) 09:47:35 ID:vaWxKfPB0
>>鎧の人
真偽はわかりませんが、言いたいことがあれば直接書き込めば良かったんじゃないですか?
確かに批判がだめ!って感じの状態ですけど。

>>僕は別にいいんじゃないかと・・・・・・・・・。
確かにあなたは自分のサイトで鎧の人に対して何か含みのある言葉を言ってますね。
でも、あなたもクロックアップとかやってますよね?
他の作者は元ネタを微妙に隠したり、あえて触れなかったり、
またはZANKIみたいにあえてネタにするなどして世界観が崩壊しないようしてますよ。
きっと爆笑している人もいるんでしょうけど……

まあ、オリジナルヒーロースレの住人に見付からないように勝手にひっそりと続けてください。

447 :名無しより愛をこめて:2006/11/02(木) 14:04:47 ID:gego1j+90
>>440
サイト見たけど含みがあるというより、単にあきらと明日夢が結婚してるのが気に入らないから
作品も嫌いって感じだったぞ。本人も自分のキャラと結び付けたいみたいだし。
鎧は響鬼よりもライダー色の強い作品になりそうだったから楽しみだったんだけどな。

448 :名無しより愛をこめて:2006/11/02(木) 17:26:33 ID:WBOxnkvMO
これを機会に作者同士の馴れ合いレスを禁止すべき


449 :名無しより愛をこめて:2006/11/02(木) 17:59:55 ID:ENKDMn45O
さて‥‥ いつもならこの辺りで作品投下されて、突っ込んだ話がうやむやになってるけど、そろそろ決着つけといた方が良くない? 

「世界観・設定は、最低限共通すべき」か、「響鬼と絡めてあれば何でもアリ」か。どちらにしろ、面白くなければ論外なのは当たり前だけど。
正直、このスレは設定重視の感じがする。もっとハッキリ言えば前半寄り。用語集の人も前半信者だって名言してるし。
スレとして一つの世界観・設定を最低限共通させたいなら、「ここで書きたいなら、SS書く前に用語集読んできて下さい」ぐらいは明記した方がいいと思う。
まあこのスレ自体が、「裁鬼と石割を主人公にして、本編の穴や説明されなかった描写(オロチとか)を書いてみました」って点が、前半好きの人にウケたのが始まりだから仕方ないが。
でも裁鬼ストーリーがウケたのは、やや遅めだったけど「リアルタイム」だったから。これだけ。
放映中のモノをフォローする様な格好が前半好きに気に入られて、批評される間もなく完結して、そのまま響鬼SSスレになって、いつの間にか「批評禁止」のスレになっちゃった。
ざっと過去ログ見てきたけど、そんな感じ。もうスレタイの「裁鬼」も要らないんじゃないかな。

このまま馴れ合いで続けるか、作者同士でも互いに批評(ダメ出し)するか、ハッキリさせた方がいいと思う。

450 :凱鬼メイン作者:2006/11/02(木) 18:49:42 ID:STOW8+K80
>>446さん
私は、別に鎧〜の作者さまを批判するような気持ちでコメントをした訳じゃ、ありません。
ただ、自分にはどうしても「明日夢×ひとみ」という偏見とも言える固定観念があったので、
どうしても違和感を覚えて、鎧SSを受け止められない私の器の小ささを恨んだつもりだったのです。
鎧SSを批判したつもりは御座いません。

451 :野獣作者:2006/11/02(木) 19:08:35 ID:1nUPEoClO
当初の鋭鬼スレ統合など問題在りました。
本編その後を書く場合、整合性は必要で
作者さん間で話し合う事を
馴れ合いとは思いません。
あきらが明日夢とくっつくのは
本編放映中も「あ」で始まるからで
十分想像出来た展開です。
因みに自分の常駐スレでモッチーはひとみだから
日高さんと年の差カップルかも?と書いて
受けまくりました。
ただし、それを織り込みたい場合
相談するのも必要で、拙作も四国舞台ですが
九鬼にかぶらない様遊撃班探索方みたいな
全国行脚に引っ張りたいと思ってます。
新参者が生意気ほざきスイマセン

452 :皇城の〜…の中の人:2006/11/02(木) 20:01:17 ID:wKBB08aH0
申し訳ありません。しばしの間お目汚しをいたします。お付き合いの出来そうな方だけお付き合い下さい。静観するつもりでしたが、事が大きくなってきたようなので、思うところを少し書かせていただきます。
御免なさい。自分的には>>449さんの考えているようなことを暗黙のつもりで話を書いていました。
言葉使いがは少し汚いかとは思いましたが(スミマセン。お気に障ったならば謝罪いたします)、449さんのおっしゃっているとおりだと思います。
『世界観・設定は、最低限共通すべき』
このスレッドがある程度指示を受けていたのは、初期状態でこれを尊守していたからではないかと思うのです。
超設定が作品の中に出始めたのは拙作が皮切りのような気がします。そうでなければいいと思います。杞憂であってくれれば、と。しかし、私の見立てからすると、どうもそのあたりからなのではないかと。
拙作の鬼たちは、現行の鬼を超える能力を持った鬼です。恐らく身体能力的に言えば、あの世界における最強の鬼「響鬼」を凌駕しているはずです。
ただ、そういったキャラクタたちを創るに当たって、私は彼らに「枷」を設けました。

453 :皇城の〜…の中の人:2006/11/02(木) 20:05:38 ID:wKBB08aH0
ごく限られた地域の中で、どこよりも苛烈な任務であるのもかかわらず、日の目を見ることのない活動を続ける。
そして、その能力を裏付ける修行を課する。私の文章がえらく説明的で長ったらしいものとなっているのはこのあたりに起因しています。
「読み手がある程度納得のいく理由をつけ、且つ、本編の設定に抵触しないようなソースを織り交ぜる」。
創作の過程で特にこの部分に心を砕きました。
読み手の皆さんにそれがどこまで伝わっていたのかは分かりません。強力な武器を出しはしましたが、拡散しないように制限は設けたつもりです。
名指しはありませんがこのような意見を頂いているということは、拙作の作風がやはりどこか読み手のかたがたに違和感を与えたのだと思います。
また、私がDA作者の方の設定を逆利用した駄文を連ねたのは、純粋にお礼のつもりでした。
ともすれば流されかねないオリジナル設定をわざわざ拾い上げてくださり、且つ、設定以上のお話を仕上げてくださったことに関しては本当に小躍りするほど嬉しかったのです。
その行為に対してお返しをするとしたらああいう形でしかないな、と考え、わずか数時間ででっち上げた内容も何もあった話ではありませんでしたが、掲載させていただきました。
馴れ合いといわれればそうなのかもしれません。
ただ、こういうコミニュケーションの仕方もあるのだということはご理解いただきたいと思います。

454 :皇城の〜…の中の人:2006/11/02(木) 20:20:02 ID:wKBB08aH0
個人的意見を述べさせていただければ、

「基本設定は尊守する」
「響鬼世界最強の鬼である『響鬼』を超える鬼は『あまり』出すべきではない」
「基本設定を逸脱する設定に関しては、練りに練る必要性がある」

とっいたところでしょうか。

拙作が私のの唱えたルールを逸脱していると思う方があれば、どうか躊躇せずご意見下さい。迷うことなくこの板から去りましょう。
この決意は私の「仮面ライダー響鬼」に対する敬意と愛だと思ってくだされば幸いと思います。

以上、皇城の中身でした

455 :名無しより愛をこめて:2006/11/03(金) 02:45:09 ID:/veBJYuA0
ついでだから俺も言わせてもらおっと

音撃武器は単なる戦闘ガジェットじゃないぞ!
「伝説の音撃武器を・・・」「新しい音撃武器を・・・」などと音撃武器を巡るエピソードは多々あれど
いずれも単に武器・アイテムとしてしか扱われてなくて折角の楽器という一面を活かせてないのが悲しい。
「音楽で戦う音撃戦士」
これは『響鬼』という作品の重要なモチーフの一つだったのではないの?
確かに本編では大して活かされなかった要素だけど、だからこそSSで補完していきたいところなのに。
音楽に関しては「中四国支部鬼譚」くらい思いっきりはっちゃけてくれた方が個人的には楽しい。
まあ中四国〜は作者が音楽畑の人だから出来る芸当であって誰にでも書けるものじゃないだろうし、
皆が同じことをし始めると中四国〜の持ち味が持ち味でなくなってしまうだろうからこれでいいのかもしれないけど。

456 :野獣作者:2006/11/03(金) 11:04:44 ID:hE/i1ufGO
私は本編でライダーではない事が気になって、
無論それが響鬼世界の要素との意見もありますが…。
現在、投稿を躊躇しているものは
バイクアクションを取り入れつつも
音撃で破壊の方法論から逸脱しない様にと考えます。
打突、攪乱等の足止めをバイクで行い
トドメは音撃でとパターンを作るつもりでした。
今回中断している話しは開発中心なので出ませんが
ドアーズのジ・エンドをつかい音撃奏・終曲とか
イメージし易い様既存の曲を使う積もりです。

457 :見習いメイン作者:2006/11/03(金) 18:43:08 ID:es6rSS5f0
>>448さん
>>これを機会に作者同士の馴れ合いレスを禁止すべき
わかりました。とりあえず私はやめてみましょう。(キモかったですか?)

