絶滅寸前こだわり商品No.1

★ 文化フライ

「文化フライ」と聞いて一体、何人くらいの人がご存知だろうか。

はすぴーがガキの頃の縁日にはたいていこの食べ物の屋台があったので、

わた飴や水ヨーヨくらい全国的なものだと思っていた。

しかし、大人になってから周辺の人に聞いてもほとんどが「何じゃそれは?」

と答えられてしまうし、はすぴー倶楽部を開設して以来、掲示板で幾度か

このネタを持ち掛けるのだが、文化フライを知っている方に出会ったことがない。

どうやらこの食べ物は東京下町あたりの縁日でしか見かけない限定モノらしい。

 

はすぴーの住む足立区には西新井大師という有名なお寺があるのだが、そこに

文化フライの屋台が現在でも、たまーに出没している。

はすぴーが懐かしがってよく買いに行くもんだから文化フライのおばちゃん

(以下、おばちゃん)とも懇意になって色々と話を聞くことができた。

 

文化フライの原料は小麦粉でそれを油で揚げ、串に刺し、ソースをたっぷりつけて

「あふふ、あじぃ、あつつ」といいながら食べるのが正式な食べ方である。

どんなものかと言えばハムカツにハムの入っていないフライ。コロッケのような

パサパサした衣ではないが、衣だけの食べ物。中には野菜とか肉とか、あんことか

具は一切入っていない。うーむ、うまく表現できないがとにかく小麦粉の揚げ物なのだ。

なぜ「文化フライ」という名前がついたのか おばちゃんにたずねてみたのだが

「どうしてだろうねぇ」と笑っているだけで答えがかえってこなかった。

はすぴーが勝手に推測するに、昭和の初期頃は「文化」という名前がある種の

あこがれのようなものがあり、たとえば文化鍋、文化包丁、文化会館、

文化住宅、、、と頭に文化がつくだけで何かハイカラとか便利という気になって

しまう。では、このフライはハイカラさをウリにして文化フライと名づけましょう

・・・てなことじゃなかったのかな。(ハイカラのわりには素朴すぎるぞ)

 

おばちゃんは45年も文化フライを作っているという。げっげっ、はすぴーの

生まれる前からの食べ物だったのか。文化フライ様と呼ばねばならん。

都内では去年(1999年)の11月までこのおばちゃんともう一人のおばちゃんが

文化フライ様を作っていたそうだが、もう一人の方が亡くなってしまい、今では

おばちゃんだけだと言っていた。そして「あたしももう年だからねぇ、今年の夏で

辞めようかと思っているんだよ。でもね、おばちゃん辞めないでくれと頼む人が

いてくれてねぇ、来年のお正月までは続けるつもりさ。その後はどうしようかね〜」

・・・ということはまさに絶滅寸前

今年(2000年)7月1日に浅間神社というところで縁日があり、そこで文化フライを

作ると事前に聞いていたので、はすぴーは次女のさなどんを連れて絶滅する前に記録を

残すべくデジカメを持って30度を越える猛暑の中、出かけていった。

西新井大師では、去年まで手製のルーレット(木製で軸は釘。いかにも素人が日曜大工

で作りましたという感じ)があったのだが、今回は屋台にはなかった。

ガキの頃から文化フライというば、ルーレットというくらい切っても切れない関係だっ

たのだが、ルーレットがなくなってしまったことは少々寂しい。

縁日ではよく見かける「くじ」なのだが、当たると文化フライが2本、3本、

5本もらえた。はすぴーは5本も当たったことはないが、一度に5本も食べると

さぞや気持ちが悪くなることが予想された。(笑)

 

文化フライの値段は1本150円。ガキの頃は20円だったように記憶しているが、

フランクフルト300円、お好み焼き500円と比べると「まっ、こんなもんでしょう」

はすぴーが屋台のおばちゃんを見つけると「やぁ、また来てくれたんだねぇ」と

歓迎してくれた。娘の分と2本注文したら、「お代は2本分でいいよ」と言って

二人に2本づつ手渡してくれて、さらに「おみやげだよ」といって5本、ビニール袋に

入れてくれた。「もう今年で終いにするけど、食べたくたったらここに電話して

くれたら作ってあげるよ」といって住所と電話番号の書かれたシールをくれた。

写真を撮ってもいいかいと尋ねたら、「こんなババァなんか撮らないでそこの

浴衣の美人でも撮りなよ」とかいいつつ、顔はよそ行きの顔つきになっているところ

がとてもオチャメな感じがした。

 

家に帰ってカミさんと長女に「ジャジャジャン!これが文化フライ様じゃい。

おばちゃんからおみやげとしてもらったのだ。美味いから食ってみろ」と自慢したところ

中1の長女は一目みただけで「まずそ。わたし、いらない」と冷ややかな態度。

カミさんは「これ、何なの。ソース味?」とかいいつつ一口食べて、「変な味、気持ち

悪い」と批判モード。「ばっばっ、バカ野郎、この文化フライ様は揚げたてを食べると

すごーーく美味しいのだぁぁ。」とはすぴー。「そうだよ、アツアツの時は美味しかったよ」

とフォローしてくれる次女であったが、たしかに冷めたフライはお世辞にも

美味しいものではなかった。電子レンジで温めてウスターソースをつけてみたが、

おばちゃんが作った出来立てのものには復活することはなかった。

【教訓】文化フライは揚げたてを 食べるべし

 

 

さて、ホームページで紹介してしまって良いのかどうか悩ましい面もあるが、

45年間のご苦労と名誉のために、そして絶滅寸前商品として世の中に残すためにも、

おばちゃんの名前をご紹介させていただきます。(名刺をいただきました)

    

 おばちゃんは今年いっぱいは普段、西新井大師でラムネを売っている方です。文化フライに栄光あれ!

 お便りコーナー

(原稿2000.7.12)

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