標準原価計算

標準原価計算 【簿記2級講義 第21講】

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【簿記2級講義 第21講】 標準原価計算

1、標準原価計算の意義

原価計算制度において、財務会計と結びつく原価の種類は、実際原価のみでは有りません。実際原価と結びつく実際原価計算制度と標準原価と結び付く標準原価計算制度に分類されます。

 

実際原価計算制度は,製品の実際原価を計算し、それを財務会計の主要帳簿に原価データとして組み入れ、製品原価の計算と財務会計とが、実際原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

 

原価管理上必要ある場合には,実際原価計算制度においても予定価格等をを設定して組み入れ、予定原価を算定し、これと実際との差異を分析し、報告することがある。

 

これに対して、標準原価計算制度は,製品の標準原価を計算し,これを財務会計の主要帳簿に原価データとして組み入れ、製品原価の計算と財務会計とが、標準原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

 

標準原価計算制度は、必要な計算段階において実際原価を計算し、これと標準との差異を分析し、報告する計算体系である。

 

2、標準原価計算の目的

標準原価計算の目的は、以下の点が挙げられます。

 

① 原価管理に有用な情報を提供する。
② 製品原価の算定の基礎となり、売上原価と棚卸資産の金額の算定に役立つ。
③ 製品価格の決定に有用な情報を提供する。
④ 見積財務諸表の作成に有用な情報を提供する。
⑤ 記帳処理を迅速化する。

 

3、標準原価

標準原価とは、財貨の消費量を科学的,統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもって計算した原価をいう。

 

① 実際原価 = 実際価格又は予定価格 × 実際消費量
② 標準原価 = 予定価格又は正常価格 × 標準消費量

 

つまり、実際原価計算においては、消費した原価材の単価に乗じる消費量が実際の消費量となるが、標準原価計算においては、予定した一定の消費量を乗じることになる点が異なります。

 

この場合、能率の尺度としての標準とは、その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する。

 

次に、標準原価計算制度において用いられる標準原価は、原価材の消費量の予想の仕方により、現実的標準原価と正常原価に大別されます。

 

現実的標準原価とは、良好な能率のもとにおいて、その達成が期待されうる標準原価をいい、通常生ずると認められる程度の減損、仕損、遊休時間等の余裕率を含む原価です。また、比較的短期における予定操業度および予定価格を前提として決定される。

 

正常原価とは、経営における異常な状態を排除し、経営活動に関する比較的長期にわたる過去の実際数値を統計的に平準化し、これに将来にすう勢を加味した正常能率、正常操業度および正常価格に基づいて決定される原価をいいます。

 

4、標準原価の算定

標準原価は、直接材料費、直接労務費等の直接費および製造間接費について,さらに製品原価について算定する。

 

原価要素の標準は、原則として価格標準と消費量標準の両面を考慮して算定する。

 

①標準直接材料費

 

標準直接材料費は、直接材料の種類ごとに、製品単位当たりの標準消費量と標準価格とを定め、両者を乗じて算定する。

 

標準消費量については、製品の生産状況からの科学的、統計的調査により製品単位当たりの各種材料の標準消費量を定める。標準消費量は、通常生ずると認められる程度の減損,、仕損等の消費余裕を含みます。

 

標準価格は,予定価格又は正常価格とされます。

 

②標準直接労務費

 

標準直接労務費は、直接作業の区分ごとに、製品単位当たりの直接作業の標準時間と標準賃率とを定め、両者を乗じて算定する。

 

標準直接作業時間については、工員に作業状況からの科学的、統計的調査により製品単位当たりの各区分作業の標準時間を定める。標準時間は,通常生ずると認められる程度の疲労、身体的必要、手待等の時間的余裕を含みます。

 

標準賃率は,予定賃率又は正常賃率とされます。

 

③ 製造間接費の標準

 

製造間接費の標準は,これを部門別に算定します。

 

部門別製造間接費の標準とは、一定期間において各部門に発生すべき製造間接費の予定額をいい、これを部門間接費予算として算定します。その算定方法は、実際原価の計算における部門別計算の手続と同じです。

 

部門間接費予算は、固定予算又は変動予算として設定します。

 

③-1 固定予算

 

固定予算を、予算期間において予期される一定の操業度に基づいて製造間接費予算を算定します。

 

各部門別の固定予算は、一定の限度内において原価管理に役立つのみでなく、製品に対する標準間接費配賦率の算定の基礎とします。

 

③-2 変動予算

 

変動予算とは、製造間接費予算を予算期間に予期される範囲内における種々な操業度に対応して算定した予算をいい、実際間接費額を当該操業度の予算と比較して、部門の業績を管理することを可能にする点で原価管理に有効であるとされています。

 

④ 標準製品原価

 

標準製品原価は,製品の一定単位につき標準直接材料費,標準直接労務費等を集計し、これに標準間接費配賦率に基づいて算定した標準間接費配賦額を加えて算定します。

 

標準間接費配賦率は固定予算算定の基礎となる操業度ならびにこの操業度における標準間接費を基礎として算定します。
標準原価計算において加工費の配賦計算を行なう場合には,部門加工費の標準を定めます。

 

5、勘定記入の方法

標準原価計算における標準原価の勘定記入の方法には、2つの方法があり、パーシャルプランとシングルプランと呼ばれています。

 

一つ目の方法、パーシャルプランは、仕掛品の借方に記入される金額が実際原価により算定されたものであるのに対して、シングルプランは、仕掛品の借方に記入される金額が標準原価により算定されたものとなります。

 

原価差異の分析方法として、アウトプット法とインプット法がありますが、アウトプット法は月末に当月生産量から計算される標準原価と実際に消費した実際原価を比較して原価差異を計算、分析する方法であり、事後的に原価差異を算定する方法です。これは、仕掛品勘定で標準原価と実際原価の原価差異を認識するパーシャルプランと組み合わせて使用されます。

 

もうひとつの原価差異の分析方法として、インプット法があります。

 

インプット法とは、原価材の購入又は消費される段階で標準単価により会計処理され、実際単価との差異は原価差異勘定で処理され、かつ、製造工程に原価材が投入される段階で標準消費量により会計処理され、実際消費数量との差額は原価差異勘定で処理される方法です。この方法は、原価材の投入時点で、標準原価により評価され、原価差異を認識するため、事前に原価差異を算定する方法と言え、仕掛品勘定を標準原価のみで評価するシングルプランと組み合わせて使用されます。

 

標準原価の勘定記入

 

6、原価差異の処理

標準原価と実際に発生した原価との差額として認識される原価差異は、材料受け入れ価格差異を除き、原則として売上原価に賦課されます。

 

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