>>449さん
>>「世界観・設定は、最低限共通すべき」か、「響鬼と絡めてあれば何でもアリ」か。
前者に一票。
>>このまま馴れ合いで続けるか、作者同士でも互いに批評(ダメ出し)するか、
後者に一票。試しに私がやってみます。

>>455さん
>> 音撃武器は単なる戦闘ガジェットじゃないぞ!
>> 「伝説の音撃武器を・・・」「新しい音撃武器を・・・」などと音撃武器を巡るエピソードは多々あれど
>> いずれも単に武器・アイテムとしてしか扱われてなくて折角の楽器という一面を活かせてないのが悲しい。
わかりました。考えてみます。


458 :野獣作者:2006/11/03(金) 20:04:10 ID:hE/i1ufGO
とりあえずROMに戻ります。

459 :凱鬼メイン作者:2006/11/03(金) 21:50:14 ID:cNBugvAi0
いい機会かも知れないので・・・。
拙作の方でなにか変なトコとかありましたら、お聞かせください。
厳鬼のクロックアップの件は承知済みですので、それ以外でお願いします。

460 :見習いメイン作者:2006/11/03(金) 22:35:32 ID:es6rSS5f0
作者同士で互いに批評する、つまり書き手と書き手の戦い──ライターバトル。

まだ、世界観を共有することをルールとするのかどうか、何を持ってルールとするのか等、
何ひとつ決着がついたわけではありませんが、こんなことが果たして必要なのか、
判断材料の一つとして読んでみてください。必要なければ、スルーでお願いします。

これは、中四国SS、野獣【NOKEMONO】、そして高鬼SSに対する批評です。

──「中四国支部」なのか、それとも「中国支部と四国支部」なのか?──

>>451の野獣作者さんのレスに、こうあります。
>相談するのも必要で、拙作も四国舞台ですが
>九鬼にかぶらない様遊撃班探索方みたいな
>全国行脚に引っ張りたいと思ってます。

まず、轟鬼が出ていることから、時期は2005年以降と思われますが、野獣【NOKEMONO】
(以下野獣SS)の世界では四国九鬼が存在するということでしょうか?


461 :見習いメイン作者:2006/11/03(金) 22:36:49 ID:es6rSS5f0
はじめてSSの中に現代におけるこの周辺の描写が出たのは、高鬼SS第三作の「霧裂く鬼」の
ラストで、2006年の時点で城之崎恭二を支部長とする四国支部の存在が描かれていました。

それから数カ月後、中四国SS作者さんは、世界観が共有できないことを何人かのスレ住人に
了承してもらった上で、このスレの住人となりました。この時点で既に世界観の共有はできて
いません。

用語集をルールブックとするのであれば「中国支部と四国支部」となるのですが、何をルールと
するかはまだ決まっていません。また「中四国支部」の存在は、中四国SSの根幹を成す設定です。
(題名にもなっています)

各SSの作者さんで、このあたり納得の行く説明が着けられれば、このバトルは私の負けです。
(誰も勝負しろとは言ってませんが……)私が自身のSSの三之巻で曖昧にしていたその辺り
の記述を訂正します。(まとめサイトさんは御修正する必要はないと思いますが)

納得の行く説明が着けば、いずれかのSSは内容を修正して頂きたいと思います。「そんな事
別にどうでもいいよ」というご意見が多い場合、または24時間スルーだった場合は無効試合。

以上、試しに書いてみました。私が世界観の共有をテーマに批評すると、こんな感じになります。


462 :見習いメイン作者:2006/11/03(金) 22:54:06 ID:es6rSS5f0
私のSSと他のSSとの世界観でかぶっているところと言えば、
・ディスクアニマルを起動できる条件
・猛士の研修制度
このあたりかと思いますが、必要あれば批評をお願いします。
(世界観以外では、「主人公が鬼じゃないのってどうなの?」など
あると思いますが)

ライターバトルとは呼ばなくてもいいです。
まとめサイトSSで見た「サイターバトル」という言葉が面白かったので、
なんかこう似たような語感の言葉をつくってみました。


463 :名無しより愛をこめて:2006/11/03(金) 23:21:05 ID:/veBJYuA0
全作品で設定を共有するのはルールでもなんでもないし用語集はルールブックじゃない、以上

464 :名無しより愛をこめて:2006/11/03(金) 23:37:02 ID:eOOG/46wO
>>460-462
お前は何を考えてるんだ。
作品は物書きの魂そのものだろ。
それぞれの作者が練りに練った設定に対して、他作品と無理矢理帳尻合わせろ、それに合わせて修正しろなんて発言は有り得ない。
バトルとか調子こいてんじゃないよ馬鹿が。

465 :野獣作者:2006/11/03(金) 23:50:09 ID:hE/i1ufGO
ROMると言いながらスイマセン。
久しぶりに霧裂く鬼を読んで来ました。
だいぶ忘れていた内容も在りましたが
やっぱりワクワクする話しでした。
四国八十八ヶ所ツーリングを学生の頃して
読んだ時嬉しかったのを思い出しました。
それと共にツーリングライダーの孤独と遍路が孤独を感じない
同行二人の思想を響鬼世界で書いて
みたかったのです。
自分の事をタラタラと述べましたが、
他の作者さんとかに本編で感じたフラストレーションを
補完して頂いた以上、いじったらいけないと考えます。

466 :野獣作者:2006/11/03(金) 23:57:45 ID:hE/i1ufGO
もちろん先代斬鬼さんの設定を借りても
これぐらいならと思うのも自己解釈でしかありませんが。

467 :DA年中行事:2006/11/04(土) 00:02:01 ID:t5McPPqV0
響鬼という番組に出会って2年近く、このスレと出会って1年ほどが経ちました。
裁鬼さんや鋭鬼さん、弾鬼さん、剛鬼さんが主人公のSSを読み、心踊ってそのあまり、自分でも拙いSSを
綴り始め、コテハンを名乗って9ヶ月。
なるほど、批評し辛いスレだ、と言われればそうかもしれません。作者同士の馴れ合いが、それを助長させて
いる、と言われればそうかもしれません。「GJです」「流石です」「次回が楽しみです」・・・おもしろかったなぁ、
と思うと深く考えもせずコテハンを名乗ってそう言っていました。これらが>>448さんや>>449さんの言われる
馴れ合いならば、自重します。
でも、どうやら俺には、他の作品を批評する、という事は名無しになってもできそうにありません。
拙作が批評(勿論全否定も含め)される分には、まったく構いませんが、他の作品を批評する語彙を、俺は
持ち合わせていないのです。「そんなだからぬるい馴れ合いスレになるのだ」と言われれば、反論できません。
申し訳無いです。
もう一つの、「世界観・設定は、最低限共通すべき」か、「響鬼と絡めてあれば何でもアリ」か、という事に関して
は、後者をとります。新しい作者さんが、どんなサイドストーリーを作ってくれるのか。それは不安よりも期待の
方が大きいです。





468 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 00:05:04 ID:MzvC9pLA0
>>460-462
なんだか、読んでて滅茶苦茶不快な気分になったよ。
>>464も言ってるけどバトルって一体何さ。ふざけすぎなんじゃないの。他人様のSSを一体何だと思ってるの。
戦いだとかバトルだとか煽ってあんたは楽しがってるみたいだけど全然面白くない。
「必要なければスルーで」なんて書くくらいなら最初から書き込むな。

そもそもこのスレは統一設定のもとでSS書いていこうってスレじゃ無いはずだよ。
結果的に皆で共通の設定を使ってるような形になってはいるけど、それは作者さん達が自分の意思でしてること。
「これがこのスレの公式設定だからこれに従ってSS書くこと」なんて話は一度も出てないしこれからも出ないよ。
特に中四国支部SSの場合は、あんたも分かってる通り、設定の共有が難しいことを最初に断った上で仲間入りした。
皆もそれを理解した上で受け入れて、そして今まで共存しているしこれからも共存し続ける。
それをあんたは何。本当に何様のつもりか知らないけど作者さん達に後付け説明を求めるは、挙句の果てには
>>464の言う通り作者の魂そのものであるSSの設定を修正しろだなんてトチ狂ってるとしか思えないよ。
確か前スレだったと思うけど、中国・四国各支部と中四国支部の関係、歴史を皆で想像してみた流れがあったよな。
ああやって皆で色々想像して楽しめるなら一向に構わないけど、作者さんに設定の説明付けを迫るのは全然違うよ。
何らかの説明付けが欲しいならあんたが自分で考えて、納得して、かつそれが面白い・受けるはずだと思ったら
スレに投下してみるのもいいかもしれない。「謎を補完してみました!」という形でね。
だけど今回のあんたのように、各作品の設定を後付けで捻じ曲げるように作者さん達に迫るのはただの侮辱だよ。

