工業簿記の概要(その二)

工業簿記の概要(その二) 【簿記2級講義 第14講】

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【簿記2級講義 第14講】 工業簿記の概要(その二)

4、原価の意義

製品原価の計算、つまり原価計算において、製品の製造活動に消費した原価を集計する必要がありますが、まずどの範囲の原価財の消費が原価になるのか識別する必要があります。

 

原価計算制度上の原価とは、経営における一定の給付(たとえば、製品)にかかわらせて把握された財貨又は用役の消費をいい、その消費を貨幣価値的に表わしたものを言います。

 

この原価の範囲に含まれるかどうかは、次の4点の要件を満たすかどうかにより判断されます。

 

① 経済価値の消費に該当するかどうか。

 

工業経営の活動は、製品等を生産し販売することを目的とし、その製品等を作り出すために必要な原価財、すなわち経済価値を消費する過程である必要があります。

 

原価とは、製品等生産の経営過程における価値の消費を意味します。

 

② 工業経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であり、その給付にかかわらせて把握されたものであるかどうか。

 

ここで、給付とは、工業経営が作り出される財貨(たとえば、製品)をいい、それは経営の最終製品のみでなく、中間的給付(半製品、中間製品)をも意味します。

 

③ 経営目的に関連したものであるかどうか。

 

工業経営の目的は、製品等を生産、販売することにあり、経営過程はこのための価値の消費と生成の過程であることが前提です。

 

したがって、原価には、経営目的に関連しない価値の消費(つまり、製品の製造、販売に関連しない価値の消費)を含まないため、資本の調達,返還,利益処分等の財務活動に関する費用は原価を構成しません。

 

④ 正常的なものであるかどうか。

 

原価は、正常な状態のもとにおける経営活動を前提として把握された価値の消費であり、異常な状態を原因とする価値の減少は正常な原価計算を妨げる結果となるため、この異常な状態を原因とする価値の減少を原価に含めないこととされています。

 

5、非原価項目

原価の概念は上記の通りですが、原価として認められないような項目(非原価項目)の制度上列挙されています。

 

非原価項目とは、おおむね次のような項目です。

 

① 経営目的に関連しない価値の減少

 

(1)次の資産に関する減価償却費、管理費、租税等の費用
・ 投資資産たる不動産、有価証券、貸付金等
・ 未稼働の固定資産
・ 長期にわたり休止している設備
・ その他経営目的に関連しない資産

 

(2)寄付金等であって経営目的に関連しない支出

 

(3)支払利息割引料、社債発行差金償却、社債発行費償却、株式交付費償却、設立費償却、開業費償却、支払保険料等の財務費用

 

② 異常な状態を原因とする価値の減少

 

・ 異常な仕損、減損、たな卸減耗等
・ 火災、震災、風水害、盗難、争議等の偶発的事故による損失
・ 予期し得ない陳腐化等によって固定資産に著しい減価を生じた場合の臨時償却費
・ 延滞金、違約金、罰課金、損害賠償金
・ 偶発債務損失
・ 訴訟費
・ 臨時多額の退職手当
・ 固定資産売却損および除却損
・ 異常な貸倒損失

 

③ 税法上とくに認められている損金算入項目

 

・ 価格変動準備金繰入額
・ 租税特別措置法による償却額のうち通常の償却範囲額をこえる額

 

④ 利益剰余金に関連する項目

 

・ 法人税、所得税、都道府県民税、市町村民税
・ 配当金
・ 役員賞与金
・ 任意積立金繰入額
・ 建設利息償却

 

6、原価要素の分類

 

① 形態別分類

 

原価計算を実施する上で、まず重要となる分類が形態別分類です。

 

形態別分類は、財務会計における費用の発生を基礎とする分類で、原価発生の形態による分類です。

 

原価要素は、この分類基準によって、材料費、労務費および経費の3分類されます。

 

材料費 : 物品の消費によって生ずる原価
労務費 : 労働力の消費によって生ずる原価
経費 : 材料費,労務費以外の原価要素

 

この原価要素の形態別分類は、財務会計における費用の発生を基礎とする分類であるから、原価計算は財務会計から原価に関するこの形態別分類による基礎資料を受け取り、これに基づいて原価を計算することになります。

 

② 製品との関連における分類

 

製品との関連における分類とは、製品に対する原価発生の態様、すなわち原価の発生が一定単位の製品の生成に関して、直接的に識別されるかどうかの性質上の区別による分類です。

 

原価要素は、この製品との関連における分類基準によってこれを直接費と間接費とに分類する。

 

また、形態別分類と合わせて、下記のように分類することになります。

 

直接費 : 直接材料費、直接労務費および直接経費の3分類
間接費 : 間接材料費、間接労務費および間接経費の3分類

 

間接材料費、間接労務費および間接経費を合わせて、原価計算上、製造間接費と言います。

 

また、必要に応じて、直接労務費と製造間接費とを合わせ、又は直接材料費以外の原価要素を総括して加工費として分類することがあります。

 

原価計算上で、重要となる分類は上記の2分類であり、図示すると下記のようになります。

 

原価要素の分類
また、製品原価には集計されませんが、一定期間に発生した原価を収益に直接対応させて把握した原価を期間原価と言い、これも原価を構成します。

 

具体的には、商業簿記でも記載した販売費及び一般管理費が期間原価に該当します。

 

上記の図と総原価の関係を図示すると、次の図のようになります。

 

総原価の範囲

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