固定資産取引

固定資産取引 【簿記2級講義 第5講】

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【簿記2級講義 第5講】 固定資産取引

1、有形固定資産

 

①有形固定資産の意義

 

経営活動のために長期間使用する目的で所有する資産を固定資産といい、そのうち具体的な形態を有するものを有形固定資産といいます。
主なものに、建物、構築物、車両運搬具、機械装置、工具器具備品、土地、建設仮勘定などがあります。

 

②有形固定資産の取得

 

有形固定資産を購入した場合は、購入代金に買入手数料、運送費、荷役費、据付費、試運転費などの付随費用を加算して取得原価とします。
購入にあたって値引きまたは割戻を受けた場合は、購入代金からその金額を控除します。

 

③建設仮勘定

 

建物や製造プラントのように完成まで長期間の建設工事が必要な場合は、途中で工事代金の一部を支払うことがありますが、工事が未完成なので、支払額を建物勘定に計上できません。
この支払額を一時的に記録する仮勘定が建設仮勘定です。建設中の支払額は建設仮勘定の借方に計上し、建設が完成して引渡しを受けたときに建物勘定など適切な勘定に振り替えます。

 

④修繕と改良

 

有形固定資産に対して修繕と改良が必要な場合があります。

 

修繕とは、有形固定資産の価値または性能を現状維持するための支出で、支出額は修繕費として支出時の費用に計上されます。これを収益的支出といいます。

 

改良とは、固定資産自体の価値を高めたり、耐用年数を延長させる効果のある支出で、支出額は固定資産の取得原価に加算されます。これを資本的支出という。

 

収益的支出は費用になるが資本的支出は資産であり、適正な期間損益計算のために、両者を厳密に区分しなければなりません。

 

2、減価償却

 

①減価償却

 

有形固定資産は、長期間使用する間に摩耗したり時代遅れになるなど様々な理由で次第に価値を減少しますが、この価値減少を簿記会計上認識する必要があります。また有形固定資産の使用により、収益獲得に貢献しているので費用として認識させる必要があります。

 

そこで、適正な期間損益計算のために、有形固定資産の取得原価を価値減少に対応させてその貢献度を各期間に費用として配分する手続があります。

 

この手続を減価償却といい、期間配分された原価は減価償却費として費用計上されます。

 

ただし、土地と建設仮勘定はその価値が減少しないので減価償却しません。

 

また、減価償却の記帳方法には、直接法と間接法があります。
直接法では、減価償却費を費用計上して同額を有形固定資産から直接減額します。
間接法では、有形固定資産を直接減額せず、減価償却費勘定の借方と有形固定資産ごとに設けられた減価償却累計額勘定の貸方に計上します。
原則的には、間接法が用いられています。

 

②減価償却費の計算方法

 

一般的な減価償却費の計算方法は定額法、定率法、生産高比例法などです。

 

ア、定額法

 

直線法ともいわれますが、耐用年数にわたり毎期同額を減価償却費とする方法です。

 

減価償却費=(取得原価-残存価額)/耐用年数

 

イ、定率法

 

耐用年数の初年度に多額の減価償却費が計上され、その額が年数の経過とともに逓減する方法です。毎期の減価償却費は未償却残高に償却率を乗じて計算します。未償却残高とは有形固定資産の帳簿価額(取得原価からその減価償却累計額を差し引いた金額)になります。

 

減価償却費=未償却残高×償却率

 

税法では、平成24年4月1日以降に取得した固定資産を定率法で償却する場合、その償却率を定額法の償却率の原則2倍としています。これを200%定率法といいます。
例えば、耐用年数10年の場合は、定率法の償却率は10%であるが、200%定率法の場合は、20%(=定額法の償却率10%×2)になります。

 

ウ、生産高比例法

 

有形固定資産の利用度に応じて毎期の減価償却費を計上する方法です。

 

自動車、航空機、鉱山設備などのように、総利用可能量と当期の利用量を一定の物量基準(運行距離、採掘量など)に基づいて測定できる資産に適用できます。

 

減価償却費=(取得原価-残存価額)×当期利用量/総利用可能量

 

3、有形固定資産の売却・除却

 

①売却

 