言ってもわからないなら誰も止めはしない、このスレから消えてROMに戻ってくれ。
SSを一作品失うのは痛いけど、真性の馬鹿に居残られても仕方がないから。

469 :見習いメイン作者:2006/11/04(土) 00:13:57 ID:tLol8Oxn0
>>464さん、他の皆様
すみません。一人で面白がっていました。
不快な気分にさせてしまい、申し訳ございませんでした。

470 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 00:14:47 ID:fHqw/m/EO
このスレは今まで通り馴れ合い進行で続けるべきだと思う。
雰囲気の良さはこのスレの魅力のひとつだ。ピリピリした雰囲気の裁鬼スレなんて裁鬼スレじゃない。
だから、今のこの流れもなんかイヤだなあ。
今まで設定統一云々でまともに揉めたことなんか無かったろ。


471 :皇城の〜…の中の人:2006/11/04(土) 00:41:05 ID:4h/PqUt60
作者間の批評および、概出のストーリーの修正は無用と。

基本設定を尊重した(重視ではない)物語作りをし、そこから外れた部分、整合性が取れていない部分は指摘する、ということでよいのではないでしょうか?
たとえば中四国SSに関しては>>461にあるように世界観を共有できないことが前提となっているわけですから、クロスオーバーをする際は細心の注意を払う、もしくはしない。
この当たりは各作者判断で行う。
あくまで一例として対処方法を挙げさせていただきました。

ルールーブックではなく、教科書として使用するのであれば、パーフェクトアーカイブで説明されている設定資料が一番適当かと思われます。

472 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 01:06:34 ID:5FO+4ALjO
なんか基本的に論点がズレてるんだよなぁ……
馴れ合いの弊害ってのは設定の共有みたいな些末な枝葉の事じゃなくて
職人同士で褒め合うことでのSSの質の低下や新規さんがやってくる余地を失ってしまうことへの危惧なんだがね
内輪で盛り上がってると、読み専の入る余地も無くなるしね
現段階でスレが職人>住人になってるのは非常に不味い事だと思うんだ
スレってのは基本的には住人が回すもんなのに、このスレは下手したら住人より職人の方が多いなんて事態になってる
職人ってのはある程度孤独であるべきで、SSだけ投下してあとは褒めもせず批判もせず無干渉が望ましいんだけど、
特撮板じゃ、この手のスレってなじみ薄だから勝手が分かってない部分もあるのかな?

ちょいと厳しいこというけど、例えば>>443
>ただ、私だったら、突然身も知らない方から批判めいた言葉遣いで言われたら、
>泣くと思います。泣きながら、SSを書き続けると思います。そして、
>書く気力が無くなるくらい叩かれたら、泣きながらこのスレを去ると思います。
って言ってるんだけどね
知らない人に批判されたぐらいで挫けそうになるんだったら、もう致命的に2chでSSを書くのに向いてないんですよ
そういうのは個人のサイトでSS書く人のメンタリティであって、不特定多数の人がいる2chでSSを書くには向いてない
そりゃ、批判を受けると辛いのは判るけど、いちいち泣きながら〜みたいな精神状態を表に出しちゃ駄目なの
でも、そんな人間がSSを書いて居られるようなスレにこのスレはなってる訳
そこら辺も含めて「厨房御用達スレ」なんて批判されてる要員だと私は思うのよ

473 :野獣作者:2006/11/04(土) 01:56:57 ID:LQ+tYvZNO
>>472さん
作者さんが批判を真摯に受け取るの当然だと思います。
ただあなたの意見は
誉める=馴れ合い
と見て、自分好みでない誹謗中傷に見えます。
自分は文が稚拙なので、意にそぐわない話しが
投下されても自分で駄文を下ろした以上は、
それ以上の作品であると判断出来るものが完成するまで
批判出来ないと思います。
では何故そんなものを投下するかは、
やはり思い入れのあるキャラだけに
批判を頂き、向上したいたけです。

474 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 02:35:21 ID:5FO+4ALjO
>誉める=馴れ合い
>と見て、自分好みでない誹謗中傷に見えます。

コレこそ“自分好みでない誹謗中傷”に見えるがね
というか、その程度でしか読解されてないのは俺の文章力が足りないのかね
今一度言うが、褒めるのも批判するもの住人に任せてとけばいいんだよ
職人は黙って投下だけするのが職人のあり方ですがな
褒めたかったり、批判したかったら名前欄を名無しにして一住人として書きなさい
名前に作者と名乗る事は、それだけで意味を発生させてしまうんだから
タラタラとアンカー付けるヒマあったら次回作でも書いた方がいい
言っちゃ何だが、>>473の文章は自分本位で自己陶酔してるようにしか見えません
「何か言われても謙虚な姿勢でSS書き続ける自分ってカッコイイ」みたいなのが透けて見える
そういう謙虚な心や向上心ってのが本物なら、心の内に秘めておくもんだ
そういう事を口にすること自体、このスレを「職人本位」だと思い、職人が偉いと思ってる現れなんだよ
スレの基本は「住人本位」。だからこそ、住人のGJのたった二文字がありがたいんじゃないか
だがさ、今このスレに「名無し」が何人いるのよ?下手したら職人より少ないんじゃないの?
じゃあなんでそんなに少ないの?答えは職人同士でレスを付け合ったからさ
もう完成しているコミュニティーに新しく入ってくる人も少ないし
元から居る人も、作者の名札をかざして会話をされるとゆっくりと退出していったろう

475 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 07:41:23 ID:MzvC9pLA0
>>474
お前の言うことはすごくよく分かった。全面的に同意させてもらう。

476 :野獣作者:2006/11/04(土) 07:42:38 ID:LQ+tYvZNO
すいませんでした。
自分の鈍い頭には煽りと取ってました。
コテ占有で新たな参入者が来なくなったり
評価を匿名でしないと、作者同士で甘やかし合う
事を心配されての事ですね。
なるほど、そういう事でしたら
今後は評価は名無しで行い、また駄文作りに戻ります。

477 :449:2006/11/04(土) 08:28:44 ID:HrlXyo73O
>>474
ホントその通り。

あと言いたい事は、「世界観・設定を共通」したい「職人」達が多いみたいだから(書き込んでない職人達もそうだろ)、「響鬼SS投稿サイト」でも作って特撮板から出てったら?
もうココは「職人>住人」って解っちゃってるし、「2chでやってる」意味ないわ。批判の一つで書けなくなるなら、よそにサイト作って職人同士見せ合いっこしてた方がマシでしょ。
スレタイに「裁鬼」入れても、裁鬼話の時の「スレの雰囲気」も「住人」戻ってこないよ。

478 :見習いメイン作者:2006/11/04(土) 08:49:09 ID:tLol8Oxn0
ここ最近の流れが嫌で、それを変えたくて何とかしようと思ったのですが、
まったくの逆効果でした。余計にスレの雰囲気が悪くなってしまい、すみませんでした。

>職人ってのはある程度孤独であるべきで、SSだけ投下してあとは褒めもせず批判もせず無干渉が望ましいんだけど、
>特撮板じゃ、この手のスレってなじみ薄だから勝手が分かってない部分もあるのかな?

>>472で書かれていることを、やってみようと思います。
批判があっても挫けずに、投下を続けられるようになってみようと思います。


479 :見習いメインストーリー:2006/11/04(土) 09:23:31 ID:tLol8Oxn0
前回は>>436から。

十一之巻「帰らぬ歩」

 みどりと純友が小菅の山中のベースキャンプに着いた頃には、空に夕闇が迫っていた。
「みどりちゃーん!」
 代用の音叉が届くと知って、変身を解いてジャージに着替えていたダンキが、
みどりを見るなり笑顔になって言った。が、すぐその顔が曇る。
「音叉を探しに行ったきり、『歩』の三井さんと『飛車』見習いが帰ってこねえんだ」
 純友は、ここに着いた時から大洋の姿がないのが気になっていた。ダンキによると、
携帯電話で応援を頼んだ地元の「歩」と共に大洋が音叉とディスクアニマルの回収に
向かってから、もうかれこれ三時間ほど帰ってきていないという。
 近くの山中にヒビキやイブキたちがいるのだが、まだ乱れ童子を追っている最中で、
応援は望めそうもない。
「それじゃ、みどりちゃんはここを頼む。俺は見習いを捜してくる」
 みどりたちが来るのをずっとじりじりしながら待っていたのだろう。音叉を受け取り、
それを使って次々とディスクアニマルを起動して森へ放つと、ダンキは自分も森の中へと
駆け込んでいった。
「だめよ、一人で行っちゃ!」
 みどりが叫んだが、ダンキはもう聞いていなかった。
「ぼくが一緒に行ってきます」
 みどりに言うと、純友もダンキの行った方向に向かって駆け出していった。
「気をつけてね」
 走っていく純友の背中にそう声をかけた後、みどりは大洋の携帯に電話をかけてみたが、
電波状況のためか、電話はつながらなかった。


