★土だんご

 

現在、我が家には猫の額にいる蚤の額ほどの庭があって、近所の花屋で買ってきた

四季の花々や野菜を植えたりする、つまりガーデニングちゅうやつをカミさんと楽しんでいる。

思い起こせばはすぴーはガキの頃から土をこねたり、落とし穴を掘ったりと泥んこ

遊びが好きだったし、砂場でもトンネルや用水路を作ったり、蟻地獄やサンダーバード

秘密基地やを作ったこともある。

洋服を汚して帰ってもおかあちゃんから叱られることはめったになかったし、

おとうちゃんは丸大ハムをかじりながら「腕白でもいい」と言っていたかも知れない。

 

たぶんはすぴーが幼稚園の時か小学校の低学年の頃だったと思うが、「土だんご」と

いう遊びが流行っていた。もしかしたら「泥だんご」と呼んでいたかも知れない。

この遊び方は2種類あって、いかに「硬い」だんごを作るかと、いかに「ピカピカ」の

だんごを作るかというものだ。

土だんごを知らない人にとっては、「えっ?泥が硬い?ピカピカ?」と不思議に思う

かも知れないが、本当の話なのであーる。

 

まず土だんごの作り方は、そこいらの土を掘り、水をまぜてこねくり回す。あの

「ぐにょぐにょ」という土いじりの感覚は忘れられない。手のひらで転がしている

うちに体温で乾燥してきて、ちょうどピンポン玉くらいの大きさになってくる。

まだ水分を含んでいて柔らかいのだが、次に砂場に行って「銀砂」をかける。

あっ、「銀砂」といってもわからないでしょうね。地域によっては「白砂」とも呼

ばれているようだけど、要するに乾いた白い砂のことだ。

「銀砂」を少しずつ少しずつまぶして形を整えていき、手のひらでこすっては、銀

砂をまぶし、こすってはまぶす、、、、という作業を何度も繰り返す。

すると、土だんごの表面は黒光りを始め、カチカチに硬くなってくる。

「むははは、、いい艶がでてきたぜぃ」とつぶやきながら、このブロンズのような

土だんごに口づけをして完成だ。

その後もツバをつけてボロきれで2〜3日磨くとますます光沢が出てきて、ちょうど

ボーリングの玉のように黒光りしてくる。

土だんごは土質によって色も変わってきて、赤土で作れば当然、だんごも赤い色に

できあがるし、灰色ぽいだんごもあったし、土をブレンドする高等技術を使うものもいた。

 

「だんご割り」といって作った土だんごを互いにぶつけ合って、どちらが硬くて強いかを

競い合った。通常は1対1の「タイマン」で勝負する。一人は自分のだんごを地面に

置き、一人は胸の高さからだんごを落としてぶつけ合う。これが案外と割れないのが

不思議なのだが、それだけ硬いものだったんだろうと思う。

幾度かぶつかり合ううちにどちららが先に割れて勝負がつく。

2〜3日もかけて作った自分だけの傑作が壊されるむなしさ、勝負に負けた悔しさ

が入り交じって泣いたこともあった。

 

そして今度は絶対に負けることのないような硬いやつを作ろうとみんながそれぞれ

工夫をするようになる。中央公園の土で作っただんごは硬いだの、いいや2丁目の

田んぼの方がいいとか、渡辺さんちの畑の土は肥料が入っていて強いとかの怪情報が飛ぶ。

そして全国的にも有名なのが「地面の中に1日埋めておく」という方法だ。

そんなことをして本当に硬くなったとは思えないが、この方法は全国的にも伝説化している

くらいだから、もしかしたら科学的な裏付けがあるのかも知れないと思ったりする。

 

ケンちゃんの作る土だんごは一番光沢もよく、そして「だんご割り」でも強かった。

はすぴーはケンちゃんにどうしてもその強さの秘訣を教えて欲しかった。

 はすぴー:どうしてケンちゃんのだんごはピカピカ光っていて強いのさ?

 ケンちゃん:秘密さ、ただじゃ教えない。

 はすぴー:じゃ、君が欲しがっていたアトムシールと交換でどうだ?

 ケンちゃん:それだけかよ

 はすぴー:欲ばりだなぁ〜、じゃぁ、ホームランアイスもおごるからさ。

 ケンちゃん:よいしゃ、絶対の絶対に内緒だぜ。バレるとみんな真似すっからな。

 はすぴー:OK、絶対の絶対に内緒だ。

 ケンちゃん:天プラ油をつけて磨くんだよ

 はすぴー:えっえっ、天プラ油っておかあちゃんが料理で使うやつ?

 ケンちゃん:そうさ、食用油を少しつけて磨く、そしてまたつけて磨くそうするとピカピカで硬くなるんだぜぃ

 

企業秘密を入手したはすぴーはさっそく、母親の目を盗み、食用油(サイダオイル)を土だんごに

つけて磨いた。黒光り度は増したような気がしたが、考えてみれば油をつければ一時的には

艶も出るわけだ。そして「だんご割り」ではあっさりと負けてしまった。。。(>_<)ノ' ナンデヤネン 

 

そうこうしているうちに土だんごも流行らなくなってしまった。

そういえば、今思い出したけど、実家の庭に埋めたままになっている土だんごがあるはずだ。

今度、掘り起こしてみようかな?あれから35年くらいたつから今頃ダイヤモンドになって

いるかも知れないぞ。

      

はすぴーは「土だんご」というと’火垂るの墓’で節子がひもじい思いをして土だんごを

食べるシーンを思い出してしまうのであった。。。。うっうっ、、、(泣)


土だんごを真剣に研究しているサイトがありました。

その後、2003.6月にトミーから「コロット」という土団子製造おもちゃが発売された。

この機械?を使えば誰にでも簡単に土だんごが作れるらしい。

1200円もするのだが、なぜか笑ってしまうのだ。。。。

 



「あの頃」のセピア色の想い出 

 

原稿:2000/12/9