有形固定資産を売却した場合は、その有形固定資産勘定に取得原価を貸方計上し、減価償却累計額勘定に借方計上します。また、売却価額と帳簿価額(取得原価-減価償却累計額)の差額を固定資産売却損勘定の借方(売却価額<帳簿価額の場合)または固定資産売却益勘定の貸方(売却価額>帳簿価額の場合)に計上します。

 

②除却・廃棄

 

有形固定資産の耐用年数が経過して使用できなくなった、有形固定資産が破損して役に立たなくなった等の理由で有形固定資産を処分することがありますが、それに合わせて帳簿から消去することを除却といいます。

 

資産の除却処理も、売却と同様にその有形固定資産勘定の貸方に取得原価を計上し、減価償却累計額を減価償却累計額勘定の借方に計上します。この際、除却した資産に処分価値があると認められる場合は、その処分価値を見積もって貯蔵品勘定の借方計上し、見積処分価値と帳簿価額との差額を固定資産除却損勘定の借方(見積処分価値<帳簿価額の場合)または固定資産除却益勘定の貸方(見積処分価値>帳簿価額)の場合に計上します。

 

売却や再利用ができなくなった等の理由で除却資産を廃棄する場合は、その帳簿価額を固定資産除却損勘定の借方に計上します。

 

4、無形固定資産

 

①無形固定資産

 

無形固定資産は、物として実体を有しないが、所有することによって長期間にわたり排他的な経済的便益が得られる固定資産をいい、法律上・契約上の権利とのれんがあります。

 

法律上の権利としては工業所有権(特許権、実用新案権、商標権、意匠権)、著作権、地上権、漁業権などがあり、契約上の権利としては電話加入権、電気・ガス施設利用権などがあります。法律上・契約上の権利は、金銭を支払って取得する場合(有償取得)と、贈与など一切金銭を支払わずに取得する場合(無償取得)とがあり、有償取得の時のみ取得に要した支出額が取得原価となり、無形固定資産として計上されます。無償取得の場合は無形固定資産として計上されません。
のれんは営業権ともいわれ、企業が他の同種企業と比較して平均以上の収益が上げられる場合、その超過収益部分を起因となるものです。その実体は、信用力、立地条件、特殊技術など様々ですが、のれんが資産計上できるのは有償取得の場合だけに限られます。
例えば、他企業の合併・買収を行う場合、合併・買収に要した金額が合併・買収された他企業の純資産額(資産合計-負債合計)を超過する部分がのれんとなり、のれん勘定の借方に計上されます。

 

②無形固定資産の償却

 

法律上・契約上の権利については、法律・契約に定める有効期間を償却期間として償却します。のれんについては、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します。
いずれの場合も残存価額はゼロとし、直接法で記帳します。
償却費はそれぞれの固定資産の名称に「償却」を付した勘定(例えば、のれん償却勘定など)の借方計上します。

 

5投資その他の資産

 

①投資その他の資産

 

投資その他の資産には、長期の投資又は他の企業を支配する目的で所有する有価証券(満期保有目的債権、子会社株式、関連会社株式、その他有価証券)、出資金、長期貸付金、更生債権、投資不動産、長期前払費用などがあります。

 

②投資その他の資産の取得と評価

 

投資その他の資産の取得原価は、取得に要した支出額です。

 

ただし、有価証券の貸借対照表額は、次の種類に応じ、次のようになります。

 

ア、満期保有目的債券…取得原価 ただし、債券金額よりも低いか又は高い価額で取得し、その差額が金利の調整と認められる場合は、その差額を償還期まで一定の方法で貸借対照表価額に加減します(償却原価法)

 

イ、子会社株式・関連会社株式…取得原価

 

ウ、その他有価証券…時価 (市場価格のない有価証券は、取得原価のまま)

 

ただし、時価がある有価証券の時価が著しく下落した場合は、回復すると認められる場合を除き、時価をもって計上することになり、市場価格のない株式で実質価値が著しく低下した場合、相当の減額をすることになります。

 

③長期前払費用

 

前払費用のうち、貸借対照日の翌日から起算して1年以内には前払いした金額に対応するサービスを受けることができないものをいい、貸借対照表上、流動資産である前払費用とは区別され、固定資産の投資その他の資産の部に分類されることになります。
そのため、例えば保険料を3年分前払いした場合、決算時に未経過となっている金額のうち、1年分だけ支払保険料勘定から前払費用(前払保険料)勘定に振り替えます。

 

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