480 :見習いメインストーリー:2006/11/04(土) 09:24:14 ID:tLol8Oxn0
 前回の現場研修の時と同じく、やはり純友はダンキの足についていけなかった。
「ちょっ……待っ──」
 すぐに息があがり、ダンキの背中を見失ってしまった。
「田島ーっ!」
 大洋を呼びながら、純友は暗くなりつつある山中を歩き続けた。すっかり日が暮れると、
純友は携帯電話を取り出してその明かりで暗い中を進みはじめた。
 学校帰りに直接来たため、制服姿のままである。この格好での山歩きはきつい。
 山の奥深くまで来た時には、純友はすっかり汗だくだった。
「田島ーっ! どこだーっ!」
 誰も返事をする者はいない。夜の山道で一人きりになり、にわかに純友は心細くなってきた。
耳をすましても、わずかに遠くで川の音が聞こえるだけだった。みどりに電話をしようと思い、
携帯を見てアンテナが立っていないことに気づき、がっくりとうなだれた。
 途方に暮れ、涙目になって純友がそこでじっとしていると、どこか遠くからかすかに人の
声がした。
 息を殺して聞いていると、それが大洋の声だと気がついた。
「田島……?」
 もう少し山道を進むと、下から声がした。
「おおーい!」
 純友が急な傾斜の向こうの暗がりに声をかけると、下方から大洋の声がした。
「……ここだーっ、助けろコラーっ」


481 :見習いメインストーリー:2006/11/04(土) 09:24:53 ID:tLol8Oxn0
 恐る恐る、土まみれになりながら純友が傾斜を降りていくと、途中で地面が切れ、
落とし穴のように窪んだ地形の下、七、八メートル程のところに大洋がいた。その隣
には、おそらく地元の「歩」と思える、四○代くらいの男性が仰向けに倒れている。
「田島、ぼくだ。須佐だ!」
「純友……? なんでここに?」
 大洋は上にいるのが純友だとわかって、声をかけてきた。
「みどりさんと一緒に代りの音叉を持ってきたんだ」
「そっか、じゃ、助けを呼んで──っていうか大洋と呼べっていっただろ、タコ。
多美ちゃんの前で決めたろ」
「せっかく助けに来たのに、タコってなんだよ、タコって」
 乗り出して叫んだ純友のバランスが崩れ──
「うわっ!」
 土煙と共に、純友の体が深い窪地に落下した。
「うぎゃ!」
 背中を穴の底に叩き付け、純友は情けない悲鳴をあげた。
「バカヤロウ、助けに来といてオマエまで落ちてどうすんだよ」
 痛さに泣きながら、純友は言い返した。
「そっちが……よ、呼び方のことでくだらないこと言うからだろ……っ」
「くだらないだと!? 多美ちゃんとの約束だぞ、仲良くするって。だったらまず
呼び方から──」


482 :見習いメインストーリー:2006/11/04(土) 09:25:32 ID:tLol8Oxn0
 言いかけて、大洋は言葉を止めた。純友も、橘多美のことを思い出して言った。
「喧嘩はよそう。仲良くするって、橘さんと約束したんだった」
 涙を拭いて、純友はあたりを見回した。切り立った土の壁に囲まれ、とても
上までよじ登るのは無理そうだった。
 足を投げ出して座る大洋の横には、仰向けに寝かされた中年男性が目を閉じて
ぐったりとしていた。
「この人は?」
「『歩』の三井さん」
 現場を歩き、魔化魍の足跡を探索する「猛士」の役職の一つ、「歩」担当のことも
みどりの講義で聞いている。
「音叉もディスクアニマルも見つけたんだけどな、それを回収しようとして二人とも
この穴に落ちちまったんだ」
 大洋が、ダンキの変身音叉と、破損したディスクアニマルを純友に見せた。
「茜鷹で助けを呼ぼうとしたんだけど、壊れちまってて、羽が広がらなかった」
「茜鷹で、助けを──」
 純友は、はっとして自分の胸に手を当てた。服の下に、首からさげたディスク
アニマル・消炭鴉の頼もしい感触があった。純友はディスクを取り出して紐から外すと、
大洋の手から音叉を借りて、叩いた。
 キィィーン……暗がりの中で澄んだ音が響き渡り、ディスクが鴉の形に変形した。
「やった! これで助けを呼べるぞ!」
 喜んで言った純友の前で、突如、力を失ったように消炭鴉がぽとりと地に落ちた。

十一之巻「帰らぬ歩」了


483 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 09:41:29 ID:VQj0u8FI0
472や474の477言う事に同意する。
2chに投下するリスクを背負えないならMixiでやればいい。

俺が一番違和感を感じ出したのは中四国の人がまとめサイトや用語集にあれこれ言い出した頃かな。
なんか作者の方が偉くなってんなぁって感じがしたな。作者は絶対にマンセーしなきゃいけないって感じだし。

もう次スレを立てなきゃいけないだろうけど、もしやるなら
「裁鬼スレ(修羅)」と「裁鬼スレ(和み)」とでもして分けてもらいたい。
わがままで申し訳ないが昔ながらの作品と今の作品が同じ扱いにされるのは嫌だ。

しかし、意図はなかったのかも知れないが、この馴れ合いスレに喝をいれた440と鎧の人はGJだと思う。

484 :弾鬼SSの筆者:2006/11/04(土) 10:13:19 ID:OKoE0MovO
今まで馴れ合いとも取れる行動は、大なり小なりコメントを付けてくれた他作者さんへの礼を返す行為が過剰になってしまっていたせいだと思います。

遅いかもしれませんが、今後控えたいと思います。

作品を投下できる場所があり、それに関わった以上、最後まで書きたいという思いもあります。
ですから、今後とも作品を投下させて頂きたいと思います。


485 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 13:16:07 ID:VQj0u8FI0
>>弾鬼SSさん
俺は読みたいです。がんばってください。

486 :高鬼SS作者:2006/11/04(土) 16:03:24 ID:QCM1ERIeO
僕も考えは弾鬼SS筆者様と同じです。
これ以降馴れ合い的な書き込みは控えたいと思います。
そしてこれからもこちらにSSを投下させて頂きたいと思います。

487 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 19:15:58 ID:lrVZegzt0
自分は、馴れ合い……というかトークに関してはアリだと思う。
そもそもの考えとして、皆の中では「職人は職人であり、住人ではない」なのかな??
自分は、「職人も、自分の作品を投下する時意外は住人である」なんだけど。
まぁ、これをするなら・投下以外は名無しで(IDについてはスルーで)とか思うところはあるけど。


どちらにせよ、馴れ合いによる質の低下は避けるべきだと言うことには同意しておく。

488 :名無しより愛をこめて:2006/11/04(土) 19:24:01 ID:lrVZegzt0
>>477
うまく言葉にできないと思うが言わせて貰う。

>もうココは「職人>住人」って解っちゃってるし、「2chでやってる」意味ないわ。批判の一つで書けなくなるなら、よそにサイト作って職人同士見せ合いっこしてた方がマシでしょ。
>スレタイに「裁鬼」入れても、裁鬼話の時の「スレの雰囲気」も「住人」戻ってこないよ。

そもそも、「こういう人は2ちゃんでやる」っていう意味・定義だって決まってない。
それに、「当時のスレの雰囲気」も「当時の住人」も、今ここにいる人間は復元を望んではいないと思うんだが。
訪れる人間・書き込む人間が変わるのは当然のことだし。
言葉が悪いが、そういうのを【懐古】と呼ぶのでは????

489 :477:2006/11/04(土) 21:34:00 ID:HrlXyo73O
>見習い作者

このタイミングで投下してどうするよ。スレの残り容量と流れを考えろ。

>>488
つーか、一時からスレが内輪ネタで淀んで、一見さんお断わりのまま「変わってない」のが、今話してる問題なんだが。
不特定多数の人間が集まる、閲覧も書き込みも気軽に出来るハズのトコで、そんな事するのは意味ないよ、って言ったの。批判されたら泣いちゃうって職人が現に居るんだし。
懐古って、そりゃ誰でも書き込んで意見言える方が良いだろ。それでもマンセーしかなかったのは、どうしようもないが。
で、職人兼住人からは、「このまま2chで続けていきたい」って意見が出てるけど、これから新規参入者が、新しい読み専がどれだけ来るよ?
しかも「最後まで」って、いつ終わるの?
この話題が出たからまだ良かったけど、また批判を長文投下でスルーしてたら、ココは延々内輪ネタやって設定第一主義の「厨房御用達スレ」のままだったんだよ。変わる事もなく。
そんな状況でお疲れ様、GJって言えるのは、惰性で続けちゃって、辞めるに辞められない、まとめサイトの人だけ。彼には個人的に感謝してるが、この際意見を聞かせてくれ。
それと、ちゃんと結末決めて書いてる職人は名乗り出て欲しい。1年経つけど、マトモに終わったの2つしかないぞ。
不特定多数の人間に読んで貰いたいからココで書き続けたいんだろ? テーマと起承転結ぐらい決めとけ。コラボやる暇あるのかよ。

