決算

決算 【簿記2級講義 第8講】

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【簿記2級講義 第8講】 決算

1、決算整理

会計期間の最終日(決算日)に帳簿を締め、まとめ上げて、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成するために行われる手続のことを決算といいます。

 

決算は、次の手順で行われます。

 

①試算表の作成
②決算整理
③帳簿の締切
④財務諸表の作成

 

決算にあたり、まず最初に総勘定元帳のすべての勘定の記録を集計して試算表(合計試算表および残高試算表)を作成します。また、仕訳帳の借方と貸方のそれぞれについて合計金額を計算し、貸借が一致していることを確認し、仕訳帳を一度締め切ります。これらの手続によって、日々の取引の仕訳とそれらの総勘定元帳への記入の正しさが確かめられます。

 

しかし、簿記の日常では、生じている取引のすべてを網羅的かつ適切に記帳しているわけではありません。決算時には、簿記の日常手続において記帳されていない取引について調査し、追加的な帳簿記帳を行う必要があります。

 

決算時に行われるこのような追加的な記帳手続のことを決算整理(又は決算修正)といい、それを記帳するための仕訳を決算整理仕訳(又は決算修正仕訳)といいます。

 

決算整理は、下記の手順で行われます。

 

①決算整理事項の調査
②精算表の作成
③決算整理仕訳の帳簿記入(仕訳帳への記入と総勘定元帳への転記)

 

なお、決算整理を行うべき事項のことを決算整理事項といいます。

 

2、精算表

決算整理が適切に行われるならば、決算整理後の各勘定の記録に基づいて損益計算書と貸借対照表を作成できることになります。

 

そこで、決算整理後の各勘定の残高に至るまでの決算整理の一連の過程を確認できるようにするため、各勘定の金額の推移を明らかにした一覧表を作成します。

 

この一覧表のことを精算表という。

 

精算表は、決算整理前の各勘定の残高、決算整理仕訳、損益計算書と貸借対照表の各勘定の残高の8桁に記入されます。

 

3、締切手続

①決算集合勘定

 

決算において決算整理後の各勘定の残高を集計するために設けられる勘定のことを決算集合勘定という。決算集合勘定には、損益勘定と残高勘定があります。

 

②収益と費用の勘定の締切手続

 

総勘定元帳の各勘定を締め切るための手続は、(1)収益と費用の勘定を締め切るための手続(損益振替)と、(2)資産、負債、および純資産の勘定を締め切るための手続(残高振替)に分けて行われます。収益と費用の勘定を締め切るための手続は次の手順で行われます。

 

総勘定元帳に損益勘定を設け、収益と費用の各勘定の残高を損益勘定に振り替えます。

 

売上高  ××円   / 損益    ××円
受取利息 ××円   / 損益    ××円

 

損益   ××円   / 売上原価  ××円
損益   ××円   / 広告宣伝費 ××円
損益   ××円   / 支払利息  ××円

 

次に、損益勘定の差引残高(当期純利益又は当期純損失の金額)を繰越利益剰余金勘定に振り替えます。

 

 利益の場合

 

損益   ××円   / 繰越利益剰余金  ××円

 

 損失の場合

 

繰越利益剰余金  ××円   / 損益   ××円

 

上記の手続は、どちらも仕訳を行い、それを仕訳帳に記入し、さらに総勘定元帳の各勘定に転記するという形で実行されます。なお、決算にあたって各勘定を締め切るために行われる仕訳のことを決算振替仕訳といいます。

 

③資産、負債、および純資産の勘定の締切手続

 

一方、資産、負債、および純資産の勘定を締め切るための手続には、大陸式決算法と英米式決算法と呼ばれる2つの方法があります。

 

ア、大陸式決算法の締切手続

 

大陸式決算法では、総勘定元帳に残高勘定を設け、資産、負債、および純資産の各勘定の残高を残高勘定に振り替えます。この手続も、決算振替仕訳を仕訳帳に記入し、それを総勘定元帳の各勘定に転記するという形で行われます。

 

残高   ××円   / 現金   ××円
残高   ××円   / 売掛金  ××円
残高   ××円   / 建物  ××円

 

借入金  ××円      / 残高    ××円
資本金  ××円      / 残高    ××円
繰越利益剰余金 ××円 / 残高    ××円

 

イ、英米式決算法の締切手続

 

英米式決算法では、資産、負債、および純資産の各勘定の残高に等しい金額を残高がある側とは反対側に「次期繰越」として直接記入する。また、資産、負債、および純資産の各勘定の残高を集計した試算表(繰越試算表)を作成します。大陸式決算法とは、締切手続に決算振替仕訳を行わない点が異なります。

 

④開始手続

 

次の会計期間の初めには、開始記入と呼ばれる手続を行います。しかし、開始手続についても、大陸式決算法と英米式決算法では違いがあります。

 