490 :凱鬼メイン作者:2006/11/04(土) 21:38:31 ID:k8Z3A+R10
>>ちゃんと結末決めて書いてる職人は名乗り出て欲しい。

拙作の方では一応のストーリーの流れと、結末は考えてあります。

491 :見習いメイン作者:2006/11/04(土) 22:08:37 ID:tLol8Oxn0
>>489さん
すみません。スレ容量、流れを考慮していない短慮な行動でした。
「投下に徹する」「批判に挫けない」ことを実践しようと思い、やったことです。
これを書いている時点で投下に徹することができていないわけですが、あなたの問い合わせには
答えなくてはいけないと思い、書き込むことにしました。
結末、起承転結など決めています。


492 :野獣作者:2006/11/04(土) 22:44:42 ID:LQ+tYvZNO
現在、中編まで投下している拙作は
校正が完了してないのと議論が一段落するまで
待つ積もりです。
携帯につき残り容量もありましたね。

493 :弾鬼SSの筆者:2006/11/04(土) 22:50:13 ID:1RY14Jmm0
テーマ・結末は書き始めた当初から決まっております。
残り4巻で終わらせるつもりです。
コラボに関しては悪ふざけが過ぎた、一つの物を書き終えていない分際で、別の事に手を出したと反省しています。




494 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 01:17:59 ID:oHb5ghmUO
住人本位で、とかほんと基地外の戯言としか思えんわ。
それこそ2chなんだから嫌なものはスルーすればいいんじゃね?
もしくは職人が誰もいない別スレ作るとかね。
正直、楽しんで読んでる名無しにとっちゃ自治したがってる名無しのほうが
はるかにウザいんですよね。

495 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 02:15:25 ID:iPUbSevy0
住人本位で(と言っている人本位で)、ということなんですか?
読んだ人は必ず感想を書き込むわけじゃないでしょう
心の中だけで「職人さんありがとう」と思っている人もいるでしょう

職人同士の馴れ合い、と言いますが、確かにこれまではただ褒めるだけだった
良いところは褒め、改善の余地があるところは指摘するのが互いを高める道ではないでしょうか
また淡々と作品を投下するだけというのが職人のあるべき姿という意見がありますが、
大多数の作家は後書きやコラムを書いています
ラヴクラフトスクールのように添削してもらったり合作したりして切磋琢磨した作家コミュニティもありました

職人が読み手や行為でやっているまとめサイトの人に指示を下すのがおかしいように、
読み手が職人に対して作品の批評ではなく創作の根本や発表の場の選択にまで口を出すのもおかしい
俺としては面白い作品が読めればそれでいいんです

496 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 02:25:48 ID:wwIC0grAO
で、面白いか?

497 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 02:59:06 ID:I06oUUtOO
>大多数の作家は後書きやコラムを書いています
>ラヴクラフトスクールのように添削してもらったり合作したりして切磋琢磨した作家コミュニティもありました

だから、それなら個人のサイトでやれよ
ここは2chだ。2chには2chのルールがある

498 :まとめサイト:2006/11/05(日) 03:28:26 ID:eHbtWK2x0
いっぱい考えたけどまとまらなくて疲れた。
なんか俺ら釣られてんじゃないの?と思いつつ。

この流れで一番気になったのはディベートがうまい、声が大きい人から言われたことへ右へ倣いしていないかってことです。
批評に関する意見が出てから、職人さんたちが批評してくれ、もう馴れ合いしないとかみたいになってる事には違和感を感じた。

自分は、全部パラレルだと思って読んでたよ。設定が共有してあろうが矛盾してようが気にしてなかった。
設定を共有して作品を作ってゆくのか、響鬼と絡めれば何でもアリとするのかは、意見を募って決めなくてはならないようなことだとは思わない。文頭に前説明するとかして、読むほうも取捨選択すればいいんだから。
職人は自分のやりたいようにやってていいと思う。(結果は自分が引き受けるわけだが)

時間がたち人が入れ替わって行くにつれてスレの性質が徐々に変わることは避けようが無いことだと思う。
職人が2chでやりたがろうか、個人サイトでやりたがろうが、>>489がどうこうできることじゃない。
2chでやるのに誰の許可も要らない。是非どんどん作品を投下してください。
新しい参加者が来るか来ないかどころか現在の人数も計りようが無いのに分っているかのような言い方はおかしいと思う。。
スレの結末を決めたがっているかのような>>489は言いすぎだと思う。

本当に荒れて叩きレスばかりになって作品投下も無くなって、次スレも立たなくなった時はやめると思うけど、それまではまとめは続けるつもりでいる。


>>493
小ネタとか長編の間の息抜きのように楽しんだし、コラボについてはその場で楽しんで読んだし、声の大きい人におもねる必要もないと思う。
スレにはその時々の流れがあるんだし。

このスレの残りは意見交換に残しておいて、新スレを立てたほうがいいのかな。
作品投下が止まっちゃうんで、新スレまでは持ち越さないで欲しい。


499 :中四国支部鬼譚作者:2006/11/05(日) 08:34:54 ID:seIURd1G0
このスレで、作者同士の会話が一切無くなってしまうとそれはそれで寂しい気もします。
やっぱり「コナユキさん可愛いー」とか言ってもらえると素直に嬉しいですから。
ただ、内輪で褒め合っている「だけ」という様は傍から見ていて気持ち悪いというのはわかりますので
考えていかなければならないですね。

設定に関してなのですが、他のSSには無い猛士中四国支部という存在を作ってしまった以上、
他SSとの設定・世界観の共有やクロスオーバーは極めて難しいものになるなと実感しています。
せめてこのくらいは、ということで、明治時代編の中で「西欧における音撃戦士の組織の本部がイタリアにある」と
DMCを匂わせるようなことを書いてはみました。

>>489にお答えしますと、拙作では結末までの流れははっきり決まっています。
「大体第○○話くらいでこういう出来事が起こって、誰が何をしてどうなる」といった大まかなプロットがありまして、
あとは、その最初に決めた流れに沿って、その場その場のフィーリングで話を繋げていく感じです。

拙作に関してご意見・ご質問等ありましたらお答えしますのでどうぞ。

500 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 08:45:40 ID:oHb5ghmUO
2chのルールワラタ
削除スレに持っていって削除人の見解聞いてみたら?

501 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 09:16:41 ID:kNiEHnzK0
確かに釣られてるんじゃね?
なんか489はこのスレを正常にしたいとか、昔に戻って欲しいとかより単に潰したいだけな気がする。

502 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 09:33:09 ID:rkV/KYvI0
>>494
ちょっと待った。「住人本位」と言っている>>474を、自治したがっている名無しとして否定するのはまずくないか?
>>474>>472は職人経験のある人間で、自分の経験から職人の在り方、スレの在り方を示しているのかもしれない。
>>472を読んで俺は、ある作品の投下がしばらく途絶えている理由は、そういうことなのかもしれないと思った。
自治したがっている名無しは、>>489だけだと思う。


503 :名無しより愛をこめて:2006/11/05(日) 14:35:00 ID:X8tqe62d0
まったりいきましょう。

504 :野獣作者:2006/11/06(月) 02:07:50 ID:e8Wwu356O
やでやで、やっと残りの校正終えました。
しかし配分間違え後編は前、中編合わせたぐらいのボリュームになりました。
残りの容量が携帯でわかりませんので投下は見送った方がいいですね!

505 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 16:54:07 ID:1T0XEPnSO
裁鬼SSファンだった自分としては、全く別物の今のこのスレに「裁鬼〜」と冠を付けるのはやめて欲しい気がする。
「地方鬼SS」とかならわかるんだが。


時間が流れて人が変わったと言っても、スレ当初の持つ空気が全く違うんだからタイトルも変えて欲しいのが正直なところ。上手く言えないが、変わっちゃいけなかった部分が変わっちゃってる気がする。


絶対的ルールじゃ無くても、暗黙の了解とか、言わなくてもそこにいればわかってることってあると思うんだ。
そう言うのを無視して強引にやっちゃうのはどうかと…。

自分も関東鬼のSSを個人サイトで書いてるが、ここに投下しようとは思わない。
文が下手なのもあるけど、スピード感や読み手をグッと引き込む勢いがまだまだ足りないし。
でも仮に2ちゃんに投下したとして、厳しいことを言われても泣いたり泣き言は言わないと思う。
感想貰って一喜一憂するのはわかるけど、ここはそんな甘いところじゃないと思ってるから。
投下する限りは緊張感持ってやって欲しい。
馴れ合いやダラダラとまったりは違う。
長文ごめん。

506 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 17:26:32 ID:rRVbvkZN0
いま、裁鬼SSの作者さんはこのスレを見てんのかな?

507 :野獣作者:2006/11/06(月) 17:30:47 ID:e8Wwu356O
自分も裁鬼SSに感動した者です。
スレタイは統合経緯で主軸が裁鬼だったからで
他の作品が好みじゃないからってのは
何か違う気がします。
でも既に自分の駄作のように
拡大解釈で響鬼世界を創造(拙作は妄想?)するとすれば
スレタイは響鬼を冠に用いるほうが適切かも。

正直、住人としては(何か作品投下したら職人で住人ではないとの意見もありますが)
自分にとってスレタイは作品読む為の検索キーぐらいなもので
別に響鬼SSでもいいと思います。

508 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 19:04:45 ID:lapKb6Yb0
個人的には、すべての始まりである裁鬼SSに敬意を表してスレタイに使い続けるというのも良いことだと思うのですが。

509 :477:2006/11/06(月) 19:46:29 ID:IJ5J1fy+O
このレスで最後にしとく。もう単なる荒らしとしか見られてないし、正直、このスレ潰したいって気持ちもある。

このスレの職人住人が「ここは裁鬼スレだ」って言って、「はいそうですね」って思えないから。ここが「裁鬼スレ」である必要がないと思うから。

繰り返すけど、スレタイ変えてくれ。

>>505が「変わっちゃいけないトコまで変わっちゃった」と言ってるけど、まとめの人はそれも仕方ないって言ってる。
スレの魅力も楽しみ方も人それぞれだし、それが人の出入りで変わってくのも「仕方ない」のは解る。
でも、中身違ったらスレタイ変わってもいいんじゃないか? 原型留めてないぐらい内容が変わっても、それは「ベツモノ」にならないのか?
今回の件で書き込んだのも、スレタイの裁鬼話が、この中で一番ウケて一番テキトーなのに、まだ引き摺ってんの?って思ったから。
でも蓋あけてみると全然違ってて、「裁鬼スレじゃなくてもいいじゃん」って思ったから。それだけ。
でもいい機会だったわ。まとめの人が「職人達釣られてんじゃね?」って言ってるけど、馴れ合い気にしてなかったらこんなに職人達からレスこないよ。
みんな「(薄々)感じてた」って言ってるし、ちゃんと完結させるって表明してるし。多少は空気の入れ替え出来たと思う。
議論纏めるつもりはないから。自分個人がそう思ってるだけ。次スレがまた「裁鬼スレ」になっても、つっかかったりしない。疲れるだけだし。

>>506
じゃ、ROMに戻るわ。

510 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 21:31:58 ID:xSu0/Cku0

仕切ってる人間がいるようだが、どこにそこまでいう権利があるのか理解しがたい。
あらしとは思わんし、言いたいことも理にはかなっているが、考え押し付けるのはやめろ。
それこそ、嫌ならもう覗きに来なければいい話しなんじゃない?
職人もこのような傲慢な意見に卑屈になる必要もないと思う。話づくりは流れによって長くも短くもなるわけだから、
無理に「あと〜くらい」と制限受ける必要もない。馴れ合い感があったのは否めないが、皆楽しんで書いていたみたいだからいいんじゃないのか?
それこそそれを邪魔する権利がどこにあるのかと思った。
文章は回数重ねて経験値積むことで上手くなってゆくわけだから、コラボとかやってもいいじゃん。
そこから見出せるものだってあるわけだから、自分の書いてる話に役立つ事だって出てくると思うが。
寄り道はすべて悪いわけじゃないんじゃないかな。

終わったの終わらないのという言葉もあったが、裁鬼職人さんの投下ペース計ってみたことあるのか?
読んでるほうも驚くくらいのペースと濃さだと思ったのは俺だけか?
内容と1話1話の長さから考えたら驚異的ペースだと思うぞ?それをそれぞれの生活ペースがある人間たちにまで強要するのか?

個人的に批判したけりゃしたらいい。それをすることでよい方向に進むと思うのなら。読み手としても大歓迎。
批評されて泣きたいやつは泣け。大多数の目に付くところに文章晒すわけだから、何が来ても文句は言えない。
続ける以上泣き言言うのは×だが。
だがえらそうに文句垂れてスレの流れを潰して、スレ自体も潰す様な真似は絶対にカンベンだ。
先にも書いたが、嫌なら見に来なきゃいいだけ。

ガンバレ職人たち。俺は制限付なんかじゃなくて続く限り読みたいと思っているぞ。

511 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 22:38:39 ID:7BGiR3sa0
「弾鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ」だったらタイトルに偽りなし
弾鬼SS筆者を御輿に担ぎ上げるみたいで悪いが


512 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 22:49:35 ID:rRVbvkZN0
個人的にはスレタイは変わらないほうが良いんじゃないかと思う。
理屈とか、そういうのは無いけど・・・。

変えるのならいっそのこと、「鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ」はどう?

513 :名無しより愛をこめて:2006/11/06(月) 22:51:43 ID:q8r1Fx47O
感情で書く前に、一息つこう
人を納得させたいなら理路整然としないと誰も納得しないから
相手を仕切りとか自治とかレッテル貼るのは敗北宣言と同じだし

514 :野獣作者:2006/11/07(火) 00:41:26 ID:FL1p9aAxO
要はみんな裁鬼SSに影響受けてる訳で
作風変わったから名前を変えてって>>447さんと
リスペクトしている以上名前保存派と
自分みたくスレタイにはこだわりません派かな?
自分にとって裁鬼SSが素晴らしいのはもちろん、
他の作者さんのも、こんなん書いてみたいと思ったんですね。
まあ正直スレを潰そうと思った発言で
他のファンの姿勢を仕切る親衛隊みたいと感じてます。
でも肯定、否定取り混ぜ評価が必要なのに
作者さん同士で誉め合う事に苦言を呈して下さったのは感謝です。

515 :野獣作者:2006/11/07(火) 03:33:14 ID:FL1p9aAxO
ライオン丸Gの九州放送が終わったので
ここんとこの問題提起の結論は
作品批評は匿名ではどうか?

次スレタイの冠から裁鬼をどうするか?
でよろしいかと思います。

さて拙作の残りを一気に投下します。
>>416から

516 :野獣【NOKEMONO】後編の1:2006/11/07(火) 03:34:46 ID:FL1p9aAxO
―半年前―
フランクフルトで奇妙な事件が起きた。
1区画が狼に襲われたのである。その後謎の爆発で区画は壊滅した。狼の恐
怖に我を忘れていた住民が落ち着きを取り戻しての証言は不思議な物だった。
食い殺さんとばかりに追い立てるが建物から離れるとそれ以上追って来なかっ
た事。逃げ遅れたはずの子供達が丘の上に集められていた事など。
事実は前世紀の魔道士が悪魔召喚魔法陣を汚水の配管経路で描き、満た
され完成する穢れの時限装置を双子の狼男が阻止したのである。
だが、泣き叫ぶ子供達をあやす為に人型に戻った事が仇となり、彼等は爆破犯として追われる身になった。

ガウガウ(乱暴な狼の王が帰ったぞ!)
キュイィィィンン(違うぞ、同じ匂いだが王の子供だ!)
モワッモワッ(王子は二人も居るぞ!)
狼王の帰還を祝福するDA達。

ミハイルとラルフはまとわりつくDAを無視して会話を続ける。
「やはり水無津鬼さん以外に制御は無理です…」モワッモワッ「他の鬼だと獣
の血が勝って鍛え方と関係なく暴走します…」ガウガウ「スリーピングビューティ
ー水無津鬼は何処まで回復…」

517 :野獣【NOKEMONO】後編の2:2006/11/07(火) 03:36:21 ID:FL1p9aAxO
『じやかあしいいっっ!!』ガンッ!兄の旋風脚と弟のフルスイングがDA達を一掃
する。
呆れた小暮が口を開く「…血は争えんな!まあ、ある程度には回復したが
な。」「そこから先は俺が説明しよう。」大地が話すには、猛士直轄の療養で
順調に治療を続け、魔化魍から助かったが精神障害を負った人達に音楽を聞
かせているとの事。但し彼女自身、鍵盤楽器は戦いに用いていた音撃盤‐ショ
ルダーキーボード型‐がトラウマとなり戦闘時の心理状態で暴れてしまう。
「そこで、これをリハビリに使ってたんですよ!」大地は動画ファイルを開いた。
「12弦ギターか…ん?6列複弦ではなく単弦構成、それに鍵盤の音か?」ディ
スプレイにはWARギター奏者のトレイ・ガンが映っていた。
本来音程を固定するために指板上で押さえる際、叩きつける様に打弦音を鳴
らすタッピング奏法。装飾的な奏法で全編弾くギタリストが20数年前現れた。
それからの進化は速く、ボディの無い打弦専用機[スティック]が開発された。
弾弦にも対応出来る様、再び胴体を装着した物が件の[WARギター]である。