ア、大陸式決算法の開始記入

 

大陸式決算法の開始記入では、残高勘定を相手勘定として資産、負債、および純資産の各勘定に残高の金額を振り戻す仕訳(開始仕訳)を行い、それを仕訳帳に記入し、さらに総勘定元帳の各勘定に転記します。

 

イ、英米式決算法の開始記入

 

英米式決算法の開始記入では、資産、負債、および純資産の各勘定に残高の金額を「前期繰越」として直接記入する。なお、英米式決算法では、開始仕訳を行わない代わりに、仕訳帳には前期繰越の借方合計額と貸方合計額を「前期繰越額」として記入します。

 

⑤再整理仕訳

 

開始記入を行った後、収益や費用の繰延と見越のために計上された経過勘定の残高を収益や費用の勘定へ振り戻す手続を行います。この手続は、再振替のための仕訳(再振替仕訳)を行い、それを仕訳帳に記入し、さらに総勘定元帳の各勘定に転記するという形で行われます。

 

4、財務諸表の作成

決算手続の最後には、総勘定元帳の勘定記録に基づいて損益計算書と貸借対照表が作成されます。基本的には、損益計算書の作成には損益勘定の記入残高が、また貸借対照表の作成には残高勘定または繰越試算表の記入内容が重要な基礎資料となります。また、精算表の記入内容も損益計算書と貸借対照表を作成するための確認資料として役立てることができます。

 

ア、損益計算書

 

区分損益計算書

 

損益計算書では、通常、収益と費用をその性質に応じていくつかのカテゴリーに分類し、それに基づいて段階的に損益計算が区分計算されます。このような損益計算書のことを特に区分損益計算書といいます。区分損益計算書では、収益と費用はまず経常的なものと非経常的なものに大別される。非経常的な性質の収益と費用はさらに、主たる営業活動にかかわるもの(営業収益と営業費用)とそれ以外のもの(営業外収益と営業外費用)に分類されます。

 

さらに、営業費用は売上原価と販売費及び一般管理費に分類されます。

 

区分損益計算書では、このような収益と費用の分類に基づいて、次のような4つの段階的な損益計算が区分表示されます。

 

売上総利益の計算

 

売上高-売上原価=売上総利益(または売上総損失)

 

営業利益の計算

 

売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益(または営業損失)

 

経常利益の計算

 

営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益(または経常損失)

 

当期純利益の計算

 

経常利益+特別利益-特別損失=当期純利益(または当期純損失)

 

なお、損益計算書には、重要性を考慮して売上原価の内訳(期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高など)の金額も区分表示されることもあります。また、当期純利益の金額は、税引前当期純利益から法人税等の金額を差し引き当期純利益を表示します。

 

損益計算書の記載例は、下記のとおりです。

 

損益計算書

 

勘定式と報告式

 

損益計算書の形式には、勘定式と報告式の2つがあります。

 

勘定式は、簿記の勘定と同じ形式を用いて、借方に費用の科目と金額を、また貸方に収益の科目と金額を記載し、その差額を当期純損益として記載します。

 

報告式は、収益の科目と金額から費用の科目と金額を控除する形式で記載し、その差額を当期純損益として記載します(上記記載例がこれに当たります。)。

 

イ、貸借対照表

 

資産、負債、および純資産の区分表示

 

貸借対照表においても、資産の部、負債の部、および純資産の部に区分して表示されます。

 

資産は、流動資産、固定資産、及び繰延資産の3つに区分表示されます。

 

負債は、流動負債と固定負債に区分表示されます。

 

純資産は、資本金、資本剰余金、利益剰余金の3つに区分表示されます。

 

なお、貸倒引当金及び減価償却累計額は、貸借対照表の関連する資産科目の金額の真下に記載し、当該資産科目から控除する形式(間接控除形式)で記載します。

 

記載例は、下記のとおりです(ただし、有形固定資産は、間接控除形式になっていない。)。

 

貸借対照表

 

勘定式と報告式

 

貸借対照表の形式についても勘定式と報告式の2つがあります。

 

勘定式は、簿記の勘定と同じ形式で、借方に資産科目と金額を、貸方に負債と純資産の科目と金額を記載します(上記記載例がこれに当たります。)。

 

報告式は、資産、負債、純資産の科目と金額を上から下へと順番に記載していきます。

 

ウ、株主資本等変動計算書

 

株主資本等変動計算書とは、損益計算書、貸借対照表と並び財務諸表の1つとされているもので、貸借対照表の純資産の部分だけを切り取り、その会計期間中の変動について変動自由ごとに金額記載したものです。

 

例えば、増資による新株の発行、繰越利益剰余金の配当、当期純利益の計上などにより純資産の勘定科目が増加した場合に、それぞれの変動事由ごと増減記載されます。

 

記載例は、下記のとおりです。

 

株主資本等変動計算書

 

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