518 :野獣【NOKEMONO】の3:2006/11/07(火) 03:37:31 ID:FL1p9aAxO
「あっ、そうか!ピアノも構造は打弦だわ!」「流石みどりさん、正解です。」
「ふむ、これは新たな音撃に応用…ん?作ったのか?」「ザネッティ兄弟にはミ
ラノを廻ってもらいエネルギー供給装置と新音撃弦の作成を頼んでおきまし
た。」「ほう、最初から大地の計画か?」小暮の問いに首を横に振る。「偶然な
んです。月の光が獣人化に与える影響を彼等一族は何代にもわたり探ってき
たんです。」大地の言葉をラルフが繋ぐ。「供給装置ルーンジェネレーターを起動
させるには契約者が結界を作る必要があるんです。」「共振起動ですから音撃
でも発生させられる様に造りました。」「もう時間が無いっス!」「そうだな、一誠が散った宇和島へ急ぐぞ!」
―そして今―
「ミナ姐、着いたよ!」「…大ちゃん残酷なんだね?」そう此処は二人の兄と愛し
た男が散った河川敷。新たな変身鬼弦[残心]と音撃弦[石榴]を押し付けなが
ら小暮はいう。「辛いだろうが供養と思い、音撃奏[大気境界]で清めてくれ。」
能面の様な無表情で深呼吸し静かに目を瞑り弾き始める。

519 :野獣【NOKEMONO】の4:2006/11/07(火) 03:38:43 ID:FL1p9aAxO
トゥットゥッ、トゥットゥッカッカッカトゥットゥッ、トゥットゥッカッカッカトトゥットゥッカッカッカ
打弦によるクリアなミドルノートと高いミュートノートが交互に響き始める。
バイク型走機、音機獣[白牛]に月から降り注ぐ蒼い粒子が集まり、やがて此の地に残る残留思念の黄色い粒子も集まり始めた。
「…始まるぞ!」「ミナ姐、何があっても弾き続けて!必ず帰ってくるから!」
「えっ?」「手を止めないで!」大型オフロードバイクに酷似した機体を螢の様な
光の粒子が包む。やがてそれ自体が光り始めると大地が真言を唱えだす。
「おんかかかびさんまいえいそわか、地蔵菩薩の名において命ずる!汝この鬼
に再び仕え修羅界を清めよ!」二十一度繰り返された祈りで変化が顕れた。
-コノムスメトナラバドコヘデモ…-確かに聞こえたその声と共に光のシルエット
が揺らぎ、人型に形を変える。
音撃奏を終え静かに目を開けた水無津鬼の前にバイクは無く、最も会いたかった男が居た。

520 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 06:26:01 ID:FL1p9aAxO
テスト

521 :野獣【NOKEMONO】の5:2006/11/07(火) 06:27:41 ID:FL1p9aAxO
吉野に戻るワンボックスの車中、運転する轟鬼がミラー越しに後部座席を覗く。
「大地君、寝たっスか?」「この一週間大変だったものね!二人は大丈夫?」
「満月の狼男です、一眠りしましたから。」それもそうね!」「先代師匠の息子
さん達がドイツで起きた救出劇の立役者ってのも嬉しいっス!」「ふむ、それに
関しては向こうの組織がEC諸国に働きかけている。轟鬼も先代に恥じない…と、
兎に角鍛えねばな!」「ういッス!」口ごもる小暮に狼の兄が一言呟く。「でも
本当に良かったんですか?浄化出来る魂を修羅に引き戻して。」「うん兄貴の
言うとおり、大地までがカルマを背負うんだよな。」「満月でしか人型に戻れない
し…」車内を包む沈黙を破りり小暮が口を開く。「こんな説話を知っているか?―
かつてインドに功徳を積み菩薩と成った二人の王がいた。さらに徳を重ね、や
がて如来界より迎えが来たが一人の王は出立を断り願う。人、修羅、畜生、餓
鬼、地獄に迷い泣き叫ぶ者を救う力を下さいと。迎えは応えて、六道に夫々の
姿で顕現する力を地蔵菩薩に与えたという。―さっき大地が唱えた真言のオン
カカとは地蔵菩薩の望む子供の笑い声との事だ。」

522 :野獣【NOKEMONO】:2006/11/07(火) 06:35:42 ID:FL1p9aAxO
エピローグ 夢伝説

「凄ぇ、凄ぇッスよ!六道全部を浄化するなんて。」「本当に、この寝顔の何処に
秘められているのかしら?」「いや、大地はそれほど重く考えてないんですよ!」
「二人を一緒に居させたいだけですから。」双子が答える中、みどりはふと思う。
小暮が水無津鬼に、否、二人に与えた全国を巡る魔化魍探索の仕事は失わ
れた時間を取り戻させようとの配慮ではないかと。
「あっ!そうだ先代師匠の息子さん達に通り名を考えたっス!」「おっ、四国九
鬼みたいに格好いいやつですか?」「へえ、どんなの?」
「コホン、[フランクフルトの双生児]なんてどうっスか?…って、あれぇ??」
『……』
「マズいっスか?」
「…いや、いろんな意味で美味しそうだし…」

―翌朝―
水無津鬼は兄の墓前で手を合わせて居た。「兄様達、ミナは一誠さんと修羅を
生きます。」意を決し立ち上がると音機獣[白牛]に跨りハンドルを握る。
かつて戦場でその角を握ったのと同じく、鼓動を確かめる様に走り始めた。


somebody wait for you somebody wait for me
求め合う二人気付かない内に
somebody wait for you somebody wait for me
遥か時を超え巡り会える日まで


―完―

523 :野獣作者:2006/11/07(火) 06:52:09 ID:FL1p9aAxO
いやはや、途中連投制限でちゃいました。
自分が学生の時八十八ヶ寺ツーリングした
その思い出折り込みたかったんですね。
意図しなかったのですが書き終えたら、遍路には弘法大師がついているから
孤独ではないという[同行二人]って思想があります。
奇しくもそれに近い結果に成ったのは偶然ですが。

524 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 09:33:01 ID:9ZyZ0QfN0
作者本人がスレタイ変えてくれっていってんじゃん。

鬼達のストーリーをつくるスレでいいじゃん。
裁鬼職人にリスペクトしてるなら、今の作品といっしょにする方が失礼な気がする。

>>野獣SS
とりあえず、空気読んで投下するのは控えようか。

525 :野獣作者:2006/11/07(火) 10:16:26 ID:FL1p9aAxO
>>524
ガチで裁鬼SS作者さんが冠から外す事を望むなら
そうすればいいし、まだその話題に粘着するのかな?
って気持ちです。
自分は前に書いたとおりスレタイはあくまで検索手段です。
個人の意見を押し付けず、投票とかで良くないですか?

526 :        :2006/11/07(火) 12:19:19 ID:9ZyZ0QfN0
響鬼SS総合スレ

ttp://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1162869388/l50

裁鬼冠で続けたい人は自分で立てて。

527 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 12:47:31 ID:gNoS04ddO
残った容量で、各住人が期待してるSSでも挙げていこうぜ
俺は高鬼と中四国と皇城が期待度スリートップ

528 :野獣作者:2006/11/07(火) 13:22:49 ID:FL1p9aAxO
そこまで生理的に厭だったんですね。
お詫びと共にスレ立てありがとうございます。

529 :        :2006/11/07(火) 14:09:13 ID:9ZyZ0QfN0
>>528
一時的な投下の場所にしようよ。いいスレタイがあればそっちに変えて削除すればいい。
あえて、まとめサイトとか前スレとか載せてない。どうしても「裁鬼達〜」がいいなら誰か作るでしょ。
高鬼とか皇城があるんだから、裁鬼SSを作品の頂点とする必要もなくない?


530 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 15:26:38 ID:FL1p9aAxO
自分としては立てて頂いた好意に感謝し、
少しでも良いものを考えて行きたいと思います。
本音は裁鬼SS作者さんに
その後の一撃鬼を書いて貰いたかったのですが。

531 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 20:21:50 ID:LsICeFHY0
>>529
話の繋がりとかもあるわけだから前スレくらいは載せたほうがよくね?
その上で避難所の通達するとかじゃ駄目?

532 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 20:35:55 ID:MeHWnWk30
次スレは>>526でいいの?

533 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 21:41:09 ID:AklvriEK0
違うだろ。
>>526のは響鬼SSの総合スレ。
裁鬼冠でやりたい人は勝手に立てろって意味だと。

534 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 21:49:27 ID:6PoyrIbk0
一応、別ものにしとこうよ。

535 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 21:50:17 ID:MeHWnWk30
じゃあドコに投下すればいいんだ
もうこのスレだって482KBじゃないか

536 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 21:52:43 ID:AklvriEK0
とりあえず、どなたかスレ立てお願いします・・・。
自分にはできないみたいなんで・・・。

537 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 22:02:44 ID:MeHWnWk30
いや、ちょっとマテ
それってスレ乱立じゃないのか?

538 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 22:08:26 ID:AklvriEK0
こっちのスレと、総合スレのどちらが早くから始まっているか・・・だな。

539 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 22:16:11 ID:MeHWnWk30
感情高ぶって勝手にスレ立てした>>526は悪いけど
スレタイが気に入らないから新しくスレを立てるのもマナー違反ではないか?
スレタイはデリケートな問題なんだから、もっと話し合うべきだったのに

540 :名無しより愛をこめて:2006/11/07(火) 23:40:43 ID:FL1p9aAxO
確かに>>526は感情的になったかも知れないけど
そこまで嫌がる人をスルーしてまでスレタイに
裁鬼を名乗る必要ってなんだろ?

541 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 00:38:47 ID:sp4ce4kE0
ちょっと思った。
スレタイの『裁鬼さん「達」』ってのは裁鬼さん含む鬼たちの活躍するって意味で捉えていいのジャマイカ。
裁鬼さんてのは本編で主軸となっていた鬼達「以外」の鬼の代名詞なんじゃないだろうか。
だから、それが弾鬼でも鋭鬼でも剛鬼でもそのほかオリジナルでもいいんじゃないのではあるまいか。
関東の鬼を主人公にしている職人は基本的に設定共有=クロスオーバーを考えているんだろうし、
そこは個別の判断方と常識の範囲でやりゃアいいことだと思う。そうでないのは断りいれるか、誰も反論できない設定創って見せれ。
少なくとも漏れはそういうの好きだから歓迎だ。

裁鬼職人さんをリスペクトするんなら、それこそスレタイには「裁鬼」を入れたほうがいい(あえて「入れるべき」とはいわない)と思うが、みんなどうだろうね。
ま、あくまで個人的な意見なんだが、的外れじゃないと思うがどうかね?

542 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 00:47:48 ID:weo0Y57t0
1 立ててしまったものはしょうがないので>>526を使用し、このスレで次々スレのスレタイその他の議論
2 新しく「裁鬼」の名前を冠するスレを立て、>>526のスレは削除依頼(ないしは落とす)
3 「裁鬼」と「鬼総合」で分家する

現段階で取れる手段は三つ

メリット
1 板に優しい
2 このスレの発祥である裁鬼ストーリーへのリスペクト
3 方向性で揉めずに済む

デメリット
1 スレタイに納得いかない人が出る
2 削除依頼しても当分は削除されない(事情を知らない人から見たら重複スレ)
3 事情を知らない人から見たら重複な上、住人・職人が割れる

543 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 01:16:52 ID:UlxJ6mcxO
前スレもまとめサイトもないからこれまでの裁鬼スレとは別物として立てたんじゃないか?

544 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 01:35:52 ID:weo0Y57t0
スレタイどっちでもいいや派からしてみれば、激しく不毛だし
どうせやること一緒なのに新しく立てるのはマナー違反だと思うんだが

本当に別物にしたいなら>>526のスレは>>526のスレで方向性を示してほしいが
2レスしかついてないのでさっぱりだ
マジでどうすんだよ、この現状

545 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 05:37:29 ID:gmM5XoiT0
自分もスレタイどっちでもいい派だけど久しぶりに来た人が分からなくなるから
元裁鬼さん達スレ、と検索でわかるように入れといてほしい。新しく響鬼にはまって
SSを探しに来た人は響鬼や鬼で検索するだろうし。元々裁鬼さんが連載中に、
職人さん一人だと投下の関係でスレが落ちやすい鋭鬼さんSSや他の鬼さんの話を
書きたい人達がスレ保持に困らないで投下できるように、広がってDA達や魔化魍寄りの
話も入れられるように、ってことで裁鬼さん達がスレタイになってるんだし。
 読んでる自分も職人さん達も響鬼が大好きで、でもそれぞれ世界観や読みたいものが
広がっているんだから、設定をつかわさせてもらいたい時は分かるようにして
のんびり自由にやってもらった方がリクエストとかも言いやすいな。
全部違ってるのがおもしろいんだし。


546 : :2006/11/08(水) 09:29:41 ID:8lFquNqP0
もう終わったな。

547 : :2006/11/08(水) 10:02:25 ID:JnrG1Aeq0
じゃあ、誰か裁鬼スレ立てろよ。

548 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 17:02:20 ID:n4fbmIr9O
強行すればなんとかなるって前例はマズいけど
>>526の気持ちを少しは汲んでも良くないですか?
スレタイから裁鬼外しても
読みたければ響鬼で検索するでしょ?
只、勝手に裁鬼スレ立ててくれってのが
何をしたかったのかわかりませんが

549 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 18:15:43 ID:JqAhhmGLO
>>526にスレのビジョンが見えてないのは明白だけど
だからこそテンプレ貼って次スレ扱いしちまっても問題なさそう
使いきるまでは裁鬼派の人には我慢してもらってさ
次のスレ立ての時に裁鬼を入れ直すか、このまま外すかを決めればいんじゃね?
>>526は厳重注意だけど。だからこそ彼の立てたスレを乗っ取る事で彼の意志は尊重しません、と

550 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 20:45:30 ID:3Il5OGz60
>>549と同じく裁鬼派の人には、一時的に我慢してもらう方向で、>>526のスレを使うことには同意。
私以外の裁鬼派の方も、今だけは>>526のスレで我慢しておいた方がいいかと思いますが。

551 :名無しより愛をこめて:2006/11/08(水) 21:03:24 ID:192wTkQ40
>>548->>550に同意
俺はスレタイに拘泥しないよ。
それで去って行く住人もいるかもしれないけど、また新しく来る人だっているだろうし。
前向きに次スレ案考えてくれてた人には申し訳ないけど。
ただ単にそろそろSSが読みたいなと思うだけなんだけどもね。

552 :名無しより愛をこめて:2006/11/10(金) 02:13:40 ID:ZEoerKyL0
スレタイに「裁鬼」って入っていてもいなくても投下するSSの内容は変わらないと思うんだ
入っていないとSSの質が落ちる職人さんっているのかな? いないでしょ?
住人さんは、スレタイ込みでSSを評価しちゃうのかな? そんなことないでしょ?

このスレまで続いた裁鬼冠のスレタイが大好きで、ずっとこのスレタイが続いてほしい
というヒトもいるし、一方ではそれがたまらなくイヤなヒトもいる
ここはSSを発表するスレだから、それを最優先に考えるのならば、「このスレ潰したい」って
ヒトを増やさないためには、裁鬼冠を取るコトが良い選択なんじゃなかろうか

裁鬼冠のスレタイを潰そうとするヒトは今後も現れるかもしれないけど、
「裁鬼」が入っていないから潰そう、ってヒトは出ないんじゃないかな
入ってないならもうこない、ってヒトは出るだろうけど

それ考えるともう「裁鬼」はスレタイに入れない方がイイと思う
それでモメて投下が止まるのはもうカンベンよ


553 :名無しより愛をこめて:2006/11/11(土) 19:31:08 ID:yT+DJL2NO
そろそろ新しい小説を投稿させていただいてもよろしいでしょうか?
まだ議論を続けたいという声が多いならば、止めておきますが。

554 :名無しより愛をこめて:2006/11/11(土) 19:54:43 ID:7H/pFK1F0
このスレはもう残量が少ないから、投下するなら
ttp://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1162869388/l50
↑がいいかも。そんで、できればsage進行で。

555 :名無しより愛をこめて:2006/11/12(日) 08:54:28 ID:PHdfB7f00
>>554
残念ながら、そこのスレはsage進行禁止みたいだよw

556 :名無しより愛をこめて:2006/11/17(金) 00:50:04 ID:RkxZccnN0
>552
なんでそこまで「裁鬼をスレタイにするならスレ潰す」なんていう基地外に
土下座しながら擦り寄らないといけないのかわからんよ。
ダダこね勝ちなのか?


557 :名無しより愛をこめて:2006/11/17(金) 09:40:21 ID:yLkl9cTf0
>>556
同意。DQNに屈してるみたいで嫌だ。
「裁鬼 六」スレが立ったら乱立になっちゃうかな?

558 :名無しより愛をこめて:2006/11/17(金) 16:15:27 ID:oNK1b6jSO
一つの可能性として、裁鬼SS作者さん本人か
近い人であるかもと思った者です。
最初は何仕切ってるのかと怒りがありましたが
冷静に考えるとSS読む為の手段だと気付きました。
勝手に裁鬼スレ建てろの発言は理解出来ませんでしたが
ファンが考えた鬼でなく、本編で名前がでた鬼であると
思い出したのではないですかね?
つまり作品裁鬼SSとしてでなく
単に一人の鬼の名前ならば
強制する権利は裁鬼SS作者さんにもないと。

私にとってはどんなに裁鬼SSに感動しても
スレタイにさほど価値を見いだせません。
変なプレッシャー与えず一撃鬼SSを投下して欲しいと
切に願います。

559 :名無しより愛をこめて:2006/11/18(土) 11:38:13 ID:cdZFGkFo0
やっぱり今裁鬼6スレが立ったら、乱立だと思うよ
SS書きの人たちも、(多分)問題なく鬼SSスレに投下しているし
この状況で別スレ立てたら混乱するんじゃないかな

>556、>557の気持ちもわかるけど、もう少し静観しようよ

560 :皇城の〜の中の人:2006/11/19(日) 17:01:28 ID:Qr0RY3Sv0
これより投下いたします。
しばしの間お時間を頂戴いたします。

561 :皇城の〜の中の人:2006/11/19(日) 17:02:49 ID:Qr0RY3Sv0
間違えました(^-^;

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